2012年45日号

経産省、自家発補給契約で規制緩和
 経済産業省は、自家発電設備の規制緩和の一環として、自家発電設備が停止中に系統電力から電力補給を受ける場合に、通常の受電契約とは切り離して、PPS(新電力)など別の電力会社と補給契約を締結できるようにする「自家発補給契約の運用に係る指針」を新たに策定し、公表した。
 自家発電設備を系統に接続する場合には電力会社から高額の補給契約をセットで申し込むことを求められるのが通常であり、今回の措置で別のPPSなどと安価な補給契約ができると、自家発の運用がやりやすくなる。
 政府のエネルギー分野での規制緩和策の一つとして取り上げられ、年度内の対策が求められていたことに応えた措置で、補給契約だけを切り離して新電力(PPS)と契約できるようにすることで自家発補給契約の低料金化を期待している。
 示された指針では、新たに自家発補給契約を結ぶ場合、補給契約分と常時契約分の電力を仕分けできるようにして、@補給電力を受電する必要があるときは、需要家から申し出によって常時平均需要を上回る部分の電力を補給契約を結んだ電力事業者が供給し、その内容については一般電力事業者が事後的に確認するA自家発の発電計画を事前に提出し、発電実績の不足分を補給電力とし、発電計画の事前提出が困難な場合にも柔軟な運用を求めることとする。また、別契約した場合の託送料金については、同一契約時の取扱と同様にすることを求め、自家発停止時の補給電力が常時契約電力の範囲内であれば補給契約を使用しなかったとして運用する考え方を提示している。


大阪府、コージェネ燃料費を半額補助
 大阪府は、コージェネレーションの燃料費の半額補助制度を実施する。電力需給がひっ迫する中で、電気の供給力の強化を目的に、燃料費の高騰などの理由で休止・廃止している都市ガスを燃料とするガスコージェネレーション設備に対して設備の再稼動等に必要な燃料費を補助する。
 大阪府内に設置されている常用のガスコージェネレーション設備で、@電気事業の用に供するために休止設備を再稼働するA自家発電設備で発電した電気や動力を自家消費する目的で休止あるいは廃止している設備を再稼働する場合に、再稼働に必要な点検整備費や運転に必要な燃料費を補助する。点検整備費の上限額は1kWあたり1万5000円。燃料費の補助率は2分の1で、来年の2月中までの約1年間、運転に必要な燃料費を補助する。
 原子力発電の再稼働のメドが立たない中で、自家発電設備の活用策が講じられてきているが、燃料費の高騰によって稼働を停止しているコージェネレーションなどの自家発電設備は相当数あると言われている。大阪府では、燃料費を補助することで設備保有者の運転コストを下げ、休眠中の自家発電設備を電力供給設備として運転することを促したい考え。


コージェネ・自家発からの買取料金を初めて調査
 経済産業省は、自家発電設備として導入されているコージェネレーション設備の余剰電力の買い取りの現状をまとめた。3月27日に開催された第17回の基本問題委員会で委員の要望に応える形で買い取りの実態についてまとめた資料を公開した。
 コージェネからの売電については、回避可能原価相当で買い取られる場合がほとんどで、夏期の昼間の全国平均価格(1kWh当たりの単価)が6.01円。その他の期間が5.34円。夜間・休日が3.39円という実態。東日本大震災後は事情の変化が見られ、今冬の実績では、12円を超える金額で自家発の余剰電力を購入している事例が見られ、関西電力では17円、また新電力(PPS)でも17円で購入している事例もあった。
 経済産業省では、ピーク電力抑制など節電対策の一環として自家発やコージェネの活用を促進していく政府の方針の下で、自家発やコージェネの活用策についても検討を進めることにしており、複数のコージェネをまとめて売電することで卸電力取り引きを可能にするなどの制度整備や、自家発からの売電価格の適正化に向けた環境整備などの課題を具体化して、今後対策を講じていくことも明らかにした。
 自家発からの売電については、卸電力取引の活性化が期待されているが、取引条件が1千kWh以上とされていることなど中小規模のコージェネではそもそも取り引きに参加できないことや、託送料金、同時同量制度なども障害となっていると指摘されている。


