2012年35日号

2050年までに風力5千万kWを導入 風力発電協会がロードマップ
 日本風力発電協会は、2050年までに国内の風力発電の導入目標量を5千万kWとする中・長期のロードマップをまとめ発表した。
 ロードマップは、環境省や経産省が最近行った風力発電の導入ポテンシャル調査などの最新の調査データなども反映させて、協会が2010年6月の導入目標とロードマップをバージョンアップさせた。
 国内の風力発電の導入ポテンシャルは、陸上風力が各電力会社の現状の設備容量を上限とした場合は5905万kW、洋上風力が1億1612万kWで、系統の負荷変動調整力や社会的制約などを考慮して、陸上の場合2500万kW、洋上は2500万kW、合計5千万kWを2050年までの開発可能な導入目標量とした。
 5千万kWの風力発電は、設備利用率20%と仮定すると日本国内の現在の年間電力需要の約10%程度をまかなうことができる計算で、2050年時点では事業用の発電設備容量の20%、需要電力量の15%程度に相当すると試算している。


太陽光買取分を排出係数に反映 経産省が基準 4月から適用へ
 経済産業省と環境省は、温対法の報告に使用する電力のCO2排出係数に反映させる太陽光発電の環境価値の配分方法について、検討委の検討結果をまとめた。2月24日にほぼ1年ぶりとなる検討会を開催し、PPSと電力会社の電力販売量に応じた配分方法を決めた。
 余剰電力買取制度に基づいて買い取られる電力については、系統電力を使用するPPSの需要家についても料金負担が求められているが、これに基づいて配分される環境価値の計算方法が明確になっていなかったことから新たな計算基準が必要だった。検討委では、PPSに配分する環境価値について、PPSと電力会社の販売電力量に対応した係数(調整電力量)を用いて算定することにした。検討結果に基づいて、4月からの各電力会社の調整後の排出係数に反映できるようにする。太陽光発電の買取量はまだ少ないため、実際の排出係数への影響はほとんど無い。
 電力会社が販売する電力のCO2排出係数は、省エネ法や温対法で報告する際に電力需要家が使用した電力分のCO2排出量の算定に使用される。排出係数は実際に発電段階で消費された実排出係数と、実排出係数に電力会社が購入したCDMクレジットなどによるオフセット分を差し引いたた調整後の排出係数の2種類があり、電力需要家は、調整後の排出係数を使って報告することが認められている。
 7月からは再生可能エネルギーの全量買取制度が始まるが、これによる排出係数への反映は、今回の措置とは別に、制度開始後に改めて検討される。


天然ガスの国内備蓄は地下貯留で
 天然ガスの利用拡大の一環として、ガスのインフラ整備について検討を進めている経済産業省の天然ガスシフト基盤整備専門委員会は、2月27日の第2回の会合で事業者からの意見聴取を行い、その中で、石油資源開発が天然ガスの地下貯留について提案し注目された。
 天然ガスについては、化石燃料の中では最もCO2排出量などが少ないクリーンエネルギーであることなどで石油や石炭の代替だけでなく、原子力発電の当面の代替電源として燃料需要が急増しており、安定供給確保の観点から国内での備蓄量の拡大が、新たな課題となってきている。石油資源開発の提案はこうした天然ガスの供給セキュリティの向上を図る現実的な提案として示されている。
 具体的な地下貯留の方法は、輸入したLNGを気化、国内の使用済みの油田やガス田に圧入するというもので、安全性が確認できればCO2の地下貯留などの候補地として検討されている地下の帯水層にも貯留できる。
 石油資源開発によると、既に国産ガスについては5カ所の枯渇ガス田で実施実績があり、5カ所の合計で約14億立方メートルのガスが需要調整などを目的に繰り返し圧入再生産が行われている。
現在の地下貯留は国産ガスに限定されているため小規模なものに止まっているが、輸入LNGの安定供給の確保の面から今後進められる国内備蓄の拡大に当たっては、こうした、枯渇ガス田などを利用する地下貯留が一つの有効な手段として考えられる。しかしながら、輸入するLNGについては対応する法整備が遅れており、現在の法体系では、輸入LNGについては地下貯留が認められていないという問題点も指摘された。


住友商事とエネアドがタイで電力・熱供給システムの事業性調査
 住友商事とエネルギーアドバンスは、タイ石油公社と共同で、バンコク市内の商業地区で電力と熱のエネルギーサービスの事業性調査を行う。
 国立チュラロンコーン大学がバンコク市内の中心地区に大学が所有する2.1平方kmの商業地区で再開発を進める計画があり、再開発地区でエネルギーサービスを行うだけの需要があるのかどうかなどの事業性調査を、タイの石油公社と共同で実施することにした。
 調査は、再開発地区の中から対象範囲を定めて、電力・熱のエネルギー供給に関して、どのような需要があるか現地調査し、ガスコージェネ、太陽熱・太陽光などの再生可能エネルギーや、地域全体のエネルギーを最適に制御するスマートエネルギーネットワークなどについて、経済性と環境性を両立させる観点から事業性を評価する。今年7月までに調査を終え、その後、事業計画などを策定する。


