2012年105日号

電力制度改革で公取委が見解 発送電の分離が必要
 公正取引委員会は、検討が進められている電力システム改革について「電力市場における競争の在り方について」と題する報告書を公表した。
 現在、部分自由化されている現在の電力市場に対しては「適正な電力取引についての指針」に基づいて市場監視を行っているが、市場の現状については、新電力(PPS)のシェアが低すぎて適正な競争が行われていないとして、一般電気事業者からの電源提供がないこと、卸電力取引市場にも十分な電力が供給されず、新電力はもっぱら自社電源や自家発余剰電力などに調達電源が限られていることなどを理由として挙げている。
 経済産業省が中心となって検討されている電力システム改革では、小売りの全面自由化に向けた議論が行われているが、これについては、「適正な競争が行われていない電力の自由化市場を量的に拡大しても、適正な競争市場の出現は望めない」として、新電力の電源調達環境が改善されるような制度改善が必要だとの考え方を示した。
 また、公平な競争環境を整備するためには、発電・卸売り部門と小売り部門、また、送配電部門の分離が必要だと指摘。電力会社内の部門取り引きが、外部との取り引きと比較できる透明性が確保できることを求めている。
 託送料金についても、送配電網を新たに独占的に運用することになる運用機関自身の効率性を担保するために、行政機関による一定の規制が必要で、同時同量についても全ての電力事業者がインバランス量に応じた料金を公平に負担する仕組みの構築を求めている。


経産省、再生可能エネルギーのモデル契約書を公表
 経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、電力事業者と発電事業者が取り交わすモデル契約書を策定し、公表した。固定価格買い取り制度では、国が決めた買い取り価格や買い取り期間に従って、希望する発電事業者から原則的に電力事業者が全量を買い取ることを義務づけているが、契約書の内容に買い取り期間が明示されないなどの不備が一部で見られたため、法に沿った条件が明確になるように具体的な契約モデルにしてを示した。

家庭用ガスコージェネに自立運転機能を追加 ホンダが開発
 本田技研工業は、家庭用のガスエンジンコージェネシステム「エコウィル」の発電ユニットに停電時でも自立運転して給電できる機能を搭載したモデルを開発した。11月から各ガス事業者向けに販売を開始する。
 これまでのモデルは、系統連系して運転することを条件に運転制御していたため、商用電源が停電した場合、系統への逆潮流が生じないように保護装置が求められることもあり、自立運転できないようにしていた。
 新モデルの東日本大震災以降、停電時にも使えるコージェネレーションシステムに対する市場ニーズの高まりを背景に、昨年フルモデルチェンジした発電ユニットをベースに開発したもので、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスなどのガス事業者が給湯システムなど組み合わせた新型ガス発電・給湯暖房システム「エコウィルプラス」として11月から販売を開始する。
 自立運転時の発電出力は最大約980Wで、専用コンセントを使ってテレビやパソコンなどの家電機器や照明器具、給湯や床暖房などの電源として利用できる。


IHI、原発向けGT移動電源車を納入 発電出力は3600kW
 IHIは、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所と福島第二原子力発電所向けに、子会社のIHIジェットサービスが車載型の3600kW移動電源車を納入したと発表した。
 25tトラックにロールスロイス社製の航空機転用型ガスタービンを搭載した発電装置一式が装備されており、コンパクトで機動性に富む大容量の発電システムとして使用できる。搭載されているガスタービンは1軸式のものであり、原子炉冷却用ポンプの電動機を直接駆動できるなど、応答性に優れた原子力発電所のバックアップ電源として使用できる。車載型としては国内最大となる3600kWの発電能力をもち、25tトラックに発電機とガスタービンを、別の15tトントラックに制御装置、バッテリー、燃料タンク等を搭載し、2台で一組の発電システムとして機能する。昨年6月に受注していたもので、受注から約1年という短期間での納入を実現した。


