2012年325日号

大阪ガスが家庭用SOFCを4月に発売 発電効率は46.5%
 大阪ガスは、SOFC(個体酸化物型)タイプのエネファーム(発電出力700W)の商品化を終え、販売を開始すると発表した。
 京セラ、アイシン精機、トヨタ自動車、長府製作所と共同開発を進めていたもので、大阪ガスのコージェネレーションシステムの設計・施工およびメンテナンス技術、京セラのセルスタック設計・製造技術、アイシン・トヨタの発電ユニットの設計・製造技術、長府の排熱利用給湯暖房ユニットの設計・製造技術といった各社の強みを活かして共同開発したもので、4月27日から販売を開始する。システム価格は275万1千円(税込)。
 発電効率は46.5%と先行販売しているPEFC(固体高分子型)を10%程度上回る高効率の発電効率を誇るシステムで、廃熱回収を含めた総合効率では90%を達成するなど、極めて高効率の燃料電池システムとして商品化された。
 SOFCは燃料を電気に変換する際の反応温度が700〜800度Cと極めて高いため、排熱が蒸気回収できることや、触媒に白金などの希少金属を使用しないため、将来的なコストダウンの余地が大きいなど、次世代型の燃料電池として実用化が待たれていた。
 部品点数や排熱量が少ないく、コンパクトなシステムであり、スペースに制約のある戸建て住宅や、集合住宅へも設置できる。


産総研らが、安価な水素の大量貯蔵技術開発に目途
 産業技術総合研究所は、CO2と水素を簡単に蟻酸に変換し、また、ギ酸から水素とCO2に戻せる画期的な技術を開発したと発表した。水素を簡単に、かつ大量に貯蔵できる技術に発展できるものとして注目される。
 産総研のエネルギー技術研究部門の太陽光エネルギー変換グループが、米国のブルックヘブン国立研究所と共同で開発したもので、常温常圧の水中で水素ガスをCO2と反応させてギ酸(HCO2H)を生成するとともに、ギ酸を分解して固体高分子形燃料電池などに適したCOを含まない高圧水素を供給できる高効率二酸化炭素/ギ酸の相互変換触媒を開発した。触媒を溶かした水溶液にCO2と水素ガスを吹き込むと高効率でギ酸を生成し、水素をギ酸の形で貯蔵できる。さらに、ギ酸の溶けた水溶液に酸を加えてPH調整することで簡単に水素を発生させることができる。
 水素を燃料として簡単に電気に転換できることになり、電気の貯蔵用として、また、安価で大量の水素貯蔵技術として注目される。


エネルギー基本計画、2030年の電源構成を議論
 原子力発電の依存度を低減する新たなエネルギー基本計画の策定に向けて検討を行っている総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会(委員長・三村明夫新日本製鐵代表取締役会長)は3月19日の第16回の会合で、各委員に提出を求めた2030年の電源構成のイメージや、再生可能エネルギーの導入見通し、火力発電の燃料種別ごとの考え方などをもとに議論した。
 2030年の原子力発電については、ゼロになっていると見込む委員が7人と最も多く、20%以上残ると見る委員は4人と見方が分かれるが、徐々に依存度を減らすべきだとする考えには多くの委員が賛同しているように見える。廃炉に向けた技術開発や、原子力技術の維持、また電源多様化の観点からも必要最低限は残すべきだとする意見も聞かれ、原子力の扱いについては意見の集約は難しそうな様相。
 再生可能エネルギーについては、20〜30%程度を見込むものが8人と集中しており、20%以上程度は再生可能エネルギーが導入されるとの見方が多い。
 今回から新たに電力供給力としてカウントされることになった。自家発やコージェネは、自家消費することで系統電力の消費抑制に貢献することと余剰電力を売電することで系統供給電源となるという2つの役割が期待されている。これまで自家発やコージェネなどは系統電力の分類からは除外された例外扱いであったが、今回の資料には2010年度実績で6.5%、現行基本計画でも14%という構成比が書き込まれている。10%〜15%程度を見込む委員が多い。
 総体的に見ると、原子力は20%以下、再生可能エネルギーは、20%前後、火力は50%以下、自家発コージェネは、10〜から15%程度というのが平均的な考え方として整理できるようだ。


経産省、再可エネ調達方針など整理
 経済産業省は、3月15日と3月19日に、再生可能エネルギーの買い取り価格や期間を決める調達価格等算定委員会の2回目と3回目の会合を相次いで開催し、委員会での検討事項の整理を行うと共に、事業者団体などからのプレゼンテーションを受けた。
 15日に開かれた2回目の会合では、法律に基づく委員会の検討事項について、買い取り期間と価格の算定に当たっては、発電事業者の適正な利潤を確保することや再生可能エネルギー設備の種別毎に想定した発電電力量に基づいて1kW時当たりの単価を算定すること、買い取りにより発生する需要家への負担額が過大にならない範囲で算定することなどが再確認された。また、発電コストには、事務費や建設コストなどが含まれるが接続費用については含まないことなどを確認。新制度によって急速に導入が促進されると期待されているメガソーラーなどの大規模電源については、土地の賃借費や系統連系費用などをどう見積もるのかなどが、今後の検討課題として浮上している。
 また、家庭用については、余剰電力買取制度が延長されることになっているが、家庭用についても全量買い取りを選択肢として加えるべきではないかとの意見が出され、事業者が住宅の屋根を借り上げて太陽光発電を行う「事業用」については新制度の対象となるという事務局側の考えが述べられたが、引き続き今後考え方を整理した上で検討することとされた。


