2012年75日号

エネ間会議が3つの選択肢 原子力依存度で分類
 政府は、6月29日にエネルギー・環境会議を開き2030年時点の電源構成に関する三つの選択肢を示した。原子力発電の構成比を@0%とA15%、B20〜25%の3案にまとめた。再生可能エネルギーを最大限導入し、不足分は火力発電で必要な電力をまかなうというのが共通した考え方。パブリックコメントや、全国各地での意見聴取会、討論型世論調査などの「国民的議論」を通じて、8月に選択肢を一つに絞り込み、政府のエネルギー戦略を取りまとめる。
 原案は、経産省の基本問題委員会が提案した4つの選択肢の内、電源構成比が数字で示されていない案を除いた3案に整理し、「新たな中長期のエネルギーと地球温暖化対策に関する3つの選択肢」として示された。原子力燃料の再処理問題、地球温暖化対策の具体的な目標については選択する条件には含まれていない。また、経産省案には共通項として示されていた各選択肢に共通なコージェネ比率15%についても選択肢の中では触れられていない。
 エネルギー・環境会議では、この3つのシナリオに関して国民的議論を開始し、その上で、エネルギー選択、それと表裏一体の地球温暖化国内対策に関して結論を出す。
◇原子力ゼロシナリオ
 原子力発電ゼロシナリオでは、再生可能エネルギーを現状の10%程度から約30%まで拡大したとしても、化石燃料の依存度は約70%となり、現状の65%程度よりも上がる。CO2排出量は1990年比約16%減にとどまり、他の2案に比べて削減幅は小さい。
 化石燃料の輸入額は現状と同水準の17兆円となり、15シナリオの15兆円、20〜25シナリオの14〜15兆円よりも多くなる。ゼロシナリオを採用する場合は、より踏み込んだ制度改革を行うことで、再生可能エネルギー約35%を目指し、さらに天然ガスシフトや省エネを拡大することでCO2削減を15%シナリオと同程度の23%とするという追加対策案をオプションとして示した。
◇原子力15%シナリオ
 15%シナリオは、原子力発電の40年廃炉を忠実に行えば、この程度の原発依存度になるというシナリオ。原発依存度を着実に下げつつ、化石燃料依存度を低減、CO2削減の要請を円滑に実現する。原子力、再生可能エネルギー、化石燃料を組み合わせて活用し、エネルギー情勢や地球環境を巡る国際情勢、技術革新の変化など様々な環境の変化に対し柔軟に対応する。再生可能エネルギーの構成比は約30%を目指し、現状よりも約20%拡大する。化石燃料依存度は約55%になる。現状の65%程度よりも約10%下がる。非化石電源比率は約45%となり、現状の25%程度より約10%拡大する。温室効果ガスの排出量は2030年に1990年比約23%減となる。
◇原子力20〜25%シナリオ
 20〜25%シナリオは、緩やかに原発依存度を低減しながら、一定程度維持し2030年の原発比率を現状よりはやや少ない20〜25%程度とする。化石燃料依存度の低減とCO2排出量の削減を、より経済的に進める。このシナリオを採用する場合は、原子力及び原子力行政に対する国民の強固な信認が前提となる。原子力発電の新設、更新が必要となる。再生可能エネルギーは約25%から約30%を目指す。
 化石燃料依存度は約50%と現状よりも約15%下がる。非化石電源比率は約50%となり、現状よりも約15%上がる。温室効果ガスの排出量は2030年に1990年比約25%減となる。
◇国民的議論特設サイト
http://www.sentakushi.go.jp/


三菱重工がコンテナ型ガス発電設備 出力1500kW、コージェネにも対応
 三菱重工業は、1500kWのガスエンジン発電設備をコンテナに収納したコンテナ型発電設備を開発、「メガニンジャ」の愛称で販売を開始した。
 構成機器の全てがISO規格の長さ約12mのコンテナ内に収納されており、現地で配線、配管の接続などを行うだけで、現地到着後24時間以内に発電を開始できる。
 「素早く移動・素早く設置・素早く発電」を製品コンセプトに、移動が容易なコンテナを採用し、配線や燃料配管の接続にコネクター方式を採用することで、現地作業の大幅な簡便化を実現した。電力不足地域を抱える中国などの新興国の分散型電源市場向などの常用発電需要を中心に、非常・緊急対応用電源向けも含め、国内外で幅広い市場を開拓していく。
 コンテナ内には、ガスエンジン、発電機、燃料ガスの圧縮機、制御盤などの発電に必要な装置が搭載されており、さらに、温水熱交換器や排ガス蒸気ボイラーなどを内蔵した長さ約6mの排熱回収コンテナを同時に使うことにより、コージェネレーションにも対応できる。それぞれのコンテナをトレーラーで目的地まで運び1500kWのガスコージェネが簡単に設置稼働できるのが特徴で、複数台の連結して運転することも可能で、コンテナ単位で発電量の拡大にも容易に対応できる。
 設置に必要なスペースや配線および燃料配管の接続部となるコネクターの位置がわかる外観図や要望事項を、あらかじめ現地側に提出し、電気や燃料を供給する側のコネクターを顧客に届けることにより、設備の到着までに設置スペースの確保や接続準備作業を行っておけば、コンテナ到着後は配管や配線類を接続するだけで、設置工事が完了できる。
 ガスエンジンにはミラーサイクルを採用し、42.6%の高い発電効率を達成。電子制御により燃料と空気の混合を最適化し、NOX濃度は後処理なしで200ppm以下に抑えられている。


