2012.08.15


2012年815日号

バイオマス事業化戦力で報告書 目標達成へロードマップ
 バイオマスの新たな利活用に向けて農林水産省など関係5省が設置している「バイオマス事業化戦略検討チーム」は、バイオマス資源の新たなエネルギー利用の事業化に向け、必要な課題について整理しロードマップ化した「バイオマス事業化戦略案」の取りまとめを行った。戦略案は今月下旬に予定されている「バイオマス活用推進会議」に報告される。
 2020年を目標に、約2600万トンのCO2をバイオマスをエネルギー利用することによって削減し、約5千億円規模の新産業の創出を盛り込んで策定された「バイオマス活用基本計画」(2010年12月閣議決定)を受け、実現に向けた技術開発戦略として示されるもの。開発した技術を活用して事業化するまでをフォローし、新たな産業として育成することを目指している。
 戦略の基本的な考え方は、@種別毎に、コストの低減と安定供給、持続可能な事業化を進めるA官民連携により、原料生産から収集・運搬、製造・利用までの一貫システムを構築するB地域産業の創出と自立・分散型エネルギー供給体制の強化を実現するC投資家や企業の参入を促す政策の枠組みを提示する−ことを掲げており、技術開発を進めて利用技術を実用化するだけでなく、製造したバイオマスエネルギー製品を利活用する事業の創出までも視野に入れていることが目新しい視点。
 発電用には、ガス化や木質燃料の活用を重点的に進め、固定価格買い取り制度を活用することによって事業化を促し、バイオマス燃料の発電利用を積極的に推進していく。また、CO2クレジットを活用し、燃料の低炭素化や低コスト化に結び付けていく。


浮体式洋上風力を建基法の適用除外に
 国土交通省は、浮体式の洋上風力発電設備について、建築基準法の適用除外とする告示の改正を7月31日付で行った。昨年11月にエネルギー・環境会議がまとめた「政府のエネルギー規制・制度改革アクションプラン」で、今後、有望な再生可能エネルギー施設として大幅な導入拡大が目指されている洋上風力発電について、建築基準法、電気事業法、その他の関係法令に対して規制緩和措置を検討し、結論を得られたものから逐次実施していく方針が示されていた。建築基準法の規制は撤廃されたことになるが、洋上風力発電の安全規制については、船舶や海洋構造物の安全規制の観点から、今年4月に「浮体式洋上風力発電施設技術基準」が制定されている。また、漁業などとの海域利用の調整を円滑に進めるための仕組みとして6月には「港湾における風力発電導入マニュアル」が策定され、洋上風力発電導入拡大に向けた環境整備が進められている。

京セラとTCL 年度内に国内15〜20カ所にメガソーラー
 東京センチュリーリース(TCL)と京セラは、両社の共同出資による特別目的会社(SPC)を設立して、太陽光発電による売電事業を共同で実施することで合意した。
 出力2千kW未満程度のメガソーラーを国内各地に建設して、売電事業を実施していく。TCL側が発電設備に対するリース・ファイナンスを提供し、京セラグループが、候補地を探し、太陽電池パネルの製造、周辺機器の提供、建設、保守・維持管理等も担当する。SPCの出資比率は、TCL側が81%、京セラ側が19%。
 既に大分県、香川県、福岡県、山口県の各地で合計9件、約1万6千kWの事業化が内定しており、今年度中には15〜20カ所に合計3万〜3万5千kW程度のメガソーラー発電所を建設する。さらに、今後3年間には、合計6万〜7万kWのメガソーラー発電所の建設を目指している。


NHK、大規模送信所にメガソーラーを導入 放送用電力を低炭素化
 NHKは、菖蒲久喜ラジオ放送所(埼玉県)に建設を進めていた2000kWのメガソーラーが完成したと発表した。放送用電力の省エネ・省CO2対策の一環として建設を進めていたもので、日中の最大発電時には、日本最大級の送信能力を持つ同放送所で使用する電力の全てが賄える規模のメガソーラーとして建設した。設置面積は約3万平方mで、年間約200万kWhの発電量を見込んでいる。年間のCO2削減量も、約1100トンが見込まれている。

