2011.12.15


2011年1215日号

エネルギー基本計画見直しで論点整理
 エネルギー基本計画の見直しについて検討している総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会(委員長・三村明夫新日本製鐵会長)が12月12日に開いた会合で、これまでの議論で明らかになった方向性などの論点整理案について議論した。年明け以降に、新たなエネルギー基本計画の策定に向けた議論を本格化することにして、検討課題の整理も行った。
 年明け以降の議論となる「当面の議題」は、一次エネルギーの供給や電源構成を考慮する「エネルギーミックスの選択しのフレームワーク」、これまでの省エネ対策を根本的に見直す「省エネルギー・節電対策の強化の可能性」、「再生可能エネルギーの導入拡大の可能性」、石油や天然ガス、石炭の利用や安定救急などについて考える「化石燃料のリスクとクリーン利用の可能性」、「原子力発電の位置づけ」、「望ましいエネルギーミックスの選択肢」が個別具体的な検討課題として示されている。


三相誘導モーターにトップランナー基準
 経済産業省は、三相誘導モーターに省エネ法に基づくトップランナー基準を導入するため、判断基準策定の小委員会を設置して、具体的な基準策定に向けた検討を始めた。年度内にトップランナー基準を策定する。
 12月13日に第1回の会合を開いた小委員会では、トップランナー基準の対象とするものを、定格電力が1000V・375kW以下で、特殊用途のものを除く範囲とすることや、性能評価の測定方法ではJISを採用することなどを決めた。年度内に報告書をまとめ、来年度早々にも省エネ基準部会に報告する。
 三相誘導モーターは産業用だけでなく家電製品などにも大量に組み込まれて使用されており、資源エネルギー庁の調査結果によると、国内の普及台数は1億台以上で、消費する電力量は国内の総需要電力の55%を占めていることがわかっている。国内で使用されている製品は高効率タイプへの切り替えが遅れており、高効率タイプに切り替えるだけで、年間80億kWh〜155億kWhの節電効果が見込めると試算している。


2010年度国内排出量は基準年比0.4%減
 環境省は、2010年度の国内の温室効果ガス排出量の速報値をまとめた。総排出量は、京都議定書の基準年である1990年度比で0.4%減の12億5600万トンで、第一約束期間に入った08年度から3年連続で削減目標が達成できることになった。前年度に比べると、産業部門などで生産活動が回復傾向を示したことや、猛暑厳冬の影響で電力消費が増加したことなどで、3.9%の増加となっている。
 前年度に比べて排出量が増加したのは、工場などの産業部門で3300万トン(8.5%)増加したのをはじめ、運輸部門でも210万トン(0.9%)増、家庭部門も1100万トン(6.8%)増加した。また、その他部門でも120万トン(0.5%)増、発電所などのエネルギー転換部門も4万トン(0.1%)増と、全部門で増加した。
 森林吸収量としてカウントできる3.8%、CDMなど京都メカニズムによるクレジットの活用による1.6%、民間のクレジット活用分などを考慮すると、2010年度は基準年比10.3%減程度の削減ができたと考えられる。


再生可能エネに高い関心 太陽光発電・再生可能エネ展開く
 12月5〜7日、千葉県の幕張メッセで展示会「PV Japan2011」と「第6回再生可能エネルギー世界展示会」が開催された。主催はSEMIと太陽光発電協会、再生可能エネルギー協議会。
 昨年よりも出展社が増え、とりわけ再生可能エネ関係のスペースが拡大した。PVJapanでは、国内外の太陽光発電メーカーに加え、新たに日本市場に参入したい中国などの太陽光発電メーカーが出展。国内メーカーはこれまでのような太陽光発電を製品だけではなく、エネルギーシステムとして提供していこうといった方向性の変化がみられ、一方、海外メーカーは低価格を武器に日本市場への参入、売り上げ拡大を狙っているという図式が見られた。同展は、昨年までは夏期に開催していたが、今年は震災の影響で12月に延期されていた。


