2012.09.15


2012年915日号

エネ特会44.0%増 ガスコージェネや再可エネなど分散型拡大に注力
 2013年度の経済産業省のエネルギー特会の概算要求額は、総額で前年度当初予算額を44.9%上回る9784億円。当面の電力需給の安定化や新たなエネルギー需給構造の構築、コスト制約や環境制約の克服、資源・化石燃料の安定的かつ低廉な供給の確保、原子力事故からの再生・災害に強いエネルギー供給体制の再構築について重点課題として取り組む。
 当面の電力需給の安定化では、@民生部門の発電、省エネ・節電対策に459億円A産業分野の発電や節電、省エネ対策の支援として938億円を要求。住宅建築物のスマート化やゼロエネルギー化を進める。家庭用の燃料電池の導入支援として170億円、蓄電池を含めた再生可能エネルギーの支援に60億円。自家発電設備の新増設や、休止・廃止設備の再整備支援に60億円の予算を充てる。燃料費についても補助が用意される。
 新たなエネルギー需給構造の構築としては@需要家によるエネルギー管理対策A再生可能エネルギーの開発・利用の加速化B化石燃料の有効利用等の推進の3つを政策課題として、総額で前年度の倍増以上となる4025億円を要求。省エネ対策では、電気自動車など次世代型自動車の普及にも注力し、水素ステーションの整備に79億円の予算を充てる。再生可能エネルギーについては特に熱利用に重点をあて、太陽熱やバイオマス熱、未利用熱の導入補助や実証事業、次世代型の技術開発などに261億円を要求。スマートコミュニティーについては4地区での実証を引き続き進める。また、自家消費型電源としての再生可能エネルギーの導入支援にも60億円を計上している。
 化石燃料の有効利用では、666億円の予算を要求して@クリーンコールAトリプルコンバインド発電BCCSの技術開発Cコージェネレーションの普及、ガスパイプラインの整備D石油精製の高度化・バイオ燃料の受入整備などを進める。
 注目されるのは、分散型電源としてコージェネレーションの普及拡大を目指すことで、ガスコージェネの導入促進に150億円、ガスコージェネによる非常時の電源確保や省エネ整備にも別途60億円が用意される。コージェネについては、固定資産税を最初の3年間3分の1に軽減する税制改正措置も設けられる。


三菱重工、原動機事業本部と汎用機・特車事業本部のエンジン事業を来月統合
 三菱重工業は10月1日付で、原動機事業本部が担当するエンジンのうち出力4000〜1万5000kWの定置用エンジン事業について、汎用機・特車事業本部が担当する4000kW以下のエンジン事業と統合すると発表した。統合後の事業は汎用機・特車事業本部が担当する。
 世界的に分散型電源の需要が拡大していることに対応して、分散型電源用として取り扱うエンジンの範囲を上位に拡大して1万5000kWレンジまで営業範囲として一括して取り扱えるようにする。
 分散型電源は、シェールガス開発などの新たな低コストの燃料の利用拡大などによりガスエンジン市場の拡大が期待されており、海外市場での販売の拡大やガスエンジン市場におけるアフターサービスの強化などの必要が高まっている。国内でも電力供給力として自家発電設備の整備が奨励され、さらに現在進行中の電力制度改革では分散型電源の活用拡大として系統への売電が奨励されるなど、自家発電設備も大型化する可能性がある。
 今回の事業統合は、こうした市場の動向に対応するもので、営業、開発、サービス面にリソースを集中することで、拡大する分散型電源市場での販売拡大を目指すのが狙い。


洋上風力発電の共同研究会が発足
 日立造船、日本気象協会、東芝、JFEスチール、住友電気工業、東亜建設工業、東洋建設の6社と1団体は、洋上風力発電の建設技術と事業化に関する共同研究会として「地域振興型アクア・ウィンド事業化研究会」を設立した。着床式と浮体式の両方式について事業化に向けた共同研究を行う。
 研究会は、洋上風力発電の事業化に向けて、来年度までに候補地を選定して地域振興に寄与する洋上風力発電事業の実現に向けた調査・検討を行い、各社の特性や技術力、知識を結集して本格的な洋上風力発電事業の提案を行う。
 着床については、今年度内に有力と考えられるフィールドを選定して風況観測を実施。その結果に基づいて、事業の可能性評価を行い、研究会として最終的な事業化の可否を判断する。洋上風力については、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度では、実施例が少なく一般的な陸上風力との買い取り価格差は設けられていないが、洋上風力の事業性については、来年の買取価格の見直しの中出、洋上風力の導入コストに見合った買取価格が示されるかどうかも事業性を考慮する上で最大の判断材料となる。
 事業化が可能と判断された場合には、別途、特別目的会社(SPC)を設立し、具体的な事業化を進める。SPCには、研究会メンバー企業の他、エネルギー関連企業や地元企業・団体等からの出資も募る。


