2011.10.15


2011年1015日号

電源別の発電コストを検証 新エネコージェネも
 政府のエネルギー環境会議の下に設置されたコスト等検証委員会(委員長・石田勝之内閣府副大臣)が初会合を開き、電源別の発電コストの検証を開始した。新たな電力供給構造やエネルギーのベストミックスの構築に向けて、従来の設備費や燃料費などの発電コストにとどまらず、原子力のバックエンドコストや政策経費、また、PRコストや燃料費の変動などもコスト算定の要素とする。再生可能エネルギーなどの技術革新による将来的なコスト変動なども考慮要素に加えて、将来的な電力のコスト構造を可能な限り明らかにし、エネルギー種別ごとの電源のベストミックスを構築して行くための判断材料とする。
 検討に当たっては、@経済性、安全保障上の観点から優れているかA化石燃料、原子力発電への依存度の低減とエネルギーセキュリティや環境適合の両立B将来の技術革新の可能性を加味した経済性や安全保障上の評価C変革の方向性に向けた国の意志Dコストの壁を打ち破るエネルギーイノベーションE国際的な観点からみた日本の注力すべき分野F地球温暖化問題への取り組み−といった7つの視点から、ベストミックスについての基本理念を示す。
 発電コストとして試算比較するのは、原子力、石炭火力、地熱発電、小水力発電をベース電源として評価、LNG火力、大規模水力、バイオマス発電、コージェネレーション(内燃機関/燃料電池)をミドル電源、石油火力、太陽光をピーク電源として、それぞれのコストを試算・比較して評価する。
 検証委員会は、今後、電源ごとのグループに分けて具体的な検討を進め、12月中に試算結果を取りまとめ、年末に予定されているエネルギー・環境会議がまとめる戦略の基本方針に検討結果を反映させる。


東京電力の経営・財務調査委が報告書 総括原価方式に疑問示す
 政府の東京電力に関する経営・財務調査委員会が、報告書をまとめた。東京電力の今後10年間程度の特別事業計画を策定するための基礎資料とするために、現状の東京電力のコスト構造について調査し、料金制度やコスト構造などにメスを入れた。
 報告書では、原子力発電が再稼働できてもできなくても大幅な資金不足が生じ、東京電力単独では事業運営に支障が出るとの試算結果を示した。
 また、現状の総括原価方式による料金制度には適正な原価とはいえないオール電化関係の推進費や広告宣伝費、寄付金や団体費などが含まれており、前回の料金改定以降の直近の10年間に限っても、約6千億円の料金が需要家に過大請求されているとして、現行の料金設定にそのものに対して疑義を示した。料金制度は他の電力会社も同様の原価設定をしているものと見られることから、改めて電気料金制度のあり方が問われることになる。
 電源構成については、卸電力など外部電源の調達によってコスト削減余地があることを指摘、電力供給先の自由度を確保するため、送電網の再整備にも目を向けるべきだと指摘している。


東芝と明電舎、中小型水力発電システム分野で業務・技術提携
 東芝と明電舎は、中小型水力発電システム分野の事業強化を目的に、業務・技術提携に関する基本契約を締結した。東芝は明電舎に対して水車やそのサービスを、明電舎は東芝に対して水車発電機やそのサービスを提供し、各々の水力発電システム事業を強化する。
 電力系統との調和性が高く、自然エネルギーである水力発電は、特に国内においては、再生可能エネルギーの全量買取制度が来年度から施行される見通しとなったことから、対象となる3万kW未満の小型水力発電システムの需要の拡大が予想されていることから、両社が関連事業について相互補完することで、事業強化が図れると判断した。今回の提携によって、東芝は、国内での小型製品が強化され、明電舎は水車の供給が確保できる。
 両社は、各々が高効率な水力発電システムやメンテナンスサービスを提供していくことでシェア拡大を目指す。海外における中小型市場においても協力を拡大していく。


関西電力、淡路市の風力発電事業の風車建設工事を縮小して再開
 関西電力は、グループ会社の関電エネルギー開発が、兵庫県淡路市北部の丘陵地に建設を進めている、グループ初の風力発電事業の建設工事を再開した。
 風車による騒音の発生が懸念されたことから、計画の見直しを進めていたが、建設基数を当初計画の12基(2万4000kW)から6基(1万2000kW)に変更し、そのうち3基については夜間の運転を停止するなどの計画変更を行うことで地元の了解が得られ、建設工事が再開できることになった。年度内の運転開始を目指す。


その他の主な記事
・エネルギー環境会議の議論再開
・電気料金制度見直しへ有識者会議
・クリーン発電&スマグリ展、横浜で開催
・伊藤忠、秋田のスマコミ実証に参画
・ソニーがアメリカでスマコミ実証に参加
・リチウムキャパシタ事業で合弁会社がスタート
・日本コークスが排熱発電設備を設置
・パナホームがCO2ゼロ住宅を発売
・ロンドンの橋上駅に三洋電機の太陽光
・トヨタがバイオマスの研究開発状況を公表
・太陽光発電の試験期間を半減
・関西電力が淡路の風力の建設工事を再開
・エネ庁が再エネトークセッションを開催
・11月と12月の太陽光施工研修を発表
・ノルディックグリーンジャパン参加者を募集
・新エネ財団が人材育成研修を本格実施
・第62回バイオマスサロン開催を発表
・NEDOが日独環境フォーラム
・ENEOS水素基金の受賞者5人決まる
・燃料電池補助申請の受付を再開
・風車音予測手法開発の委託先決まる
・新エネ財団、札幌で熱セミナー   etc.

