2012年125日号

グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度を開始
 環境省と資源エネルギー庁は、現在、民間で取引されているグリーン電力・熱証書(グリーンエネルギー証書)の認証を国の認証制度として、認証したCO2排出削減価値を、温対法に基づく報告に活用できるようにする。
 1月19日に第1回の「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証委員会」を開き、削減事業計画の認証などを開始した。認証委員会は両省庁が共同で運営する。
 グリーン証書は、民間制度として開始、2010年度からは、エネルギー経済研究所がグリーンエネルギー認証センターを設置して、クレジットの認証を行う仕組みに改められている。今回、これを公的な認証制度として、国が直接認証したグリーンエネルギー証書を、国内クレジットやオフセットクレジットと同様に利用できるようにする。
 グリーンエネルギー証書の対象となる再生可能エネルギーは、@風力発電A太陽光発電Bバイオマス発電C水力発電D地熱発電E化石燃料・バイオマス混焼発電と、F太陽熱Gバイオマス熱エネルギーH雪氷エネルギーの9種類。電力に関しては、系統に接続され送電されたり自家消費されるなど、実際に消費されていることが必要で、熱の場合も熱供給事業用や自家消費されていることがクレジット化の条件になる。
 認証の仕組みは、これまで認証センターが行ってきた仕組みをほぼ踏襲した形となるが、認証委員会に申請するには検証機関による内容のチェックを受けることにする。検証機関は、第1号として認証センターが登録されるが、登録要件を満たせば他の事業者も登録申請できる。排出係数は京都クレジットを使用した「調整後の排出係数]は使用しない。
 7月から開始される固定価格買取制度の対象となる電力は、認証の対象外だが、余剰電力買い取りの自家消費分については対象にできる。熱については買い取り制度がないため、グリーン証書制度が定着すれば、初めての公的なクレジット制度となる。


環境省、2010年度の電気事業者ごとのCO2排出係数を公表
 環境省は、温対法に基づいて公表する電気事業者ごとのCO2排出係数(2010年度)をまとめた。温対法で規制対象となる大口排出者が、電力会社から購入した電気の排出量を算定する場合に用いるもの。電力会社だけでなく、PPSの排出係数も含まれている。
 公表された排出係数は、実際に発電に利用した燃料によるCO2排出量である実排出係数と、京都クレジットなどを使って低減させた調整後の排出係数の2種類がある。温対法では、実排出係数ではなく調整後の排出係数を使用してもよいこととされている。
 10電力会社でもっとも排出係数が小さいのは、実排出係数も調整後排出係数も関西電力で、最も排出係数が高いのは、沖縄電力。10電力の内、前年度より排出係数が悪化したのは、北陸電力、関西電力、九州電力の3社で、改善したのは、北海道電力、中部電力、四国電力の3社。東北電力と東京電力は、実は改善したが調整後は悪化、北陸電力と中国電力は、実は悪化したが調整後は改善した。
 排出係数が公表され低るPPSは27社で、電力10社は、排出係数の調整を行っているが、PPSは、23社が排出係数の調整を行っていない。
 使用している電力の購入先などが不明な場合に用いられるデフォルト値(代替値)は、前年度に比べ0.4ポイント改善して0.559となった。


天然ガスシフト専門委員会
 経済産業省は、第1回の天然ガスシフト専門委員会(委員長・横倉尚武蔵大学教授)を開催し、国内の天然ガス導管網の整備について検討を始めた。
 専門委は、化石燃料の天然ガスシフトを加速化させることを目的に、国内での天然ガス導管網の整備を中心課題として、整備の主体をこれまでの民間主導からより国の関与を高める方向で、整備体制のあり方や、整備を促進するための支援措置などを探り、国内の導管網整備を加速化させる方策を検討する。
 国内のガス導管は基本的にはつながっておらず、今後天然ガス需要の拡大を目指す上では広域的な整備が課題とされている。このため、今後のパイプライン整備については国がリスクを担保する形で公的関与を強め、パイプラインの整備を先行して実現する方針に転換する。


