2012.04.15


2012年415日号

太陽光42円、風力22円から25円など、買い取り要望出そろう
 固定価格買い取り制度の買い取り価格や買い取り期間について検討している調達価格等委員会(委員長・植田和弘京都大学大学院教授)は、事業者団体などからのヒアリング結果に基づいて、買い取り価格に反映させるコストや事業報酬などについて具体的な検討に入った。
 買い取り価格については、再生可能エネルギーの種別毎に、コストや事業性を考慮して決めることが求められており、委員会では、太陽光発電、風力発電、地熱発電、中小水力、バイオマス発電の事業者団体などから買い取り条件の要望などヒアリングした。
 要望結果を電源毎に見ると、太陽光発電はメガソーラーなど大規模設備についても余剰電力買取制度が継続される住宅用と同じ42円を要望。買い取り期間については、住宅用より長期の20年を要望した。風力については、20kW以下の小型風力と事業用の大型風力に分け、小型については、太陽光発電よりも高額の50円〜55円で20年、大型については22円〜25円で20年が要望されている。
 地熱発電については、規模や立地条件によって事業性が大きく異なることを考慮して20円〜37円の幅で、期間は法定耐用年数である15年を要望。中小水力も規模による事業性が大きく異なるとして29円〜35円の幅。中小水力は自治体などの公営のものがあり、これについては24円程度が要望された。期間についてはどちらも20年。
 バイオマスについては、規模の大きい廃棄物発電は、16.5円で25年〜30年。その他のバイオマスについては、木質、下水汚泥、家畜排泄物など種類も豊富でさらに規模のばらつきも大きく、それぞれの要望を合わせると14.5円から39円程度の幅での買い取り要望となっている。
 委員会では、具体的な買い取り条件を今後の議論の中で詰めていく。


鹿児島湾に7万kWのメガソーラーを建設
 京セラとIHI、みずほコーポレート銀行の3社は、鹿児島市のIHIの所有地に7万kWの太陽光発電所を建設することで基本合意した。今後、事業性について検討し、7月から始まる再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で売電を行う発電事業会社を設立する。完成すれば、ケタ違いに大きい、国内最大の太陽光発電所となる。
 建設予定地は、IHIの所有地で、桜島の対岸にある鹿児島市七ツ島のIHIの所有地約127万平方mの敷地内に京セラ製の多結晶シリコン型の太陽光パネルを約29万枚設置して、年間約7900万kWhの太陽光発電を行う計画。IHIは、メガソーラーの他にも余剰敷地を活用してその他の再生可能エネルギーの実験・実証の場として活用することも検討していく。
 太陽光発電所の運営は、発電事業を行う特別目的会社を設立する実施することにしており、設立する事業会社は京セラが筆頭株主になる。3社の他に、KDDI、九電工、鹿児島銀行、竹中工務店も出資して事業協力する予定。
 太陽光発電所の建設は、京セラグループが、太陽電池モジュールの全てを供給し、施工・保守・管理の一部を担当、IHIは土地を貸与するほか、積極的に事業運営に参加する。みずほコーポレート銀行は、プロジェクトファイナンスのスキーム検討を担当する。


経産省と環境省、国内クレジット制度を一本化
 経済産業省と環境省は、それぞれ独立した制度運用を行っている国内クレジット制度とオフセットクレジット制度(J−VER)を統合する方向で、検討会を設置した。
 2つの制度とも、京都議定書の目標達成計画による国内でのCO2削減の取り組みの進展を目的に、2008年に発足させたもので、国内クレジット制度は各業界が取り組んだ自主行動計画の目標達成に利用できる制度として運用された。
 J−VER制度は、カーボンオフセット用のクレジット創出を目的に環境省が制度化し運用しているもので、国内でのイベントや事業活動などで排出するCO2を相殺するクレジットとして活用されている。
 両制度とも2012年度に終了する第1約束期間を対象に制度設計されており、今年度が最終年度に当たっていることから、新たな枠組みの下でスタートする2013年度以降の国内クレジット制度として存続・活用する方向で制度の統合も含めて検討する。


