2012年95日号

環境省が再可エネ拡大のイニシアティブを公表 洋上風力、地熱など4分野に注力
 環境省は、再生可能エネルギーの拡大に向け、来年度の概算要求などに盛り込む具体的な取り組みをまとめた「「グリーン成長の実現」と「再生可能エネルギーの飛躍的導入」に向けたイニシアティブ」を公表した。
 太陽光などに比べ開発が遅れ、普及拡大に向けて政策的な支援や対策が必要な「洋上風力発電」「地熱発電」「バイオマス発電」「海洋エネルギー」の4分野に政策や予算を集中させ2030年には4分野合計で約2千万kWの導入を目指すという意欲的な内容となっている。
 4分野については、2020年までを技術開発やモデル実証事業などを通じた実用化に向けた助走期間として位置づけ、2020年以降の「加速的導入の起爆剤」として政策や予算を集中させるシナリオを描いている。
 洋上風力については、着床式は将来的な立地制約が顕在化することが避けられないとして、日本向けとされる浮体式設備の商用化に注力し、2020年までに実証段階から商用段階へのステージアップを実現して、2030年には約800万kWの導入量を実現する。浮体式については来年度から2MWの商用スケールでの実証開始が予定されており、国主導の実証事業を通じて2015年以降の商用化を目指す。また建設期間の短縮のため、現在3年程度必要とされる環境アセス期間を半分程度に短縮することなど、規制精度面でも普及に向けた制度改革を行う。
 地熱発電については、自然環境保全や温泉事業者等との円滑な調整が必要であり、こうした開発リスクの軽減を図るための専門的・技術的なノウハウを蓄積する必要があり、優良モデルの形成などを通じて技術的蓄積や社会環境整備を行い、2030年までに約400万kWと、導入量の飛躍的拡大を目指す。
 バイオマス発電については、資源の高コスト構造や供給の不安定性、また、収集・運搬システムの未整備等の問題が普及拡大の阻害要因になっているとして、公共廃棄物処理施設の設備更新に合わせた高効率発電設備の導入や、各種バイオマス資源を活用したモデル事業を推進し、2030年には約600万kWの導入量を目指す。
 海洋エネルギーについては、未だ発電技術が確立していないとして、波力発電や潮力発電を念頭に有力な海洋エネルギー利用技術の洗い出しから始めて、2030年には150万kW程度の導入量を目指す。


経産省、自家発導入補助を再開 冬期の電力対策に北海道で先行実施
 経済産業省は、北海道で自家発電設備を新増設する事業者向けの補助事業を全国に先駆けて前倒しして実施する。北海道電力管内では、原子力発電所の再稼動時期が不透明なこともあり、今冬の電力供給を確保する取り組みの一環として自家発電設備やコージェネレーションシステムによる電力の自給力を増加させ、ピーク時の系統電力の負担を軽減するのに役立てる。
 設備の新増設のほか、増出力、休止・廃止設備の再稼動に対して導入費用や燃料費の一部を補助する。また、系統に一定時間以上、合計500kW以上の電力を供給できる設備についても同様に補助する。補助対象となるのは、燃料費、設備工事費。対象設備はガスタービン、ガスエンジン発電設備、ディーゼル発電設備、副生ガス・工業プロセス利用の汽力発電設備、コージェネレーションなど。補助率は大企業が3分の1、中小企業が2分の1。補助対象期間は12月3日から3月29日まで。
 募集するのは、2012年度の自家発電設備導入促進事業補助金で、3次補正予算の繰り越し分の3次公募として全国に先駆けて北海道地区に限定して先行募集する。応募は10月12日まで受け付ける。
 2次公募からの主な改正点は、補助対象設備の規模を100kWから20kWまで大幅に引き下げ、小規模な自家発電設備も補助対象に加えたこと。また稼働時間についても時間帯用件をなくし自家発電設備であれば稼働時間にかかわらず補助対象とした。また、補助率についても農協や漁協などの中小組合等が申請者となる場合は中小企業者として取り扱うこととし、補助率を2分の1に引き上げることにした。


