2012年525

電力供給、コージェネだけで15%に 基本問題委員会が共通で選択肢に
 新たなエネルギー基本計画の策定に向けた議論を行っている総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会は、2030年の電源構成の選択肢として、従来、分散型電源の拡大について、自家発を供給力としてカウントし発電電力量の約15%を担うという方向で整理していたものを、コージェネだけを切り出して約15%として盛り込むことで合意した。排熱回収を行わない自家発については、火力発電の中に包含した分散型電源として位置づけ別途整理する。
 コージェネと自家発を分離して整理することについては、化石燃料を使う自家発は、火力発電の中で整理するべきではないかとの意見もあり、高効率で熱利用も可能なコージェネだけを火力発電から切り離して、分散型の熱電併給電源として分類・整理することにした。
 コージェネとして再整理されるのは、天然ガスや石油等を燃料とする分散型のガスタービンやガスエンジン、ディーゼルエンジン、蒸気タービン、燃料電池など。コージェネは、熱をボイラーで、電気を系統電力でまかなう場合に比べて平均的に15%程度の省エネルギーが可能だと試算して、省エネ・低炭素電源として再生可能エネルギーと同様に導入促進を図るべき電源として位置づける。
 コージェネの普及には、発電コストに見合った余剰電力が、市場取り引きを通じて売電可能になるなどの制度改革が必要になるなどの課題についても指摘している。


再生可能エネルギー、既設設備からも新料金で買い取り
 経済産業省は、7月から実施される再生可能エネルギーの買い取り価格と期間について、検討委員会が取りまとめた案をもとに、パブリックコメントを始めた。示された買い取り案では、委員会では検討しなかった、既設設備の取り扱いについても新法に基づいて買い取ることが新たに追加され、既設の再生可能エネルギーについても新設設備と同価格で買い取ること、期間についてはRPS法などで既に買い取り済み期間を除いた期間とすることで新設設備との公平性を保つと説明されている。

学校ゼロエネルギー化で報告書 創エネと省エネで達成
 国土交通省は、文部科学省と連携して、「エコスクール」の整備について検討した「学校ゼロエネルギー化推進方策検討委員会」(委員長・村上周三建築環境・省エネルギー機構理事長)の報告書を公表した。報告書に基づいてガイドラインを作成し、両省の支援事業を活用したモデル学校の学校の建設を進めるなど、エネルギーの自立化を促進していく。
 現状のエネルギーの利用状況から50%を省エネで、50%を太陽光発電などの創エネシステムを導入することでエネルギーの自給力を高め、エネルギー収支のゼロ化を目指す。また、緊急時の地域の避難所などとしての役割が求められる体育館などの施設では、断熱化を進め、冬期でも床面積の温度を12〜13度程度以上に保てるようにし、自立化したエネルギー供給と防災対策についても同時に進める。


太陽光発電、2011年度国内出荷量は32.1%増
 太陽光発電協会は、2011年度の太陽光発電の国内出荷量が前年度比32.1%増の140万4149kWだったと発表した。また、同時に、国内の住宅用の太陽光発電の導入量が100万件を超えたことも明らかにした。
 前年度に100万kWを超えた太陽光発電の国内出荷量は、家庭用を中心にした余剰電力買取制度に支えられ、急激な市場拡大が継続している。7月からは、事業用の発電設備も対象となる再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始され、大規模太陽光の建設計画も相次いでいることから、国内市場は更なる拡大が今後、期待されることになる。
 国内出荷の内、国内生産は23.1%増の101万1682kWとなり国内生産分だけで100万kWを超えた。国内出荷の内85.9%は住宅用向けで、国内市場は相変わらず住宅用を中心に太陽光発電市場が形成されている。また、輸入品が国内生産品を上回る伸びを見せていることも注目される。


その他の主な記事
・電力システム改革委が全面自由化で合意
・基本問題委員会が選択肢の原案
・IBMがスマートシティ紹介フォーラム
・富士通、クラウド活用型のエネマネシステム
・JX、創エネハウスに3電池
・中部電力、コンビニ7社と急速充電器整備で協力
・ユーラスが豪州の風力事業を買収
・昭和シェル自立型SSを実証
・東芝が川崎にスマコミ事業の中核
・高砂製作所、リ電池搭載の蓄電システム
・中部電力など超電導コイル
・東京ガス、小学校向けに見える化システム
・三菱重工がパラオにディーセル発電機4台を納入
・環境省、病院へのコージェネ整備を緊急補助
・NEDO、藻からバイオマス 委託先を募集
・環境省がアセット事業参加者を募集
・スマートグリッド展2012
・地球温暖化対策実証2次公募  etc.