その他の主な記事
・20年以降の新枠組みなどで合意 COP17が閉幕
・省エネ革新技術開発2次決定
・国内クレジット92件を認証
・東京電力が改革推進プランを発表
・三菱化学、中国でリチウム電池負極材の製造能力を増強
・カネカが目がソーラー向け封止材を開発
・オムロン製パワコンをリコール
・発電する看板を発売
・パナ電工、家庭用充電器など発売
・中国電力、低圧で充電できる充電器を開発
・GSユアサ、長時間バックアップ用蓄電システムを発売
・ダイキン、自社ブランドの太陽光を発売 
・住友商事、南アフリカの風力事業に参画
・産総研が3月に新エネ技術シンポ
・経産省、国内工場立地を補助
・新エネ財団中、小水力の調査地点を募集
・経産省、定置用リチウム電池の補助執行団体を募集
・1月にカーボン・オフセットEXPOイン札幌
・国交省排ガス対策原動機と建機、低騒音建機を追加   etc.

<インタビュー>
・スマートエネルギーネットワークの可能性
(東京ガスエネルギーソリューション本部ソリューション技術部長 菱沼祐一氏)
 電力不足とCO2削減、そして快適性を求めて、エネルギー利用のスマート化が注目されている。中でも電気、ガス、熱を一体的にマネジメントし、効率的に利用していくスマートエネルギーネットワーク(SEN)に対する期待が高まっている。SENの可能性、そしてこれからのエネルギーソシューションビジネスについて、東京ガスのスマート戦略について菱沼祐一ソリューション技術部長に語っていただいた。


燃料電池新聞の主な記事
・水素社会は我々が作る(村上敬宜九州大学教授 インタビュー)
・経済産業省の燃料電池関連予算(3次補正)
・東京モーターショーの燃料電池
・海外ニュース
 -米Plug Power、バラードから燃料電池スタック3250台を調達
 -デンマークDantherm Power、印Delta Powerから30台の燃料電池バックアップ電源を受注
 -カナダHydrogenics、高出力密度と加湿システム不要の新しい燃料電池スタックを開発
 -韓国現代、2012〜2014年に1000台のFCVを量産
 -米Plug Power、仏Air Liquideと協業で欧州マテリアルハンドリング市場を開拓
 -米運輸省、GM「ボルト」の火災事故を受け、リチウムイオン電池の調査開始
 -韓国POSCO Power、大邱市に世界最大の燃料電池発電所をオープン
 -英JDS Associates、英国の家庭用燃料電池CHPの市場予測ロードマップを公開
 -ドイツ、再生可能エネルギーを水素に転換して天然ガス導管に注入するエネルギー貯蔵プロジェクト開始
 -伊New Holland Agriculture、新型燃料電池トラクターを発表
・燃料電池フラッシュニュース
 -東東京ガス、「羽田水素ステーション」で回収したCO2を千葉大学植物工場のトマト栽培施設で利用
 -豊田自動織機、2012年12月から燃料電池フォークリフトの実証を開始
 -日立製作所、国立極地研究所より風力発電機利用水素発電システムを受注
 -東京ガスなど、家庭用燃料電池「エネファーム」用の「停電対応システム」を開発
 -西華産業、マクフィー社の固体水素貯蔵システムの代理店に
 -村田機械、多給糸FW装置を開発
・燃料電池インフォメーション
 ■電気化学会 電気化学セミナー 最先端電池技術−2012
1月24日(火)〜25日(水) タワーホール船堀(東京都江戸川区)○概要:エネルギーインテグレーション−電力需給における新しい電池技術の役割(東大 荻本和彦氏)/風力・太陽光発電出力安定化用電池パターンとその寿命評価(電中研 三田裕一氏)/インフラバッテリーとしてのSCiBと二次利用の展望(東芝 本多啓三氏)/燃料電池に関する政府の取組(経産省 縄田俊之氏)/燃料電池用非白金触媒の最新動向(横浜国大 光島重徳氏)/固体高分子形燃料電池用電極・MEAの最新評価技術(山梨大 内田 誠氏)/燃料電池を用いたバイオマス直接エネルギー/分子変換システム(阪大 民谷栄一氏)/SOFCの開発状況と今後の展開(JX日鉱日石エネルギー 中西 功氏)/燃料電池とスマートハウス(東京ガス 石井 啓氏)/燃料電池自動車開発の現状と展望(トヨタ自動車 大仲英巳氏)/リチウム電池開発の国家プロジェクトの現状と計画(NEDO 大平英二氏)/電動化自動車用電池の市場動向(野村総研 風間智英氏)/リチウム二次電池の市場動向(IT総研 竹下秀夫氏)/正極材料の研究開発動向(東大 山田淳夫氏)/不織布セパレータの特性及びそれを用いたリチウムイオン電池の特性(三菱製紙 加藤 真氏)/リチウムイオン電池用水系バインダーの開発(JSR 山田欣司氏)/負極用炭素材料の現状と今後の展開(昭和電工 武内正隆氏)/各種用途に適した二次電池の特性と開発動向(GSユアサ 中満和弘氏)/溶融塩を電解質としたナトリウム二次電池(住友電工 稲澤信二氏)/日産リーフの展開と電池技術(日産自動車 宮本丈司氏)   etc.

