2011年95日号

再生可能エネルギー買取法が成立 電源種別ごとに価格を決定
 再生可能エネルギーを一定期間、国が定めた価格で買い取ることを電力事業者に義務づける「再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が8月26日に可決成立した。 当初案から衆議院で、調達価格や調達期間を決定する基準に、再生可能エネルギー発電設備の設置の区分や形態、規模を加えること、関係大臣に協議等を行うこと、調達価格等算定委員会を設置しその意見を聞くこと、また、電気を大量に使用する事業者に対して負担の軽減措置を講ずること、費用負担調整機関が電気事業者に対して交付する交付金の財源に充てるため予算上の措置を講ずることなどの修正が行われた。
 当初案では太陽光以外の再生可能エネルギーについては、同一の価格と期間で買い取ることとされていたが、電源種別ごとにそれぞれの発電コストなどに応じて買い取り価格や期間を決めることに修正された。
 価格や期間については、総合資源エネルギー調査会に代えて、資源エネルギー庁に「調達価格等算定委員会」を置き、検討機関とし、5人の委員については国会同意人事とする。価格や期間の決定に当たっては、エネルギー種別ごとに関係する農林水産大臣、環境大臣、国土交通大臣の意見を聞くこととされた。
 電力を大量に消費する業種については、負担額の軽減を行うことされ、製造業にあっては平均の8倍以上、それ以外の業種では2倍以上の業種について、最大20%程度の負担額の軽減措置が設けられる。財源には、エネルギー特別会計の石油石炭税をあてる方向。


川崎重工と九州電力、低沸点地熱バイナリー発電を実証
 川崎重工業は、九州電力と共同で小規模地熱バイナリー発電の実証試験を行うと発表した。低沸点媒体を使用する250kWのバイナリー発電設備を九州電力の山川発電所構内に設置して来年度から約2年間の計画で実証運転を行う。
 設置する地熱発電設備は、川崎重工業が工場の排熱などを有効利用することを目的に開発したもので、熱媒体に沸点34度Cの低沸点代替フロンを使用するグリーンバイナリータービンを採用しており、環境負荷が低く、従来は利用できなかった低温の熱源が利用できるため、適温まで温度を下げて入浴する既存の温泉水を利用した温泉発電や未利用の地熱が利用可能な離島などでの利用が期待できる。
 九州電力では、実証試験の結果を受けて、ディーゼル発電に頼っている離島などでの利用できる再生可能エネルギー電源として利用する方向で、検証していく。
 国内の地熱発電は、現在53万kW程度の規模しか無く、99年に運転を開始した八丈島地熱発電所以来、新規の地熱発電は開発されていない。その原因としては、地熱資源のほとんどが自然公園内にあり、開発が規制されていることや、温泉などによる使用制限などがあり、自由に開発できる熱源がほとんど無いことだといわれている。また、開発後も、メンテナンスコストなどが必要で、発電コストに見合った売電ができないことなども開発に弾みがつかない要因とされている。


太陽光発電出荷さらに拡大 4−6月の国内向けは30%増
 太陽光発電協会は、2011年度の第1四半期(4月−6月)の太陽電池の出荷状況をまとめた。
 期間中の国内向けと輸出を合わせた総出荷量は、69万7496kWで、前年同期比で26%増と太陽電池の販売量は大幅な拡大を続けている。特に、余剰電力買取制度の実施によって拡大を続ける国内住宅用を中心として大幅な伸びが続いており、国内出荷は25万8609kWで、30.7%増となった。
 国内向けについては、今回から新たに電力事業用の枠が設けられ、7500kWが出荷されている。メガソーラーの建設が本格化してきている電力事業用についても出荷量がわかるようになった。非住宅用は、住宅用に比べてまだ、出荷量は少ないものの、全量買取制度が12年度から導入されることも決まったことで、今後は住宅用を超える勢いで市場が拡大することが期待されている。
 また国内市場の拡大とともに急激にシェアを拡大している輸入品は、39.1%増と高い伸びを示している。 輸出は、34万4146kWで,総量は国内向けよりもまだ多いが、伸び率は9.8%と、2ケタを割り込んでいる。


2013年以降の温暖化対策 20年から10年刻みで見通しを策定
 環境省は、8月30日に開いた、2013年以降の対策・施策に関する検討小委員会の2回目の会合で、2050年に80%削減という長期目標を見据えて、20年、30年、40年といった10年ごとにCO2排出量の見通しを示す方向で検討を進めることにした。
 具体的な検討は、2020年までのロードマップを策定した中長期ロードマップ小委員会での検討方法にならって、8つのWGを設置して進める。
 京都議定書の第1約束期間後の2013年以降の温暖化対策については、国際的な枠組みが決まらない中で、国内でも2020年に25%削減を盛り込んだ温暖化対策基本法の成立のメドがつかず、新たな削減目標を掲げた具体的な対策が示せないままとなっている。
 小委員会は年度内をメドに検討内容を取りまとめ地球環境部会へ報告する。