その他の主な記事
・北海道電力の風力連系募集1カ月で枠超え
・エネミックス選択肢、パブコメ8万件超
・バイオマス活用のエネルギー事業化モデル例
・カーボンニュートラル制度を創設
・相模原市がメガソーラー事業者を募集
・石油資源開発 北海道で原油産出
・次世代エネルギーパークを募集
・京都府が庁舎にEMSを導入して節電
・国交省、住宅ゼロエネ化推進事業の補助先を決定
・エネ研がLNGフォーラム
・TOTOが節水シャワーでCO2削減
・大阪ガスが事業所をスマートビルに改修
・大阪ガスと積水ハウスがスマートハウスの効果を実証
・三菱電機、東京メトロ駅に回生電力装置
・東武鉄道も回生電力装置
・住友商事 米国のシェールオイルガス開発に参画
・日立システムズが太陽光発電を遠隔監視
・NHK、大規模送信所にメガソーラー
・NTTF、仙台のモデルタウンにEMSを構築
・GSユアサ、自然エネルギー活用の蓄電システムを販売
・伊藤忠商事、大規模蓄電池を販売
・日中省エネフォーラム
・国交省、住宅ゼロエネ化推進事業の補助先を決定
・12月にバイオマスアジアWKS
・環境省、温泉発電で2次公募   etc.

<インタビュー>
・BEMSアグリゲータとエネルギーサービス
(日本ユニシス 公共サービス事業部 次世代ビジネス部 第2グループマネージャー 家内 智氏 セールススペシャリスト 松尾尚志 氏)
 BEMSアグリゲーター事業に参入している企業の業種は極めて多様だ。電機メーカーは当然のこととして、IT事業者からの参入者も少なくない。計測したエネルギー消費データをクラウドで集約、「見える化」し、あるいは制御していく技術は、マネジメントシステムの技術と実績が活用できる分野だ。日本ユニシスもそういった企業の一つである。同社は大和ハウス工業とコンソーシアムを構成し、BEMSアグリゲーター事業を開始した。



燃料電池新聞の主な記事
・世界の燃料電池(バックアップ燃料電池)
・カリフォルニア燃料電池パートナーシップ
・海外ニュース
 -独SFC Energy、Volkswagenの商用車向けに242台の携帯型燃料電池を受注
 -仏Air Liquide、2015年までに10カ所の水素ステーション建設を表明
 -米ReliOn、グリッド代替の補助電源市場に進出
 -米FuelCell Energyの独子会社FuelCell Energy Solutions、正式に発足
 -英ITM Powerなど8社、家庭用燃料電池向けの低コスト水素製造装置を共同開発
 -デンマークECOmove、燃料電池レンジエクステンダー方式のEV「QBEAK」を開発
 -米オバマ大統領、燃料電池技術の支援に方向転換か?
 -ドイツ、2015年までに4千万ユーロを投じて水素ステーションを建設
 -ロンドンの燃料電池バス、1千回の水素充填回数を達成
 -米BoeingとAmerican Airlines、燃料電池APUなどの新技術を実証
 -中国政府、「省エネ・新エネ車産業発展計画(2012−2020年)」を発表
 -米Mercedes-Benz、米Plug Powerの「GenDrive」72台を購入
 -米DOE、水素ステーションのパフォーマンスデータの収集と分析を実施するプロジェクトを実施
 -英ITM PowerのMEA、燃料電池コストで35ドル/kWを達成できる見通しを示唆
 -ロンドンオリンピック期間中、5台の燃料電池タクシーがVIPを送迎
 -シンガポールHorizon、マイクロ燃料電池の小売販売開始。販売価格は99ドル
 -カナダBallard、米IdaTechを770万ドル(約6億円)で買収
 -独フラウンホーファー研究所、燃料電池人力車を開発
 -米ReliOn、高負荷対応のバックアップ電源「E-1000x」と「E-2200x」をシリーズ化
 -米Pike Research、燃料電池部材市場が2017年に22億ドルに拡大と予測
・燃料電池フラッシュニュース
 -JX、既存のガスリンスタンドの1〜2割に水素ステーション併設可能
 -フジクラと米ボーイング、DMFCを飛行機の客室照明や厨房用電源とする運用試験を実施
 -住友電工、容量5千kWhの蓄発電システムの実証運転を開始
 -岩谷産業と東邦ガス、豊田市に水素ステーションを建設
 -経済産業省、水素ステーションの設置規制を緩和
 -キッツ、水素ステーション用高圧ボールバルブを世界で初めて製品化
 -経産省、蓄電池戦略を策定。水素ステーションを2015年までに100カ所先行整備
 -東邦ガス、賃貸集合住宅でスマートハウスの実証実験
 -JX日鉱日石エネルギー、ドイツで家庭用SOFC燃料電池のテストラボを開所
 -東京工業大学など、SOFCの酸素イオンの通り道を観察する技術を開発
 -東芝燃料電池システム、自立運転機能付き家庭用燃料電池「エネファーム」の出荷開始
 -BMWグループとトヨタ、協力関係強化で合意
 -山万、千葉県で開発中の大規模分譲地で「エネファーム」搭載のスマートハウス2千戸を整備
 -ダイニチ工業、SOFC燃料電池の受託生産が好調    etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(69)
 =分散型エネルギーの推進=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(48)<出口が見えたドイツの太陽光買い取り制度>

