2012年 新年特集号
2011年12月25日 2012年1月5日 合併号


大阪ガス、安価でコンパクトなコンパクトバイオガス化システムを共同開発
 大阪ガスは、少量の生ごみを経済的にバイオガス化するコンパクトバイオガス化システムのパイロット機を開発し、実証試験を開始した。システムはダイキアクシス(本社・松山市)との共同開発。
 実証試験は、大阪ガスの社員食堂から排出される日量10kg程度の生ごみから0.7立方メートルのバイオガスが安定的に発生することなどを確認し、次年度には設備を大型化して日量100kg程度の生ごみを処理する食品関連事業者の施設で実証試験を行う。2年後に、小型バイオガスコージェネレーションシステムとして商品化、オンサイト型の自立型の低炭素エネルギーシステムとして販売していく。
 従来のガス化システムは日量5t〜10t以上の食品廃棄物を排出する大規模施設向けのものが中心であり、10kg〜1t程度の少量の食品廃棄物の処理に対応できる規模のものは実用化されていなかった。


東芝が新型エネファーム 総合効率は94%に
 東芝は、東芝燃料電池システムが開発した、家庭用固体高分子形燃料電池「エネファーム」の新製品を、来年3月からシステムを販売する都市ガス会社やLPガス会社向けに出荷を開始する。
 新製品は、定格出力700Wで、発電効率を従来の35%から38.5%に、排熱回収効率を45%から55.5%に向上させ、世界最高水準となる総合効率94%を実現した。さらに、バックアップボイラーを高効率な潜熱回収型給湯暖房機に変更することによって、従来システムに比べ、年間のCO2排出量を更に約1.5トン削減、年間の光熱費を約6.1万円軽減することができる。また、燃料電池発電ユニット・排熱利用給湯暖房ユニットを小型化し、運転時の騒音も38デシベルと静音化を実現した。
 新製品は、大阪ガスと東邦ガスが4月から販売を開始すると発表。現行品に比べて約65万円安価な、現金標準価格260万4000円(税込)で発売する。国の導入補助を受ければ実質負担額は150万円程度になる。


エネルギー・環境会議が基本方針
 政府のエネルギー・環境会議は、エネルギー・環境戦略の選択肢提示に向けた基本方針を決めた。原子力のリスク管理の万全を期する体制を整備することや、エネルギーの安全保障と地球温暖化対策との両立、需要側も参加するエネルギーシステムの構築を3つの基本姿勢として、原子力発電の依存度を減らし、低炭素で高効率菜分散型エネルギーシステムへの移行を目指すことが示された。春に新たな戦略の複数の選択肢を提示、国民的な議論を踏まえて、夏にはエネルギー基本計画などの具体策を含めたエネルギー・環境戦略のとりまとめを行う。
 原子力に限らず、大規模電源の依存度を下げながら、太陽光発電やガスコージェネなどの需要側が用意する分散型エネルギーも供給システムとして活用するということが基本方針として貫かれており、今後の電力事業制度の改革についても、分散型エネルギーシステムを最大限活用するという視点から、発送電分離など抜本的な制度の見直しが行われることになりそうだ。


富士電機、自社2工場に100kWリン酸形燃料電池を設置
 富士電機は、埼玉県の鴻巣工場と川崎工場の2工場に、自社製の100kWのリン酸型燃料電池システムを導入する。
 リン酸型燃料電池は、環境負荷が少ない天然ガスコージェネレーションシステムとして導入、工場内の生産ラインで使用する電源として工場の省エネ・省CO2に貢献する。導入に当たっては、ガスコージェネレーション推進事業費補助金の適用を受けた。
 国内の特高電力契約の工場にリン酸型の燃料電池が導入されるのは初めてで、今後、新しい電力供給システムの導入モデルとして活用し、国や地方自治体、企業などへの営業活動を強化していく。


その他の主な記事
・コスト等検証委員会が報告書
・川崎重工、マレーシアにGTメンテナンス工場
・NECが直流給電システム
・クレハなどリチウム電池用ハードカーボン
・富士通がスマコミ制御装置
・デジタルグリッド標準化構想が始動
・東北電力のメガソーラー第1号が運開  etc.

<新年を展望する・年頭所感>
コージェネレーション・エネルギー高度利用センター理事長/省エネルギーセンター/都市エネルギー協会/日本風力発電協会/日本電設工業協会/日本ガス協会/日本LPガス団体協議会/LPガス振興センター/LPガス協会/エネルギーアドバンス/大阪ガス/東邦ガス/ヤンマーエネルギーシステム/ハタノシステム。


シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 17
 =議定書空文化でも拡大する再可エネ=
 和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏


・日本を変えるスマート革命 D
 =望ましい再可エネ政策 欧州から学ぶもの @=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから




コラム
・プリズム<政府主導から地域主導へ>
・ちょっと一休<Kサロンで乾杯の音頭>
・青空<2012年初春に1年を想う>
・一筆啓上<変われない日本>


新年の分散型、新エネルギー市場を展望する
〈集中型から分散型へ 新時代に向かうエネシステム − 発送電分離目指を目指す電力制度改革 −〉


【2012年の市場展望】
 2012年の新年を迎えた。まさに未曾有の大災害となった東日本大震からの復興の最中で迎えることになった2012年であるが、いろいろな意味で大変革の年となりそうだ。
 年明け早々には、原発事故の後処理がようやく次のステップに迎えるという段階で、電力制度改革の議論が本格化する。
 原子力発電の安全規制の抜本的な見直しが必要となる中で、電力事業のあり方を根本から見直す電力制度改革に向けた本格的な議論が開始されることになる。
 年末に示されたエネルギー環境会議の基本方針では、これまで、民主党政権下の新成長戦略に基づいて進められてきた再生可能エルギーの拡大の方向が、原子力発電の縮小とバランスされ、再生可能エネルギーを最大限活用することを担保する手段として、ネットワークのスマート化や、需要サイドでの自給力を高める分散型システムの拡大が目指されることになる。
 再生可能エネルギーだけでは不足するため、原子力の代替は火力中心で行わざるを得ないことになるが、従来型の火力の延長ではなく、さらなる効率化の追求と天然ガスシフトが目指される。
 もう一つの課題は、効率化である。効率化は、一方でコンバインド発電など従来型火力の効率化を図ることと、需要地でエネルギー供給が行えるオンサイト型のコージェネレーションの拡大という2つの流れに集約する。
 そのスタートとなる2012年には、何には今後のエネルギー政策の中長期の指針として「エネルギー・環境新戦略」が示され、それに基づく新たなエネルギー基本計画が取りまとめも行われる。
 コージェネレーションシステムや家庭用のコージェネや燃料電池、太陽光発電までをも電力供給システムとして位置づける全く新たな分散型エネルギーシステムを活用する新時代の幕開けが目指されることになる。
 また、7月には、再生可能エネルギーの固定価格買取制度も開始される。個別具体的な買い取り価格や買い取り期間などの詳細については委員会の発足が国会事情で遅れており、未だ明確にされないままに年を越えることになったが、7月からの制度開始を目前に控えてまさに待ったなしの情勢であり、次期国会の早い段階での委員会の正式な発足が待たれている。
 COP17も終わり、地球温暖化対策も新たな枠組みの構築に向けてトライアルが続くなかで、低炭素と分散型を新たなテーマとして掲げる次代のエネルギー環境政策の議論が集中する、そのような年として2012年は注目されている。