2012年42555日合併号(次号の発行日は5月15日付です)

三浦工業と住友精密、業務用SOFCの共同開発で合意
 三浦工業と住友精密工業は、業務用SOFC(固体酸化物型燃料電池)を共同開発する。
 今年度中に5kWクラスのシステム開発を行い、来年度には、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの都市ガス大手3社と協力して実証試験を開始する。
 三浦工業のボイラー技術による燃料ガス・廃熱の高度利用技術、コンポーネント製造技術と住友精密工業のSOFC技術、熱システム技術、熱交換技術などを組み合わせて、高品質で、低コストのコージェネレーションシステムとして開発する。
 開発するシステムは、発電効率48.0%、総合効率90.0%の国内最高クラスの性能を目指し、業務用分野で省エネルギーと電気の安定供給を可能とする高効率のコージェネレーションシステムとして普及を目指していく。
 SOFCは、大阪ガスが、他に先駆ける形で京セラ製のセルスタックを採用した出力700Wの家庭用エネファームを販売することにしている。SOFCは普及しているPEFCに比べて、発電効率が高いことや、反応温度が高く高温の廃熱が利用できること。また、白金などの高価な触媒が必要なく、将来的なコストダウンが期待できることなど、次世代型の燃料電池システムとして普及が期待されているもので、複数のメーカーの製品が競合しあうことで、SOFCの製品開発や普及に大きな弾みがついていくことが期待される。


環境税、10月からの導入決まる 石油石炭税に上乗せ
 環境税(地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例)が今年10月から導入されることが正式に決まった。租税特別措置法の改正案に盛り込まれる形で成立したもので、石油石炭税に上乗せされる形で課税される。
 石油、石炭、LPG・天然ガスといった全ての化石燃料にCO2・1tあたり289円が上乗せ課税される。経過措置が設けられており、3年半かけて税率が3段階に分けて引き上げられる。税収は、エネルギー起源のCO2の排出抑制施策に充てられることになっている。
 初年度の今年と来年度の1年半は原油・石油製品については1kLあたり250円、LNG・LPGのガス燃料については、1tあたり260円、石炭については、1tあたり220円が上乗せ課税される。初年度(10月から3月)の税収は391億円、経過措置が終わる平年度の税収は2623億円が見込まれている。
 税率は、2014年度には第2段階に引き上げられ、石油が500円、ガスが520円、石炭が440円に、さらに2年後の2016年度からは、石油が760円、ガスが780円、石炭が670円に引き上げられる。環境税を含めた石油石炭税の税額は、最終的には石油が2800円、ガスが、1860円、石炭が1370円となる。
 環境税については、地球温暖化対策の経済的な抑制効果を図る目的で導入されるものだが、京都議定書の第1約束期間には間に合わず、ポスト京都の対策として導入されることになった。石油価格を始め、化石燃料は総じて高止まりした状態が続いており、環境税の導入で化石燃料価格はさらに上昇することになるものの、それによる消費抑制効果がどれ程あるのかは明らかにされていない。税収は温暖化対策に充当されることになっているが、具体的には示されていない。


経産省、エネルギービジネス戦略を検討
 経済産業省は、スマートコミュニティー技術や再生可能エネルギーなどの次世代型のエネルギーシステムを国内の主要産業として育成することを目指して省内に「エネルギービジネス戦略研究会」(座長・柏木孝夫東京工業大学特命教授)を立ち上げた。4月17日に開かれた第1回の会合で、産業として自立させ、海外市場でも競争力のある事業展開を目指した課題整理などを行った。
 研究会では、2020年には世界の新エネルギー産業規模は自動車産業の約60%規模に迫る86兆円規模に成長するという試算を示して、世界市場で「エネルギー産業を成長させ、稼ぐ産業とするためのエネルギー産業政策」の構築を目指し、CVDプレーヤーやカーナビなどの世界市場の拡大と同時進行で日本企業がシェアを失ったということなどを教訓として新産業形成に向けて必要な育成策について検討する。
 第1回の会合では、新産業の活性化に成功したモデルとして情報通信事業を取り上げNTTコミュニケーションズのプレゼンテーションを受けた。
 新産業の形成には、国際競争力を確保し、世界市場でシェアを獲得することが不可欠との認識では一致しており、現地企業との協力関係の構築、その前提となる技術基準の国際標準化、国内市場を活性化するためのエネルギー産業への新規参入企業の拡大などを課題として7月を目途に議論を深めていく。
 日本の産業界は、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの技術開発では先行したものの、量産化や普及の段階で新興国などにシェアを奪われ国内産業が衰退するというパターンが続いており、新たに足腰の強いエネルギー産業として次世代エネルギー技術を位置づけることができるかが注目されるところ。


自家発規制緩和の特例、仮設ディーゼルの排ガス規制除外は終了
 昨年の東日本大震災に伴う電力供給対策の特例として実施された規制緩和策の大部分が今年も継続される。
 自家発電設備の関連では、環境影響評価が必要な火力発電の適用除外や、非常用発電設備を節電対策として稼働する場合は常用扱いしないで運転できる措置、可搬型のディーゼル発電などを自家発電設備として臨時に使用する場合の排ガス規制の適用除外、また、工事計画届けの不要化、定期検査時期の弾力化、工事開始制限期間の短縮措置、などが講ぜられ、夏期の電力不足対策として自家発電設備の供給力を増やす措置として実施された。それらのうち、環境省の所管する常用発電設備の排ガス規制の適用除外措置については打ち切りとなり、今年度は継続されない。それ以外のものについては、今後も継続されるものとして整理され、行政改革本部の確認事項として公表された。


