2012.05.15


2012年515日号

再可エネ買い取り価格まとまる 風力22円、メガソーラー40円など
 再生可能エネルギーの調達価格について7月からの制度の開始を目前に控えて、調達価格と期間について検討していた調達価格等算定委員会が連休前の4月27日に開いた第7回の会合で最終的な検討結果を報告書にまとめた。国会審議の遅れから委員会の発足が遅れていたが、3月6日に第1回の委員会を開いてから精力的に審議を進め、約2ヶ月間で結論を出した。
 国会審議の過程で修正され、電源種別毎に、事業コストに応じた価格と期間で買い上げるように改められた新法の主旨に基づいて、制度導入当初の3年間は事業性に特に配慮した価格で買い取ることとし、大規模太陽光については40円(税抜き)、風力についても、現行のRPS制度での買い取り価格の実質的に2倍以上となる22円(同)とするなど、再生可能エネルギーの種別毎に、規模や立地条件などによる建設コストや運営費、さらに事業報酬などを加味して、価格と期間について取りまとめた。


洋上風力の技術基準を策定 国交省が浮体式で
 国土交通省は、浮体式洋上風力発電の技術基準を定めた。
 福島沖や五島列島などで国内の洋上風力発電の実証研究も開始され、風力発電の洋上展開への期待が高まる中で、国土交通省では、今後の洋上風力発電の建設を進める上で、安全基準の早期の策定が必要であるとして基準化した。新基準は、遠浅の海が少なく、圧倒的にポテンシャルが大きいとされる浮体式の洋上風力発電の技術基準として定めたもので、船舶安全法に基づく基準として設備の構造や用件について規定した。
 基準は、洋上風力の浮体や係留設備について安全確保の観点から検討し、@転覆しない構造であることA係留索の交錯防止など浮体の大規模展開時にも安全が確保できるB船舶の衝突や係留索の破断など非常時にも安全が確保できることを目標に、50年間に起きうる暴風や風量に耐える構造や強度を基準として示した。技術基準は、進行中の福島沖の実証事業にも適用し、設備の安全確保を図ると共に、基準の的確性についても検証する。


九州大の研究グループが、超電導技術で水素をエネルギーロス無く搬送
 九州大学は、超電導技術を活用した液体水素利用基盤技術の開発に取り組んでいる研究グループが、常圧下で超電導ポンプシステムを用いて液体水素の移送試験に世界で初めて成功したと発表した。実用化できれば、水素供給ステーションなどで、液体水素を貯蔵している貯槽の内部に超電導ポンプを設置することで、エネルギーロスのない効率的な手段で、水素自動車等へ手動または自動で水素を移送することが可能になる。
 従来の方法では、水素の貯蔵槽から別のタンクに移し替える際に必要だった加圧装置や搬送システム、また、専門技術者などが必要なくなり、極めて、低エネルギーで効率的な水素の搬送が可能になる。水素エネルギー社会で必須となる液体水素を無駄なく、容易に利用できる革新的な技術として注目される。技術開発は、NEDOの助成事業の一環として行った。


その他の主な記事
・需給検証委が報告書 
・電力システム改革委がまとめに向け議論
・川崎重工ギガセルを実証
・旭化成エネルギーシェアシステムを発売
・三菱重工、子会社にガソリンエンジン事業を集約
・富士電機米国の地熱発電に資本参加
・富士電機、EV用充電器の課金装置を発売
・高岡と東光電気が企業統合
・安価な燃料電池材料を開発
・ホンダ、LPGポータブル発電機を発売
・JFEが蓄冷パックを発売
・スカイツリーが省エネエシステムなど公開
・ホンダのスマートハウスが完成
・大規模蓄電システム開発追加公募
・リ電池応用・実用化技術
・カーボンニュートラル認証モデル事業
・環境省、再可エネ基金の配分額を決定
・環境省分散型モデル地域作りを募集
・新エネモデル事業を募集
・環境省、廃棄物エネの補助募集
・2国間クレジットの調査案件決定
・CO2削減診断事業の説明会
・住宅のゼロ・エネルギー化推進事業   etc.

<インタビュー>
・オフィスビルの照明もエネルギーサービスで
(知的照明システム推進協議会 事務局長 オフィスビル総合研究所特別顧問 本田広昭氏)
 昨年夏、東北・関東地方は大幅な電力不足に陥ったが、計画停電を実施することなく乗り切った。特に、オフィスビル部門での節電の貢献は顕著なものがあったといわれるが、やってみればまだまだ節電の余地が多く残されていたのだともいえる。とりわけ照明の節電効果が大きく、蛍光管の間引きなどで明る過ぎない照明が、かえって快適だったという意見も見られたという。今年4月、同志社大学の三木光範教授を会長に、知的照明システム推進協議会が発足した。オフィスを知的創造空間として捕らえ、それにふさわしい照明を考えることが節電につながるのだという。電力を賢く使うこと、ここに、これからのエネルギーサービスのヒントがある。