その他の主な記事
・スマートエネルギーでEXPO
・東京都が中小事業所向け削減補助を総括
・新潟県が小水力を調査
・東京都がトップレベル追加
・大阪市など3市町が関西電力に意見書
・京都市が「ちきゅう温暖化対策」
・日英がスマグリ研究開発に調印
・ソーラーフロンティア変換効率17.8%を達成
・ネクストエナジーがエネ監視サービス
・パナソニック、住宅用創蓄電システムを販売
・三菱商事、メキシコで風力
・太陽電池の評価サービスを開始
・積水化学が太陽光導入住宅にアンケート
・野村不動産がマンション向けのエネルギーマネジメントサービス
・シーエナジーの4月合併を発表
・風力発電等アセス先行実施モデル委託
・優良省エネ設備の受賞者決まる
・東邦ガス社長に安井氏
・太陽熱エネ活用型住宅を追加公募
・12年度家庭・事業者向けエコリース促進事業を開始
・農水省、CDMプロ承認
・第1回カーボン・オフセット大賞決まる
・住宅・建築物CO2、今年度第3回を採択
・風力発電の評価シンポ 九州で  etc.

<インタビュー>
・新しいエネルギービジョンを目指す
(自然エネルギー財団 アドボカシー・助成事業部 ディレクター 大林ミカ氏)
 東日本大震災と原発事故を契機に、自然エネルギー開発を促進させていこうという動きが加速している。そうした中、ソフトバンク社長の孫正義氏の活動が注目を集めている。昨年、本紙で紹介したグリーンパワーインベストメントへの出資もその一つだが、自然エネルギー財団もまた、孫氏によって昨年設立された自然エネルギー普及を目指す団体だ。財団は3月9日・10日に国際シンポジウム「リビジョン2012」を開催する。国内外の自然エネルギーの専門家が集まる今回のシンポの注目点などを、ディレクターの大林氏に話していただいた。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(29)グリーン・パラドックス=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・ポスト震災のエネルギーシステム(その6)
 =次世代エネルギーシステムの起点=
 井熊 均/日本総合研究所創発戦略センター所長


新刊紹介
 =グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ=
 D・M・スコット+B・ハリガン著 日経BP社



コラム
・発電論評<電力ピーク対策に自家発を活用>
・プリズム<原発問題の解決には数十年?>
・青空<東日本大震災から1年>
・ちょっと一休<千葉に日本刀を見に行く>


電力ピーク対策に自家発の活用【発電論評】

 東日本大震災から、ほぼ1年がたった。日本の原子力発電所は2基を除いて大部分の原子力発電が運転を停止したまま冬のピークを乗り切ったことになる。
 節電の取り組みが進行し、系統電力の需要量はこの1年減少し続けている。今年1月の電力10社の販売電力量は前年比3.7%減で、2011年度を通して前年度実績を下回り続けている。
 電力需要が減っているからと言って、今後の電力供給には不安がないという訳ではない。夏のピーク対策をしっかりと進める必要がある。電力需要の減少は、もちろん節電による効果が最大要因といえるのだろうが、需要側の節電以外の対策が進んでいることも大きい。
 昨年の夏は緊急措置としてピーク時の電源としての自家発の活用が目指された。日本の自家発の多くは、電力系統への電力供給が制度的に認められていなかったため、系統への供給力としてはあまり大きな力は発揮できなかったが、停電対策として自家発の設置はそれなりに進められた。発電機が不足し、可搬型の発電機を仮設して使用するという光景もあちこちで見られた。
 この1年間、電力不足に翻弄されてきた感があるが、系統電力に頼らないで電気を自ら作り出す取り組みも相当進められ、自家発電に対する社会的な認知が相応に広がったきたことは評価できる。
 電気は電力会社から供給されるのがあたり前だったものが、自宅の屋根で太陽光発電したり、家庭用の燃料電池やコージェネで自家発電することも、珍しいことではなくなってきた。工場などで眠ったままになっていた自家発が再整備され、ピーク対策としてスタンバイすることも当たり前になりつつある。
 これまで、日本の非常用電源は、消防用などの防災電源として設置されるものがほとんどで、停電対策として設置される例は極めて少なかった。
 問題は、こうして備えられた自家発電源が電力供給力の回復と共に、使われないままに再びデッドストック化されてしまうということである。停電がないと運転しない発電機は、管理コストだけがかかりユーザーには負担だけが残ってしまう。
 こうしたことを避けるためにも、恒常的なピーク対策電源とし自家発を常時活用するという方策は考えられないものだろうか。ピーク用電源として登録しておき、指定した時間に運転して貰えば、十分に電力供給力として活用できるのではないか。
 その場合は、ガスコージェネを優先活用するなど、低炭素であるこやエネルギーの効率利用となどの環境性も考えた仕組みとし、さらに、周辺の再生可能エネルギーの出力調整用として活用すれば、系統に負担をかけない形で、再生可能エネルギーの拡大にも貢献できる。