<インタビュー>
・都市ガス会社の戦略
(武州ガス株式会社 特需営業部長 田中正幸氏)
 震災以降、電力の供給力不足に陥った日本。一方で、省エネや再生可能エネルギーへの関心が高まっている。供給主体としての立ち位置を失いつつある原子力に変わって、天然ガスへの期待が高まっているが、天然ガス利用の拡大には、地方のガス事業者が主要な役割を担うことになる。需要家のニーズを満たしながら、最適な形でガスを供給していくためには、どのような戦略が求められるのか。埼玉県のほぼ真ん中、所沢市、狭山市、川越市などを供給エリアとする中堅都市ガス会社である武州ガス特需営業部長の田中正幸氏にお話を聞いた。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(22)
 =FIT開始に伴うビジネスチャンス=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・日本を変えるスマート革命(10)
 =見直しが必要な日本のスマグリ戦略=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから




コラム
・発電論評<再生可能電力の流通販売の考え方>
・青空<近くに映画館ができる>
・ちょっと一休み<大相撲を砂かぶりで見る>
・一筆啓上<公益事業は透明化を>


再生可能電力の流通販売の考え方【発電論評】

 制度開始まで、既に1カ月余りとなったこの時期に、再生可能エネルギーの全量買取制度の詳細がようやく明らかになった。既設設備についてもRPS法からの乗り換えも認めることもいきなり発表され、新制度は、初年度からRPS法の遺産を引き継ぐ形で500万kWを超える大量の買取対象設備を認定して開始される見込みとなった。価格は、事前に予想されていたものより、相当高い。太陽光や、風力などは、事業性は担保されたといえるのではないか。
 しかし、問題は、そう簡単ではない。
 例えば、風力発電。国内の風力発電の、導入量が伸び悩んだのは、売電価格が低いためというよりは、系統連系が思うように認められなかったためだといわれている。高価格の買い取り条件が整えられても連系できないのでは、新制度は絵にかいた餅になる。系統制約は接続拒否の正当な理由となる。新制度の運用に当たっては、連系が円滑に行えるような措置が積極的に講じられることが望まれる。
 新制度は、電力事業者が買い取りを拒否できないというのが、基本的な考え方なのだから、少なくとも、地域ごとの現在の連系可能量を事前に公表することや、具体的な系統強化の進め方についても、いつまでにどれくらいの拡大が見込めるのかといった情報も速やかに、かつ、詳細に示されることも必要なのではないか。事業者にとっては、開発計画が立てやすくなる、系統情報が適切に提供されることが、最大の後押しになるわけで、政策的な配慮は、まずそうしたことに向けられなければならない。
 系統制約を低減するには、系統自体を強化することももちろ必要になるが、地産地消型のマイクログリッドを活用するというのも効果があるはず。風力や太陽光などの地域に導入される再生可能エネルギーを、バイオマス燃料も活用できるようなコージェネレーションシステムや蓄電池などで調整し、地産地消型の電力供給を行った後、計画的に発生させた余剰電力を系統に供給し広域流通させれば、系統側の負担を相当減らせる形で、発電所として機能できる。それがまさしく、分散型のネットワークの活用ということであり、火力発電の更なる高効率利用や、さらに、周辺地域で発生するバイオマス資源も活用すれば、地域の活性化や国産エネルギー資源の活用にもつなげられる。
 買取制度が再生可能エネルギーの利用拡大という目的に沿って機能するかどうかは、なぜRPS制度や、電力の部分小売り自由化などが目的どおりに機能しなかったのかなどを貴重な教訓として、買い取った再生可能電力を需要家が歓迎して利用できるような、新たな電力の流通販売の仕組みも今後の検討課題として考えてみる必要があるのではないか。