2012.07.15


2012年715日号

屋根貸し太陽光発電で規制緩和 主任技術者や工事計画届けなど
 経済産業省は、固定価格買い取り制度によって導入例が増大することが予想される、住宅の屋根を借り上げて小規模な太陽光発電をアグリゲーとして事業化する「屋根貸しによる太陽光発電設備」の保安規制について対応するため、主任技術者の運用や発電設備の電気事業法上の取り扱いについて整理した運用通知を公表した。
 住宅などに設置される50kW未満の太陽光発電設備は、受電用の引き込み線を兼用して送電するものが一般的だが、事業用として全量を売電する場合は送電用の専用線を新たに敷設して送電することになるため、この場合は、事業用の電気工作物として電気主任技術者の選任や保安規定の策定・届出が必要になる。
 今回、改正・整理された運用通知では、主任技術者については選任する必要があるものの、到達時間2時間以内であれば兼任が可能で、その場合、兼任できる事業所の数も「屋根貸しにより施設される出力50kW未満の太陽電池発電設備に係る電気主任技術者の兼任の審査については、当面の間、兼任する事業上の数は考慮せず、出力の合計が2000kW未満までは承認する」と整理された。
 また、工事計画の届出についても工事計画の届出の不要範囲を拡大して、従来は500kW未満だったものを、2000kW未満の太陽光発電については不要とする規制緩和を行い、通知した。


三菱重工、中国でコージェネ・分散型事業を展開
 三菱重工業は、中国華電集団公司華電電力科学研究院と、中国で天然ガスを利用した分散型電源事業を共同で推進することで合意した。高効率で環境負荷を抑えたガスエンジンコージェネレーションを普及させるのがねらい。三菱重工は技術開発、中国側は事業モデルの実証とその具体化を担っていく。北京などでスマートコミュニティづくりの実証をめざすほか、三菱重工ではコンテナ型ガスエンジンコージェネ「MEGANINJA」などでサポートしていく。

IHIプラントなど、沖縄で海洋深層水利用の海洋温度差発電の実証試験
 IHIプラント建設と、ゼネシス、横河電機の3社は、沖縄県久米島町で海洋温度差発電の実証試験を開始すると発表した。
 沖縄県の海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業に採択されたもので、久米島町にある沖縄県海洋深層水研究所に小型の実証プラントを設置して、将来の海洋温度差発電システムの実用化に向けて、海洋温度差発電を実施できる可能性があるかどうかなどについて検討する。海洋温度差発電は、海洋表層水と深層水の温度差を利用してアンモニアなど低沸点媒体を気化し、その蒸気でタービンを回転させて発電するもので、25度C〜30度C程度の海洋表層水と5度C〜7度C程度の深層水との温度差を利用する。低沸点媒体は、熱交換ユニットを経由して繰り返し利用することができる。IHIプラント建設が、実証設備全体の設計と建設を、ゼネシスが発電ユニットと熱交換ユニットの設計・製造を、横河電機が、発電ユニットの監視制御システム及び系統連系等の電気関係の設計・製造を担当する。


経産省が蓄電池戦略 20年に世界シェア50%目指す
 経済産業省は、今後のエネルギーデバイスのキーテクノロジーになるとして注目されている蓄電池システムについて、2020年には世界の蓄電池市場のシェアの50%を日本企業が獲得するという戦略目標を掲げた「蓄電池戦略」を取りまとめた。報告書は、省内に設置したプロジェクトチームが、現状の課題と必要な施策についてまとめた。
 今後の日本経済の再生の一翼を担いうる戦略的な産業に育ることを目標に、蓄電池の普及の加速化に向けて必要なコスト低減などの課題を整理した。


その他の主な記事
・京都市、水環境センターでメガソーラー
・NEDO、北九州沖に洋上風況タワー
・基本問題委員会が基本計画の議論を再開
・エネ研が12年度の需給予測
・メガソーラーに異業種からの参入相次ぐ
・エアウオーターがLPGの移動電源車開発
・千代田化工建設が西部ガスとメガソーラー事業を共同で
・大和ハウスもメガソーラーに参入
・ソフトバンクの京都のメガソーラーが運開
・キリンビールも関西地区で自家発を増強
・ヤンマーが米国の排ガス認証を取得
・ソーラーフロンティア 北海道にメガソーラー
・トヨタが新たにガスコージェネ8機を新設
・コージェネセンターが特別セミナー
・東大生産研がフォーラム
・NEDO高温超電導の委託先募集
・環境省、地域手動の再可エネ導入協議会を募集
・住宅・ビルの省エネ対策で報告書
・NEDO、海洋エネルギー開発を追加公募
・新エネ大賞の募集開始
・環境省がカーボン・オフセットビジネス活用セミナー
・環境省、カーボン・オフセット実務者研修   etc.