<インタビュー>
・地中熱利用の可能性
(特定非営利活動法人 地中熱利用促進協会 理事長 笹田政克氏)
 自然エネルギーの中でも見過ごされてしまいがちなのが、未利用熱の分野である。例えばエアコンは一般的に、空気と熱交換することによって冷房や暖房を行っている。しかし、空気と比較して夏は冷たく、冬は暖かいものがあれば、熱交換は効率的なものとなる。地中の温度は年間を通じて変化が少ないため、こうした条件に合っている。この地中熱とヒートポンプを組み合わせることで、冷暖房のエネルギー効率を大きく向上させることが可能だ。地中熱利用技術は、最近では東京スカイツリーの熱供給にも使われている。欧米では、かなり普及している地中熱利用だが、日本はまだこれからだ。地中熱の普及拡大に取り組む笹田政克地中熱利用促進協会理事長にお話を伺った。


燃料電池新聞の主な記事
・燃料電池・水素技術開発シンポジウムレポート
・海外ニュース
 -米オプトメック、SOFCのセルの製造方法としてエアロゾルジェット印刷技術を開発
 -米NIST、マグネシウム・鉄粒子で7wt%の水素貯蔵を確認
 -仏マクフィー・エナジーの水素貯蔵システム、英ノッティンガム大学のマクログリッド構想に採択
 -米マイクロセル、100kW級まで拡大可能な3kW級燃料電池CHPを開発
 -米フューエルセルエナジー、パートナーのポスコパワーを通じてインドネシア市場を開拓
 -米ブルームエナジー、ベンチャーキャピタルから1億5000万ドル調達
 -米ターミナスエナジー、2012年に50kW級SOFC発電装置(TE−50)を商品化
 -米SAFセル、ノルウェーNPS向けに1.2kW級SAFCを開発
 -米レンセラー工科大学、水素貯蔵材料として有望なナノブレードの評価試験を実施
 -独ダイムラー、2011年末までにFCVや水素ステーションの協業を拡大
 -米クワンタム、ダイムラーから70MPa級超軽量高圧水素タンクの開発を受託
 -ダイムラー、プラグインハイブリッド燃料電池車「F125!」公開
 -米クラウン、500台目となる燃料電池フォークリフトを製造
 -米パイクリサーチ、アジア太平洋地域の燃料電池市場を予測、2017年に67億ドルと発表
 -韓国現代自動車、燃料電池車とプラグインハイブリッド車に特化
・燃料電池フラッシュニュース
 -東北大学、高温無加湿で高いイオン伝導性を示すPEFC用電解質膜を開発
 -川崎重工業、液体水素の供給網を構築、2017年に試験運用を開始
 -パナソニック、2011年度の家庭用燃料電池の生産計画を6000台強に修正
 -東邦ガス、家庭用燃料電池の累計販売台数が1000台に到達
 -ホンダ、「FCXクラリティ」を成田国際空港でのハイヤー走行実証実験に提供
 -FC−R&D、燃料電池ハイブリッドシステム「ZEEP24」を開発
 -九州大学、電極触媒にニッケル・ルテニウム化合物使った燃料電池を開発
 -理化学研究所、水素の挙動を観察できる新たな水素吸蔵材料の合成と構造解析に成功
 -JX日鉱日石エネルギー、2011年10月から家庭用SOFC燃料電池の販売を開始
 -東芝、電力貯蔵システム用高温水蒸気電解セルを開発
・燃料電池インフォメーション
 ■燃料電池開発情報センター第25回セミナー「新エネルギー事情と燃料電池開発」
10月5日(水)日本教育会館(東京都千代田区)○概要=震災後のエネルギーの状況およびスマートグリッドと燃料電池開発の現状と将来を解説@NEDOにおけるスマートコミュニティ/グリッド実証事業とエネルギーネットワーク(NEDO スマートコミュニティ部 林成和氏)A停電時対応燃料電池(富士電機 吉岡浩氏)B家庭用燃料電池「エネファーム」の現状と今後の展開(東京ガス)C日本の復興と科学技術・エネルギーを巡る新事情(科学技術振興機構 理事長 北澤宏一氏)D世界経済の動向と日本(三極経済研究所 齋藤進氏)E水素エネルギー普及に向けた取り組みと今後の展開(岩谷産業 宮崎淳氏)F燃料電池自動車(FCV)の開発状況と今後の展開(本田技術研究所 守谷隆史氏)
 ■水素エネルギー先端技術展2011
11月9日(水)〜11日(金) 西日本総合展示場新館セミナーA会場(北九州市小倉北区)○概要:◇9日・燃料電池・水素エネルギー専門技術セミナー「水素エネルギー社会の実現に向けて」@「水素エネルギー社会の実現に向けて」JX日鉱日石エネルギー 常務取締役・研究開発本部長 岡崎肇氏(基調講演)A「水素エネルギー社会に向けた政府の取組」経済産業省資源エネルギー庁 燃料電池推進室 小見山康二氏Bセミナー「西部ガスにおける燃料電池・水素エネルギーについての取組」西部ガス総合研究所 黒田明氏C「パナソニックにおける家庭用燃料電池(エネファーム)の取組」パナソニック燃料電池プロジェクトリーダー 清水俊克氏/◇10日・燃料電池アジアセミナーin福岡〜日韓燃料電池産業の最前線〜 @アイシン精機のSOFCコージェネレーション開発と普及に向けた取組み(アイシン精機L&E商品企画部 吉柳考二 氏Aポスコパワーにおける業務用燃料電池の普及戦略・開発動向(ポスコパワー燃料電池事業戦略マーケティンググループ 金泰亨氏B.水素エネルギーの普及に向けた課題と取組み(岩谷産業水素エネルギー部長 宮崎淳氏C.韓国ガス公社における水素インフラ事業の取組み(韓国ガス公社新エネルギー環境チーム 李榮哲氏DHONDAの燃料電池電気自動車開発の現状と今後に向けて(本田技術研究所 守谷隆史氏E大韓民国における燃料電池自動車開発の動向(ウルサン大学水素・燃料電池研究センター 金峻範氏F水素エネルギーと新産業の実現に向けて(九州大学 佐々木一成氏)
 ■電気化学会 第113回燃料電池研究会セミナー
10月28日(金) 電気化学会会議室(東京都千代田区)○概要:水素インフラの構築と水素エネルギー社会/@水素中の不純物が燃料電池性能に与える影響(日本自動車研究所 赤井泉明氏)A燃料電池自動車・水素供給インフラの普及開始にむけて(水素供給・利用技術研究組合 町田智英氏Bホンダのソーラー水素ステーション ‐差圧式高圧水電解システム‐(本田技術研究所 岡部昌規氏C有機ケミカルハイドライド法による水素貯蔵輸送システムの開発(千代田化工建設 岡田佳巳氏)   etc.