燃料電池新聞の主な記事
・海外燃料電池メーカーの業績
・燃料電池自動車の最新動向
・海外ニュース
 -独プロトンパワー、EV用の燃料電池レンジエクステンダーシステムを商品化
 -米エネルギー省、3Mとイートンに500万ドルを助成
 -米政府、米DelphiのSOFC補助動力装置開発の予算カットの公算
 -独ユーリッヒ研究センター、平板形SOFCで4万時間の稼働
 -ウォッチが燃料電池自動車を開発
 -欧州のトラック用APU開発プロジェクト「DESTA」がスタート
 -独経済技術省、マイクロコージェネの導入助成のため1800ユーロの補助金支給を開始
 -カナダ バラード、米IdaTechに2500台のFCgenR-1020ACSを供給
 -米連邦交通局、燃料電池バスプロジェクト支援のため660万ドルの資金提供
 -現代自動車、2013年に1000台規模のFCVを市場投入
 -パナソニック、英Walesに燃料電池R&Dセンターを開設
 -独Enertragの風力水素、独の水素ステーションへ供給を開始
 -ギリシャトロピカル、エコハウスに500台の家庭用燃料電池を供給
 -英ITMパワーのオンサイト水素製造装置が欧州認証を取得
 -米ClearEdge Power、オーストリアに5kWの燃料電池を1700台導入計画を発表
・燃料電池フラッシュニュース
 -日立製作所、メタノール透過を半減させたDMFC用電解質膜を開発
 -岩谷産業、水素ステーションでリンデのイオンコンプレッサーを採用
 -ホンダ、給電機能を付加した燃料電池車「FCXクラリティ」を埼玉県庁に納車
 -京セラ、太陽光発電に蓄電システムを組み合わせた新システムを開発
 -アンビック、有機溶剤を使わないナノ繊維を開発
 -産総研と北海道大学、白金触媒の酸化能力を向上させる触媒調製技術を開発
 -東北大、ナノワイヤを非晶質合金から大量合成
 -JX日鉱日石エネルギー、2015年にドイツのマイクロ燃料電池市場への参入を計画
 -三浦工業と住友精密工業、業務用SOFC燃料電池を共同開発
 -NEDO、微生物燃料電池を活用する廃水処理の技術開発に着手
・燃料電池インフォメーション
 ■水素エネルギー協会 第138回定例研究会:5月28日(月)タワーホール船堀(江戸川区総合区民ホール)○概要/豪州褐炭由来CO2フリー水素チェーンの概要及び進捗状況・川崎重工業 吉野泰氏/風力発電利用水素発電システム・日立製作所 石川敬郎氏/有機ケミカルハイドライドによる水素輸送技術の開発状況・千代田化工建設 岡田佳巳氏
 ■FCDIC 第19回燃料電池シンポジウム:5月16日(水)〜17日(木)タワーホール船堀 概要:燃料電池全般と水素製造精製の技術開発動向・市場動向に関するセミナー。46の講演
 ■第19回世界水素エネルギー会議&展示会:6月3日(日)〜6月7日(木) カナダ オンタリオ州 トロント市シェラトンセンター トロントホテル 概要:世界最大の水素・燃料電池クラスターを有するカナダで世界水素エネルギー会議&展示会。約55カ国から水素&燃料電池関係者が集まり、世界最先端の製品やテクノロジーが紹介され、パートナーを組む数多くの機会が提供される。今年は「エネルギー問題の解決策」をテーマに、企業、研究機関、サプライヤー、OEM、政府代表者などが参加する。    etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(66)
 =BEMSアグリゲーターへの期待=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(45)<グリーン経済を巡る南北問題>

・新刊紹介
 「拡大する世界の再生可能エネルギー 脱原発時代の到来」
 和田武+木村啓二著 世界思想社 2300円(税別)



コラム
・発電論評<電力不足で自家発への期待高まる>
・青空<新緑がまぶしい季節になった>
・ちょっと一休<京都・御室の桜に感動>
・ちょっと一言<削減目標の見直しは期待薄>


電力不足で自家発への期待高まる【発電論評】

 創エネという言葉が一般的になってきた。太陽光発電などを設置して、発電する住宅は「創エネハウス」と呼ばれている。発電機能を住宅が持つと、系統電力が停電しても、電気が使用できる。エネファームなどの燃料電池、エコキュートなどのガスエンジンコージェネを併設して発電力をアップするダブル発電や、蓄電池を導入して電力の自給率を高めるという工夫も始まっている。電力事業が脱原発依存なら、需要側では脱系統電力依存が始まっているということになるのだろうか。
 電力は買うものから作るものへ。プロが作った電気を購入するのか、プロが作ったシステムを購入して電気を作り使うのか。電気を購入する場合、明らかになったのは、非常災害時には電気の供給が保証されないと言うこと。また、欲しい電源が選択できないと言うこともわかった。その点、創エネにすれば、少なくとも太陽光発電の電力が選択できる。燃料電池は高効率で、天然ガスなどの燃料が無駄なく使えるということなのだろう。
 この夏も深刻な電力不足に陥ることが明らかになってきた。原子力発電を大量に建設してきたツケが回ってきたともいえるが、原子力発電への依存度を引き下げながら、新たな効率的で低炭素なエネルギー供給システムを構築するという制度改革の必要性は、既に社会的な合意事項となっているといえる。
 そうした中で、自家発電設備にかつてない注目が集まっている。前述の創エネハウスなどは、その一つの回答になり得る。自家発電することで、系統依存度が下げられ、その分原発や大規模火力を削減できる。創エネは家庭が先行しているように見えるが、自家発の歴史を見ると、工場などの産業用、高効率のガスコージェネを中心とした業務用、中小規模の自家発をアグリゲーとしたオンサイトエネルギーサービス、燃料電池や太陽光発電を使った家庭用へと、大規模なものから小規模なシステムへと順次技術開発が行われてきた。いわばどの規模でも分散型電源として期待に応えられる体制は整っているのだといえる。
 家庭用が中心だった太陽光発電も、固定価格買取制度の導入によってメガソーラーなどの大規模電源の開発へと新たな市場展開が始まっている。制度改革によって市場が変わる典型的な例だといえるが、買取制度に自家発やコージェネも加え、発電コストに見合った売電ができるようにすれば、新たなエネルギーサービス事業が出現し、結果的に高効率の電力供給システム普及拡大も期待できる。
 足下で自家発への期待は高まっているが、新たに導入される自家発は、省エネ型の製品開発が進められ、低炭素で効率的なエネルギーシステムとして導入されることが必要だ。