三菱重工、上海に産業用ディーゼルの合弁会社を設立
 三菱重工業は、上海に現地企業との合弁で、ディーゼルエンジンの生産・販売会社を設立する。成長著しい中国の産業用ディーゼルエンジン市場に参入し、価格競争力を強化しながらシェア拡大を図る。
 合弁するのは中国のディーゼルエンジンの最大手メーカーである上海ディーゼルで、両社が25億円を折半出資して設立し、今年12月の生産・販売開始を目指す。500〜1600kWの産業用ディーゼルエンジンを製造し、当面100億円、将来的には200億円規模の売り上げを目指す。調達・販売・サービスは、上海ディーゼルが持つ広範なネットワークを活用する。
 中国では、ディーゼルエンジンの需要が高まっており、天然ガスを燃料とするガスコージェネレーションの市場も急拡大の様相を見せるなど、分散型エネルギーシステムに高い関心が集まっている。


その他の主な記事
・電力システム改革委、発電事業者などから要望事項など聞く
・知的照明協議会が発足
・兵庫県住宅用太陽光に低利融資
・福岡市メガソーラーをプロポーザル募集
・埼玉県が新エネ参入企業を支援
・大阪市が先島地区をスマート開発
・環境省、火力の環境アセスを一部緩和
・愛知県、下水汚泥をバイオマス燃料化
・中国の工場に廃熱発電設備
・熱電変換素子を印刷で製造
・東京ガス田町でスマエネモデル
・東京ガスと帝石がLPG事業を統合
・住友電工 中国で低炭素シティーを合弁
・三菱重工、上海でディーゼルエンジンを合弁
・沖縄のメガソーラーが運開
・ミサワホームが既築住宅向け計量太陽光
・Jパワー、風力発電事業を統合
・HEMS支援も対象機器を採択
・BEMSアグリゲーターに21社
・九州電力、風力連系を随時受付に
・J−VER活用復興支援を継続募集
・風力アセス先行モデルを採択
・エコジャパンカップ説明会
・NEDOSICパワー半導体開発を募集
・大阪府温暖化対策で人材育成
・NEDO太陽熱住宅を追加募集   etc.

<インタビュー>
・IT企業が考えるエネルギーのスマート化
(スマートジャパンアライアンス 理事長 江川将峰氏)
 エネルギー分野で、スマート化というコンセプトが持てはやされるようになって久しい。スマートグリッドやスマートメーターなど、いずれも将来のインフラには不可欠なものとして期待されている。しかし、現実のスマート化はまだ遠いとも感じられる。今年1月、スマートジャパンアライアンスが発足した。エネルギーではなく、IT企業側からのアプローチだ。既存の技術を活用し、実用ベースでIT化・ネットワーク化を加速させ、社会のスマート化を推進していくのだという。理事長の江川将峰氏に話を伺った。



燃料電池新聞の主な記事
・英国の燃料電池開発の最新動向
・韓国の家庭用燃料電池
・ダイムラーの2015年
・海外ニュース
 -独Vaillantと独EnBW社、壁掛けタイプの家庭用SOFC燃料電池の実証試験を開始
 -デンマーク政府、FCV普及のために水素インフラ整備とFCV購入時の減税を発表
 -英ITM Power、シンガポールHorizonと水電解水素製造装置の供給契約を締結
 -米ブルームエナジー、基幹システムの電源セキュリティを確保するソリューションを発表
 -独政府、風力発電の余剰電力を水素で貯蔵するポテンシャルの調査を開始
 -米FCエナジーと韓国POSCOエナジー、パートナーシップを強化
 -米GM、PHVボルトの生産を5週間停止
 -独BMW、GMと燃料電池などの次世代技術で提携を協議
 -トヨタ自動車、2020年に数万台のFCVを製造する準備を進める
 -英ロンドン大学など、燃料電池のセパレータを回路基板で代替する燃料電池を開発
 -米レリオン、省スペース型バックアップ電源の販売を開始
 -豪で2011年に新設された水素ステーションは12カ所、合計215カ所が稼動
 -セラミックFC、2011年6〜12月に67台の燃料電池ユニットを販売
・燃料電池フラッシュニュース
 -日立金属、水素分離膜用のニオブ合金箔を開発
 -積水ハウス、全67区画にW発電をそなえた「スマートコモンステージけやき平」販売開始
 -三菱化工機、水素ステーション向け水素製造装置を開発
 -パナソニック、DMFCとリチウム電池併用の小型電源システム実証
 -大阪ガス、家庭用SOFC燃料電池の販売開始
 -産総研、二酸化炭素とギ酸を相互変換するエネルギー効率の高い触媒を開発
 -東京ガス、横浜で集合住宅版スマートハウス実証試験を開始
 -ACEJ、ガス事業者を組織化して「エネファーム」拡販の営業ノウハウを提供
 -大阪ガス、2012年度グループ経営計画を発表
 -日本LPガス協会、「2030年までの中長期ビジョン」を改訂
 -ニッポン高度紙工業、低価格電解質膜を開発
・燃料電池インフォメーション