メタンハイドレート開発へ日本海自治体連合が発足
 国産のエネルギー資源として注目が高まっている日本海沖のメタンハイドレートや石油、天然ガス(在来型)等の海洋エネルギー資源の開発調査を促進するため、日本海沿岸の10府県が「海洋エネルギー資源開発促進日本海連合」を設立した。
 9月8日に、東京千代田区の都道府県会館で設立会議を開き、会長に山田啓二京都府知事を選んだ。
 日本海側の海洋資源を開発することで日本海沿岸府県の産業や経済の活性化につなげることを目的に、情報収集や調査・検討などを行っていく。参加するのは、秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県の10府県。


その他の主な記事
・環境省の重点施策と概算要求の主な項目
・各省庁の分散型・再可エネ整備の関連予算
・バイオマス活用推進会議が事業化戦略を策定
・ウラジオストクにLNG基地 日ロ協力で建設
・環境省、風力アセスで意見書
・太陽熱活用住宅委託先野村に
・シーテックも太陽光で売電事業
・大阪ガス、明石市でメガソーラー事業
・NTTF、吉野ヶ里のメガソーラーに選定
・日本アジアグループ、太陽光発電事業を加速
・熊本空港にメガソーラー
・プロロジス、太陽光発電事業に参入
・京セラ太陽光モジュールで特許取得 他社に警告も
・カネカ、まぶしさ押さえる太陽光モジュール
・三井不動産もメガソーラー事業に参入
・ソフトバンクが北海道と差が出もメガソーラー
・下水汚泥から水素 4社が共同研究会
・NEDO次世代型HP開発の検討委託先
・NEDO自動車用蓄電池の研究委託先決める
・環境省、廃棄物エネ利用を補助
・スマートエナジー温泉発電でセミナー
・カーボンマーケットEXPO 2月に開催
・滋賀環境メッセ
・コージェネ大賞を創設
・港湾施設の低炭素化で補助事業
・CO2削減中小企業グリーン投資促進事業
・エネルギー使用合理化補助募集
・エネファーム補助を再開   etc.

<インタビュー>
・東京工業大学AESセンター連続インタビュー
(東京工業大学特任教授 金谷年展 氏)
 東日本大震災以降、災害対策や原発代替エネルギーとして、分散型エネルギーが注目されている。だが効率的な活用にはまだまだ技術的な、あるいは制度的な課題がある。長年、マイクログリッドや燃料電池など分散型エネルギーシステムの実証研究を行う一方、政府に対しても積極的な働きかけを行うなど、技術の実用化を誰よりも考えてきた研究者である金谷年展東工大特任教授に、なお残る政策課題や技術開発の課題などについて話を伺った。



燃料電池新聞の主な記事
・米フューエルセル2000、米国の最新の燃料電池導入状況まとめ
・米CaFCP、FCV導入のためのカリフォルニアロードマップを発表
・NREL、燃料電池車プロジェクトの報告書 課題は水素製造コスト
・JX日鉱日石エネルギー、エネファームをSOFCに一本化
・海外ニュース
 -蘭Shell、カリフォルニア州で8番目となるガソリンスタンド併設水素ステーションを開設
 -英Carbon Trust、ACAL EnergyとITM Powerに195万ポンドを投資
 -米Ultra Electronics AMI、米軍の無人飛行機向けSOFC燃料電池を45台出荷
 -米Protonex、UAVやUGV向けの耐久信頼性を有するPEFC燃料電池を実用化
 -英ITM Power、再生可能エネルギー企業であるGMI Renewable Energy Groupと協業
 -台湾経済部、燃料電池スクータの量産準備完了を発表
 -米Aloha Motor Company、燃料電池スクーター向け水素ステーションをオープン
 -中国万向集団、米A123 Systemsに出資、80%の株式を取得
 -カナダHydrogenicsと岩谷産業、日本市場への水素貯蔵システムなどの販売で提携
 -米FuelCell Energy、独BAM DeutschlandからMCFC燃料電池を受注
 -米Vision Industries、米Cargotec USAと共同でターミナルトラクターの実証試験を実施
 -パナソニックのR&Dセンター、2012年9月に英国ウェールズCardiff市にオープン
 -独FutureE、中国China Mobileにバックアップ電源を納入
 -AirbusとDLR、飛行機用燃料電池APUを搭載した試験飛行を2015年までに開始
 -独E.ON、風力発電の電力をガスグリッドに貯蔵する水電解プラントを建設中
 -Scotland州政府、Aberdeen市議会が計画している水素拠点化と燃料電池バスの大規模実証を認可
 -デンマークH2 Logic、70MPa級水素ステーションの運用データを発表
 -米Altergy、某携帯電話キャリア最大手のひとつから1000台のバックアップ電源を受注
 -独Truma、キャンピングカーのバッテリー充電用250W級燃料電池を開発
 -米Alpha Energy、米ReliOnのバックアップ燃料電池をハイブリッド発電施設に組込む試験を実施
 -豪Ceramic Fuel Cells、英国における「BlueGen」の最低販売価格を1万9950ポンドと決定
 -現代自動車、2012年に1000台のFCVを生産開始
 -カナダBallard、インドネシアのセルラーから102台のバックアップ電源を受注
 -英Waste2Tricity、2014年からプラズマガス化発電システムの運転を開始
・燃料電池フラッシュニュース
 -東邦ガス、賃貸集合住宅でスマートハウスの実証実験
 -東芝燃料電池システム、自立運転機能付き家庭用燃料電池「エネファーム」の出荷開始
 -ダイニチ工業、SOFC燃料電池の受託生産が好調
 -東急電鉄、東京都品川区にエネファームを全住戸に導入した賃貸住宅を開業
 -大阪ガスと積水ハウス、スマートハウスでの1年間の居住実験結果を発表
 -NEDO、再生可能エネルギーの水素電力貯蔵・充放電システムに関する調査を公募
 -JX日鉱日石エネルギー、杉並水素ステーション向けに水素トレーラーによる水素搬入を開始
 -大阪ガス、2012年8月で「エネファーム」の販売累計1万台を達成
 -エネファームの導入補助金の募集、8月から再開
・燃料電池インフォメーション
■水素エネルギー協会2012 HESS特別講演会:10月1日(月)13時〜17時 タワーホール船堀(東京都江戸川区)○概要/@CO2フリー水素の構想説明(エネルギー総合工学研究所 笹倉正晴氏)APSA式都市ガス改質水素製造の最新動向(三菱化工機 小渕彰氏)B水素分離型リフォーマーを用いた都市ガスからの水素製造(東京ガス 井関孝弥氏)C膜分離による石油留分改質水素製造について(JX日鉱日石エネルギー 池田雅一氏)DCOGの製法と水素源としての活用(新日鉄住金 日比政昭氏    etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(70)
 =電気主任技術者について=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(49)<ポスト京都の枠組み議論がスタート>

