2011年1025日号

自家発導入支援を拡充 3次補正予算案決まる
 政府は、平成23年度の第3次補正予算案を閣議決定した。東日本大震災の復興関連を中心に、円高対策や産業空洞化対策なども盛り込んだ。
 経済産業省のエネルギー関連予算は2840億円。自家発電設備の導入補助や再生可能エネルギーの拡大をはじめ、被災地の燃料供給基地の復旧支援などを重点的に行う。環境省でも自立・分散型エネルギーの導入や再生可能エネルギーの導入、病院のコージェネシステム緊急整備などを通じて災害に強い街づくりを目指す。
 経済産業省のエネルギー対策の推進は、@電力需給の安定対策とA電力安定供給のための天然ガスの確保B燃料供給設備の復旧と災害に強い燃料供給体制の整備−の3つの柱を掲げて、需給安定対策では、2324億円の予算規模で、自家発電設備の導入補助の拡充や中小ビル・家庭へのエネルギー管理システムの導入を図る。また、住宅用太陽光発電や蓄電池、燃料電池、高効率ガス給湯設備に対する「エコ補助金制度」を創設し、家庭や中小企業等での節電や再生可能エネルギーの導入を加速化させる。
 燃料供給体制の整備は、313億円の予算規模で、被災地で復興に不可欠な燃料供給基地であるSSやLNG基地、石油ガス基地などを復旧整備の支援を行う。
 環境省のエネルギー関係の3次補正予算は、8840億円の地域グリーンニューディール基金の拡充予算の中で、自立・分散型エネルギーの導入などによるエコタウン化事業を推進するほか、再生可能エネルギー事業のための緊急検討事業として4億円の予算規模で、被災地での再生可能エネルギーの導入提案を民間事業者から提案募集する。また、節電・電源セキュリティ向上緊急事業として、5億2500万円の予算で、被災地の病院や福祉関係施設が緊急時の電源を確保するためにガスコージェネの導入を支援する。特にガスコージェネは、都市ガスやLPガスを燃料とするもので、化石燃料の中ではCO2排出量が少なく、CO2の排出抑制が期待できることから整備を支援していくことにした。病院のコージェネの導入については厚生労働省でも、医療施設等の防災対策の216億円の予算の中で、災害拠点病院等の自家発電設備等の整備を進めていくことにしている。


コージェネの発電コストは廃熱価値を控除
 政府のエネルギー・環境会議の下に設置されたコスト等検証小委員会(委員長・石田勝之内閣府副大臣)が18日に2回目の会合を開き、火力発電の燃料費やCO2削減対策費などの発電コストや今後の技術革新の見通しなどについて検討した。
 発電コストの算定に当たっては、新たな電力供給システムとして、コージェネシステムについても電力供給用電源としてコストの算定が行われることになり、具体的な方法についても議論された。
 コージェネの発電コストの算定は、これまで省エネ法などによって採用されてきた電気と熱の出力比率で発電コストを算定する方法は採用せず、同時に発生する熱の価値を別途計算して、その分を発電コストから差し引く、という「熱価値控除方式」を採用することが提案された。この場合、熱の価値は、「同量の熱をボイラーで得るために必要な燃料費」とする。
 また、多様な燃料の使用が想定されるコージェネシステムの燃料によるコスト差についても算定するため、燃料ごとに規模の異なるモデルプラントを設定してコストを算定することとし、ガスコージェネについては6500kW級の中大型のガスエンジンやガスタービン、石油コージェネについては1千から2千kW程度のディーゼル発電、燃料電池については、1kW程度の家庭用燃料電池についてコスト試算することが提案された。
 同日の委員会では、原子力発電については原子力委員会にコスト算定の検証などを依頼すること、石炭火力、LNG火力、石油火力、一般水力についてのコストの算定方法、火力発電の燃料費の考え方(コージェネを含む)、CO2対策経費の考え方などについても議論され、CO2削減対策費など、直接の発電コストには含まれない費用についても検証の対象とする方針などが示された。


川崎重工が、潮流発電の開発に着手
 川崎重工は、再生可能エネルギーの一つとして期待される海洋エネルギーを利用した発電システムの開発に着手した。NEDOが公募した「海洋エネルギー発電システム実証研究事業」の実施企業に採択され、沖縄電力と沖縄新エネ開発の協力を得て、沖縄海域での実証実現を実施するための検討を始める。
 川崎重工では、実証試験の開始に先だって、技術開発を加速するために、海洋エネルギー開発で世界の先端を行く英国スコットランドの実証フィールドである欧州海洋エネルギーセンターEMECで事前に本格的な試験を行う。
 また、開発した潮流発電機は、英国など世界で今後大きな発展が見込まれる大規模プロジェクトへの参画や、日本国内での商用発電を検討するなど、グローバルな事業展開へ向けた動きも加速させる。
 世界中に広く分布している潮流エネルギーは、気象や天候の影響を比較的受けにくく、安定した発電量が期待できることから、その実用化に向けた開発が各国で活発化している。川崎重工は、船舶や舶用推進器、各種調査船、多様な海洋構造物等の開発・建造実績を有している自社技術や、高効率の自社開発のガスタービン発電プラントなど、幅広いエンジニアリング技術など、これまで培ってきた技術を総合して、独自の優れた高効率で信頼性の高い、世界市場で競争力のある潮流発電システムの開発を目指していく。


