2012.02.15


2012年215日号

電力ピーク対策を省エネでも評価
 総合資源エネルギー調査会の省エネルギー部会は、2月13日に開いた第18回の会合で、電力のピーク対策として導入される自家発やコージェネ、蓄電池などについても、省エネルギーの観点から政策的に評価することなど、省エネ対策を積極的に見直す内容の中間取りまとめを行った。同日の部会での各委員の意見を反映させた上でパブリックコメントを実施して最終的な取りまとめを行う。経済産業省では、部会の取りまとめを反映させた省エネ法の一部改正案を今国会に提出する。
 省エネ法の改正点は@需要側でBENSやHEMSなどのエネルギー管理システムや自家発、蓄熱式の空調、ガス空調などを活用して電力のピークカットやピークシフトなどの対策を評価できるように省エネ法のエネルギー消費原単位の算出方法を見直すAスマートメーターの早期普及を通じて電力の使用情報の見える化を図り、需要家の省エネ・節電対策を促す省エネ法上の措置などの需要側からの電力ピーク対策を促す。また、建物の省エネ対策を促進する観点からB家電製品などで導入して効果を上げているトップランナー制度を住宅設備・機器や材料などにも適用する。省エネ法による報告制度など規制のあり方についても報告の簡素化などの観点からC定量的な努力目標は維持するものの評価期間を長期化することや、現在は毎年平均で1%以上のエネルギー消費効率の改善を求めているものを、改正後は事業者毎のエネルギーの総使用量やエネルギー消費原単位の改善率、エネルギー起源CO2の排出量について報告し評価する仕組みに改める。


広告費などを電気料金原価から除外 有識者会議が報告書
 電気料金制度の見直しについて議論してきた経済産業省の有識者会議が、報告書をまとめた。
 電気料金制度の見直しについては、広告費や寄付金などそもそも料金原価に参入することが不適切と思われるものが含まれていることが東京電力に関する経営・財務調査委員会の報告書で指摘されたことを受け、料金算定コストの適正化について見直しを行うことを目的に、枝野経産大臣が設置を決めたもの。
 まとめられた報告書では、広告宣伝費や寄付金、業界団体への拠出金などについては一部の例外を除いて原則的には料金コストに参入すべきでないこと、また、人件費についても料金コストに参入できるものは実際の給与体系に基づくものではなく、国内の1千人以上の企業の人件費の平均値を基本に、類似のガス事業などの公益企業の平均値なども参考にして査定を行うことが適当であると指摘した。
 報告書に基づく新基準は次期の料金の認可申請時から適用される。
 報告書では、また、電気料金の低廉化に結びつけることを目的に、火力発電所の新設や更新に当たっては、入札制度に基づく外部調達を原則とすることも求めた。火力の入札制度については大口需要家部門の小売り自由化の開始と同じ時期に導入されていたが、卸電力取引所の解説などの制度改正と引き替えの形で廃止されていた。しかしながら、卸電力取引所は競争市場の形成には結果的にはつなげられていない現状を踏まえて、報告書では、「原則全ての火力電源についてはIPP入札を実施することが適当」として、入札による競争市場の下で、発電コストの適正化を確保することを求めた。
 火力の入札制度の実施に当たっては、行政が指針を策定し、それに基づいて適正な入札が実施されるよう、制度運用の透明化の必要についても指摘している。


2011年末の世界の風力発電導入量を発表
 日本風力発電協会は、2011年12月末時点の世界の風力発電導入量を公表した。世界全体での導入量は、2億3835万1千kWで、前年度に比べ約21%増加している。
 2011年単年の新規導入量は、世界全体で4123万6千kWで、最大の導入国は中国の約1800万kW。中国の導入量は世界の44%と一国で半分近くを占めている。日本の累積導入量はは250万1千kWで13位。新規導入量は、16万8千kWで世界の21位と低迷している。
 中国の累積導入量は、6273万3千kWでシェアは26.3%。中国に次いで導入量が多いのは米国の4691万9千kW。シェアは19.7%。第3位はドイツの、2906万kWで、12.2%のシェア。以下、第4位のスペインが2167万4千kW、9.1%。第5位のインド1608万4千kW、6.7%と続き、導入量上位の5カ国のインドまでが1千万kW以上の導入実績がある。


