2011年825日号

10年度常用自家発は燃料費高騰でさらに半減 導入量は5万9000kW
 日本内燃力発電設備協会は、2010年度の常用自家発電設備の国内設置状況の調査結果をまとめた。2010年度に新たに設置導入されたディーゼル発電やガスタービン、ガスエンジン発電設備について、出荷納入した事業者を対象にアンケート調査した。電力事業用設備や防災用など非常用専用設備、家庭用のコージェネレーションシステムについては調査の対象外となっている。
 2010年度に設置された国内向けの常用自家発電設備は、5万8684.2kWとなり、前年度に比べ54.3%減と半減、1997年度の調査開始以来最低だった昨年の導入量をさらに下回った。
 国内の自家発電設備については、ピークだった02年度の106万3千kWをピークに減少を続け、その後の原油価格の高騰による燃料費の上昇によって06年度には導入量が半減。その後も減少傾向が止まらないまま、ほぼ市場性を失った状況が続いている。特に石油系燃料を使用するディーゼル発電については09年度には9600kW、10年度は7600kWと落ち込んでおり、比較的に市場性を維持していた小型ガスエンジンによるコージェネレーションについても10年度の導入量は、17万5千kWと前年度の44万1千kWから大幅に減少するなど市場の縮小傾向に歯止めが掛かっていない。
 しかしながら、年度末に発生した東日本大震災とその後の電力供給力の大幅な不足問題が顕在化、電力の安定供給の手段としての自家発電設備に対する期待がが高まっており、今後、新たな形で国内の自家発電設備の市場形成が行われることが期待できる状況となっている。
 新たな市場をどのような形で育てていくのか、自家発電設備を使った発電事業や、コージェネサービス、再生可能エネル気設備とコラボしたマイクログリッド事業の展開など新たなビジネスのあり方が問われる事態となっている。


風力発電の年間発電量は約43億kWh 風力発電協会が集計
 日本風力発電協会は、2010年度の風力発電の発電量を公表データなどに基づいて集計した試算結果を発表した。
 それによると、国内の発電量は、42億7818万6000kWhで、総需要電力の0.47%。風力発電の設備利用率を20%として試算した。 10年度末の国内風力発電設備の導入量は244万1887kWで、導入量が最も多いのは東北電力管内の60万2991kW。風力発電の電力比は1.28%。北海道は風力の設備量は25万6645kWと他と比較してそれほど導入量は多くないが、電力比率は1.39%と最も高い。国内風力244万kWのうち東北と北海道に25.2%が導入されている。
 北海道と東北、九州では、系統制約から風力の導入規制が行われており、国内風力の伸び悩みの一つの要因といわれている。
 風力協会では、試算結果をもとに世界各国との比較も行っているが、それによると、需要電力量に対する風力電力が最も高いのはデンマークの21.9%で、ポルトガル、スペインアイルランドの4カ国が10%を超えている。0.4%の日本は18位。


産構審小委が新たな国家プロジェクトを提言
 産業構造審議会産業技術分科会研究開発小委員会は、研究開発投資に重点化を行う新たな仕組みを盛り込んだ「国家プロジェクト制度の創設」について、提言をとりまとめた。
 対象となる技術を絞り込み、限られた予算を効率的に活用する新たな仕組みを構築することをが必要だとして、「環境・エネルギー制約への挑戦」、「少子高齢化への挑戦」を2大重要課題として絞り込み、研究開発を集中的に取り組むべきだと提言している。
 このうち、エネルギーと環境制約の目指すべき方向性として、中長期的には、原子力にも化石燃料にも過度に依存せず、効率のよい再生可能エネルギーや省エネルギーによるエネルギー需給構造を世界に先駆けて実現を根ざし、その具体例として「太陽電池や蓄電池による電池革命」によって「家庭や事業所が電力を完全自給できる究極の分散型電源社会」、「エネルギーロスを無くし、電力需要の半分を占めるモーターの省エネ化」などによって世界一の省エネ・省資源社会の実現を目指すことを目指すべきだとしている。


その他の主な記事
・石油統計(8月15日)
・地球温暖化シンポジウムを開催
・環境省温泉発電補助を3次募集
・地域水素供給インフラ、調査委託先3件決まる
・バイオマス製品普及功労授賞式
・北海道の再生可能エネシンポ、東大で
・太陽熱エネルギー活用住宅の委託先募集
・スマエネネット紹介などでSSKセミナー
・太陽光の事業性などでJPIセミナー  etc.


