2012年85日号

コージェネ普及へ支援体制を強化
 経済産業省は、コージェネレーションシステムの抜本的な普及拡大策についての取り組みを本格化させる。エネルギー基本計画の見直しを進めている総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会が7月30日の会合で、省内にコージェネ推進のための専門組織を置くことや、コージェネ拡大の障害となっている課題や規制措置などについて議論した。原子力発電の導入比率に拘わらず2030年の時点で供給電力の15%を担うことを目標に、具体的な拡大策について検討する。
 委員会では、コージェネの位置づけについて、エネルギー効率が高く、高い省エネ・省CO2性があり、火力発電の一部を代替することで効果を上げられること、分散型電源であり、供給力のセキュリティが高いこと、熱需要地に近接して導入することで高いエネルギー効率が得られることなどをあげ、更に、デマンドサイドでの再生可能エネルギーの調整電源としての役割も期待して、具体的な拡大策が検討される。燃料価格の低減や、発電コストに見合った売電の実現、また、導入初期費用低減のための補助支援策などを具体的な検討課題として取り上げる。


エネ庁にコージェネ推進室 ワンストップで導入支援
 経済産業省は、コージェネレーションシステムを今後の電力・エネルギーシステムの中で有効的に活用していくため、電力と熱利用の両面から総合的な施策を講ずる必要があるとして、8月1日付けで資源エネルギー庁に「コジェネ推進室」を設置した。推進室は、電力・ガス事業部の政策課内に置かれ、コージェネレーションシステムの導入促進のための施策の企画・立案を行うと共に、コージェネ導入に関する総合的な窓口としてワンストップサービスを提供することを目的にコージェネ支援の立場から必要な施策を行っていく。正式名称は「熱電併給推進室」。
 従来、コージェネについては、ガス事業政策の中で取り扱われていたが、分散型の主要な電源システムとして位置づけ、導入促進策を講ずる必要があるとの観点から、電力・ガス事業部の政策課に置くことにした。コージェネの設置者や、設置を考えている事業者などが抱える課題を個別に解決し、システムの導入に向けて必要なサポートを行っていく。
 また、各地区の経済産業局にもコージェネの担当窓口を設置して、地方での案件発掘を行う。


東北電力など、大規模太陽光発電事業の「東北ソーラーパワー」を設立
 東北電力は、関係会社のユアテックと共同出資して、大規模太陽光発電事業を専門的に行う新会社「東北ソーラーパワー」を設立する。東北電力は、電力業界全体で2020年までに14万kWの太陽光発電の建設目標を発表しているなかで、1万kW程度の事業用太陽光発電の建設を行うことにしているが、固定価格買い取り制度の導入によって、電力会社との資本関係のあるグループ会社でも、売電事業が認められることになったため、事業会社を設立して、固定価格買い取り制度に基づく売電事業として取り組むことにした。
 新会社は、東北電力が70%を出資して資本金5億円で設立する。社員数は6名程度を置く予定。新会社が、実際に太陽光発電所を建設し運営する発電事業会社を地元の自治体などと共同で設立して発電事業を行い、その発電事業会社からの電力を集約して、固定価格買い取り制度によって東北電力に売電する「太陽光発電による卸電力供給事業」を行う。
 自治体などとの連携を深め、地域で導入する太陽光発電事業として展開していきたい考えで、発電事業による利益の一部は、地元に還元することも考えている。


パナソニック、人工光合成システムを開発 CO2を資源に変える
 パナソニックは、太陽光によって水とCO2から有機物を作る、人工光合成システムを開発したと発表した。植物の光合成と同等レベルの変換効率で、太陽光のエネルギーだけで水とCO2から有機物が生成できる。処理の難しいCO2を化学製品の原料に変えるだけでなく、画期的な地球温暖化対策技術として注目される。
 太陽光を照射する光電極に窒化物の半導体を使用し、有機物を生成する電極に金属触媒を使用することで、0.2%の高効率でギ酸を種生成物とする有機物が生成する。生成する有機物の量は投下される太陽光の量と比例して増加させることができる。0.2%という変換効率は、植物による光合成の変換効率と同程度であり、植物に代わって、これまで不要なものとして排出されていたCO2を有用な有機物に生まれ変わらせることができる。


JA全農と三菱商事、JAグループ関連施設で太陽光発電事業を推進
 全国農業協同組合連合会(JA全農)と三菱商事は、再生可能エネルギーの全量買取制度を活用して、太陽光発電事業を共同で推進していくことで合意した。JA関連の大型畜舎等の農業施設や選果場、物流関連施設、食品・飲料工場などの屋根に太陽光パネルを設置して、いわゆる「屋根貸し型」の発電事業を中心に、全国的に展開する。
北海道から沖縄まで全都道府県の農業者・JAグループ関連施設を対象として、合計20万kWの太陽光発電システムを、2014年度末までに導入する。設置先は400〜600か所、1か所あたり3000〜5000平方mで、合計面積は東京ドーム約43個分程度となる見込み。年間の発電量は2億1000万kWhを想定している。総事業費は約600億円を見込んでいる。


