2011年115日号

東京ガスとヤンマーエネルギー、700kWの高効率ガスコージェネを開発
 ヤンマーエネルギーシステムと東京ガスは、700kWクラスでは世界最高レベルとなる、発電効率41.8%を実現した高効率ガスエンジンコージェネシステム「EP700G」を共同開発した。
 東ガス供給エリア内では、東ガス子会社のエネルギーアドバンスが、それ以外の地域ではヤンマーエネルギーが、10月から販売を開始した。
 延べ床面積5万平方m規模の大規模病院やホテル、工場、事務所ビルを始め、地域冷暖房設備におけるコージェネシステムの新設や更新需要に向け提案していく。
 また、エネルギーアドバンスが展開しているエネルギーサービス事業の中核機器として、さらに、都市ガス業界が構想する「スマートエネルギーネットワーク」での活用も視野に入れている。
 EP700Gは、2003年から発売している350kWの6気筒エンジンをベースに、V型化して12気筒にし出力を2倍にした。これによって41%台という高い発電効率を実現。また排出NOX濃度についても、200ppm以下(酸素0%換算)を達成しており、脱硝装置を不要としている。
 既設建物にも搬入しやすくするため、パワーユニット部を3分割できる「オープンタイプ」を用意したのを始め、現行の600kW機に比べ、設置面積を34%削減するなど省スペース化も図っている。
 このほか、新開発の発電機制御システムを搭載することで従来、異常値が出た際には即時、運転停止していたケースでも、エンジンなどの故障でない場合、一時的に出力を低下させて運転を継続でき、自家発補給電力にかかる費用が削減できる。
 さらに蓄電池と組み合わせることで、系統電力の停電時にも運転を継続できる自立運転機能もオプションとしてそろえた。


自家発、再可エネで電源を積み増し 来夏のエネ需給で行動計画
 政府のエネルギー環境会議が11月1日に、今冬の節電対策と自家発の活用などを柱とする今後の電力需給対策を決めた。
 第4回目となる今回の会合では、原子力発電の再稼働が困難な今冬については、関西電力管内では家庭や企業にピーク需要を前年比10%以上、九州電力管内では5%以上抑える節電を要請し。他地域については数値目標は見送るものの、広く節電を呼び掛けることにした。来年夏期についても、なお10%程度のピーク不足が生じるとして、省エネと自家発電や再生可能エネルギーの導入拡大を強力に支援することで、計画停電や電気の使用制限の発動を回避するという需給の安定化対策を決めた。
 来夏の電力供給力は1656万kWが見込まれるが、電気料金メニューの多様化などの省エネ対策をによって、最大980万kWの節電を目指すとともに、電力会社の緊急設置電源の新設などで409万kW、自家発余剰電力などによる卸電力の拡大や、自家発の拡大などで233万kWの新たな電源を確保し、ピーク不足をカバーする。
 計画の実現を担保するために、政府は、9項目の電力システム改革と、9項目の再生可能エネルギー導入、8項目の省エネルギー推進を内容とする「エネルギー規制・制度改革アクションプラン」を策定するとともに、総額5794億円の予算を確保、省エネ設備の導入支援や自家発やコージェネ、再生可能エネルギーの導入支援などを重点的に取り組む。自家発・コージェネの導入には438億円、家庭用燃料電池には137億円の予算が割り振られる。
 電力システム改革のアクションプランの内容は、電力供給に電力会社以外の多様な事業者の参加を目指すもので、自家発や再可エネなどの分散型電源の参入促進とこれを支える送配電事業の中立性・公平性を強化するための制度改革を進める。また、スマートメーターの導入促進や電気料金メニューの多様化、卸電力の活用による電力コストの低減を図る。再可エネの拡大については、立地面での制改革を行い、導入しやすくする。


電気料金のコスト構造を見直し 経産省の有識者会議
 経済産業省は、「電気料金制度・運用の見直しにかかわる有識者会議」の初会合を11月1日に開催し、電気料金制度の見直しの検討を始めた。
 有識者会議は、「東京電力に関する経営・財務財務調査委員会」がまとめた報告書で、現行の電気料金制度について、電気料金の認可が10年以上実施されていないため、料金の算定基礎となるコストの構成や水準の的確性が確認されていないことや、コストに経費が過大に計上されているなどの指摘があったことを受けて、現行制度の枠内で電気料金制度のあり方について見直すことを目的に、枝野幸男大臣が設置を決めたもので、初会合では、料金制度の問題点を洗い出す作業が行われた。


エネファームの販売事業者を支援 コージェネセンターがサポート制度
 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(柏木孝夫理事長)は、家庭用燃料電池の全国的な普及を目的に、「エネファーム」の販売事業者を対象にした会員制の支援制度「FCサポートネットワーク」を創設し、新規会員の募集を始めた。
 サポート制度は、エネファームを販売する中小事業者やこれから販売しようとする都市ガス事業者やLPガス事業者を対象として、営業面や施工・メンテナンス面で支援を行うもので、販売するエネファームの信頼性を高めるとともに、取扱事業者の拡大を目指すというもの。エネファームの開発を手がけ、導入実績の豊富なjX日鉱日石エネルギーと、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの都市ガス大手3社や、エネファームメーカーの東芝燃料電池システム、パナソニックが技術的な協力体制を整えて、要員やノウハウ、コンテンツの提供などを行って、営業面や施工メンテナンス面でバックアップを行っていく。コージェネレーションセンターの会員企業、または、日本ガス協会や石油連盟、日本LPガス団体協議会、エルピガス振興センターなどの特別会員の会員企業で、エネファームを既に販売している事業者やこれから販売したいという事業者を対象に会員を募集する。 サポート制度の正式なスタートは来年度からの計画だが、入会した事業者に対してはサポート体制が整ったものから部分的な支援制度を先行して実施することにしている。