その他の主な記事
・環境省、機構シナリオ研究成果を報告
・NEDO 風力バロメーターを公表
・エネルギー資源学会が政策懇話会
・矢崎が太陽熱システムを提供
・東工大が第3回シンポ
・東京都、太陽光設置プランを募集
・日本GEが報告書
・積水ハウスがスマートタウン
・JFE廃熱利用の熱電発電を実証へ
・三井物産と三菱商事シェールガス輸入を準備
・ホンダ、使用済みレアアースを回収
・住友電工MW級蓄電池を実証
・日立、2000台のスマートメーターを一元管理
・日立、ロシアで送電公社と提携
・豊田通商、カナダで炭層ガスの大量開発事業
・積水化学、下水熱利用の熱回収システムを実証へ
・東京ガス、エネファーム販売台数が1万台を突破
・富士ソフト、可視化ソリューションを発売
・NECがスマート分電盤を発売
・IBMのリチウム空気電池開発に旭化成などが参加
・北海道、道産エネルギー背品開発を支援
・富士通、薩摩川内市のエネビジョン策定に参画
・スマコミ導入促進事業で8件採択
・NEDO、次世代太陽光技術開発を募集
・NEDO有機系太陽電池を募集
・産総研など、地中熱活用でシンポジウム
・省エネセンターエネ管理講習を受け付け
・新エネ事業者支援など募集  etc.


<インタビュー>
・秋田で進む 9つのスマートシティープロジェクト
(アイ・エム・サービス 取締役 統括部長 大山肇氏)
 秋田市では現在、スマートシティー・プロジェクトが進行中である。計画では9つのプロジェクトがあり、そのうち「スマートシティ情報統合管理基盤」のプロジェクトでは、資産管理システムを通じてエネルギー消費を「見える化」し、分析し、効率化していく。このシステムの窓口となってきたのが、IBMのパートナー会社で、秋田県にもオフィスを置くアイ・エム・サービス。秋田スマートシティーのプロジェクトを代表して、IBMのカンファレンスで発表を行った、同社取締役統括部長の大山氏に、プロジェクトの成り立ちと今後の展開について話してもらった。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(21)
 =なぜ原子力発電にこだわるのかその理由=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・日本を変えるスマート革命 H
 =スマートシティ構築に向けた環境整備として必要なもの=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)




コラム
・発電論評<再生可能電力の公平な調達制度>
・青空<スプライトって何?>
・ちょっと一休み<パンダの会で新大久保の話を聞く>
・一筆啓上<太陽光発電と食糧自給率>


再生可能電力の公平な調達制度【発電論評】

 この夏も、電力の供給力不足が心配されているが、原子力発電所の再稼働の是非問題に置き換わってしまって、議論が混乱している。
 電力供給力の不足問題は、震災で多くの発電所が被災したことにより震災直後から顕在化していた。それなのに、その後の原発の大量停止問題も加わって、1年以上たってもまだ、電力不足を心配しなければならなくなっていることこそが問われなければならないのではないか。
 電力制度改革についてみても、発送電分離や、電力自由化範囲の拡大、分散型供給システムへの移行など、掲げられた論点の集約や改革の方向付けも曖昧なままで、今般の原発再稼動問題と同様に見切り発車し、結果的に、将来に禍根を残すことになってしまうのではないかということが懸念される。
例えば、改革の柱の一つである再生可能エネルギーの拡大については、固定価格買い取り制度に全てが託されるということになりそうなのだが、それもこのままでは、制度改革の方向性とは全く逆の結果につながりかねないのではないかという懸念がある。
 固定価格買い取り制度では、発電電力は系統電力として既存の電力会社に買い上げられる。コストは系統電力を使用するPPSも含む全需要家に公平に負担が求められる。一見問題はなさそうに見える。だが、見方によっては、全需要家が電力会社に対して再生可能エネルギー電源の設置に強制的に協力させられる仕組みだということもできる。その結果、国内に設置される再生可能電力のほとんど全てが、既存の電力会社に「独占」されてしまうことになり、結果的に、電力会社の独占供給力をますます強めてしまうということになりかねない。
 また、系統電力に再生可能電力が囲い込まれる結果、新規参入事業者は再生可能電源の調達ができなくなってしまうという恐れもある。そうなると、電力会社はグリーン電力というプレミアム付きの再生可能電力を通常の電気料金で販売できることになり、再生可能電力を調達できないPPSにとっては、公平な競争条件が得られないことになってしまう。
 こうしたことを防ぐためには、発電事業者が買い取り事業者を選択できるようにすることや、取引所などの公的機関が一元的に買い取って、PPSも含めた全ての電力事業者の販売電力量に応じて一律にコストと電力を同時に割り振ること、あるいは、買い取った再生可能電力の全量を市場で取り引きする仕組みに変えるなど、新規参入事業者が再生可能電力を自由かつ公平に調達できる仕組みを整備することが必要なのではないか。
 電力制度改革の方向性に沿って固定価格買い取り制度も運営されることを望みたい。