太陽光発電、国内出荷は72.2%増 輸入品が急増
 太陽光発電協会は、2012年度第1四半期(4月−6月)の太陽電池のセル・モジュールの出荷状況を発表した。国内で製造・販売または出荷実績のある32社を対象に調査した。
 期間中の国内向けと輸出を合わせた総出荷量は、前年同期比12.0%減の61万323kWとなり、輸出の大幅減を国内の増加分では補いきれなかった。
 輸出は、16万8234kWに止まり、前年同期比61.7%減。欧州向け、北米向け、その他の新興国向けでも大幅な落ち込みを見せており、特に欧州向けは71.6%減と大幅な落ち込みぶりを示しているのが目立っている。
 一方、国内市場は固定価格買い取り制度の拡大で大幅に出荷量が拡大しており、72.2%増の44万5289kW。年間では200万kWが視野に入っている。特に増加が目立っているのは輸入のセル・モジュールで、輸入品のシェアは前年同期の15.5%からほぼ倍増の29.6%となり、国内出荷の3分の1近くを価格の安い輸入品が占めるようになっている。国内向け出荷量の増加分の内の約半分は輸入品となっており、最近のメガソーラーによる輸入品の採用事例などを考えると、国内生産の太陽光パネルと輸入パネルの出荷量が逆転するのもそう遠くない時期と予想できる。
 国内出荷量を用途別に見ると、主要出荷先の住宅用は70.7%増の38万3329kWと引き続き大幅に市場が拡大している。また、7月から新たに買い取り対象に加えられるメガソーラーなどの発電事業用は、ほぼ4倍増の2万9838kWとなり、市場が急拡大している様子がうかがえる。メガソーラーの建設計画は7月以降も加速度的に増加しており、年度内いっぱい更なる拡大が予想できる。住宅用、発電事業用以外の用途では目立った出荷量の拡大は見られていない。


電力システム改革重点に 経産省25年度の重点施策
 エネルギー政策を中心地する来年度の経済産業省の重点施策は、新たなエネルギーミックスの実現と資源・燃料の戦略的確保として再生可能エネルギーと分散型システムの拡大策に重点的・総合的に取り組む方針を打ち出している。原子力発電事故からの再生とエネルギー・環境政策の再設計を重点課題として、電力市場の完全自由化と発送電分離を目指す電力システム改革の達成に向け電気事業法の改正も視野に、新たなエネルギー需給構造の構築が目指される。
 具体的には、@当面の電力需給の安定化策として自家発電設備の導入促進や省エネ設備導入支援、既築住宅の省エネ改修A省エネによる1次エネルギーの削減効果による需給の安定化B新たなエネルギー需給構造の構築を目指して、価格メカニズムを活用した省エネ対策、固定価格買い取り制度による再生可能エネルギーの拡大C洋上風力蓄電池、地熱等の次世代型システムの技術開発の加速化、化石燃料の高度利用などの推進が目指される。
 また、化石燃料の低炭素化や効率利用という高度利用を進めるため、天然ガスパイプラインの整備に向けて基本方針を作成し具体的な取り組みも開始する。
 さらに、将来的な水素社会の実現に向けて水素ステーションの整備や燃料電池自動車、また燃料電池システムの普及拡大も取りあげられている。
 税制改正でも、再生可能エネルギーやコージェネの導入拡大、省エネの抜本強化を重点課題として掲げ@グリーン投資減税の対象設備等の拡充A住宅の省エネ改修等を促進するための所得減税制度Bコージェネに対する固定資産税の課税標準の特例の創設Cバイオ由来燃料(バイオエタノール、BDF)の導入のための免税措置の延長・新設など。また、国内の石油製品の流通機能を維持するため、石油石炭税の還付制度についても創設を要望している。


その他の主な記事
・ユーラスが日本風力から江差風力を買収
・日本アジアグループが北九州市で2MWのメガソーラー
・東京発電、箱根の小水力を再開
・日揮が大分でメガソーラー事業 日産から土地賃貸
・ソフトバンクの京都ソーラーパークが2期目のメガソーラーを建設
・三井物産とソフトバンクが共同でメガソーラー事業
・INPEXが新潟にメガソーラー
・応用電機がメガソーラーを自社工場に設置
・神戸物産がメガソーラー事業に参入
・水素利用技術で共同研究会が発足
・省エネ対象地区発表大会
・NEDOが四国で技術フォーラム
・北海道で環境セミナー
・大阪の新エネフォーラムが開催中止に
・PVJAPAN、12月に開催
・地熱開発の補助執行団体を募集
・住宅建築物の省CO2先導モデルを募集  etc.

