2011年925日号

新エネ産業構築へ6分野で課題を抽出 エネ庁の研究会
 資源エネルギー庁は、今後のエネルギー産業の方向付けを検討することを目的に開催した新たなエネルギー産業研究会の中間とりまとめを行い、新産業として成長するための課題の抽出などを行った。
 検討の対象としたのは燃料電池、蓄電池、太陽光発電、風力発電、ZEB/ZEH、太陽熱発電の6分野。技術開発や導入見通しなどのエネルギー政策の枠を超えて、新たなエネルギー産業として可能性を探り、世界の中での位置づけや、産業拡大に向けた課題や可能性についてまとめた。研究会は、4月に第1回を開催後、6分野にファイナンスを加えた7つの分科会を設置して具体的な検討作業を進め、中間とりまとめを行った。
 検討した6分野については、太陽光や燃料電池など、日本が先行して実用化開発を行った分野では、海外勢のキャッチアップが急激に行われており、国際的な競争が激化。日本の技術の優位性は急速に失われつつある。また、太陽熱発電や風力発電は、国内市場の拡大が遅れ、そのため技術開発にも後れをとっている。しかしながら、部材や材料などでは日本企業が優位性を持つ分野もまだ多く残されており、洋上風力など今後の技術開発が必要な分野に注力することで、新たな市場獲得を目指すなどの方向性を打ち出した。
 また、世界市場の中での日本企業の現状や、今後の展開の可能性などについて分析し、自立した産業として成長していくための課題を抽出。今後の政策課題について分析した。
 近年の地球温暖化問題の高まりや、原油などのエネルギー・資源価格の国際的な高騰などを背景に、再生可能エネルギーなどの低炭素型エネルギー利用技術が次世代エネルギーとして注目されてきている。研究会では、国際的な実用化競争が激化する中で、国内外の市場が急速に巨大化しており、競争が激化する世界市場の中で勝ち抜いていくための課題の抽出を行ったもので、検討結果については、エネルギー基本計画の見直し議論の中に反映される。


JFEエンジ、災害時に電気と水を確保する新生活保全システムを販売
 JFEエンジニアリングは、震災などの災害時にもビルや防災拠点などで電気や水が確保できる、「災害対応電源・水源システム」の販売を開始した。
 非常用の自家発電設備を兼ねるエンジン発電機と燃料タンク、貯水槽を組み合わせて、外部電源が停電しても、自家発電設備が起動し、施設内の電源を確保するとともに、給水用のポンプにも給電、給水を確保する。空冷式の二元燃料エンジンを採用し、都市ガスと軽油の2つの燃料を利用できるようにして、災害時の燃料確保の安全性を高めた。
 停電が発生すると、瞬時にエンジン発電機が稼動し、まず消防設備など非常用設備へ給電を開始するとともに、給水ポンプを起動させ、貯水槽から飲料水を含む生活用水を供給する。通常時のメンテナンスや停電時の稼動を遠隔で制御するシステムも付加サービスとして利用できる。都市ガスの供給が継続されれば、長期間の継続運転も可能。
 従来、給水や発電システムなどの製品をそれぞれ個別に販売していたものを、災害対応型の電源・給水システムとして組み合わせて販売することで、災害時のライフラインの機能確保に応えるシステムとした。庁舎や病院、学校、公民館などの防災拠点や避難所施設、また、大規模マンションやオフィスビルなどへのエンジニアリング提案を行っていく。


11月24日、25日にコージェネシンポ
 9月1日付けで新法人に移行したコージェネレーション・エネルギー高度利用センターは、毎年開催しているシンポジウムを11月24日と25日の2日間、東京・有楽町の東京国際ファーラムで開催する。
 今年は新財団設立記念として開催する、「 コージェネレーション・エネルギー高度利用シンポジウム 2011」として、「エネルギー高度利用を担う分散型システムの将来」をテーマに開催。橘川 武郎一橋大学大学院教授が「これからの日本のエネルギー事情と経済に及ぼす影響」(仮題)と題する基調講演を行うほか、エネルギー・環境問題研究所の石井明代表が「知られざる天然ガスの実力」と題する特別講演を行う。また、5つの一般講演と「これからの日本のエネルギーとコージェネレーションに対する期待」をテーマにしたパネルディスカッションも予定されている。
 2日目は横浜地区で東京ガス港北ニュータウンビル、慶應義塾大学日吉キャンパス共生館、東京国際空港旅客ターミナルを視察するテクニカルツアーが行われる。


