2011.08.15


2011年815日号

自家発は5373万kW エネ庁が実態調査結果を公表
 資源エネルギー庁は、国内で設置利用されている自家発電設備について、アンケート調査を行い、初めて自家発電設備の利用実態がが明らかにされた。国内の自家発電設備については、電気事業法の基づいて各通産局に発電所として届け出られている。それによると、自家発電設備は3141カ所、総容量は5373万kWで、卸電力販売用として設置されているものが1928万kW、大規模工場などに設置されている1万kW以上の設備が2123万kWで、卸電力と大規模設備を合わせたものが75.4%を占める(設備容量ベース)。
 ディーゼルやガスタービンなどが中心となる1万kW未満の自家発電設備は948万kWで17.8%、水力など火力以外の設備が375万kWという内訳となっている。
 このうちアンケートに回答したものは89%に当たる4760万kWだった。
 自家発電設備の利用目的は、電力会社やPPSへの売電と自家消費がほぼ半々といった状況で、売電も自家消費もしていない、いわゆる余剰電力が288万kWある。
 また、このほかに今回調査の対象外となった防災用の専用電源などの非常用発電設備が2300万kWあることも報告されている。このほか、自家発電設備として使用されるものは、建設機械やイベント用などの仮設電源として使用される可搬型の発電設備もあるが、その利用実態は明らかにされていない。
 原発事故に端を発する電力供給力不足が顕在化する中で、自家発電設備を電力の供給力として認知して、余剰電力の活用を図るため、国内に導入されている自家発電設備の運用状況について実態把握を目的に資源エネルギー庁が緊急調査した。


熱エネルギーの有効利用に関する研究会中間取りまとめを公表
 経済産業省は、都市・街区レベルにおける再生可能エネルギー熱・未利用熱などの熱エネルギーの有効利用推進に向けた今後の取組の方向性について検討を行った「まちづくりと一体となった熱エネルギーの有効利用に関する研究会」の中間取りまとめを公表した。未利用エネルギーや熱の面的利用、地域熱供給事業の拡大など、必要な規制緩和や支援措置などを提言している。
 未利用エネルギーや再生可能エネルギーの利用については電力に比べて熱利用は遅れており、中間整理では、都市計画段階でまちづくりと一体となった熱導管の整備など熱供給や熱融通、未利用・再生可能エネルギーの熱利用の拡大に向けての課題について抽出し、今後の検討課題として方向性を示している。


タワー集光型太陽光発電システムの開発に成功、実用化に目処
 JFEエンジニアリングは、タワー集光型太陽光発電の開発に成功した。高さ20mのタワー上部のレシーバーに地上の太陽追尾式ミラーで集光し、太陽電池で発電する。最大26%の発電効率があり、従来の太陽光発電の2倍の発電効率で発電できる。セルの単位面積当たりで比較すると、約1400倍の発電量が得られる計算。
 環境省の「集光型太陽光発電に関する技術開発」の委託事業として、三鷹光器とエネルギー総合工学研究所との共同事業として開発した。太陽電池は、利用波長の異なる太陽電池を複数積み重ねた他接合型のセルを採用し、セル単体で35%、モジュールで26%の発電効率を実現した。他接合型は、従来のシリコン太陽電池がモジュールあたりの発電効率が13%程度であるのに対して、太陽光のエネルギーをより無駄なく利用でき、変換効率を向上させることができる。
 来年度には、数MW級にスケールアップした実証試験を行い、13年度中の商用化を目指す。


ディノス、太陽光発電を通信販売で
 フジサンケイグループの通信販売会社であるディノスは、太陽光発電システムの通信販売を開始した。
 電力不足から節電が求められる中で、家庭で発電できる太陽光発電システムへの関心が高まっているが、機器の設置にかかる総費用や導入後の売電収支、補助金制度など、一般ユーザーにとっては専門的でわかりにくいことが多く、太陽光発電システムを導入するには高いハードルがあるイメージがある。
 ディノスでは、導入にかかる機器や工事までの一括サービスを提供することで、導入までのユーザーの負担を取り除き、安心して太陽光発電を導入できるようにする。
 また、事前に設置場所の調査や見積もり、売電収入、補助金など、個々に合わせた費用対効果のシミュレーションを行い、契約後は国や都道府県、電力会社などへの面倒な申請作業は、ディノスが一括して代行する。
 標準工事費込みの販売価格は2.3kWタイプ(太陽光パネル10枚)が139万円。太陽光パネルは、25年の出力保証がついている。