<インタビュー>
・BEMSアグリゲータとエネルギーサービス
(ヴェリア・ラボラトリーズ 代表取締役社長 筒見憲三氏)
 エネルギー使用のレポーティングサービスなど、省エネの専門家として活躍してきた企業にとって、BEMSアグリゲーターというビジネスは着手して当然というものだろう。とはいえ、政策によって急速に拡大した市場への対応、中小規模向けの新しいサービスの確立など、改めて戦略を考えることも必要だ。こうした点を含め、ヴェリア・ラボラトリーズ代表取締役社長の筒見氏に話をうかがった。



燃料電池新聞の主な記事
・世界の燃料電池の最新動向
・海外ニュース
 -韓国政府、世界最大規模の水素タウンの建設を計画
 -英Pure Energy Centre、水素ボイラーを開発
 -カナダHydrogenics、独E.ONから2MWの水素製造装置を受注
 -独Calluxプロジェクト、マイクロ燃料電池CHPの累積稼働時間が100万時間に到達
 -カナダBallard、中国China Mobileと無線通信ネットワーク用バックアップ電源の実証試験を開始
 -米Oak Ridge国立研究所、FCVは2050年に30〜70%のシェアを持つという予測を発表
 -Norwayで5年間の燃料電池バス実証走行試験が始まる
・燃料電池フラッシュニュース
 -積水ハウス、越谷市に日本初の住宅と店舗によるマイクログリッドを構築
 -田中貴金属、2011年度の燃料電池用触媒の出荷量指数を発表
 -物質・材料研究機構、助触媒の機能解明
 -東邦ガス、「スマートエネルギーハウス」の実証試験を開始
 -トヨタ自動車、PHVから住宅へ電力供給すするシステムを開発
 -2012年度のエネファーム導入補助金申請が1万2300台に到達し、募集を休止
 -JSTなど、「微生物燃料電池」実現のカギとなる「電気共生」の関係を発見
 -マツダ、水素ロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダー方式のEVを開発
 -HySUT、2013年2月からガソリンスタンド併設型水素供給ステーションの実証を開始
 -パナソニック、東欧スロバキアでHEV用ニッケル水素電池の生産開始、VWに供給開始
 -積水ハウス、2013年春に全戸に「エネファーム」を設置するマンションを販売
・燃料電池インフォメーション
 ■日本ゴム協会「第182回ゴム技術シンポジウム 水素機器用エラストマー材料の現状と課題」:7月27日(金) 工学院大学第1会議室 ○概要/@水素機器用エラストマー材料研究部会の概要説明(九州大学大学院 西村伸氏)/A水素エネルギーシステム開発の動向と課題(九州大学水素エネルギー国際研究センター 尾上清明氏)/B燃料電池自動車における開発と課題(トヨタ自動車 小島康一氏)/C水素エネルギー製品研究試験センター(HyTReC)における水素関連製品の評価 (HyTReC 菊川重紀氏)/D水素ガスシール用Oリング開発状況(NOK  古賀敦氏)/E高圧水素シール用ゴム材料の分析(産業技術総合研究所 藤原広匡氏)    etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(68)
 =スマートシティの行方=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(47)<需要家は置き去り、日本のスマートメーター>

・新刊紹介
 「e−コンパクトシティが地球を救う」
 鮎川ゆりか著 日本評論社 2200円(税別)



コラム
・発電論評<電源を選べる電気料金メニューに>
・青空<野田政権の独善ぶり>
・ちょっと一休<高校時代の友人と信濃の旅>
・ちょっと一言<産業用メガソーラーが抱える不安>


電源を選べる電気料金メニューに【発電論評】

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度では、接続する電力系統を保有している電力会社に電力の買い取り義務が課せられている。原則として接続の申し込みを拒否できず、電源種別ごとに国が決めた買い取り価格によって全量を買い取ることが義務づけられている。買い取りに要した費用は、電気料金とは切り離されて、これも国が指定する決定する量や単価で、電気料金に上乗せされる賦課金として回収される。
 ここでの電力会社の役割は、発電事業者からの申請を受け電力系統に電源を受け入れて、電力を送電し、需要家に届けるという役回りだ。料金の決定から回収まで、電力会社は何ら関知できず、買い取り義務があるといっても、実質的には国の電力買上事業として制度設計されているものだといえる。
 電力供給力の一定量を再生可能電源として確保したいという買い取り制度導入の主旨を考えると、特に過不足ないものとなっているといえる。しかし、買い取った電気をそのまま系統電力として流通消費してしまうというのは、もう少し工夫の余地が残っているといえるのではないか。
 不満の一つは、再生可能電力を使用したいという需要家に積極的に応える仕組みが見当たらないということである。
 現行の制度では、需要家は、買い上げられた電力を一律的に割り当てられ、賦課金を徴収されるだけであり、再生可能エネルギーもっと積極的に利用したいという要望に応えることができないものになっている。制度によって、逆に全ての再生可能電力が、単なる系統電力として消費されてしまう仕組みになっているという見方もできる。
 こうした不満の声に応えるためには、需要家が電源別に購入する電力を選択できる仕組みが整えられる必要があると思われる。例えば、現在の試行されている、ピーク電力料金メニューのように、電源を選択できる料金メニューを作ることも一つの方法ではないか。
 需要家が、複数の電源を単独、あるいは組み合わせて、電力を購入できるようになれば、料金は高くても再生可能電力を使いたいという需要家の期待に応えることができる。
 それによって、現在の電気料金よりも高く売れれば、その分、他の需要家の賦課金の額を引き下げることができる。全量が売れてしまえば、そもそも賦課金がゼロ円になるという可能性も考えられる。また、再生可能電力を優先的に利用する需要先が増えれば、更なる再生可能電源の開発が進むことにもつながる。
 需要家が電源を選択できるようにすることで、押しつけではない、自立的な再生可能エネルギーの流通・販売市場の形成の可能性が広がると思うのだがどうだろう。