その他の主な記事
・地熱開発に温泉保護ガイドライン示す
・電気料金見直し有識者会議が報告書
・再可エネ買い取り賦課金の調整団体を指定
・東芝がスマート市場の海外調査
・川崎重工が高効率のGTをベルギーの工場に納入
・JX日鉱日石、震災対応型SSを展開
・産総研が安価な水素製造技術を開発
・三菱重工、カタールからCO2回収装置
・三菱樹脂が高性能冷凍機を開発
・丸紅、英国の洋上風力建設事業に本格参入
・ソーラ−フロンティアが独で合弁
・東ガスが横浜にスマートハウス
・被災地向け再可エネ導入補助を受け付け
・CO−Netアドバイザー養成講座
・外務省がV4エネルギー効率化ワークショップ
・東工大AES第3回シンポ
・12月末のRPS認定状況
・排ガス対策原動機と建機、低騒音建機
・EV戦略やスマコミなどでJPIセミナー
・地熱開発などでSSKセミナー  etc.


〈特集〉
・電力危機に貢献するガスタービン発電
(川崎重工業 ガスタービン・機械カンパニー・ガスタービンビジネスセンター長 衣斐正宏氏)
国内の自家発電市場は、東日本大震災に伴う原子力発電事故、それにより顕在化した電力供給力不足によって大きく様変わりした。東日本大震災前、系統電力に押されて冷え切っていた常用自家発電市場は、分散型エネルギーシステムが脚光を浴びる中でにわかに活況を帯びている。燃料費の高騰により長期間運転を停止していた自家発電設備は再整備され、緊迫した夏のピーク需要を強力にバックアップした。大規模から分散型へ、国内の発電市場を以降を見据えた制度改革の議論が進む中で、今後の国内自家発電市場はどのように展望できるのか。市場活性化に向けた課題や対策について、日本の産業用ガスタービンのトップメーカーである川崎重工業に話を聞き、ガスタービンコージェネを利用した電力の小売り事業の実施例について紹介する。


〈インタビュー〉
・IBMの「スマーター・プラネット」戦略
(日本IBMソフトウェア事業TIVOLI事業部理事・事業部長 荒川朋美氏)




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 20
 =増加するCO2排出量と10年間の平均気温が下がり続ける理由=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・日本を変えるスマート革命 8
 =電力改革はいかにあるべきか=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから




コラム
・発電論評<買取制度の回避可能原価>
・青空<桜前線が北上している>
・ちょっと一休み<松川先輩とゴルフ>
・一筆啓上<崖っぷちの電力改革>


買い取り制度の回避可能原価【発電論評】

 再生可能エネルギーの回避可能原価の考え方について、はあまり知られていないが、回避可能原価というのはどういうものなのか。調べてみた。
 簡単に言ってしまうと、ほぼ燃料費相当分と言うことになる。再生可能エネルギーなどの電力を外部から調達することで、自社発電所の運転が削減できるため、それに相当する発電コストを買い取り費から差し引くというもので、コージェネや自家発などの余剰電力を電力会社に購入して貰う場合にも、これが示される。
 太陽光発電で実施されている余剰電力買取制度では、買い取り価格からこの回避可能原価を差し引いた残価が電気料金に上乗せして回収される。7月からの新制度でもこの考え方が踏襲されることになっているが、この回避可能原価の考え方については疑問の声が上がっている。
 回避可能原価は、どの発電所を止めるかは決められないとして、全電源平均の可変費を充てると説明されている。可変費は発電コストから、発電所の運営管理に必要な固定費を除いたもので、ほぼ燃料費に相当するとされ、現状では6円程度と想定されている。
 再生可能エネルギーの買い取り価格から、1kW時あたり6円を差し引いたものが買い取りコストとして電気料金に上乗せして回収されることになるわけだが、買い取った電気は通常の電気として販売されるわけであり、別の見方をすれば、電力会社は6円で仕入れた電気を定価で売ることができることになる。
 先頃報告された政府のコスト等検証委員会の報告書によると、火力発電の場合の発電コストは、燃料費の他には、資本費、運転維持費、CO2対策費、政策経費などが計上され、発電コストは10円から11円程度と整理されている。つまり、通常10円程度は必要な電力が6円程度で調達できることになるわけで、電力会社は買取制度によって特別に安価な電力が国から供給補償されるという見方もできる。
 買い取り価格の算定は、再生可能エネルギーの拡大支援の観点からは、可能な限り高価格で長期間の買い取りが望ましく、一方、需要家の負担軽減の観点からは、料金負担を可能な限り抑制するという二律背反の問題に答えを出すことを求められていることを思えば、回避可能原価を卸電力の調達コストと考えて、発電コストに置き換えるというのが適当なのではないか。
 また、再生可能エネルギーには、CO2ゼロの環境価値の問題もあるはずだが、これも、グリーン電力証書程度を回避可能原価に含めれば、回収コストがさらに抑制できるのではないか。買い取り価格の検討にあたっては、回避可能原価の内容についても検討してみる必要がありそうだ。