2011年1125日号

自家発電力を買い取り要請 今冬の節電対策で
 経済産業省は、この冬の節電対策の一環として、遠隔地の自家発電設からの余剰電力を買い取る場合のガイドラインをまとめ発表した。遠隔地にある自社工場や関係企業の自家発電力を電力会社に買い取って貰うことで、自社の節電電力としてカウントできるようにする。
 エネルギー・環境会議がとりまとめた、今冬の節電対策として自家発電の電力を活用した場合、企業などが電力会社から求められる節電要請分から除外することを決めたため、その具体的な内容をガイドライン化した。
 今冬も、九州電力や関西電力ではピーク時の供給力に限界があり、大口需要家に対しては節電要請が行われる。このため、節電要請を受けた企業側に、節電対策として自家発電設備の活用を促すため、自ら自家発を導入できない事業所でも自家発余剰電力を活用できるようにする。
 具体的には、電力会社から数値目標を示して節電要請を受けた企業などの需要家が、遠隔地にある自社や子会社などの自家発の余剰電力を、節電を要請している電力会社に対して買い取ることを要請し、相当する電力を自社の節電分としてカウントできるようにする。
 この場合、電力会社には、基本的には要請に応えることを求め、送電容量に不足がある場合などのやむを得ない場合を除いて、買い取り拒否を行わないように指導する。
 買い取り要請が行えるのは、自社の遠隔地の工場や資本関係のある関連企業の他、同一コンビナートの中で、資本関係はないがエネルギーの融通を行っているなどの関係企業の自家発電力についても買い取り要請の対象とする。
 買い取り価格については、企業が購入している電力料金から託送費用を控除した額を目安として、当事者間で協議して決める。


太陽電池、7月−9月の出荷量は4.7%増 拡大に陰り
 太陽光発電協会は、今年度第2四半期の太陽電池の出荷状況をまとめた。総出荷量は前年度比4.7%増の70万6159kWで、出荷量の伸びに陰りが見られる。国内出荷は34万70707kWで、前年度比28.7%%増と、好調な伸びを維持しているが、輸出は前年度比11.3%減となり、欧州向けを中心に減少に転じている。
 国内出荷は、住宅用が49.0%増の31万8955kWと余剰電力買取制度に支えられた市場拡大が続いているが、余剰電力の発生が困難な住宅用以外の太陽光については、新制度の施行待ちといった様相が続いており、出荷量は49.0%減の1万9824kWとほぼ半減した。コスト競争力を武器にシェアが拡大している輸入品は70.2%増の6万6084kWと国産品を大幅に上回る増加を示しており、国内シェアも19.0%とほぼ5分の1は輸入品が占めるようになってきた。
 輸出の内訳は、米国向けが30.9%減の5万9533kW、欧州向けが40.8%減の16万4497kWと大幅な落ち込みを見せたが、アジア新興国などのその他地域向けは、13万4422kWとほぼ3倍増となり、欧州・米国向けの不振を補いつつある。


東京ガスと千葉大学、分離回収CO2をトマト栽培に活用
 東京ガスは、実証事業として実施している「羽田水素ステーション」(東京都大田区)で、水素製造時に分離回収したCO2を千葉大学の植物工場でトマト栽培用に有効利用する共同研究を開始すると発表した。
 水素ステーションで回収したCO2を液化して、ボンベに詰め、千葉県柏市にある千葉大学植物工場に車で搬送し、トマト栽培用の光合成の促進剤として栽培施設内に供給する。
 共同研究は、敷地面積約1千平方bの施設に毎月160kg詰めボンベ2本分のCO2を供給し、年間を通じて4回のトマト収穫を行う。
 植物の光合成は、CO2濃度に比例して速度が高まるという性質があり、通常は400ppm程度の大気中のCO2濃度を約1千ppmにまで高めることで、1平方mあたり年間約40kgのトマトの収量を50kg程度にまで高められるなど、品質の高いトマト栽培の実現を目指す。


東電以外で老朽火力の更新を 九都県市がエネルギー問題で提言
 首都圏の4都県と政令市の首長で構成する九都県市首脳会議は、国に対するエネルギー問題に関する提言を行った。
 東日本大震災以来、電力の供給力不足対策として老朽化した火力発電が運転され、環境面での問題が指摘されていることなどを背景に、「安定した住民生活や旺盛な経済活動の維持・強化のためには、他地域に頼らない地産地消のエネルギーの創出が不可欠」であり、IPPなど多様な企業の参入が期待できる電力制度改革の必要性を提言している。手尾言では、首都圏には約1千万kWの火力発電所があるが、その多くが運転期間35年以上を経過する老朽化設備であり、原発賠償などで経営余力のない東京電力では設備更新に限界があるとしてきしている。


IHI、東京消防庁からリチウムイオン蓄電システム83台を受注
 IHIは、東京消防庁から、リチウムイオン蓄電システム83台を一括受注した。東京消防庁は、都内33カ所の消防署にリチウムイオン電池による蓄電池システムを配備して、ピーク時電力の抑制や、非常用電源、無瞬停電源として所内の電力の安定供給力を高める。
 受注したシステムは、8.4kWhの蓄電能力を持つ蓄電池を搭載し、商用電源が停電した場合には、3時間程度の電力が供給できる。東京消防庁は、入札条件として「高温等の温度変化においても化学反応をしない安全な材質を用いたオリビン型構造リン酸鉄リチウム電池」を指定し、IHIの蓄電システムが落札した。IHIがチウムイオン蓄電システムを受注するのは初めてで、来年3月までに納入する。