その他の主な記事
・熱の有効利用研の報告書を公表
・中部電力の調整後排出係数を公表
・中部電力が三重県の水力事業を譲り受け
・川崎のメガソーラーが一部運転開始
・川崎重工が韓国に蒸気タービン
・雪国メガソーラーが発電量100万kWhを達成
・日産が充電システムを公開
・日立と三菱2社が水力事業を統合
・GSユアサ、積水に蓄電池
・GEのGT発電機、11基が運転を開始
・東京ガス北海道に天然ガスを供給
・国際航業がグリーンコミュニティー事業
・新日鉄エンジが2015年戦略
・千葉県が新エネプロジェクトを募集
・NEDO水素インフラ社会実証を募集
・大阪市が環境エネ研究開発を支援
・NEIF第18回会議案内
・大規模蓄電システム開発6件採択
・燃料電池セミナーイン大阪
・浮体式洋上風力発電の調査委託先募集
・節電シンポ開催
・温暖化防止活動大臣表彰の募集開始   etc.

<インタビュー>
・非常用自家発の輸入販売で新会社を設立
(日本エコテクノ 社長 安嶌康夫 氏)
 東日本大震災以降、電力不足による計画停電への備えや節電要請を背景に、自家発電機への関心が高まっている。日本の自家発は、副生ガスなどで発電コストの安価な大手製造業などでは導入が進んでいたが、燃料費の高騰とともに導入済みの設備でも運転を停止しているところが多くあった。震災後の計画停電の実施など電力不足という緊急事態の出現で、自前で電源を確保する自家発導入の気運が高まっているが、自家初導入には専門的な知識や手続きが必要になる。また、国内の発電機は稲不足気味で、納期が長期にわたる場合が多いのが現状。そうした中で、輸入品の販売に乗り出す事業者も増えている。そうした中、米国コーラー社の発電機の輸入販売を手がける「日本エコテクノ」が先頃設立された。社長に就任した安嶌氏に輸入発電機ビジネスの見通しなどを聞いた。


燃料電池新聞の主な記事
・世界の燃料電池の市場動向
・海外ニュース
 -ルノーとベタープレイス、オーストラリアで提携
 -独ヒーリオセントリック、ゴミ収集車に32kW級燃料電池システムを供給
 -英AFC エナジー、アルカリ型燃料電池のベータ版による実証試験が順調に推移
 -豪アデレード大学、金属微粒子による水素製造技術を開発
 -米プラグパワー、クローガー社に161台の燃料電池を供給
 -スエーデンmyFC、マイクロ燃料電池充電器販売を開始
 -ドイツDLR、燃料電池駆動の前輪でエアバス320の地上走行に成功
 -独フライブルグ大学、血糖で発電する生物燃料電池を開発
 -英BOC、重量が10kg の水素カートリッジを開発
 -デンマークのトプソー、SOFCスタックの製造能力を拡大
 -米ソリッドセル、SOFCのインターコネクタ向けのセラミック粉を開発
 -蘭ネッドスタック、PEFC発電で1万時間の耐久性を確認
 -台湾APFCT、燃料電池スクーターを80台製造
 -米AT&T、ブルームエナジーのSOFCを7.5MW導入
 -英セレスパワー、家庭用燃料電池CHPの量産工場を正式にオープン
 -豪セラミック・フューエルセルズ、独政府の助成を得て、EWEに200台の家庭用燃料電池を納入
 -バラード、米プラグパワーから3250台の燃料電池スタックを受注
 -米パイク・リサーチ、2020年の水素ステーション数を5200箇所以上と予測
 -米VI社、米TT社から100台の燃料電池トラックの発注を内示
 -GM、PHV「Chevy Volt」のリチウムイオン電池の再利用用途として電力貯蔵用を検討
 -米イノバテック、米国防省の支援でブタノールを改質するマイクロリアクタを開発
・燃料電池フラッシュニュース
 -富士電機、東北福祉大学にリン酸型100kW燃料電池を寄贈
 -北陸ガス、地場天然ガス対応の「エネファーム」を15台受注
 -広島ガスの「エネファーム」販売実績は2011年4〜6月期で41台を販売
 -エネファーム補助金、第3次補正予算で予算枠確保の動き
 -日立金属、インターコネクタ材を新開発
 -ソニー、2010年代半ばにEV向け電池市場に参入
 -トヨタホーム、PHVやEVから電力供給する実験用住宅を建設
 -ホンダ、2015年に「スマートホームシステム」を事業化
 -日産、小型商用EVの実証実験を日本郵便と開始
 -NEC、リチウムイオン電池利用の家庭用蓄電システムのモニター販売を開始
 -田中貴金属、2010年度の燃料電池用触媒の出荷量、過去最高
 -日産、2016年度中に電気自動車をルノーと合わせて累計で150万台まで伸ばす
・燃料電池インフォメーション
 ■電気化学会 燃料電池研究会「第113回燃料電池研究会セミナー」
10月28日 電気化学会会議室(東京都千代田区)○概要=水素インフラの構築と水素エネルギー社会について講演 「水素中の不純物が燃料電池性能に与える影響」(日本自動車研究所 赤井泉明氏) 「燃料電池自動車・水素供給インフラの普及開始にむけて」(水素供給・利用技術研究組合 町田智英氏) 「ホンダのソーラー水素ステーション ―差圧式高圧水電解システム―」(本田技術研究所 岡部昌規氏) 「有機ケミカルハイドライド法による水素貯蔵輸送システムの開発」(千代田化工建設 岡田佳巳氏)   etc.

