2011.09.15


2011年915日号

「新コージェネセンター」に移行
 財団法人天然ガス導入促進センターは、9月1日付けで「コージェネレーション・エネルギー高度利用センター」に名称変更し、一般財団法人に移行した。新組織として新たなスタートを切る形となった「新コージェネセンター」は、コージェネレーションシステムの普及や技術開発に関する事業、組織を引き継ぐとともに、新たに家庭用の燃料電池システムなども事業対象に加え、コージェネレーションシステムの普及に向けての取り組みを強化する。新法人への移行に伴って鳥原光憲理事長は退任し、新理事長には柏木孝夫東京工業大学統合研究院教授が就任した。
 新法人は、新たに燃料電池室を設けて、これまで手の届いていなかった家庭用燃料電池など、小規模分散型のコージェネレーションシステムや、太陽光や太陽熱利用システムなど小規模分散型の再生可能エネルギーについても事業範囲に取り込む。また、エネルギーの高度利用システムやスマートエネルギーネットワーク、スマートコミュニティなどに関する情報発信などについても積極的に取り組んでいく。
 例年行っているシンポジウムも、技術開発や技術基準などどちらかと言えば供給側中心の情報発信であったものから、広く一般にも理解を深めてもらえる方向に比重を移し、コージェネレーションを中心とする低炭素型のエネルギーシステムの普及に向けて情報発信力を高めていく。


神戸製鋼、マイクロバイナリー発電システムを開発
 神戸製鋼所は、地熱や工場排熱等を利用して発電する、高効率・小型のマイクロバイナリー発電システムを開発した。10月から販売を開始する。
 最大発電端出力は70kWで、100kW以下のバイナリー発電システムは、国産では初の商品化となる。世界初の半密閉型スクリュタービン方式を採用し、70〜95度Cの温水や、温水に変換出来る廃液やガスなどの熱源から発電できる。100度C以下の低温排熱が利用できるため、低温の工場等の排温水や、温泉水、地熱資源、バイオマス由来の熱源、太陽熱などの未利用の再生可能エネルギーを利用した小規模・分散型のグリーン電力発電システムの構築が可能となる。
 本体ユニット価格は2500万円。今後機種を拡充し、2015年度までに年間売上高30億円を目指す。


新潟原動機、新型の舶用小型中速ディーゼルエンジンを開発
 新潟原動機は、世界最高水準の低燃費を実現した新型舶用小型中速ディーゼルエンジンを開発した。500〜1125kWの出力レンジで、2008年に開発した2070〜3330kWの環境対応型舶用中速ディーゼルエンジンを小容量レンジ側に拡大した。回転数は毎分900〜1200回転のバリエーションがあり、燃料は軽油、A重油、C重油などが使用可能で、舶用だけでなく、陸用発電用のディーゼルエンジンとしても使用できる。
年間50台程度の生産が目標。


関西電力、蓄電池を用いた電力需給制御システムの研究試験を開始
 関西電力は、約1万kWの堺太陽光発電所(敷地面積21ha)の全設備が完成し営業運転を開始したと発表した。昨年10月に一部運転を開始していたが、このほど全設備が完成、国内最大規模の太陽光発電所として全面的に営業運転を開始した。
 関西電力は、堺太陽光発電所の全面運転に伴って、太陽光発電などの新エネルギーが大量に電力系統に導入された場合の研究用施設として、蓄電池システムを系統側に設置して電力需給制御システムの研究を開始する。
 研究用施設は、堺太陽光発電所が連系する変電所に出力250kW(エネルギー容量約100kWh)のニッケル水素蓄電池を設置して、蓄電池の充放電を利用した本格的な需給制御システムの試験として実施する。供用中の電力系統に蓄電池システムをつないで行う需給制御の研究は、国内の電力会社では初めての取り組み。


その他の主な記事
・東京都がエネルギー政策などを建言
・エネ研が電源別の発電コストを試算
・矢崎がガスエンジン発電機を斡旋販売
・丸紅、英国で大型風力事業に出資
・東邦ガスエネファーム販売1000台に
・ソーラーフロンティア「おおた丸ごと太陽光発電」に参画
・NEDOとFUPETが超小型インバーターを開発
・東芝、高効率太陽光発電システムを投入
・JX、SOFC型エネファームを販売へ
・12月に太陽光発電シンポや世界フェア
・省エネ革新技術公募説明会
・JORAがテクノフォーラム
・次世代バイオマス利用開発決まる
・再生可能エネ熱計測技術実証の委託先決まる
・J−VER、対象プロジェクトを追加
・東工大AESが第2回シンポ
・バルチラが技術セミナー
・住宅・建築物省CO2モデル事業決まる   etc.