《特集》第18回都市環境エネルギーシンポジウム
 =東日本大震災に学ぶ都市整備とエネルギー供給のあり方=

 都市環境エネルギー協会(尾島俊雄理事長)が主催する「都市環境エネルギーシンポジウム」が10月24日に開かれた。今年のテーマは「東日本大震災に学ぶ都市整備とエネルギー供給のあり方について」。震災と、福島第一原子力発電所の事故によって、地方の大規模電源に依存したエネルギー供給システムの脆弱性が浮き彫りになった。政府は、「エネルギー基本計画」の見直しに着手したが、新計画では未利用エネルギーの一層の活用や分散型供給システムへの移行などが盛り込まれる可能性が高い。シンポジウムでは、横浜国立大学大学院の佐土原聡教授が「大都市における今後のエネルギー供給のあり方と地域冷暖房の重要性」について、千葉大学大学院の村木美貴准教授が「イギリスに学ぶ低炭素型都市づくりのあり方」について講演。パネルディスカッションでは、国土交通省、経済産業省、農林水産省の施策、また東京都中央区の取組みが紹介された。

その他の主な記事
・石油連盟がエネ政策を提言
・再可エネ政策も仕分け
・東京都が環境エネルギー政策で報告書
・2013年以降の対策で意見聴取 環境省の小委
・全量買取テーマに太陽光発電シンポ
・水利権緩和を要望、小水力サミット
・IEA、CO2削減困難な見通し
・エネ庁、10年度のエネ需給実績は4%増
・LPG充填所に非常用発電設備を導入
・グリーンイノベーションの展示会
・WWFが自然エネシナリオ
・神戸製鋼が省CO2、節電でGTCCを増設
・大林組がメガソーラーを自社工場に
・ユーラス北海道で5カ所目の風力が完成
・中部電力が集合住宅向け充電装置を開発
・大阪ガス、中国で低濃度炭鉱ガスの濃縮事業を開始
・東芝、英国のスマコミプロジェクトに参画
・シャープが業務用蓄電システムを発売
・大林組、自社内マイクログリッドの効果を確認
・清水建設と信州大学、還水利用のヒートポンプを実証
・日産、自動車から防災拠点に電力供給
・北海道電力、新規風力20万kWを募集
・NEDOがスマコミ蓄電池調査を募集
・NEDO、バイオマスエネ先導公募中止
・SSKセミナー、自治体のエネルギー構想など
・JPIセミナー、HEMSアライアンスなど  etc.





シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 O
 =マイクロ水力に無限の可能性=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・日本を変えるスマート革命 C
 =グリーンディール構築に向けて=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから
・キーパーソン
 =発送電分離は当然=
 (元経済産業省職員 古賀茂明氏)




コラム
・発電論評<自家発活用に必要な電力制度改革>
・青空<ドメスティック産業建設業の「今」>
・ちょっと一休み<針木さんの傘寿の会>
・一筆啓上<太陽光の価格破壊>


自家発活用に必要な電力制度改革【発電論評】

 電力会社が、需要家に対して必要な電力を十分に供給できない事態が続いている。この冬も九州や関西ではピーク電力の不足が予測されており、大口需要家を中心に節電要請が行われている。その他の地域でも、綱渡りの電力供給体制が当分続くことになる。
 こうした中で、自家発電への注目度が高まっている。自家発からの余剰電力供給を促すため、工事費や燃料費の補助制度などが緊急対策として講ぜられているが、期待したほどには、自家発の拡大は進んでいない。多額な初期投資が必要なことや、新増設には時間がかかることなどがその要因として考えられるが、なによりも大きいのは、自家発からの電力調達が制度的にいつまで続けられるのか、見通しが全く立っていないということだろう。余剰電力をといわれても、既存の自家発の大半は、余剰電力を発生させないことを前提に計画されており、すぐに対応できるものではないというのが実情だろう。
 今回、にわかに開始されている電力制度改革の中で、大きな柱となるものに、原子力代替としての火力発電、とりわけ、天然ガスシフトの問題がある。化石燃料の中で、低コストで、CO2排出量の少ない天然ガス発電への期待が高まっているが、天然ガスを使う場合、最も重要になるのが高効率化であり、従来型の大規模火力として整備するのか、需要地近接型で、自家発型のコージェネシステムとして整備するのかということになるのだが、これは、2者択一ではなく、ベース電力としての大規模火力、需要に応じて機動力のある運用ができるコージェネとして、それぞれ推進されるべきものだといえる。規模のベストミックスというべきもので、電源規模の特性に応じた運転管理が行える電源構成が図られるべきであり、それには、コージェネもネットワークに繋いで、高効率の特性が生かせる運用が図られることが重要だ。
 こうしたベストミックスを可能にするには、送電ネットワークがそれに応じて運用される必要がある。現在のように電力会社がネットワークを独占し、自社電力を優先的に送電できる体制のままでは、他事業者や自家発電力の効率的な運用は期待できないことになる。
 ネットワークの運用が電力会社から切り離されることで、コージェネや再生可能エネルギーなど多種の電源も一体的、効率的に運用管理して、需要に応じて発電するという事業スタイルが可能になる。
 そのような、低コストで、低炭素な電力供給が市場を通じて行えるような体制整備が実現すれば、自家発余剰電力を活用して余剰電力を市場に供給するという事業モデルも、現実化できるのかもしれない。