新中期目標は2030年 中環審小委で検討へ
 環境省は、改めて2020年と30年に向けた国内のCO2削減目標などの温暖化対策を検討する中央環境審議会の小委員会の議論を再開させた。
 新たな目標は、政府のエネルギー・環境会議が昨年末に示した基本方針に基づいて、複数の選択肢を示すための温暖化対策として提案されるもので、経産省で検討されている2030年を最終年度とするエネルギー基本計画の議論と併行して進められることになっている。
 新目標は、従来の2020年の中期目標として示されていた25%の削減目標がCDMなどの国外対策も含めていたものを、低炭素社会を構築するための国内対策を裏付ける政策を明示し、どの程度の排出が見通せるのかという視点で検討される。


その他の主な記事
・九都県市が電力制度改革で要望
・基本計画委でも需要サイドの省エネについて議論
・東京都が環境計画書を公表
・東京電力、鹿島のGTをコンバインドに
・JOGMECがメタハイ海洋産出試験を開始へ
・北九州市が環境エネなどで産総研らと提携
・NTTF、山梨の太陽光サイトでパネルの比較実証
・双日の子会社、リチウムキャパシタをクレーン電源に
・NTTF、データーセンターに風力発電
・小型コージェネ用ジェネリンクを開発
・パナソニックとガス会社が自立運転可能なGHP
・NEDO、事業用SOFC開発を募集
・NEDO、有機系薄膜太陽電池実用化も募集
・北九州市が産総研らと提携
・被災地支援にCO2削減カード
・3月に太陽光国際シンポ
・新エネ財団が地熱開発で講演会
・JVETS普及でシンポジウム
・リンナイが新型ハイブリッド給湯システム   etc.

<インタビュー>
・災害対応型LPG発電機の市場形成を目指す5
(コーラーカンパニーパワーシステムズ事業部北アジア事務所 代表 川崎卓二氏)



燃料電池新聞の主な記事
・FUEXPO2012の概要
・FCEXPO出展製品紹介(ニッポン高度紙業/日本特殊管製作所/長野オートメーション/ベッカーエアーテクノ/プラズマイオンアシスト/テック精密/MFCテクノロジー/ACALエナジー)
・燃料電池部会・FCH基盤技術懇談会の公開シンポジウムレポート
・インタビュー
 -「水素貯蔵材料開発の現状について」(インタビュー・秋葉悦男 九州大学教授 NEDO水素貯蔵材料先端基盤研究事業プロジェクトリーダー)
・海外ニュース
 -米FuelCell Energy、2003年以降に設置した80台のDFCプラントで10億kWhの電力供給を達成
 -米ClearEdge Power、オーストリアGREと50MWの定置用燃料電池の供給契約を締結
 -米SRNL研究所、ポータブル燃料電池向けの高密度水素貯蔵材料として水素化アルミを開発
 -英AFC Energy、AkzoNobelの工場で50kW級AFCの試験運転を開始
 -インドMahindra & Mahindra、水素三輪車「HyAlfa」を開発
 -インドTATA、New Delhi 自動車エクスポ2012で燃料電池バスを発表
 -カナダBallard、印Tata Motorsへ燃料電池バス用のスタック供給
 -イタリアActa S.p.A.、シンガポールHorizon Fuel Cellと水素発生装置の供給契約を締結
 -NEケムキャット、Brookhaven国立研究所から白金コアシェル触媒に関する特許ライセンスを取得
 -カナダBallard、ブラジルSao Paulo市と燃料電池バス用スタック納入で合意
 -英ACAL Energy、自動車向けスタックの負荷試験で耐久性を実証
 -欧州FCH JU、2013年の水素・燃料電池の技術開発と実証に7750万ユーロを助成
 -デンマークH2 Logic、北極圏に水素ステーションを開設
 -カナダHydrogenics、米US Hybridから5台の燃料電池スタックを受注
 -英水素・燃料電池協会、再生可能エネルギーの大量導入には水素貯蔵技術の導入が不可欠と提言
 -米HyperSolar、太陽光と下水、CO2から再生可能水素を製造する方法を開発
 -豪Ceramic Fuel Cells、ドイツの販売代理店から100台の「BlueGen」を受注
 -豪Ceramic Fuel Cells、この半期で受注が倍増
・燃料電池フラッシュニュース
 -長府製作所、「エネファーム」用貯湯槽の生産能力を1万3000台に引き上げ
 -三吉工業、SOFCのステンレスセパレータの量産技術開発
 -大阪ガスと積水ハウス、「スマートエネルギーハウス」が「LCCM住宅認定」第1号取得
 -東和製作所、液体や気体の外部漏れを完全に防止できるバルブを開発
 -トヨタ自動車、ホンダの米国市場におけるPHVの販売計画
 -日清紡、カーボンアロイ触媒とグラファイト系水素吸蔵材料の研究開発を開始
 -都市ガス3社の2012年度「エネファーム」販売目標は1万4400台
 -北陸グリーンエネルギー研究会、アルミ廃棄物発電を融雪マットで実証
 -アクアフェアリー、パソコン向け非常用燃料電池を開発
・燃料電池インフォメーション
 ■水素エネルギー協会・水素エネルギー利用開発研究会 合同講演会
3月9日 広島市西区民文化センター ○概要:@太陽エネルギーによる水からの水素生成用光触媒開発の現状(東京大学 堂免一成氏)ANH3を用いた水素輸送(広島大学 先進機能物質研究センター 小島由継氏)Bエネルギー需給の現状と長期展望(東京大学 小宮山涼一氏)C高効率エンジンSKYACTIV(マツダ パワートレイン開発本部長 人見光夫氏)
 ■第6回イワタニ水素エネルギーフォーラム大阪
3月5日 ヒルトン大阪「桜の間」 ○概要:再生可能エネルギーを活用した「水素インフラ整備」@燃料電池自動車(FCV)普及開始に向けた取組と課題(近畿経済産業局 井岡秀自氏)A低炭素社会における水素の役割(地球環境産業技術研究機構 山地憲治氏)B木質バイオマスからの合成ガス・水素製造とBTL技術への展開(産総研 バイオマス研究センター 坂西欣也氏)C持続型社会を担うグリーン水素(横浜国立大学 グリーン水素研究センター 太田健一郎氏)Dホンダのソーラー水素水素ステーションについて・差圧式高圧水電解システム(本田技術研究所 四輪R&Dセンター 岡部昌規氏)    etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(63)
 =再生可能エネルギービジネス=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(42)<英米で拡大する反スマートメーター運動>