三菱商事、製紙工場でオンサイトエネルギーサービス
 三菱商事は、北越紀州製紙の新潟工場敷地内に4万kW級の天然ガス焚きガスタービンコージェネレーション設備を新設し、両社合弁で設立した事業会社である北越エネルギーサービスを通じてオンサイト発電事業を行う。投資額は約80億円で、2014年1月から15年間、工場内に必要な電力と蒸気の供給を行う。
 三菱商事は、電気や熱のエネルギー調達をアウトソーシング化することで、ユーザーが求めるエネルギーを低コストで提供できるオンサイト発電事業の展開を図っており、今回のプロジェクトが7件目となる。プロジェクトは、経産省の「エネルギー使用合理化支援事業」の指定を受けている。


その他の主な記事
・総合エネ調の基本問題委員会が論点整理を了承
・料金制度見直し会議、燃料コスト負担増の値上げ申請に対応
・東京電力が自由化部門値上げを発表
・10月末のRPS設備認定
・NEDOIがRENAと再可エネで協定
・NEDO、2月にバイオマスで成果報告会
・2月にLPG国際セミナー
・再可エネ緊急検討委託8件採択
・次世代太陽光などでSSKセミナー
・スマートネットなどでJPIセミナー
・環境省が緊急省エネ診断を無料で実施
・J−VERにプロジェクト3件を追加
・田中貴金属が画期的な銀インク回路製造法を開発
・京セラ、蓄電池付き太陽光を国内販売
・中部電力、瞬停対応にリチウムイオンキャパシタを開発
・三井建設がビニールハウスの太陽光発電を実証
・富士経済がバイオマスエネの市場調査  etc.





シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 Q
 =LPガスという分散型エネルギー=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・日本を変えるスマート革命 6
 =望ましい再生可能エネルギー政策=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから




コラム
・発電論評<電力制度改革で目指すべきもの>
・青空<賀詞交歓会のシーズンである>
・ちょっと一休み<高橋紘さんのお別れ会>
・一筆啓上<ゼロベースではない改革>


電力制度改革で目指すべきもの【発電論評】

 電力制度改革の方向性が次第に明らかになってきた。
 原子力発電の依存度を減ずるためには、需要家の選択肢を拡大すること。そのためには、市場に競争原理を働かせ、多様な主体が市場参加できる環境を作り上げること。
 多様な主体の参画を確保し、事業環境を整えることで、様々な新サービスが始まることが期待できる。需要家が自らが利用する電源を選択できることもその一つになる。再生可能エネルギーだけを選択して利用できるようにすることも可能だ。野菜や果物を自由に選択できるのと同様に、電源選択や電力会社を選択できるようになる。需要家のニーズに合わせた電力供給が行われることで、市場によって電源が淘汰され、競争によって低廉な料金水準が維持される。こうした市場を実現するためには、まず、送電網への自由なアクセスが確保される必要がある。
 現在の日本の送電網は、地域独占の電力会社によって整備されてきたため、電力市場の3分の2が自由化されているはずの現在でも、電力会社の送電が優先的に取り扱われている。例えば、昨年の計画停電時には、対象地域内のPPSの契約需要家も一律に使用制限を余儀なくされることになった。地域を区切って送電がカットされたからである。PPSには契約需要家に十分に供給できる電力があったにも関わらず、送電網が閉ざされたために需要家に電気を届けることができなかった。大規模店舗が休業するので、地域全体の商店が強制的に営業停止させられたというのに等しい。この一点だけを考えてみても、電力市場は自由な競争環境が整備されているとは言い難いことがわかる。
 現在の、電力供給体制は、自由化と言いながら、実際にはそれに合わせた体制整備が行われておらず、電力会社は、需要家ごとのデマンド管理さえもできていないのが現状だ。デマンド管理は、IT技術が進歩した今では、基本的にはスマートメーターを導入すれば実現できる。個別の需要家ごとにコントロールできるため、きめ細かい需要制限を行えば地域一律の計画停電や電力の使用制限は必要なくなるはずである。
 現在の送電網は、そうしたきめ細かい需要管理も送電管理も行えない仕組みのままに放置されてきたと批判されても仕方がない。
 今後、分散型電願が拡大しても、原子力や大規模火力が事故で止まってしまったら、相変わらず、電気の使用制限が強制的に行われるというのでは、誰のための制度改革だったのかということが、今一度問われることになる。需要家に約束した電気を確実に届けることができる送電網を作り上げること。そうした視点も、今時の電力制度改革の議論には求められているのではないか。