<インタビュー>
・スマートグリッドでネガワット(節電)も取引できる社会へ
(エナリス 代表取締役社長 池田元英氏)
 エナリスはこれまで、PPS業務代行を中心としたビジネスを展開してきた。そのノウハウを生かし、単純なエネルギーコントロールではなく、需要予測に基づく節電サービスの提供を開始した。その先には、スマートグリッドの普及を先取りしたビジネス展開を考えているという。同社が描くスマートグリッドビジネスとはどのようなものなのか池田社長に見解を尋ねた。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 K
 =シェールガス革命が国際エネ情勢に与える影響=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・<新連載>日本を変えるスマート革命 @
 =スマートメータ導入環境整備を=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから




コラム
・発電論評<エネルギー改革は効率性重視で>
・青空<建設業も捨てた物ではない>
・ちょっと一休み<全身麻酔で手術>
・一筆啓上<倫理の乏しい国>


エネルギー改革の視点には効率性重視を【発電論評】

 再生可能エネルギーに対する期待が、最高度に高まっている。なかでも太陽光発電は、もはや家電並みの扱い方を去れ始め、家電量販店や通信販売でも購入できるようになっている。エアコンを購入するのとほとんど同じ感覚で購入してほしいということなのだろうか。新築住宅なら、標準的な装備品扱いにもなっている。創エネハウスなどのネーミングも、もはや一般用語化しているともいえるようだ。
 晴れた昼間以外は発電してくれない太陽光発電のウィークポイントを補うべく、家庭用の蓄電池システムも商品化されてきた。まだまだ高価であり、普及にはまだまだ時間が掛かりそうであるが、電気を貯めておいて使うことができるようになることは、少し大げさに言えば、電力消費者が送電線から解放されることにつながるということもできる。
 貯められなかったはずの電気が、貯めておいて必要なときに必要なだけ取り出して使うことができるようになる。裏を返せば無駄がないということなので、究極の効率性ということもできる。
 この「必要なときに必要なだけ」ということを実現するのは、実はたやすいことではない。現在の、大規模集中型の原子力発電や火力などは負荷追従性がほとんど無いといってよく、電力需要量の急激な変動にはほとんどついて行けない。それに対して、ディーゼル発電やガスタービン、ガスエンジン発電などの小規模分散型のシステムは、機動性に富み負荷追従性も非常に高く、再生可能エネルギーと組み合わせた小規模のマイクログリッド化することによって極めて安定的な電源として機能させることができる。
 再生可能エネルギー電力を優先的に利用し、その補完電源として分散型の内燃機関系発電設備を組み合わせることは、発電電力の安定化が図られるだけでなく、排熱を利用するコージェネレーション化することで、排熱を温水や蒸気に変え、エネルギーの利用効率をさらに高めることもできる。さらに、バイオマス系燃料を利用すれば、環境性をもう一段高めることもできる。需要家が、システムの効率性や環境性を、それぞれの事情に合わせて、自由に組み替えることも容易であり、そのいみでは、進化発展型のエネルギーシステムだということもできる。 エネルギー基本計画など、エネルギー政策を抜本的に見直そうという機運が高まっている。見直しの方向性としては、エネルギー供給を大規模集中型から小規模分散型へと組み替えていくという方向だ。それについては、導入する分散型システムは再生可能エネルギーとの親和性が高く、高いエネルギー効率を追求することができるという視点でシステム選択ができるかどうかが鍵になる。