2012年625

発送電分離、機能分離か法的分離 7月に結論
 経済産業省は電力システム改革専門委員会の第7回の会合を6月21日に開き、電力自由化市場の活性化に不可欠な課題として整理している卸電力取引市場の在り方と、送電部門の運営を電力会社から切り離して独立機関に委ねる「発送電分離」について詰めの議論を行った。
 発送電分離については、送配電部門を子会社化する「法的分離」案と、送配電の運用を機能分離して中立機関に委ねる「機能分離」の2案について議論している。どちらの案でも、現在の卸電力取引市場(JEPX)の機能を強化して独立中立性を高めて広域運用を行うと共に、9電力管内に、それぞれの電力会社に変わって送配電網の運営を行う送配電機関を置いて、中立的で公平な送配電網の運用を行う形にあらためる。
 「法的分離」では、所有分離とは異なり電力会社の子会社が運営するため、独立性に疑問が残るものの、現在の会計分離よりは、部門間取引されることで託送料金などの透明性が高まる。「機能分離」では、運営は独立機関が行うものの、送配電網はこれまでどおり電力会社が保有したままとなるため、送配電網の整備などが円滑に行かなくなるのではないかという懸念が示されており、ルール作りが課題となる。
 委員会の席上、枝野経産大臣から、7月の早い時期に結論を得たいという要望が示され、次回の会合でしぼり込む。
 卸電力市場の活性化については、当面の間、電力会社に余裕のある発電設備を活用して市場での一定量の電力の取引を義務づけたり、JパワーなどのIPPの電力を市場取引に移行させる措置を講ずることなどが検討されている。自由化された電力市場を監視するために市場監視機能を資源エネルギー庁から切り離して独立機関を創ることについても議論されている。


国内クレジットを統合 2013年から新制度に
 経済産業省と環境省は、国内でCO2の排出削減に取り組むクレジット制度として制度化し、それぞれが主体的に運営している国内クレジット制度とJ−VER制度を統合して、来年度から新たな国内クレジット制度を創設することにした。両制度の統合について検討するために両省が設置していた検討会が6月18日に両制度を統合して2013年度以降の国内対策として新たなクレジット制度の創設を決めた。
 新クレジット制度は、2020年までの次元制度として創設され、J−VER制度と同様に制度運用と方法論を承認する委員会と個々のプロジェクトやクレジットの認証を行う2つの委員会を設置して運用する。クレジットの有効期間についても20年までに限定する。20年以降については、新たに制度設計する。
 国内クレジット制度とJ−VER制度は、日本に6%の排出削減義務を課した京都議定書の目標達成計画と取り組むため、国内での排出削減を進める排出権のクレジット制度として創設運営されたもので、両制度とも今年度が最終年度となっている。
 両省は、7月下旬に正式な新制度案を公表し、2013年度から新クレジット制度を発足させる。


大阪ガスメガソーラー発電事業に参入
 大阪ガスは、100%子会社のガスアンドパワーが、大阪市此花区の酉島地区と岡山県勝央町、和歌山県広川町の3カ所に、合計約3500kWの大規模太陽光発電所を建設し、発電事業に参入すると発表した。
 大阪ガスグループとしては、国内初のメガソーラーとなるもので、建設地は、大阪ガスグループの社有地である酉島・勝央と、ガスアンドパワーがグループ会社を通じて運営する和歌山県の広川明神山風力発電所の隣接地の3カ所。いずれも今年度末までに工事を完了し順次運転を開始する予定。
 大阪ガスは、太陽光発電に関しては、これまで、ガスコージェネと組み合わせるダブル発電として、主に住宅用を中心に太陽光発電パネルの販売などを行ってきているが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって、大規模な太陽光発電を新たに設置しても、事業性の高い発電事業の展開が見込めることから、グループで保有する遊休地などを活用する形でメガソーラー発電事業に参入することにした。


東芝、米企業3社と発電とCO2分離・回収が同時にできる火力発電を開発
 東芝は、米国のベンチャー企業のネットパワー社、大手エンジニアリング会社ショー・グループ、大手電力会社のエクセロンと共同で、発電とCO2の分離・回収が同時に実現できる新火力発電システムを共同開発することで合意した。
 開発するのは、超臨界圧のCO2を用いた酸素燃焼の循環システムで、天然ガスを空気から取り出した酸素と燃焼させることで高純度のCO2を発生させ、一部は循環利用すると共に、残りのCO2は分離回収することなくそのまま回収できる。
 開発するシステムは、酸素と天然ガスを燃焼させて発生した高温ガスでタービンを回転させて発電し、タービンから排出されたCO2と蒸気が混じる燃焼ガスを、熱交換器で冷却し、水分を分離。高圧ポンプでCO2を圧縮。一部のCO2は燃焼器へ循環利用する。燃焼により発生したCO2は、そのまま高純度の高圧CO2として回収することができるため、従来のCCSのようなCO2の分離回収設備を設ける必要がなく回収できる。
 2014年に、2万5000kW相当のパイロットプラントを米国のエクセロンの発電所敷地内に建設し、実証試験を実施、2017年には25万kW級の商業プラントの建設を目指す。