その他の主な記事
・環境ビジネスの景況感を調査
・スマートグリッドのプレスセミナー
・自然エネ議員連盟が発足
・全個体型リチウム電池の参入情況を調査
・三菱電機が大容量太陽電池モジュールを開発
・京セラが住宅用太陽光で屋根一体型の新製品
・富士経済、業務用エネ需給動向を調査
・アキュラホームが蓄電池付きダブル発電ホームを発売
・富士電機、ビニールハウスで農業用太陽光を実証へ
・JXエネルギー東大先端件の共同ラボを拡充
・Jパワーが洋上風力を実証へ
・大塚商会がリチウム電池で給電パック
・富士電機が小型電源システムを発売
・福岡県、エネルギー政策室を設置
・ポスト震災のエネルギーシステム
・11年度第2回中小水力研修会を開催
・省エネ革新技術開発で第2次募集
・J−VER第1次決まる、2次募集も
・燃料電池・水素技術開発成果報告会
・11年度下期エネ管理講習、10月から
・洋上ウィンドファームFS決まる  etc.

<インタビュー>
・自然エネルギーへの夢のある投資でグリーン成長
(グリーンパワーインベストメント代表取締役社長 堀 俊夫氏)
 グリーンパワーインベストメント(GPI)はこの夏、2つの大きなニュースを提供した。1つは震災以降、自然エネルギー事業に積極な取り組みを始めた孫正義氏率いるソフトバンクが、GPIに10億円を出資し筆頭株主になったこと。もう1つは青森県つがる市で、総出力12万6500kWという国内最大規模の風力発電所の建設計画を明らかにしたことだ。だが、同社の本当の目的は、再生可能エネルギーへの投資を、適正利回りで低リスク、そして身近で夢のある商品として提供していくことにあるという。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(21)脱原発・脱温暖化公共事業=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・<新連載>ポスト震災のエネルギーシステム(その1)
 =国のエネルギーシステムは、いかにあるべきか=
 井熊 均/日本総合研究所創発戦略センター所長


コラム
・発電論評<電力ネットワークの解放を>
・プリズム<原発再稼働に野田新首相の打つ手>
・青空<首相がまた代わった>
・ちょっと一休<5年間は要観察>


電力ネットワークの解放を【発電論評】

 道路などの社会インフラは、基本的には公共財なので、誰でもが公平に使える。様々な意味で注目を集めている高速道路だって有料だが基本的には自由に使える。一般道は、決められた交通ルールの下で、無料で自由に通行できる。
 電力ネットワークは、道路にたとえれば私道として整備されているということになるのだろう。地域独占の電力会社が自社のネットワークとして整備・保有して、一括管理運用している「私道」なので基本的には電力会社以外に解放されることはない。ネットワークの利用が自由にできないため、実質的に新規参入が拒まれるという事態も起きている。
 例えば、風力発電。風力発電は再生可能エネルギーの中でも、比較的大規模な物が多く、特に近年開発されるものは、大規模ウィンドファームとして複数の大型風車を要する数万kW規模のものが主流だが、送電線への接続ができないため、開発をあきらめるという例が多く見られる。
 また、託送制度も、よく内容を見れば参入障壁として機能しているといえるだろう。
 託送料金の構造は、簡単に言ってしまえば、新規参入者は託送料金を負担するが、ネットワークを保有し運用している電力会社は託送部門コストとして会計処理され、料金を支払うことはないという仕組み。しかも、自由に送電線が使えるのかというとそうでもなく、電力ネットワークの運用上の理由で接続が拒否されることもある。
 本来公共財であるべき電力ネットワークが解放され、電力会社も含めて誰でもが同じ条件で自由に利用できるようになると、例えば、遠隔地の風力発電の電力を都市の需要家が選択できるようになったりする。つまり、電力ユーザーが電源を指定して電力の購入先を決めることで、需要のない電源は淘汰されていくことになる。
 再生可能エネルギーの固定価格買取制度は法整備もでき、来年度からのスタートが決まった。しかしながら買取制度だけは、これまでどおりに、火力や原子力の電気と「混ぜて販売」されるわけで、再生可能エネルギーの電気を購入したいという電力ユーザーの期待に応えられるものではない。逆に買取制度によって再生可能エネルギー電力が独占される結果、需要家の選択肢が無くなってしまうことになりかねない。
 買取制度の本質は、再生可能エネルギーの早期の導入拡大に目的があるのであり、そうであるならば、電力ネットワークの一般開放を進めることが、買取制度を補完して再生可能エネルギーなど低炭素電源を拡大する早道になると思われる。
 エネルギー基本計画も見直される。電力制度改革の大きなテーマとして電力ネットワークの一般開放が加わることが期待される。