・新刊紹介
 『「東京電力」研究 排除の系譜』
 斎藤貴男著 講談社 1900円(税別)

・キーパーソン
 「環境エネ分野への投資と金融政策で景気回復を」
 民主党衆議院議員 円高・欧州危機等対応研究会会長 小沢鋭仁氏



コラム
・発電論評<地産地消型の電力ネットワーク>
・青空<掲示板と政界の言語不明>
・ちょっと一休<島崎さんのささやかな出版記念>
・ちょっと一言<未完成品としてのHEMS>


地産地消型の電力ネットワーク【発電論評】

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が開始されて、1カ月が過ぎた。メガs-らー売電事業を中心に新規参入が目白押しだ。太陽光以外の電源については、導入までに太陽光のような即効性に欠けるところから、まだそれほど大きな動きは顕在化していないが、制度開始後3年間の買い取り優遇期間内を目標に、地熱開発や風力開発、バイオマスなど各種電源の建設計画が活発化することが予想されている。
 固定価格買い取り制度の影響は極めて大きい。電力の購入価格と期間が保証され20年間にわたって、ほぼ確実な売り上げが計算できるためだ。
 再生可能エネルギーについては、さらに、CO2を削減し、地球温暖化問題に貢献できるということも参入を後押しする要因の一つ。さらに、エネルギー自給率の向上にも寄与でき、火力発電の一部を代替することで、資源輸入問題の軽減にもつなげられるということもアピール点だ。
 しかしながら、再生可能エネルギーの拡大に向けての課題は、系統安定化の問題があるといわれる。はたしてそうなのか。
 現在の固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギーによる発電電力の全量を系統に受け入れることを前提としている。系統に接続されない自家発型の電源は買い取り対象にはならないのだ。系統に接続される太陽光や風力などの出力の不安定な電源が増えれば増えるほど、系統の負担が増え調整力の限界が来る。すでに東北や北海道など風力連系に制約がある地区もあり、さらに拡大する再生可能エネルギー電源にどのように対応していくのかが問われることになる。
 節電や省エネの取り組みが拡大する中で、日本の電力需要はさらに減少し続ける。それにより系統電源が脆弱化することになれば、調整力も弱まり、さらに再生可能エネルギーの導入が抑制されるという悪循環に陥ってしまうことになりかねない。そう考えると、連系しない、あるいは、あらかじめ出力調整をした上で連系することを考える必要がある。
 その解決策の一つとして、地産地消型の地域ネットワークがある。コージェネなどの分散型電源と再生可能エネルギーを組み合わせて、限られた地域の中でネットワークを構築し、それを既存の電力ネットワークと連系することで双方向型の安定したネットワークの形成を実現するという考え方だ。
 既存の電力系統を生かしながら、再生可能エネルギーを無駄なく効率的に利用できるようにするためにも、系統制約を軽減し、効率的で低炭素な電力の利用が実現できる、地産地消型の地域分散型ネットワークの形成を真剣に考えてみる必要がありそうだ。