その他の主な記事
・環境・エネルギーで規制緩和28項目を公表
・ソーラーフロンティア、日本アジアと太陽光事業で連携
・京セラ、太陽光と蓄電池の組み合わせシステムを発売
・シャープ、多結晶シリコン製造会社を整理解散へ
・ユーラスが太陽光にも参入
・三菱重工エンジンシステムに小型ガソリンエンジンを集約
・住友商事米国の風力発電事業に参加
・新エネの人材派遣サービスを開始
・神戸製鋼国内初の温泉発電を受注
・川崎重工業松坂市のゴミ処理施設でゴミ発電。
・ダイハツDと三井造船、中国企業にガスエンジン技術を供与
・日立、CCS向けの新CO2吸着剤を開発
・日立、DMFC用の新電解質膜
・富士重工、日立に風力事業を譲渡
・富士電機、米国最大のバイオマス発電を受注
・下水処理場のバイオガス製造を認可
・国交省、中小水力開発の相談窓口を開設
・充電装置単独の需給契約を認可
・温泉地熱開発で新通知
・四国電力、スマメ実証試験を開始
・商業規模のGTL技術実証を終了
・スマートハウス国際標準化で3テーマ採択
・NEDO次世代バイオマス研究テーマを募集
・再生可能エネ補助募集で説明会
・神奈川県エネルギーベンチャー事業を全国から募集
・神奈川県、ソーラーエコタウンをプロ募集
・GT40周年記念行事
・12年度エコリース促進事業・指定事業と補助事業者決定  etc.

<インタビュー>
・地方ガス事業者の戦略
(千葉ガス取締役社長 角田憲司氏)
 東日本大震災による電力不足による省エネルギー意識の高まりは「節電」にとどまらず都市ガス事業へも及んでいる。エネルギー消費者の意識は、節電にとどまらず、蓄エネや創エネへと広がっている。そうした中で、エネルギーの供給者とそれを受け取る消費者の関係は、より信頼関係の構築に移り、需要家の求める低炭素で快適な住みやすい「街作り」にいかに参加するのかということが問われてくるといえるようだ。低炭素で省エネルギーに向かう社会に対して都市ガス事業者はどのような姿を目指すのか。千葉ガスを訪ねて角田社長に、今後の都市ガス事業の目指す方向について話を伺った。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(30)地域のエネルギーは地域で決める=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・ポスト震災のエネルギーシステム(その7)
 =次世代エネシステム構築へ本質的な議論を望む=
 井熊 均/日本総合研究所創発戦略センター所長


・キーパーソン
 =アジアスーパーグリッド構想を掲げる=
 自然エネルギー財団会長 設立者 孫正義氏



コラム
・発電論評<コージェネ・自家発の運用改善が始まった>
・プリズム<電気料金値上げに見る東京電力の姿勢>
・青空<政局の春が来た>
・ちょっと一休<やっと実現した富岡先輩の見舞い>


コージェネ・自家発の運用改善が始まった【発電論評】

 コージェネ・自家発の活用策が相次いで具体的な形として打ち出されてきた。今回の改革は、技術開発ではなく、自家発を使いやすくすることを目的とした制度面での運用改善を図るものだ。
 たとえば自家発補給契約。自家発を運用する場合、故障や事故で停止するリスクがある。定期点検では必ず停止する。こうした場合の対策としては、複数台の自家発を設置しておいて、順番に点検整備することで必要な電力は常に確保できるようにしておくというのが一般的なやり方だ。
 常用自家発の運転は、常に変動する負荷(需要)電力に応じた電気の供給が必要だから、1台の自家発で負荷追従しようとすると、常に定格出力以下の効率の悪い運転を余儀なくされる。このため、複数台を設置して台数制御も行いながら、きめ細かな負荷追従制御をして効率的な運転を行い、ランニングコストを最小化するという手段をとる。複数台を設置するため、イニシャルコストは高くなってしまうが、ランニングも含めたライフサイクルで考えると、こちらの方が断然コストメリットがある。さらに、効率運転が行えるため、消費する燃料が少ない=CO2削減にも貢献できることになる。
 日本の自家発の大半は系統とは切り離され、系統電力を一部使用する施設でも自家発側から系統側へ電力を送り出す、いわゆる逆潮運転は認められない。逆潮する、つまり、売電したくても運転経費にも満たない低額な買い取り価格しか提示されないので、売れば売るほど赤字になる。PPSなどに売ろうとしても、高額な託送料金がネックとなる。
 コージェネなどの自家発電設備を導入する場合、必要な電力より小規模な自家発容量として一部は系統電力を残すと言うことが一般的。これは先ほどの逆潮運転が簡単にできないということに起因するのだが、その場合に半ば強制的に自家発の補給契約が必要となる。自家発が停止した場合は、契約電力以上の電力の供給を受けることになるための予防措置として求められるのだが、使っても使わなくても一定の基本料金を支払う。しかも電力会社が示す料金などの条件を受け入れるほかない。
 今回の規制緩和措置で、この補給契約だけを切り離して、別の電力事業者と自由に契約できるようになる。補給契約は事故や故障に備える保険のようなもので、実際に使われることは定期点検時など限られた期間であるため、供給力の弱いPPSなどでも補給契約を結べることを期待しての措置。より条件の良い補給契約を選択できるようにする。
 高止まりした燃料費問題など、自家発の活用にはまだ多くの課題が残されている。実態に即した運用改善が続くことを期待したい。