その他の主な記事
・エネ基本計画で重点施策を検討
・東ガス、GHPの省エネ運転サービス
・住友電工、MW級の創エネ蓄発電システムを実証
・デンソーがHEMS連携EV電力供給システムを開発
・京セラ、鹿児島の7万kWのメガソーラーの事業会社を設立
・三菱自動車、EV4台で本社機能を3日間維持
・70MPaの水素ステーションを建設
・積水ハウスが全工場にメガソーラー
・次世代エネルギー技術実証の支援先決まる
・バイオマス燃料の国際戦略でシンポジウム
・国交省、国営公園の植物廃材をエネルギー利用
・経産省、アジア地区の省エネ基盤整備の調査事業を募集
・NEDO有機系太陽電池の特許調査を募集
・再可エネ導入と社会システム実証は2次と4次募集
・再可エネ発電補助募集を開始
・太陽経済の会がシンポ
・非エネ起源CO2削減調査で2件を採択
・国交省省エネ先導事業15件決まる
・経産省、2国間クレジットの採択候補に12件  etc.

<インタビュー>
・FIT導入の問題点を考える
(日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也氏)
 再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度(FIT)が施行されて、およそ1カ月が経つ。この制度によって、わが国の再生可能エネルギーは普及するのか、また価格はどのように変化するのか。さらには、事業者側には問題はないのか。長年、テレビジャーナリストとして再生可能エネルギーを取材し、一昨年には日本再生可能エネルギー総合研究所を立ち上げ、報道だけではなく、コンサルティングも展開している北村氏に話をうかがった。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(33)「国民的議論」って何?=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・電力全面自由化時代(その3)
 =電力システム改革案の問題点=
 山田光/スプリント・キャピタル・ジャパン代表



コラム
・発電論評<コージェネを使ったエネルギーサービス>
・プリズム<太陽光買取価格を巡る白書の混乱>
・青空<全英オープンの勝利者スピーチ>
・ちょっと一休<暑気払いの会に夫婦で出席>


コージェネを使ったエネルギーサービス【発電論評】

 コージェネ普及に向けた新たな取り組みが本格化してきた。経済産業省は、コージェネ普及のための専門部署として、「コジェネ推進室」をエネ庁内に設置した。コージェネを導入している企業やこれから導入を考えたい企業に寄り添ってワンストップ型のサポートを行うのだという。設置者からの相談を通じて、制度的な改善要望や必要な必要なサポート支援などの要望をくみ上げて、環境整備に結び付けるということのようだ。
 大規模集中型から分散型システムへ。今般の電力制度改革の中で掲げられている重要なテーマの一つである。供給システムを分散型化するメリットは、発電所の事故が供給力に与える影響が少ないということや、発電所の規模が小さく起動停止が容易で、負荷追従型の調整運転ができる。また、需要地の近傍で発電し、きめ細かな負荷調整を行いながら広域的な系統運用の負担の軽減にも役立つ。さらに、周辺に立地する再生可能エネルギーの負荷調整機能も担え、系統制約を軽減することで、再生可能エネルギーの大量導入にも貢献できる。
 その分散型電源の中心として期待されるのがコージェネだということになるのだが、問題は、誰が運転管理を行うのかということになる。コージェネを導入して適切な運転管理を設置者である需要家に求めることは余り現実的ではない。発生した余剰電力を市場で売却する能力を身につけ、さらに熱需要に応じたエネルギー管理を行い、ネガワット取引や、系統電力の契約規模を決め、きめ細かな運転管理を行うということは、極めて高度で専門的な知識が要求されることが、コージェネ導入の普及の最大の障害となっているのだといえる。
 そうした壁を低くする取り組みとして、自家発の運転代行サービスやエネルギーサービスなどのの事業形態が提案されているすでに有力な事業者も複数あり、事業展開している。
 エネルギーサービスの仕組みはこうだ。自家発やコージェネなどを販売するのではなく、需要家の敷地や近傍に設置して運転管理し、発電した電気や熱を販売する。またシステムをリース販売する場合もある。こうしたエネルギーサービスの考え方の延長線上で、BEMSアグリゲーター制度が開始され、設置者に変わってアグリゲーター側を支援する仕組みも導入されている。
 コージェネの普及には、このアグリゲーターのサポート制度の適用や、コージェネを使った節電サービスを展開するというのも一つのアイデアになると思われる。いずれにしても、需要家の利益の観点に立ち、コージェネを販売するのではなく、コージェネを使ったエネルギーサービスを需要家と一体となって展開できるような普及策を期待したい。