2011年125日号

再可エネポテンシャルは2億4500万kW
 新たな電力供給のあり方を検討するため、電源別の発電コストの検証作業を行っている政府のコスト等検討委員会は、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルについての試算をまとめ検討した。
 再生可能エネルギーの導入が拡大し、発電単価の低減が進むとことによって、どの程度既存の電源を代替できる可能性があるのか把握についてするために導入ポテンシャルの検証を行ったもので、特に、現状では可能性が比較的に高いと考えられている太陽光と陸上風力、地熱について試算結果をまとめた。
 示された試算結果によると、比較的立地条件がよいと思われるものだけでも、太陽光発電と陸上風力、地熱発電を合わせると、2億4500万kWの導入ポテンシャルがあり、その発電電力量は年間3890億kWhが見込めるとの試算結果を示した。これは、2010年度の年間販売電力量の40%を超える量に相当し、再生可能エネルギーの量的な可能性を示す試算として注目される。
 電源別に見ると、太陽光発電は、設置しやすい屋根上などで約9100万kW、その内訳は、戸建て住宅の屋根が1200万戸で4900万kW、マンションなどの屋根が130平方kmで1600万kW、公共施設や工場等の大きな屋根が400平方kmで2600万kW。これによる発電電力量は年間930億kWhが期待できる。
 太陽光発電よりも現状では導入コスト単価が安価な陸上風力については、自然公園外などの比較的立地規制が緩い場所だけでも1億5千万kW・2700億kWhの発電量が期待できると試算。さらに、規制緩和が進み自然公園や国有林内などへの立地が可能になれば最大で2億9180万kW・約5100億kWhの発電ポテンシャルがあると見込んでいる。
 太陽光や風力以上に立地制約が厳しく、豊富な資源量があるにもかかわらず、50万kW程度しか導入量がない地熱発電については、国立公園の特別保護地区や特別地域ではなく150度C以上の熱水資源があるという比較的立地を進めやすい場所での導入ポテンシャルは430万kW・260億kWhが期待できると試算。そのほかにも、温泉発電などの可能性や、国立公園の一部資源の活用などもできる用になれば最大1400万kW・930億kWhの導入ポテンシャルが期待できるとの試算結果を示した。


IHI、東芝など4者、水中浮体式海流発電を開発へ
 IHI、東芝、三井物産戦略研究所と東京大学の4者は、NEDOが公募した「風力等自然エネルギー技術研究開発/海洋エネルギー技術研究開発」に連名で応募し、このたび、「次世代海洋エネルギー発電技術研究開発」の委託予定先に採択されたと発表した。
 日本近海を流れる黒潮などの海流エネルギーを利用して発電を目指すもので、水中浮体方式の海流発電システムの要素技術を開発するとともに、事業性を評価し、将来の海流発電の実用化を目指す。
 開発するのは、発電装置を海底に係留し、海中に浮遊させ、海流エネルギーによって発電する方式のもので、発電装置が海中にあるため、波浪の影響を受けずに安定した運用が行える。また、周辺海域の船舶の運航にも支障を及ぼす危険もなく、簡便な方法で係留が行えるため、コスト競争力に優れている。
対向回転する双発式の水中タービンを採用し、回転トルクを相殺することで、海中で安定した姿勢を保持して効率的に発電できる。また、 保守整備時には、必要に応じて海上に浮上させ、メンテナンスや修理が簡単に行えるようにする。
 日本沿岸付近には、黒潮などの豊富な海流エネルギーがあり、昼夜や季節による流れの速さ・向きの変動が少ない海流エネルギーを、長期かつ連続的に利用できる環境にあるため、実用化すれば国産の自然エネルギーを利用したクリーンな発電が可能になる。


工場などの分散型電源をマイクログリッド化、清水建設がソリューション提案
 清水建設は、工場などに導入されている自家発電設備などの分散型電源の適正な運転管理を行う制御システムをソリューション提案として販売する。
 大量の電力を消費する工場などで、自家発電装置や蓄電池設備、キャパシタなどの分散型電源を活用したマイクログリッドを構築し、独自に開発した「シミズ・スマートFEMS」によって運転制御を行うことで、商用電源停電時にも安定した電力の自立供給や、平常時にもピーク電力の平準化などを可能にする。また、自然エネルギー電力の急激な出力変動をキャパシタによって緩和したり、天気予報情報等をベースに翌日の電力需要変化を予測し、商用電力の供給力などに対応して、計画的で最適な電力需給のコントロールを行うこともできる。清水建設では、事業所の災害対策や生産計画なども加えてソリューションをパッケージ化して、国内だけでなく工場移転などに伴う海外事業所での適用も含めて提案していく。


富士電機、発電するシートを開発 太陽光と防草シートを一体化
 富士電機は、遊休地や傾斜地などの除草用に利用される防草シート太陽電池を一体として組み合わせた「防草発電シート」をコアテック社(本社岡山県総社市)と共同開発し、販売を開始した。富士電機が製品化しているフィルム型の太陽電池と防草シートを一体化し、発電する防草シートとして製品化した。
 シート状の太陽電池なので、傾斜地や法面、曲面など、従来は太陽電池が設置できにくかった場所でも容易に設置でき、架台などの設置工事も不要なため、低コストで簡単に設置できる。また設備の回収・撤去や設置場所の移動も簡単に行える。
発電能力約10kWのユニットは、2m×25mの防草シートに90W×108枚の太陽電池が貼り付け一体化。重量は約42kg。シートなので、簡単に巻き取って移動できる。パワーコンディショナーなどは別売。


