2012年825

2011年度常用自家発導入量は45%増 電力不足で病院や工場に
 日本内燃力発電設備協会(吉田藤夫会長)は、2011年度の常用自家発電設備の国内設置状況の調査結果をまとめた。2011年度に新たに設置されたディーゼル発電やガスタービン、ガスエンジン発電設備について、出荷納入した事業者を対象にアンケート調査した結果を取りまとめた。電力事業用設備や防災用など非常用専用設備、家庭用の燃料電池やコージェネレーションシステムについては調査の対象には含まれていない。
 2011年度に設置された国内向けの常用自家発電設備は、8万5232.5kW、前年度に比べ45.0%増となり、調査開始以来最低だった昨年の導入量から大幅に増加した。常用自家発電設備は、燃料費の高騰によりほぼ市場性を失った形で最近の5年以上にわたって導入量が減少し続けていたが、東日本大震災による電力不足を背景に、電力自給力の向上などを目的にした自家発電の拡大が奨励されたことなどから、工場などで導入が拡大したことが調査結果に現れている。しかしながら、導入量そのものは8万2千kW余りに止まっており、本格的な市場回復に結びつくのかどうかの判断は難しい。
 現在政府が進めている電力制度改革の中では、分散型電源の供給力の拡大に期待し、市場を通じて活用していく方向が示されており、今後、常用自家発電から電力供給用の分散型電源へと、どのような形で転換を図っていくのか、設備の供給者として業界の対策も求められてきているといえそうだ。


川崎重工、発電容量11万kWのガスエンジン発電所を日本テクノに納入
 川崎重工は、発電容量11万kWのガスエンジン発電所を、新電力である日本テクノの「日本テクノ袖ヶ浦グリーンパワー」(千葉県袖ヶ浦市)に納入した。7800kWのガスエンジン発電設備14台で構成される発電所で、ガスエンジンは、世界最高の発電効率となる49%の高効率タイプの「カワサキグリーンガスエンジン」が採用されている。川崎重工が、発電所の設計、発電機器の供給および据付、土木建築からなる建設工事一式を担当し、受注後10カ月以内の短納期での納入を実現した。
 新電力などの事業用としてガスエンジン発電所が採用されるのは余り例がないが、優れた発電効率・環境性能に加えて、複数台の並列運転で機動的・かつ効率的負荷追従型の発電所の運用が行えることや、10分間で最大負荷に到達する高い起動性に加え、毎日起動停止を行うDSS運転のし易さなどが高く評価されたものと川崎重工では考えている。電力の安定供給のため、中小規模発電所や自家発電設備などの分散型電源に対するニーズが一層高まっているが、自家発型の分散型電源に加え、数万から十数万kW程度の事業用火力発電所の用途でも、今後高効率のガスエンジン発電が拡大していくことになる、その先駆的な事例として注目される。


JX日鉱日石エネルギー、来年1月から仙台製油所でメガソーラー発電事業
 JX日鉱日石エネルギーは、仙台製油所と下松事業所(山口県)で、メガソーラー発電事業を開始すると発表した。固定価格買い取り制度の開始によって国内のメガソーラー事業への参入が相次いでおり、JXも事業所の遊休地を活用する形でメガソーラー事業に参入する。
 仙台製油所では、製油所内の1.8万平方mの土地に1000kWのメガソーラーを建設し、来年1月から運転を開始する。下松事業所では、2.7万平方mの土地に、1750kWのメガソーラーを建設する。運転開始は3月を予定している。
 JXは、これまでも室蘭製油所に5万kW、横浜製造所に5万kW、根岸製油所に34万kWなど、国内6カ所の事業所に火力発電所を建設し、電力の卸売り事業を行っている。また、川崎天然ガス発電など6カ所でも電力事業用(新電力)の発電所を建設し小売り事業にも参入している。このうち、川崎地区では風力発電やバイオマス発電にも取り組んでおり、今後は、自社遊休地を活用したメガソーラー事業など固定価格買い取り制度を活用する再生可能エネルギー発電事業にも積極的に取り組んでいく。


日本生協連、物流施設7センターの屋根に太陽光パネルを設置
 日本生活協同組合連合会は、再生可能エネルギー普及に向けて積極的に太陽光発電に取り組むこととし、設置可能な7つの物流センターの屋根に太陽光パネルを設置し、固定価格買い取り制度を活用した太陽光発電を本格的に展開すると発表した。
 太陽光発電を導入する物流センターは、尾道市、野田市、小野市、鳥栖市、福岡県篠栗町にある合計7つの物流センターで、それぞれの施設の屋根に設置可能な350kWから1067.5kW、合計4012kWの太陽光発電を設置することにした。このうち、尾道の冷凍流通センターの613kWの設備はすでに5月に設置工事が完了し、現在は稼働に向けた準備中。最大の設備は篠栗町の冷蔵流通センターの屋根上に設置するもので、発電規模は1067.5kWと唯一のメガソーラーが導入される。7施設合計の年間発電量は410万4429kWhが見込まれており、年間173万6137tのCO2削減量を見込んでいる。来年3月までには7施設全ての設備が発電を開始する。