・新刊紹介
 『グリーン経済最前線』
 井田徹治・末吉竹二郎著 岩波書店 760円(税別)



コラム
・発電論評<10月から導入される環境税の使い道>
・青空<取水制限を機にダム・インフラを考える>
・ちょっと一休<女房と久しぶりの北海道>
・ちょっと一言<原発ゼロが民主党の最後の切り札>


10月から導入される環境税の使い道【発電論評】

 メガソーラーなど大型の太陽光発電の導入がますます加速化している。土地を借りて売電事業用に建設する最近流行型のメガソーラー以外でも、自社の工場などの施設内に大規模な太陽光発電を導入することが広がってきている。
 こうした自家発電型の設備導入は、買い取り制度の導入以前には、CO2抑制を目的に、発電電力は自家消費することが当たり前だった。売電する手段が整備されていなかったからである。
 買い取り制度により、売電収益が期待できるようになった。しかし、CO2価値も含めて売ることになるので環境価値は手元には残らない。系統電力の排出係数を下げることに貢献できるといえばその通りではあるのだが。
 京都議定書の第一約束期間は今年度で終了する。東日本大震災による電力供給力不足の解消という大命題を前にして、温暖化問題は、どこか影が薄くなってしまっている。化石燃料への依存度が高まっているとはいえ、震災前からの目標達成に向けた取り組みの成果や昨今の節電の広がりもあって、温暖化に対する危機感はあまり聞かれなくなっている。
 第二約束期間は2013年から始まるが、日本は削減目標を持っては参加しない。国内にばかり目を奪われて、国際的な責任や役割と行った観点はどこか遠くに追いやられているように見える。
 今年10月からは、環境税が導入される。石油石炭税に上乗せ課税されるのだが、化石燃料の高止まりが続く中で税による消費抑制効果を期待する声はほとんど聞かれない。それならば、目的税化して、税収は温暖化対策に使途を限定し、例えば、再生可能エネルギーの固定価格買取制度で電気料金上乗せされている賦課金の減額に充てるというのはどうか。
 今年度の賦課金の額は1kWh当たり0.22円。電力消費量の多い業務用や産業用の負担は見かけよりも重いといわれる。賦課金の額は毎年度の新設分が加わるため、当分の間負担は増していくことになる。
 再生可能エネルギーが増えれば、火力発電の運転を抑えることができる。現在の系統運用では最終的な電力の安定供給は火力発電で調整されているからである。だから再生可能エネルギーの発電量が増えることは火力発電の運転量が減り、ひいては化石燃料の使用量の削減=CO2排出量の抑制に結びつくことになり、賦課金の負担を減らすことで、再生可能エネルギー拡大に対する経済的な意味での抵抗感を和らげることができる。
 環境税の税収を、温暖化対策の観点から再生可能エネルギー買い取り費用の回収を目的とした賦課金の削減や解消に充てるということは、案外的を射た環境税の使い道だといえるのではないか。