NEC、マンガン系リチウムイオン電池の寿命を2倍に
 NECは、マンガン系リチウムイオン電池の寿命を、2倍以上に向上させる技術を開発した。
 電解液に新たに開発した有機硫黄化合物を加えることで、電池寿命が2倍以上に長寿命化することを確認した。電池容量3.7Ahの積層ラミネート電池を試作して寿命予測試験を実施し、4年以上の連続使用に相当する2万3500サイクルの充放電試験の後でも、初期容量の約83%が維持できた。
 充電可能容量が初期の70%に低下するまでの年数では、従来タイプの電池では、約5年だったものが約13年に、同50%まで低下するのは、約15年だったものが約33年と、2倍以上に伸びる。
 NECでは、新技術を適用した蓄電池システムを、家庭やビル用だけでなく、より高い耐久性が要求される電力系統の安定化用の大規模蓄電システムにも適用できるものとして製品開発を行っていく。
 安価で埋蔵量が豊富なマンガン系正極を用いたリチウムイオン電池は、携帯機器や電動アシスト自転車などで利用されているが、高い耐久性が要求される定置用の蓄電池に用いた場合、繰り返しの充放電によって電解液の溶媒が分解され、負極上に皮膜が形成されたり、正極のマンガンが除々に電解液へ溶出するなどして、電池容量が低下するなどの課題があった。


その他の主な記事
・国内クレジット売却代金の一部を被災地に寄付
・川重のGTが重要科学技術資料に登録
・豪州で国際ガスシンポ参加者を募集
・GT公開セミナー、大阪で開催
・地域水素供給インフラ技術実証決まる
・コベネフィットCDM2次募集開始
・JXがSOFC初号機を納入
・トヨタが東北でスマコミ
・排出権代金をEVで支払い
・協和エクシオが軽トラ用の電源車
・特種東海製紙が利電池用高性能セパレーター材を開発
・三井化学ら6社が大規模太陽光と風力発電事業
・茨城で配送トラックのEV化実証事業
・日立が重慶市とスマコミモデル事業で提携
・矢野経済が風力市場を調査
・11月24日にコージェネシンポ
・環境省、アジアの低炭素化でシンポジウム
・電機工業会がスマグリでセミナー
・都がエネマネ実証の協力企業を募集
・JXが21世紀のエネルギーを考えるシンポ
・環境省、環境コミュニケーションシンポ  etc.


<インタビュー>
・メガソーラーと地域開発
(国際航業ホールディングス取締役 企画本部長 渡邉和伸氏)
 東日本大震災以降、地域分散型の再生可能エネルギーへの注目が高まっている。そうした中にあって、国際航業グループでは、これまでの社会インフラ整備に関するノウハウと、官公庁との関係を活かし、震災前からメガソーラーに取り組んできた。大規模太陽光発電は、設置する土地と電力ネットワークへの接続条件が整えば開発しやすく、災害時には、地域のエネルギー設備としての活用も図れるところから、さらに大きな期待が寄せられるようになっている。震災後のニーズの変化を、どのように受け止めているのだろうか。自治体と協力して街づくりの視点事業の拡大を目指している国際航業グループの取り組みを聞いた。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 N
 =エネルギー世界の王政復古主義=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・日本を変えるスマート革命 B
 =省エネサーチャージと日本版PACE=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから
・キーパーソン
 =都内に高効率の天然ガス発電所を建設する=
 (東京都副知事 猪瀬直樹氏)




コラム
・発電論評<買取制度の高まる期待>
・青空<ながら族>
・ちょっと一休み<拝観料の高さに閉口する>
・一筆啓上<インフラ輸出で経済貢献>


買取制度に高まる期待【発電論評】

 再生可能エネルギーの時代が始まっている。来年7月から導入されることが決まった固定価格買取制度がさらにその後押しをする。法律はできたが、買い取り価格などの詳細は、まだ決まっていない。価格などを決める委員会の設置もまだこれからだ。
 太陽光発電については、先行して余剰電力買取制度が実施されている。現在、住宅用は1kWhあたり42円。非住宅用は40円で買い取られており、設備のコストダウンの状況を見ながら毎年買い取り価格が見直されている。新制度は、これを太陽光以外の再生可能エネルギーにも拡大し、家庭用以外のものは全量買い取り型となる。買取制度は、再生可能エネルギーの飛躍的な拡大が目指せる、エース級の制度として期待が高まっているが、果たしてどうか。
 太陽光発電の場合、買取制度が1年間フルに適用された2010年度の太陽光発電の導入量は、前年度のほぼ3倍に当たる84万kWとなった。制度が年度途中から導入された09年度の導入量が、約32万kWであり、さらにその前年の08年度の導入量が18万6000kW余りであったことを考えると、買取制度が著しい効果を生んでいるとみることができる。
 この傾向は、今年に入ってもさらに加速化して継続しており、4月から6月までの3カ月間の導入量は、約27万kW、月平均約9万kWと、昨年度をさらに上回るペースで拡大を続けている。
 最近では、戸建て住宅に止まらず、集合住宅の屋上などに設置される例も増えている。さらに、現在は買い取り対象とはなっていない500kW以上の大規模設備についても新法によって買い取り対象となることを見込んで、メガソーラークラスの大規模発電の計画が次々と発表されるなど、買取制度に対する期待感の高まっている。
 太陽光以外の再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度は、政府案の段階では全種一律の価格と期間で買い取ることが想定されていたが、国会審議の過程で法案修正が行われ、電源種別ごとの買い取り価格が設定されることになった。
 太陽光以外の再生可能エネルギーとして導入実績が多いのは、風力発電とバイオマス発電だが、地熱発電や中小水力なども技術的には既に確立されたものであり、買い取り価格の設定によっては、一気に導入が加速化する可能性を秘めている。
 そのほかにも、現在は制度の対象外ではあるが、電源の低炭素化に寄与できるという意味で、水素やバイオマス燃料が利用できる燃料電池やコージェネレーションシステムに対する買取制度も追加的に考えられてもいいのではないか。その場合、水素やバイオマス燃料の使用割合によって買い取り価格を決めることも考えられていい。