その他の主な記事
・サイサンがメガソーラー事業
・大阪ガス、エネファームの販売台数が1万台を突破
・iパッドで太陽光のシミュレーション
・NECのリチウム電池が補助金対象に
・IHIが米国でバイオマス発電事業に参入
・伊藤忠テクノ、風力と太陽光の支援サービスを開始
・東芝レアアースを使用しないモーターを開発
・ソーラーフロンティアが信頼性保証でJET認証を取得
・足利市スマートグリッド見える化事業を受託
・都市環境エネ協会が発表会
・自然エネ財団シンポ
・屋根貸し太陽光でセミナー
・9月にスマートプロダクツ展
・水素製造にも燃料電池、NEDOが委託先を募集  etc.





シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(25)
 =再可エネにも日本の「巧み」の技術 =
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・日本を変えるスマート革命(13)
 =日本の電力網を転換する「プランB」その2=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから
・インタビュー
 =BEMSアグリゲーターとエネルギーサービス=
 (NTTデータカスタマサービス 営業統括本部 副本部長 矢田伸一氏)
BEMSアグリゲーター事業は、基本的にインターネットのクラウドサービスを活用して事業展開する。その点ではデータ通信事業者に優位性がある。NTTデータグループはその優位性を活かして、コンソーシアムを組織してエネルギーサービス事業に参入した。今回は、コンソーシアムの幹事会社としてBEMSによる省エネ・サービス事業を展開するNTTデータカスタマサービスの矢田氏に、BEMSによって何が実現できるのか。事業化の狙いや事業展開の方向などについて話を伺った



コラム
・発電論評<買い取り制度開始1カ月 設備の8割は太陽光>
・青空<残暑に田舎の老義父母を想う>
・ちょっと一休み<朝日生命の広報室長が講談師>
・一筆啓上<まま子扱いの輸出政策>


買い取り制度開始1カ月 設備の8割は太陽光【発電論評】

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が開始されて2カ月が経とうとしている。経済産業省は、制度開始後1カ月となる7月末現在の再生可能エネルギー電源の認定状況の集計結果を公表した。
 各地方経済産業局が認定した設備の状況を取りまとめたもので、認定した設備容量は56万4千kWとなり、初年度の見込み量である250万kWの約20%に達した。
 電源毎の内訳は家庭用の太陽光(10kW未満)が14万3933kW、発電事業用太陽光(10kW以上)が30万705kW。そのうち1000kW以上のメガソーラーは24万3102kWと80%以上を占めている。10kW未満の太陽光の件数は3万2659件で、そのうち993件は家庭用燃料電池などの自家発併設型。買い取り価格が低く抑えれれている自家発併設型は3%程度に止まっている。
 10kW以上の太陽光は1027件でそのうち81件がメガソーラー。メガソーラーの建設地区は、北海道が18件・6万2407kW、関東が26件・4万6506kW、近畿が4件・7245kW、中国が12件・1万7445kW、四国が3件・4299kW、九州が18件・10万5200kWで、風力の連系制約がある北海道と九州地区ではメガソーラーの導入も積極的に進められている。東北と中部、沖縄ではメガソーラーの認定はまだない。
 太陽光以外の再生可能エネルギーは風力が、12万2千kW、中小水力の214kWがあるだけで、買い取り制度はメガソーラーが中心に展開されている様子が浮き彫りになった。買い取り価格や期間を決める委員会の発足が遅れ直前まで価格や期間の決定がずれ込んでしまったため、計画から建設までに時間が必要な太陽光以外の電源では事業参入する準備期間が短すぎたといわれている。当分の間は、メガソーラー中心に参入者が拡大していくものと見られる。
 最近のメガソーラーの動きを見ると、企業などが自社の工場や事業場の遊休地を活用して建設する「自家発売電型」のものから、土地を借り上げて売電事業目的でメガソーラーを建設する「屋根借り・土地借り型」のスタイルへと事業モデルの主流が移りつつあるように見える。電力事業に対する知識の乏しい土地や施設の所有者に変わって、発電事業会社を設立して借地にメガソーラーを建設し20年間の期間限定事業として発電事業に参入するというものだ。
 メガソーラーの建設は、8月以降も新たな参入計画の発表が相次いでいる。買い取り価格は毎年度見直されることもあって、年度内の参入を目指しているのだ。この勢いで行くと、初年度の再生可能エネルギーの導入目標である250万kWをメガソーラーだけで達成してしまいそうだ。