その他の主な記事
・COP17で日本の提言
・川崎重工が低コストの薄膜太陽電池の製造装置
・9社が充電サービスで合同会社
・パナソニックがソリューション事業を展開
・IHI、非接触型充電装置を実証
・東京電力が小水力を運開
・パナソニック、マレーシアに太陽電池工場
・日立、グループ内の電池事業を再編
・安川電機、大容量太陽光向けパワコン
・太陽電池の印刷形成用インクを開発
・丸紅、JAと太陽光で販売提携
・NTTファが風力利用のデータセンター電源システムを実証
・東北大が下水汚泥の簡単処理で水素回収に成功
・病院のガスコージェネ導入を補助
・CCSでワークショップ
・算定検証でシンポジウム
・JORAがテクノフォーラム
・コンポスト生産管理者養成講座12月から
・地方発カーボンオフセット認証2次は5件
・災害時のGTでシンポ
・太陽熱エネルギー活用動向調査は三菱総研に  etc.

<インタビュー>
・再生可能エネルギー業界を発展させるために
(日本再生可能エネルギー協会 松原弘直 氏)
 日本は十分な技術を持っているにもかかわらず、再生可能エネルギーの開発は思うようには進んでいない。導入量は世界の中でも決して多い方ではない。東日本大震災後は、にわかに再生可能エネルギーに対する期待が高まっているが、拡大に向けた新たな具体的な導入策は乏しいままで、来年7月から全量固定価格買取制度が開始されることが決まったこと程度。こうした中、再生可能エネルギーの普及支援を行う団体として「日本再生可能エネルギー協会」(JREP)が発足し、活動を開始している。活動状況などについて聞いた。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(26)ドイツの電気モビリティ戦略=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・ポスト震災のエネルギーシステム(その4)
 =エネ分野の技術革新は電力と情報通信の融合=
 井熊 均/日本総合研究所創発戦略センター所長


・キーパーソン
 =原発に頼らない電気をエネットから購入する=
 城南信用金庫理事長/吉原毅 氏


・新刊紹介
 =脱原子力社会へ−電力をグリーン化する=
 長谷川公一著 岩波書店 800円(税別)



コラム
・発電論評<再生可能エネルギーで広がる可能性>
・プリズム<非公開で進む連系線の議論>
・青空<故事に習えば>
・ちょっと一休<寄せ書きで励ましてくれた8人>


再生可能エネルギーで広がる可能性【発電論評】

 低炭素エネルギーとして可能性や広がりが期待される再生可能エネルギーだが、導入を促進すべき理由としては、国産資源であり、資源枯渇の心配もないこと、さらには、燃料費のいらない低コストのエネルギーであるということも忘れてはならない。
 再生可能エネルギーがコスト高だといわれる所以は、ひとえに設備導入のイニシャルコストによるものだが、来年夏に開始される固定価格買い取り制度では10年程度でのコスト回収を目安に考えられており、その後の発電コストは極端に言えば、燃料コストゼロの自然エネルギーを利用する限りほとんど無料で発電できることになる。
 実際は運転管理コストや周辺機器のメンテナンスや取り替えなども必要なので、多少のコスト負担は発生するのだが、それにしても、導入当初の10年程度を乗り切ってしまえば、原子力発電などの運転・管理コストとは比較にならないだけの低コスト発電が可能になるということだけは確実にいえる。
 政府のコスト等検証委員会の検討資料によると、余剰電力買取制度の実施などで、ここ数年急拡大している太陽光発電と、陸上風力発電、地熱発電の3つの再生可能エネルギーのポテンシャルを、経産省や環境省などがそれぞれ行った調査結果を基に試算したところ、住宅の屋根など比較的導入しやすく可能性が高いと思われるものだけでも合わせると、2億4500万kW・年間3890億kWhの発電電力が見込め、電力10社が販売する年間の販売電力量の40%にも相当するという、驚くべき可能性が示され注目されている。
 このうちエース的な太陽光は、1200万戸の住宅の屋根や、集合住宅、公共施設や工場等の屋根に設置されるだけでも約9100万kWの導入ポテンシャルがあり、これによる発電電力量は年間930億kWhが期待できる。これは、国内の販売電力量の10%に相当する。
 太陽光発電は、既に新築住宅には標準仕様化し始めており、家庭用燃料電池やコージェネシステム、蓄電システムと組み合わせたエネルギー自給型の住宅も新たなライフスタイルとして提案されてきている。さらに壁面や看板、道路の法面など、従来は考えられなかった場所でも発電可能な製品が身近に販売されるようにもなっている。
 試算には、洋上風力や海流発電などの次世代の再生可能エネルギーは加えられていない。現在は、コスト負担の是非を巡る議論もある再生可能エネルギーだが、少し長い目で評価し直してみると、利用可能な資源量や高コストのデメリットは早期に解消できるのではないかと思われる。車も電気で走る時代も近い。燃料電池も加えて、走りながら発電する自動車の出現もそう遠いことではないのかもしれない。