<インタビュー>
・原子力の行方とこれからのエネルギー
(地球環境産業技術研究機構理事・研究所長・東京大学名誉教授 山地憲治氏)
 今後の日本のエネルギー供給構造について考えるとき、最大の課題は、原子力をどのように扱うのかということになるのだろう。原子力の将来を見通すことが、再生可能エネルギーやコージェネレーションなどの分散型エネルギーシステムの姿も見えてくる琴につながる。供給サイドに分散型のシステムを需要サイドに導入してデマンドサイドマネジメントを効率的・効果的なものにする。そのキーテクノロジーとなるのが、スマートグリッド技術ということになる。だがそのためには、電気事業のあり方を根本的に変えることにつながることになる。原子力への依存度を下げながら、エネルギーの安定供給をいかに確保するのか、地球環境産業技術研究機構理事・研究所長の山地憲治氏に意見を聞いた。


燃料電池新聞の主な記事
・世界の燃料電池の市場動向
・海外ニュース
 -オバマ米大統領、新しい自動車の車燃費規制を発表。2025年に1L当たり23km
 -NTTアメリカ、データセンターにブルームエナジーの燃料電池を設置
 -英カーボントラスト、英国では電気自動車よりも燃料電池車を普及させるべき
 -英セレスパワー、家庭用燃料電池のフィールド試験で出てきた課題を解決
 -デンマークのダンサーンパワー社 、インドのデルタパワー社と提携し、インドのテレコムバックアップ電源市場に参入
 -米上院議員、フォークリフト用燃料電池の税額控除を拡大する法案を提出
 -独オペル、2016〜2017年にフラッグシップカーとなるような燃料電池車を市場投入
 -GMのCEO、燃料電池車の実用化は2020年以降と語る
 -米フューエルセルエナジー、既設の燃料電池発電設備のオペレーション業務を受注
 -豪セラミックフューエルセルズの家庭用燃料電池、オーストラリアガス協会から製品認証を取得
 -米UTCパワー、最新の400kW級PAFC燃料電池で20万時間の耐久性を実証
 -米フューエルセルエナジー、FCVに水素供給もできるMCFCが稼動
 -米パイクリサーチ、軍事用燃料電池の市場が2017年で12億ドルに達すると予測
 -米UTCパワーのバス用燃料電池システム、1万時間の運転を達成
 -米DOEのチュー長官、USC大学を訪問、燃料電池の技術開発に対する支援を表明
 -蘭HyET、電気化学セル1段階で水素を80MPaに圧縮できる技術を開発
 -南カリフォルニア大学、アンモニアボランの実用化を可能にするルテニウム系触媒を開発
 -カナダのバラード、生産性を10倍向上させた最新鋭のスタック製造工場が完成
・燃料電池フラッシュニュース
 -九州大学、SOFC開発で産学連携の研究施設を2012年秋に新設
 -東京ガス・大阪ガス、「エネファーム」で停電時も発電が可能なタイプの発売を検討
 -信州大、導電性と薄さが両立したチタン・ナノカーボンファイバー複合材料によるセパレータ開発
 -新潟大学など産官学連携で、太陽熱で水を熱分解して水素を製造するシステムの研究がスタート
 -積水ハウス、太陽電池・燃料電池・蓄電池を組合せた「グリーンファーストハイブリッド」発表
 -北陸グリーンエネルギー研究会、東京都内で燃料電池による電動自転車の充電実験を実施
 -積水ハウス、スマートハウス実証実験でCO2ゼロ達成
 -東芝など10社、省エネ住宅普及の環境整備を推進する「HEMSアライアンス」を設立
 -北海道ガス、「エネファーム」の販売を開始
・燃料電池インフォメーション
 ■燃料電池開発情報センター第25回セミナー「新エネルギー事情と燃料電池開発」
10月5日(水)日本教育会館(東京都千代田区)○概要=震災後のエネルギーの状況およびスマートグリッドと燃料電池開発の現状と将来を解説@NEDOにおけるスマートコミュニティ/グリッド実証事業とエネルギーネットワーク(NEDO スマートコミュニティ部 林成和氏)A停電時対応燃料電池(富士電機 吉岡浩氏)B家庭用燃料電池「エネファーム」の現状と今後の展開(東京ガス)C日本の復興と科学技術・エネルギーを巡る新事情(科学技術振興機構 理事長 北澤宏一氏)D世界経済の動向と日本(三極経済研究所 齋藤進氏)E水素エネルギー普及に向けた取り組みと今後の展開(岩谷産業 宮崎淳氏)F燃料電池自動車(FCV)の開発状況と今後の展開(本田技術研究所 守谷隆史氏)
 ■水素エネルギー協会「第136回定例研究会『「最新の電解技術』」
10月7日(金) 東京大学農学部弥生講堂(東京都文京区)○概要/工業電解の概要と水電解の現状(横浜国立大学 光島重徳氏)/食塩電解の技術と歴史(旭化成ケミカルズ 野秋康秀氏)/電解槽に関わる各種技術、事象(クロリンエンジニアズ 真鍋明義氏)/工業電解用電極の開発( ペルメレック電極 錦善則氏)/固体高分子水電解(三菱重工業 小林由則氏)/オンサイト水素発生装置の電極技術(バンテック 鈴木友也氏)   etc.