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(65)
 =省エネ法の名称が変わった=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(44)<事業性がなくなりつつある原子力発電>

・キーパーソン
 =アジアスーパーグリッド構想を掲げる=
 公益社団法人自然エネルギー財団会長 設立者 孫正義氏



コラム
・発電論評<分散型拡大にはバイオ燃料の開発を>
・青空<専門紙記者の矜持>
・ちょっと一休<銀行トップ経験者の相次ぐ死>
・ちょっと一言<原発再稼動には高いハードル>


分散型拡大にはバイオ燃料の開発を【発電論評】

 低炭素社会へ向かう、電力供給構造を変える、エネルギー自給率を高める。この3つがこれからの日本のエネルギーを考えていくキーワードなのだとすると、コージェネなどの中小規模の分散型発電設備の活用がもっとも効果的で現実的な手段だといえる。
 こうした、分散型のシステムはエンジン駆動が主流であり、低炭素化の要求に対しては燃料自体の低炭素化と、高効率化して燃料消費量を削減するのかという2つの道がある。
 燃料の低炭素化には、化石燃料ではなくバイオマス燃料を使うという方法がある。バイオマスは、低炭素時代にはもっとも相応しい燃料である。再生可能であり、木材や資源作物、また海洋生物などから工業的に製造できる。化石燃料との混焼もできる。問題は、現実的に燃料として流通していないことで、流通させる見通しや目標も全く立っていないという現実である。燃料として使う場合には、ガス化と液化が必要になるが、技術はあっても利用できる燃料がないのでは、使いようがない。
 バイオ燃料は、自動車用燃料が先行してしまっているように見えるが、日本国内での評価は低く、ほとんど流通していない。バイオエタノールは、食料価格の高騰につながるという批判もある。そもそも、バイオ燃料を拡大しようという意欲も具体的な政策もないというのが実情だ。
 バイオマスの利活用を総合的に進める取り組みとして推進されているはずのバイオマス・ニッポン総合戦略も、全国に300を超えるのバイオマスタウン構想が創られているが、検証報告もほとんど見られず、目立った成果も聞けないのが現状。構想のスタート時には、それなりの期待もあったはずであるが、最近では忘れ去られてしまっている。もう一度原点に立ち返った戦略の見直しが必要なのではないか。
 低炭素化のもう一つのアプローチは、熱効率を上げ、燃費を良くすることが考えられる。燃料の使用量を減らすことで、低炭素化は、省エネルギーと一体化することになる。輸入に頼る化石燃料の使用量を削減することで、相対的にエネルギーの国産化率を高めることができる。この場合の国産エネルギーは水力や地熱、風力、太陽光などの自然エネルギーであり、また、バイオマスであったりする。
 分散型システムの特徴は、機動力に富み負荷変動の追従性が高いため、出力の不安定な再生可能エネルギーと組み合わせることで安定的な電源として利用できるようになること。大量の蓄電池設備など、大げさな系統対策を大幅に軽減できる。そこで、バイオマス燃料が使えれば、更なる低炭素化とエネルギー自給率の向上が図れることになる。バイオマス燃料開発の加速化を願うものである。