中部電力、シーエナジーとエル・エヌ・ジー中部を来年4月に合併
 中部電力は、グループ会社のシーエナジーと、エル・エヌ・ジー中部を2012年4月1日付けで合併させる。
 シーエナジーが展開する省エネ提案やオンサイトエネルギーサービス事業と、エル・エヌ・ジーのLNG販売やコンサルティング事業を融合させ、「燃料の販売からエネルギー設備に関するソリューションまでを一体で提供できる体制」として、中部電力グループのトータルエネルギーソリューション事業を担わせる。


その他の主な記事
・7月末のRPS認定状況
・ガスビジョンを発表、ガス協会
・中部電力、メガソーラーたけとよが運開
・東京電力がユーラスの出資比率を縮小
・オリックスレンテックが再可エネの試験センターを開設
・宮古島のエネまね実証を受託、東芝
・パナソニックが、産業用と家庭用の蓄電池システムを発売
・NECフィールディングが高性能UPSを発売
・ユアサが太陽効用パワコンを改良
・日立が大型風車用の永久磁石が他発電機を開発
・東京都が太陽熱補助事業で説明会
・NEDO省エネ技術フォーラム2011
・太陽熱活用住宅7件決まる、調査委託も
・有機資源協、木質バイオマスで講演会
・再生可能エネ熱セミナー開催  etc.

<インタビュー>
・再生可能エネルギーを生かす電力制度改革を
(日本共産党衆議院議員 吉井英勝 氏)
 原子力発電所の地震や津波に対するぜい弱性を、東日本大震災以前から国会で追及してきた日本共産党の吉井英勝議員。震災後は、ウォールストリートジャーナルやフィナンシャルタイムスなど、海外からの取材が相次いだという。吉井氏に、改めてポスト原子力時代のエネルギー政策はどのようなものにすべきか、また、電力会社のあり方やエネルギーと深い関係がある地球温暖化問題について、話をうかがった。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(25)分散型エネルギーのコスト・ドイツの実績=

 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・ポスト震災のエネルギーシステム(その3)
 =分散型システムはネットワーク化してこそ生きる=
 井熊 均/日本総合研究所創発戦略センター所長



コラム
・発電論評<電力制度改革と分散型ネット>
・プリズム<電力不安を乗り切るためのLNGコンバインドサイクル>
・青空<原子力開発に尽力した石川六郎さん>
・ちょっと一休<堂々たる受け答え>


電力制度改革と分散型ネット【発電論評】

 電力政策を根本的に見直す議論が開始されている。原子力発電の新増設が困難な見通しとなる中で、政府が新たな電源確保策の中心として考えているのは、省エネと自家発や再生可能エネルギーなどの分散型電源の拡大である。供給力の強化として描かれているのは、原子力や大規模火力の供給依存度を下げ、地域分散型の電源を拡大し、さらにそれを広域的に流通させるという構図である。
 化石燃料を利用する火力発電は、排熱も有効活用できるコージェネで運用した方が効率的である。また、太陽光発電や風力発電などの発電量が一定しない再生可能エネルギーと組み合わせて利用することで、低炭素で、効率のよい電力供給が行える。これらのことを勘案すると、コージェネや再生可能エネルギー電源は、発電したその場所でまず利用した上で、計画的に発生させた余剰電力を広域ネットワークに流通させるという姿が描ける。
 これを実現するには、従来の電力流通の概念とは全く逆の、需要側が発電所も兼ねるというネットワークの構築が必要になってくるのだが、前例がないわけではなく、それは、既に一部でも始まっているのである。
 例えば、住宅の屋根にで発電する太陽光発電は、まず家庭内で自家消費された後に、余剰電力買取制度によって電力ネットワークに逆潮され、流通消費されている。この仕組みを量的に拡大することで、需要側が発電もするという新たな電力ネットワークの構築が実現できてしまう。
 一定規模の地域単位で構成する地産地消型のネットワークを構築して、その中でまず発電・送電・消費する。過不足分は外部の広域ネットワークで流通する電力で補いあい、全国的な需給バランスをとる。全国をカバーする広域ネットワークはこれまでどおりに維持し、原子力や火力などの大規模電源をベース電源や調整電源として電力の安定供給を担保する。地域で調達できる分散型電源を優先させ、大規模電源がその不足分をカバーするという考え方である。
 どのような電源を利用するのかは、設備費や燃料費、環境性などを考慮して分散型ネットワークの運営者、つまり、電力の調達・販売事業者が決める。事業者は、地域独占である必要はなく、インターネットのプロバイダーのように需要家が、複数の事業者から自由に選択できるようにする。この場合、太陽光などで自家発電した余剰電力を売却する事業者と不足する電力を購入する事業者を別々に選択することができるようにしてもよい。
 大切なことは、需要家が自家発電したり、購入する電力の事業者や発電手段を選択できるかということ。その視点で新たな電力制度改革の議論が進んでいくことを期待したい。