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(61)
 =原発事故後の対策もエネルギー問題の範疇=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(40)<京都延長不参加で地位低下する日本>

・新刊紹介
 =スマートグリッドがわかる=
 本橋恵一著 日本経済新聞出版社 830円(税別)




コラム
・発発電論評<新たな自家発の活用策に期待する>
・青空<年の瀬に来年を思う>
・ちょっと一休<残念でならない伊尾君の死>
・ちょっと一言<東電の火力発電所売却は不可>


新たな自家発の活用策に期待する【発電論評】

 今年も、1年が慌ただしく過ぎ去ろうとしている。今年を振り返ると、どうしても震災に始まり原発で終わるという感慨しかない。震災の悲惨さはいうまでもないが、それと同時に起きた原子力災害による被害や影響は、まさに世界的な大惨事として記憶されることになるのだろう。
 原発停止と共に、震災により火力発電所や水力発電も被災、深刻な電力供給不足が顕在化した。計画停電という未曾有の事態も引き起こり、夏には電力の使用制限も行われた。節電が求められ、電気が自由に使えないという事態が現実に起きた。
 原発事故は、総理大臣による浜岡原発の停止要請という前代未聞の事態につながり、さらに、定期点検で停止した原子力発電所は、その後も再稼働できないという事態が続いている。まさに原発事故は、我が国のエネルギー政策の大転換に向けた引き金を引いた格好となった。
 不足する電力は、節電と自家発によってまかなわれた。にわかに、自家発電に対する期待が高まったのだが、停電時に2時間、防災用負荷にだけ電力を供給するという防災用電源に特化する形で整備されてきた国内の多くの自家発電設備は、計画停電時の電源としては使用できないということが明らかになり、防災用の自家発をピーク時や節電対策として活用するための対策の必要性に、改めて気付かされた。
 そのためには、防災用自家発は、消防用設備以外には電気を送れないという規制や、ピーク運転を可能とするような恒常的な規制緩和、また、税の減免による燃料コストの削減策などが是非必要で、また、燃料の安定確保の観点からは、ガスコージェネの防災用電源化の促進も効果がある。これは、低炭素エネルギーである天然ガスへの燃料転換、防災用電源の長時間運転化によるピーク・節電対策、発電設備の運転機会の増大による信頼性の向上など、デメリットよりもはるかに大きい効用が見込まれるもので、少しの規制緩和と導入補助などの支援策によって今すぐにでも実現できるものである。
 原子力発電を代替する低炭素電源として、再生可能エネルギーへの期待も火がついたように高まっている。特に太陽光発電に対する社会的な理解も深まってきて、新築住宅の屋根は発電するというのが常識化しつつある。さらに、壁面やヒサシ、看板やシートなど、これまで考えもしなかったものが太陽光発電するようになってきた。
 街中で電気自動車を見る機会も増え、自動車も電気で走る時代がいよいよ始まってきたのかという感がある。
 低炭素社会を支えるフレームワークが、ようやく見えてきた2011年であったと総括して、年明け以降の展開に期待したい。