<インタビュー>
・BEMSアグリゲーター
(三井情報GEM事業部 GEM企画室 室長 戸澤昌典氏)
 節電というと、どうしてもピーク時の空調温度の制御などが有効な手段となってしまいがち。だが、これは決して快適な節電とはいえない。我慢の節電だ。三井情報では快適な節電・省エネを提供することで、他社と差別化を図ろうとしている。とりわけ商業施設の場合、客が不快に感じないようなにすることが節電・省エネの要件になる。BEMSアグリゲーター事業の展開にあたってどのような思いなのか、三井情報GEM企画室の戸澤室長にお話を聞いた。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(34)マクロの1次エネルギー係数=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・電力全面自由化時代(その4)
 =電力制度改革に全体最適を=
 山田光/スプリント・キャピタル・ジャパン代表



コラム
・発電論評<買い取り制度で活性化するメガソーラー>
・プリズム<浜岡原発が一番安全?>
・青空<ロンドンパラリンピックが終盤に入った>
・ちょっと一休<ハーフ40台で2日間回る>


買い取り制度で活性化するメガソーラー【発電論評】

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が開始されて2カ月。事業性が担保される買い取り価格が提示されたことで、各地で売電事業に向けた取り組みが本格化してきている。特に、メガソーラーと称される大規模太陽光発電への事業参入の動きが活発だ。
 自社工場や事業所の遊休地や建物の屋根などに設置して売電事業にするのだ。最近では、屋根や遊休地を借りて事業化する試みも増えてきている。いわゆる屋根貸し型の太陽光発電事業だが、小規模のものをアグリゲーとして大規模化するという例も試みられようとしている。事業者による屋根借り型の発電事業は、発電設備の工事やメンテナンスに事業者の適切な管理が加えられるという意味で、歓迎できる。小規模なものでもスマート技術でアグリゲーとすれば、立地が分散化されていればいるほど安定した発電出力が得られやすく事業の安定性も増す。屋根を貸す方は新たな賃料収入が入る。
 自治体などが、工業団地の遊休地や廃棄物処理場の跡地などを建設候補地としてメガソーラー事業者を誘致する例も活発化している。太陽光は、自家発型から、借地で発電事業を行う事業型へと転換が進んでいるが、一方で、コストに厳しい事業用設備は価格の安い輸入パネルの採用が急増中で、新たな成長産業に育てるという政府の戦略には早くも黄色信号が点っている。
 太陽光に限らず、地熱やバイオマス発電にも動きがある。バイオマス発電でも廃棄物処理場などは、昔から発電を行っているところが結構あるが、買い取り価格で売電した方が事業性があるというので見直しや更新の動きも出てきているという。また、下水処理場でも汚泥をメタン発酵させるバイオガス発電による売電事業を検討するところも見られる。従来は、発電するのは難しかった小規模の処理場でも検討する自治体が増えているという。
 買い取り価格は毎年見直しが行われる。太陽光以外は、事業の計画から実際に設備を建設導入して発電するまでには、数年間の時間が掛かる。その点、太陽光発電は手軽なこともあり、現在の買い取り価格が維持される今年度内に建設・稼働開始することを狙って駆け込み需要のような勢いがある。
 現在の買い取り価格でみると、多くの電源は10年以内にイニシャルコストの回収が行えるレベルに設定されている。イニシャルコストの回収を行った後は風力にしても、太陽光にしても下水汚泥のメタンガスにしても無料の国産燃料(エネルギー)がで発電できることになり、極めて安価な発電が実現できることになる。固定価格買い取り制度によって、20年後には、低コストの発電所が数多く稼働しているということになるのではないか。