・キーパーソン
 =日立社長からNEDO理事長に=
 吉川一夫氏/NEDO理事長



コラム
・発電論評<エネルギーと省CO2の価値>
・青空<今年は世界的な大寒波>
・ちょっと一休<桑原君の詩を琵琶とギターで>
・ちょっと一言<スマートハウスは住宅のiPHONE>


エネルギーと省CO2の価値【発電論評】

 京都議定書の第1約束期間が最終年度を迎える。日本は90年比マイナス6%の削減義務を果たすため、目標達成計画を策定して取り組んだ。東日本大震災に伴う原子力発電事故、その後の大量停止によって11年度と12年度の排出削減はシナリオどおりとは行かなくなってきているが、最初の3年間の過剰達成の貯金もあり、目標達成は可能だと見られている。
 しかしながら、震災後の電力の供給不足による節電や省エネの取り組みが優先され、省CO2はどこかに忘れられた感もある今日この頃である。世界の温暖化対策はCOP17によって「正式」に2020年以降に先送りされた。日本は、20年までの削減目標を持つことさえも放棄している。とはいえ、世界のCO2排出量の1位と2位の中国とアメリカが目標を持った取り組みには極めて冷淡であることを考えると、シェア4%未満の日本が単独で努力するのもどこかむなしい、というのもよくわかる。
 とはいえ、低炭素社会を目指すという目標は、全然色あせてはいない。現在でも極めて意味のある取り組みであり、エネルギーの側面で見ても、省CO2には大いなる価値がある。
 省CO2のターゲットとなる化石燃料は、日本は、そのほとんどを輸入に頼り、昨今の資源価格の高騰にも対抗手段ももたず、ひたすら買い続けるしかない。唯一の対抗手段は、技術と精神力による省エネルギーや効率化対策というわけだが、そのおかげもあり、日本の省エネルギー技術は世界最高水準にあるといわれている。
 また、今般の原発事故によって明らかにされたもう一つの価値は、省CO2なら何でもいいわけではないことが解ったということではないか。事故前までは、発電時にはCO2を排出しないカーボンフリー電源だとして、削減対策のエースに祭り上げられていた。しかし、CO2は出なくても、もっと困ることがあるとことがわかった。
 幸いなことに、日本には技術があり、太陽光発電や風力発電でもその気になれば世界の最先端を走れるだけの技術的な担保は保有している。問題はその気になれるかどうかということだ。
 技術はあってもそれを有効に利用できる制度的な担保が作られてこなかった。しかし、太陽光や風力は輸入しなくても良い国産エネルギーであり、運転時の燃料費もいらない。自然エネルギーは不安定だが、それを補完するコージェネレーションや蓄電技術も準備されている。特にコージェネは化石燃料の高効率利用技術でもあり、2重の意味で価値のある技術だといえる。
 進むべき方向は定まってきた。あとはそれを実現するための、具体的な政策と実践、つまりは「やる気」ではないか。