環境省と国交省、港湾への風力発電の導入手続きをマニュアル化
 環境省は、港湾に大規模な風力発電を建設する場合の導入手順を国土交通省と連携して導入マニュアルを取りまとめ、公表した。調整機関としての協議会の設置や、港湾の本来の機能を損なわない風力発電の導入エリアの設定や公表、風力発電事業の企画提案を公募により募集し採択することなどを手順として示した。マニュアルを活用して、茨城県が鹿島港で大規模風力の導入区域を定め、事業者の募集を始めた。

その他の主な記事
・港湾への風力建設マニュアルを発表
・規制・制制度改革の進捗をフォローアップ
・微細藻類燃料開発協議会
・東芝と大阪ガスが新型エネファーム
・日立ブランドの太陽光システムを発売へ パネルは調達
・三菱電機 JR駅に太陽光発電
・帝国データバンクが太陽光参入企業を調査
・YKKがFEMSを導入
・GSユアサ福島でメガソーラー 京都群馬でも
・シャープが太陽光発電を15年保証
・中部電力も2社とアグリゲート契約 新 
・ノーリツが新エネ機器2種を発売
・中小水力と地熱開発決まる
・国内クレジット制度でパブコメ
・東京都官民インフラファンドの運用者を決定
・地方発カーボンオフセット支援募集
・排ガス対策原動機と建機、低騒音建機
・NEDO、戦略的省エネ18件決まる
・7月のSSKセミナー  etc.

<インタビュー>
・BEMSアグリゲーターとエネルギーサービス
(パナソニック・エコソリューションズ社・エンジニアリング事業推進部部長 菊地正浩氏/パナソニックESエンジニアリング・執行役員全社企画担当 矢野英造氏/パナソニック・エコソリューションズ社・エンジニアリング事業推進部総合企画グループ参事 前田龍一氏)
 パナソニックは今年1月より組織を再編し、カンパニー制によってエコソリューションズ社を立ち上げた。新しい事業の柱として育っていくことが期待されている。今年4月にはグループ会社のパナソニックESエンジニアリングを幹事会社として、BEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)アグリゲーターとして経産省の認定を受けた。パナソニックの環境・エネルギー技術が、エネルギーマネジメントのソリューションとしてどのように活かされていくのか。事業の担当者の3氏に話を伺った。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(32)電力化率上昇の問題点=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・電力全面自由化時代(その2)
 =原子力発電の本当のコスト=
 山田光/スプリント・キャピタル・ジャパン代表



コラム
・発電論評<電力自由化に逆行する買い取り制度の現状>
・プリズム<ガス抜きに終わった東電株主総会>
・青空<富の象徴と精神の豊かさ>
・ちょっと一休<久しぶりに株主総会で質問>


電力自由化に逆行する買い取り制度の現状【発電論評】

 再生可能エネルギーの買取制度が満を持してスタートした。経産省によると、スタート時に新たに登録認定した発電設備は、4万kW程度だというが、各地で相次ぐメガソーラーや風力発電の計画などを見るにつけ、初年度だけで、200万〜300万kWの電源が登録されることになると予想されている。
 さらに、RPS法によって買い取られていた約900万kWも、新制度への移行がほぼ無条件で認められ、これも含めると、対象電源は、初年度だけで、軽く1千万kWを超えそうな勢いとなっている。
 RPS電源の移行容認は、一面では電力会社の救済だという指摘もある。新制度では、負担をするのは需要家であり、電力会社は5〜7円程度の回避可能原価で再生可能電力が調達でき、通常の電気料金で販売できるという仕組みであるということは、あまり理解されていない。
 電気料金とは別立てで上乗せされる賦課金は、政府が決めた買い取り価格から電力会社が負担する回避可能原価を差し引いた差額。電力会社に取ってみれば、RPS法のコスト負担からは解放された上で、安価な再生可能電力が調達できるという極めて有利な条件の制度となっているということである。
 新制度には、さらなる問題も浮かび上がっている。それは、買い取り義務によって、再生可能電力は既存電力会社の「独占」されてしまうといいことである。ただでさえ電源不足に悩んでいる新電力にとって、再生可能電力の調達の道を究めて抑制することになり、再生可能エネルギーの拡大の切り札として導入された新買い取り制度が、一方では、電力自由化の拡大にブレーキをかけることになってしまうのではないかという懸念である。
 こうした問題についての改善方法はいくつか考えられる。
 例えば、買い取り義務を地域独占の電力会社ではなく、国が一括して買い取り、それを入札や卸電力取引所を活用して売る方法をとることである。市場で回避可能原価を上回る価格で販売できれば、その分賦課金の上乗せ額を低減することができる。新制度の欠陥は、再生可能エネルギー電源を既存の電力会社が「独占」できる結果、「規制なき独占」といわれる電力制度の問題点をさらに強めてしまう恐れが十分にあるということだ。また、電力会社に再生可能エネルギーが独占されることによって、系統制約問題など、RPS法と同様に再生可能電源の抑制法に姿を変えるのではないかという懸念もある。
 上々の滑り出しを見せた新制度が、よりよい制度として機能するよう、早急な見直し、改善が必要なのではないか。