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(59)
 =2012年度のエネルギー関連予算=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長
・世界を読む(38)<パナマ会議が残した課題>
・キーパーソン
 =設立に携わった保安院の幕引き役に=
 経済産業省原子力安全・保安院長 深野弘行氏



コラム
・発電論評<発電サービスの質が問われる>
・青空<新幹線と高速道路の輸出>
・ちょっと一言<電気料金値上げの貧しい議論>


発電サービスの質が問われる【発電論評】

 電力制度改革の議論が本格的に再開された。
 改革の議論の基本的な方向として、原発依存度を低減し分散型システムを最大限活用する形で電力供給システムを作り直すという考え方が示されているだけに、その実現に、大いに期待が高まっている。
 10月3日に報告書が出された東京電力に対する財務・経営調査委員会の報告書を見ると、電力料金制度をはじめとする現在のコスト構造そのものにも目が向けられ、地域分割の独占供給体制のあり方そのものも検討の俎上に上がると思われる。
 改革の視点は省エネと、系統電力の依存度をいかに下げられるのかと言うこと。それには、需要側の省エネ対策と、自家発電設備をはじめとする分散型システムをいかに、効果的に導入していくのかということにつきる。
 どれもそう簡単な課題ではないが、いずれにしても導入する発電システムの質や内容が問われることになる。
 導入される分散型の発電システムは、従来の系統電力よりも質や内容が高いものでなくては改革する意味がない。そしてローコストであることも必要条件として不可欠な視点だ。
 システムの質や内容とは、つまり高効率であることであり、低炭素であること、安全性が高いこと、そして何よりもユーザーにとって使い勝手のよいもので無ければならない。
 高効率であることは、低炭素でもある。効率が2倍あれば使用する燃料が半分にできる。化石燃料だとCO2排出量も半分にできる。さらに、バイオマス燃料や水素などのCO2フリー燃料が使えればCO2排出量はゼロにできる。大規模火力で全燃料をバイオマスや水素に置き換えることは難しいし、そうする必要もない。バイオマスや水素は需要地近接の分散型システムの方が使用に向いている燃料なのだといえる。
 安全性をいかに確保するかということは最も重要な課題だ。これまで、系統電力を受電するだけだったユーザーが、自家発電設備を導入して、運転や維持管理まで全てを行うということは、ユーザーの負担が重すぎるといえる。これについては、かつてのオンサイト発電サービスの手法を復活させるのが早道だ。オンラインサービスの手法も取り入れて24時間の安全管理する手法も既に運用され実績もある。こうしたサービスを利用すれば、計画から運転管理まで、系統電力を利用してきたこれまでと、ほとんど同じ感覚で自家発電設備の運用ができる。さらに、余剰電力が売電できると、発電所として電力供給にも参加・貢献できることになる。
 新たな、オンサイト発電の時代が始まろうとしている。そのために必要なサービスやシステムの内容が、事業者やメーカーに向けて、改めて問われてきているといえる。