その他の主な記事
・基本計画委、エネ基本計画の議論を本格化
・再可エネ、初年度賦課金は0.22円
・新潟沖で石油・ガス田を試掘調査
・ユーラス、ノルウェーの風力を拡大
・札幌でもメガソーラーを建設
・京セラがモルディブの太陽光を受注
・川重が洋上プラットフォーム用GTを受注
・東北大学がレアメタルフリーのリチウム電池
・ビッグアイルが竹原でメガソーラー
・日本製紙「見なし節電」で余剰供給
・電気化学工業、中小水力事業を増強
・NECと東北大、新型熱電素子
・積水ハウスがダブル創エネマンション
・3月末のRPS認定状況
・都が事業用太陽光の設置プランを公開
・NEDO革新型蓄電池を追加募集
・太陽光復興支援の補助決まる
・地熱や風力などでJPIセミナー
・低炭素復興セミナー、全国6カ所で開催
・7月20日まで 小水力モデル補助
・再可エネ発電システム補助(自治体と民間)
・エコリース補助金の補助率を引き上げ
・都が事業用太陽光の設置プランを公開
・NEDO革新型蓄電池を追加募集
・太陽光復興支援の補助決まる  etc.


<インタビュー>
・BEMSアグリゲーターとエネルギーサービス
(NTTファシリティーズ スマートビジネス部門長 横山健児氏)
 NTTファシリティーズは通信会社を親会社に持ち、ICT(情報通信技術)とエネルギーと建築の3つの分野にまたがってサービスを提供している。その意味では、スマートエネルギーに最も近いところにいる。メガソーラーや集合住宅向けのスマートサービスなどを、他社に先駆けて行ってきた事実もある。今年4月には、大阪ガス、エネットとともにコンソーシアムを組み「BEMSアグリゲーター」事業にも参入、経済産業省の事業者認定も受けた。改めて、どのような特長あるサービスを提供するのか、話をうかがった。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(23)
 =脱原子力依存の時代にふさわしくないオール電化政策=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・日本を変えるスマート革命(11)
 =スマグリ戦略としてのプランB=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから




コラム
・発電論評<相次ぐメガソーラー計画 系統対策も分散型で>
・青空<石原信雄さん>
・ちょっと一休み<日本国土開発の廣部さん>
・一筆啓上<リスク取らない電力会社>


相次ぐメガソーラー計画 系統対策も分散型で【発電論評】

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度の7月からの開始を目前に、メガソーラーの建設計画が矢継ぎ早に公表されている。
 この4月から6月までの3カ月間の目立つ建設計画だけを集めてみても、20万kWを軽く超える間がソーラーの建設計画が発表されている。それらを見ると、エネルギー関係の事業者だけでなく、異業種からの参入も目立っている。建設場所も事業所の跡地や遊休地、また閉鎖中のゴルフ場をメガソーラー基地として利用するというニュースもあった。
 各地の自治体のメガソーラー誘致の動きも活発になっている。これまでは、住宅用太陽光の導入拡大を補助制度で推進してきた自治体も、買い取り制度による20年間の事業保証があるメガソーラー発電事業に対して事業用地の提供や斡旋などを積極的に取り組みが始まっている。
 太陽光発電は、買い取り制度の導入によって、事業採算が安定的に計算できる事業モデルとなった。20年間の買い取り保証で、価格も20年間保証されること、また、設備の導入コストも低減化が著しく、投資回収も10年を下回るケースも珍しくなくなっている。年間を通じた発電量も安定しており、ほぼブレなく計算できることから、事業リスクが低いというのも事業参入がやりやすい要因だといえる。
 制度開始の3年間は高水準の買い取り価格が維持されることになっており、今後、数年間は、まるでゴールドラッシュのようにメガソーラーの建設が相次ぐことになるのではないかと思われる。
 一方で、太陽光発電の有望な導入候補地といわれる、耕作放棄地や被災地域の農地などでの建設計画はまだほとんど聞かれない。農地転用問題がネックとなって、なかなか計画できないというのが実情のようで、メドがつけば、さらに大量のメガソーラー計画が動き出すと予想される。
 上々の滑り出しを見せる買い取り制度といえそうだが、今後の課題としてまず、考えられるのは、やはり系統対策であり、これには、電力系統の構造を抜本的に変える必要があると思われるのだが、その解決策の一つとして考えてみたいのが、系統も分散化を進めるということである。
 現在の買い取り制度は、発電した電力は自家消費分も含めて系統に一度全量を送電することになっているが、余剰電力だけを逆潮するようにすれば、系統の負担が相当減らせることができる。さらに地域の系統をマイクログリッド化して、その中である程度需給調整することで、広域的な系統の負担が軽減できる。再生可能電源が増えすぎて、これ以上は増やせないという事態を避けるためにも、マイクログリッド型系統の整備をまず考えてみるのも有効な対策になるのではないか。