その他の主な記事
・国内クレジット算定の排出係数を変更
・発電所環境アセス 迅速化へ連絡会議
・都市環境エネルギー協会が成果発表会
・京セラが環境関連で新ブランド
・太陽光発電事業の証券化を目指す
・パナホーム、一歩進めたスマートハウス
・Jパワー北海道で5カ所目の風力
・安川電機、避難所用エネマネシステムを開発
・京セラ、北海道のメガソーラーの太陽電池を受注
・サミットエナジーが秋田にウィンドファーム
・シャープがシースルー太陽光パネル 窓ガラスとして設置も
・旭硝子自社工場屋根にメガソーラー 超軽量パネルを採用
・環境省、JVERマッチングイベントを開催
・新エネ財団が人材育成研修
・コージェネセンター名古屋で見学会
・カーボンオフセット対象 エントリー募集
・地方発カーボンオフセット3次募集を開始
・東京都、屋根借り業者と貸し出し屋根を募集
・大阪府、太陽光関連事業者を登録制度  etc.

<インタビュー>
・グリーン電力ビジネスの展開
(エナジーグリーン副社長 竹村英明 氏)
 1990年代頃からすでに、電力需要家の間で、自然エネルギーの電気を使いたいというニーズがあった。地球温暖化対策として風力や太陽光の電気が求められたのだ。しかし、自由に自然エネルギーの電気を売買できる環境はなかった。そこで、自然エネルギーの環境価値を示すものとして、グリーン電力証書が考案された。需要家はこの証書に対価を支払うことで、風力や太陽光の電気を利用した形に置き換えることができる。グリーン電力証書のリーディングカンパニーとして成長したエナジーグリーンの竹村副社長に話をうかがった。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(35)市民発議による電力事業の公営化=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・電力全面自由化時代(その5)
 =電力制度改革への提言=
 山田 光/スプリント・キャピタル・ジャパン代表



コラム
・発電論評<再生可能エネルギーのハイブリッド化>
・プリズム<原発ゼロは国力の低下を招く>
・青空<第3次野田内閣のおそまつ>
・ちょっと一休<ANAの到着ロビーで会う>


再生可能エネルギーのハイブリッド化【発電論評】

 「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」方針は、単なる努力目標だということが分かってしまったが、再生可能エネルギーを可能な限り拡大し、分散型エネルギーシステムを構築するというもう一つの柱は、不変の社会的合意事項だといえる。なにしろ、再生可能エネルギーは環境負荷が極小で、純国産エネルギー資源であり、なによりも、安定した量の確保が計算できるという次世代エネルギーとしては十分すぎるだけの条件がそろっている。
 再生可能エネルギーは、出力が不安定で余り当てにでき電源だというが、太陽光発電に必要な日照時間が毎年大きく変動するということは考えにくい。太陽光発電は、確かに日照のない時間は発電しない。天候によって短時間の内に激しい出力変動は確かにあるのだが、年間を通してみると極めて安定した電力が得られることが分かっている。平均すると、1kWの太陽光発電パネルは、国内では1年間で、ほぼ1000kWhが発電でき、大きな変動はない。
 1年は約8400時間なので設備稼働率は12%程度に過ぎず、設備容量から見た発電量は確かに物足りないようにも思えるが、それでも、1年間を通して得られる電力量が確実に計算できるという意味では、太陽光発電は実は安定電源なのだということもできる。さらに、燃料費が「タダ」なのでランニングコストが安い。発電パネル自体は20年をこえる保証を付けるメーカーもあるぐらいで、一度導入した電源は、長期間安定した発電を継続し続けることができる。しかも、騒音も発生しない静かな発電所でもある。
 肝心なことは、どういう使い方をするのかということであろう。太陽光発電を単独で導入して、系統に半ば強制的に電力を引き取らせるという現在のやり方は、早晩限界が来ることが見えている。そのためには、系統を強化して受入量を増やすことよりも、発電側の出力の安定化を図り、系統依存度を低減するという観点から自立型の電力供給を増やしていくことが近道になると思われる。
 コージェネや燃料電池と組み合わせたハイブリッド型電源によってそれが実現できる。最近の言葉では、ダブル発電ということになるが、コージェネや燃料電池は、大規模電源と違って負荷変動に強い。短時間の負荷変動に対して極めてレスポンスよく追従できるので、太陽光や風力の出力変動の補完には最適だ。自立型の安定電源が数多く導入されることで系統強化の必要量は随分低減できるはず。再生可能エネルギーの拡大を目指すには、まずコージェネや燃料電池などの分散型電源とのハイブリッド化を優先して取り組むことを考えてみたい。