日立、石炭火力発電向けの低温作動型シフト触媒を開発
 日立製作所は、CO2回収機能付き石炭ガス化複合発電向けの低温作動のシフト触媒を開発した。CO2を回収する際に必要となる水蒸気の量を従来の3分の1に削減し、蒸気タービンでの発電量を増やす。CO2排出量を大幅に抑制しながら高効率の発電ができる。
CO2回収機能付き石炭ガス化複合発電システムは、石炭をガス化し、ガス中に含まれるCOを水蒸気と反応させて水素とCO2に転換し、CO2を分離・回収。水素を主成分とする燃料に転換して発電する。
 開発したシフト触媒は、低温域での反応速度が大きく、少ない水蒸気量でより理論転化率に近いCO転化率を得ることができる触媒で、これによって、CO2に変換させるために必要な水蒸気使用量を従来の3分の1程度に削減できることを実験室レベルで確認した。


その他の主な記事
・NTTファシリティーズが低価格の急速充電器
・近鉄不動産がWソーラーをモデルハウスに
・日産自動車が急速充電器を半額に
・東芝がロシアで変電設備などで合弁
・ユーラスがノルウェーでウィンドファーム
・パナソニック電工が新型エコキュート
・川崎重工がインドネシアにGT
・東京都が太陽熱補助の募集開始
・NEDOが燃料電池・水素の成果報告会
・省エネセンターがビル省エネ診断技術者研修
・天然ガス普及促進センターを設立
・大阪市がアジア環境ビジネスフォーラム
・NEDOが技術フォーラム中部
・革新的太陽光発電カンファレンス
・省エネ大賞発表会
・北海道で環境エネシンポ  etc.


<インタビュー>
・ポスト原発のエネルギー政策
(みんなの党 参議院議員 小野次郎氏)
 東日本大震災による福島第一原子力の事故発生から半年以上が過ぎた。この間、原子力発電所の定期検査後の再稼働が難しくなり、多くの原子力発電所が運転を停止している。今後の原子力発電の取扱を巡って、わが国は、エネルギー政策を根本から見直す必要に迫られている。このような状況にあって、政治家がどのような政策を持っているのか、今回から、与野党議員に連続インタビューする。最初に登場してもらうのは、再生可能エネルギーの開発が進む山梨県を地盤とする小野次郎参議院議員。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 L
 =ガソリン価格の影響を強く受ける米国経済=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・日本を変えるスマート革命 A
 =初期投資負担軽減のスキームを=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから
・書評
 「日本の大転換」
 (中沢新一 著 集英社 700円(税別))




コラム
・発電論評<安定供給にも寄与できる再生可能エネルギー>
・青空<厳しい残暑に辟易していたのも束の間>
・ちょっと一休み<お祝い状や感謝状に感激>
・一筆啓上<怪しい産業空洞化論>


安定供給にも寄与できる再生可能エネルギー【発電論評】

 次世代のエネルギー利用の方向性を巡る議論が活発になっている。原子力への依存度を下げ、なおかつ低炭素型のエネルギー供給システムを構築するということは共通認識化されてきているといえる。
 原子力の依存度を下げても、低炭素化の目標はそのままに、可能な限り低炭素化する。そのためには、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを可能な限り導入して、それでも不足するものは、化石燃料で代替する。化石燃料についても、低炭素化とエネルギー源の多様化の観点から天然ガスシフトを加速化させる。化石燃料については、出力が不安定な太陽光や風力などの自然エネルギーの調整・補完用電源としての役割もある。調整・補完用としては、蓄電池を利用することも現実的になってきている。
 以上のような方向性については、ほぼ社会的なコンセンサスが得られているといってももよく、こうした基本的な考え方の元で、個々のエネルギーの利用方法などを実現可能な導入目標として定める必要がある。
 導入目標については、低炭素化、原子力、石油代替、エネルギー源の多様化、安定供給の確保の視点の他にも、なによりも低コスト化の実現の視点が重要になる。さらに忘れてはならないものには、エネルギー自給率の向上の視点もある。
 こうした、複雑な条件の一つ一つを照らし合わせて考えてみると、再生可能エネルギーの適用度が極めて高いことがわかる。
 低炭素であること、エネルギー源の多様化にも寄与すること。再生可能エネルギーは基本的には国内資源を活用するものであり、エネルギー自給率の向上にも大いに寄与できる。これまで弱点だとされてきた、出力の不安定さについても、蓄電やコージェネレーションなどによるきめ細かな出力補完を行う手段が確立されてきており、安定供給面でも十分対応できる電源として利用できる可能性が広がっている。さらに、低コストであるという条件についても、設備の導入時のコスト負担はあるものの、導入後の燃料費もいらず、ランニングコストがほとんど必要ないという十分すぎるほどのメリットがある。イニシャルコストの回収が終われば、ランニングコストは安価とされてきた原子力の、さらに上を行く低コスト電源として利用できることになる。
 今後のエネルギーシステムを考える上で、まず再生可能エネルギーの導入目標を立てる。それについては、太陽光や風力の単独システムではなく、蓄電池やコージェネなどの補完・調整電源と組み合わせたスマート型のハイブリッド電源として利用することを基本として、不足する電力について、既存の火力などの電源を割り振っていくという考え方が成り立つのではないか。