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(57)
 =カーボンマネージャー制度=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長
・世界を読む(36)<オバマ再選とエネルギー政策の困難さ>



コラム
・発電論評<自家発実態調査で明らかになったこと>
・青空<講演のため岡山市を訪れた>
・ちょっと一言<固定価格買取制度の負担批判は虚構>


自家発実態調査で明らかになったこと【発電論評】

 電力不足問題が大きな社会問題となっている。その一環として、資源エネルギー庁が国内の自家発の活用状況について緊急アンケート調査を行った。
 これまで、国内にどれ程の自家発電設備があり、どのような運用が行われているのか、まとまった調査データもなく、よくわからない状態が続いていた。
 国内で必要な電力は、地域独占の電力会社が安定供給するという供給義務が課せられているから、電力会社は自社管内の総需要電力を上回る発電設備を保有し、あるいは卸電力を調達することで必要な電力をまかなってきた。そのため、自家発電は、卸供給など電力会社に売電する設備以外は、電力統計の対象にも加えられず、その実態は明らかにされることもなかったのである。
 まさに、埋蔵電力とは言い得て妙だと思えるのだが、そうした自家発電設備の初めての実態調査が行われたことは、きっかけはどうであれ、運用実態が明らかになるという意味で発電設備業界にとってはうれしいニュースであった。
 さてその自家発の実態はというと、電気事業法に基づく発電所として届け出られているものが3141事業所・5373万kWあった。これが国内の自家発電設備の総量というわけだが、これは、発電所として運転できるいわゆる常用の自家発電設備であり、このほかに、消防用設備の専用電源である防災用などの非常用の自家発電設備が2300万kWと、発電所の半分近くある。
 常用の自家発電設備の内、卸電力供給用の設備や鉄鋼や製紙工場など大規模な自家発は電力の一部を既に売電しているケースも多く、余剰能力のある設備は、128万kW程度しかなく、一般事業者やPPSに既に売電しているものが811万kWあった。調査の結果、期待されたほどの自家発電設備の余剰能力はないことがわかったということになるのだろう。
 しかしながら、今後検討されていく新たなエネルギー基本計画の中では、自家発の位置づけも大きく変わっていくことになりそうだ。その場合、小規模分散型の発電設備の余剰電力を電力ネットワークを使って流通させていくことや、自家用電力を拡大することで電力ネットワークのピーク需要を下げることで、電力供給力の不足問題に貢献するという役割が振り当てられることになるのだろう。
 非常用など活用されない電源もまだ多くある。非常用電源の課題は、運転することがなく信頼性の維持が難しいこと。こうした、ともすれば忘れられがちな埋蔵電源を、今後どのように活用していくのか、高効率であることや環境負荷が小さく再生可能エネルギーと親和性が高いことなどを条件に、有効な活用を促す仕組み作りを検討してほしい。