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(58)
 =自然エネルギー生活を送るための課題=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長
・世界を読む(37)<中国の電力不足はスマートグリッドで解決か>
・キーパーソン
 =現実的な感覚と広い視野でエネルギー政策に取り組む=
 資源エネルギー庁長官に就任した 高原一郎氏



コラム
・発電論評<地域分散型電源の中心にはコージェネ>
・青空<玉石混淆を嗤う愚>
・ちょっと一言< 経産省改革は野田政権の目玉か>


地域分散型電源の中心にはコージェネ【発電論評】

 脱原発騒動で、電力供給不安におびえた夏も過ぎ、とりあえず電力の使用制限は解かれた。冬のピークに向けて、また再びの試練が巡りくることになるが、それも原発の再稼働ありやなしにかかっているといえなくもない。
 日本の電力供給をベースで支え、安定供給の根幹であった原子力発電に対する不安が高まる中で、原子力発電の比重を下げるという方向が定まろうとしている。そうした中で、1970年代から本格的な建設ラッシュ基を迎えた日本の原子力発電は、設計寿命と言われる40年を次々と迎えることになる。今回事故を起こした東京電力の福島第1をはじめとして、2020年までに20基、30年までに16基が40年に到達してしまう。
 原発の新規立地も難しい中で寿命を迎える原子力発電を順次廃炉にしていくとなると、その代替電源が必要になるが、20年までの20基の合計出力は1478.6万kW、30年までの16基は1432.8万kWで、合計約2900万kWを順次代替していく必要があることになる。
 これを太陽光や風力などの再生可能エネルギーで置き換えていくとなると、原子力の稼働率を70%、太陽光の設備利用率を10%強、風力の設備利用率を20%強として考えると、太陽光だけで代替する場合は約2億kW、風力だけの場合はその半分の約1億kWの設備が必要となるが、非現実的な数字だといえる。
 太陽光発電や風力発電は可能な限り導入するとしても、それには当然、限界があり、残りの大半は、火力で引き受けるというのが現実的であるが、その場合は、使用する燃料だけでなく、エネルギー効率が問われなければならず、コージェネレーションがその中心とならねばならない。
 大規模火力で、現在の技術ではコンバインド発電という効率の発電手段が実用化されているが、それでも発電効率は50〜60%であり、送電ロスも考慮に入れると、まだ半分近くのエネルギーロスがあることになる。それに比べてコージェネレーションの場合は、熱利用も含めればエネルギー効率は80〜90%と高く、まさにエネルギーを使い尽くすものだといえる。しかも、小規模分散型のシステムが実用化されており、需要地で熱と電気を作りその場で使い尽くすことができる。
 コージェネシステムを中核に置き、地域の再生可能エネルギーを無駄なく使い尽くすシステムを構築する。それこそが、原発に頼らないで、低炭素なエネルギー供給を実現する、まさにスマートエネルギーであり、そして、なによりも重要なことは、それが特別な技術開発の必要もなく、日本企業が既に保有している、技術やノウハウを集約するだけで実現できてしまうということである。