2011年725

再生可能エネルギー買取法案の審議始まる
 再生可能エネルギーの全量買取法案の審議が衆議院で始まり、今国会中の成立の可能性が高まってきた。
 同法案は、3月11日、大震災の発生直前に閣議決定し、4月6日に国会に提出されたものの、審議されないままになっていたが、総理退陣の3条件の一つに同法案の成立を求めたことから、にわかに注目を集めることになった。
 法案の内容は、電力会社に販売電力の一定量を再生可能エネルギー電力にすることを義務づけたRPS法に代えて、発電した全量を電気事業者に固定価格で買い取ること義務づけるもので、買取義務を量から価格へと変化させ、再生可能エネルギーの導入に消極的な電力会社に変わって再生可能エネルギーを使った発電事業に多数の事業者が参入することを期待している。
 導入する買取制度では、電源設置者は、15円から20円程度の価格範囲で、15年から20年程度の期間、発電した全量を、導入時に契約した価格と期間で買い取ってもらえるが、家庭用の太陽光発電については、現在実施中の余剰電力買取制度がそのまま延長される。
 全量買取制度は大幅な電気料金の値上げにつながってしまうのではないかというのが主な反対意見となっているが、買い取り価格の15円から20円という幅は、現在の電気料金単価の範囲内に収まっており、これによって、大幅に電気料金が引き上げにつながることは考えにくい。
 経済産業省の試算では、制度導入後の10年後に買い取りコストがピークを迎え、その時点での電気料金への上乗せは1kWhあたり0.5円から1円程度、というもので、原発停止の代替を大規模火力にゆだねる場合の燃料費の上昇分に比べると、将来的にはコスト削減が見込める再生可能エネルギーの方が、コスト的な優位性が十分見込めるものだともいえる。
 今国会で成立すれば、1012年度からの制度開始が見込まれている。


ホンダがスマートハウスで「家産家消」モデルを検証
 ホンダはスマートハウスの実証実験を開始する。さいたま市が進める「E−KIZUNAプロジェクト」の中で、EVの実証実験に加え、独自の「ホンダスマートホームシステム」による家庭での総合的なエネルギーマネジメントを検証する。
 ホンダは5月に、発電効率を3.8P向上させ、26.3%にまで高めた新型ガスエンジンコージェネ「エコウィル」(出力1kW)を開発。また子会社のホンダソルテックが、CIGS薄型タイプの新型太陽電池モジュールを、今年度中の発売を予定するなど、家庭用の創エネルギー機器の充実を図ってきている。
 これらの機器によって発電した電気は家庭内で使用するだけでなく、EVやPHEVの充電にも使用し、電気が不足する時や停電、災害時には逆に、このEVやPHEVから家庭内に電気を供給する「V2H」(ビークル2ホーム)も検証する。
 来春までに同市内にモデル住宅を設置し以後、実証実験を進める。実証後は「家産家消システム」として2015年までに実用化し、汎用事業の柱として育成していく。
 ホンダの「家産家消システムは、スマートイーミックスマネージャと呼ぶ制御装置を核に太陽電池パネル、エコウィル、バッテリーユニットで構成する。制御装置の室外機には「EV直流入力200V」「非常時用電源100V」といった電気を取り込むコンセントと、「EV100V」「EV200V」の供給用コンセントが装備されている。


自然エネルギー協議会が秋田宣言
 ソフトバンクグループと35の道府県が参加する自然エネルギー協議会が、7月13日に秋田市で第1回の総会を開催し、国に対して自然エネルギーの大胆な導入目標の設定や固定価格買取制度の早期の創設などを求める「秋田宣言」を採択した。
 自然エネルギー協議会は、ソフトバンクの孫正義社長が主導して、自治体と共同して休耕田などの遊休地に2万kW規模の大規模太陽光発電所を建設、固定価格買い取り制度によって売電する自然エネルギー発電事業の創設を目指している。
 採択した秋田宣言では、国に対する要望として@自然エネルギーの具体的な導入目標の設定や目標達成時期の明示A全量買取制度の早期制定・実施と実効性のあるルールの構築B重要な自然エネルギー施策に関する、地方公共団体の意見反映C送配電網の制度設計や、送電網の整備への国の支援制度の確立など、自然エネルギーの供給安定化支援D日本の電子・機械・情報通信分野などの技術基盤を生かした自然エネルギー導入に資する技術開発の推進E地域の実情に応じた柔軟な対応ができるような各種の規制の緩和、の6項目を政策提言として実現することを要望している。


積水樹脂と京セラ子会社、共同開発のソーラー発電シェルターを販売
 積水樹脂と京セラの100%子会社で、太陽光発電システムの国内販売会社である京セラソーラーコーポレーション は、バスの停留所や駅前広場などの雨よけなどに使われる街路施設の屋根部分に、太陽光発電システムを搭載したソーラー発電シェルターを共同開発した。
 積水樹脂の多目的シェルターユニットの屋根部分に京セラの太陽電池モジュールを搭載し、軒部分の照明にはLEDライトを採用している。
 太陽光発電システムで発電した電力は、シェルター内の照明等で使用するだけでなく、同一の電灯契約の範囲であれば周辺の設備でも使用できるため、昼間の節電やCO2削減に貢献できる。また、余剰電力は電力会社に売電することもできる。
 災害時には、自立運転機能を活用して、携帯電話の充電など非常用電源としても使用できる。


その他の主な記事
・RPS電力の義務達成状況 バンキング量が大幅減
・富士電機、被災地にPAFCを寄付
・三富士が高輝度LED照明を開発
・大和ハウスがCO2削減オフィス
・矢野経済が停電対策調査 自家初導入は大企業だけ
・東芝など、分譲マンションでスマート実証
・住友商事がトルコで地熱発電を受注
・川崎重工が1700kW級、コージェネシステムを受注
・東芝がリチウムイオン電池で蓄電システム
・フジテレビのイベントに50kWの太陽光発電
・日立金属がSOFC用コネクタ材を開発
・NECが家庭用蓄電システムを発売
・デンヨーベトナムが開所式
・4月末のRPS設備認定状況
・節電時代のスパートグリッドでセミナー
・東電らがHEMSアライアンス立ち上げ
・地球温暖化対策技術普及事業の2次公募
・再生可能エネ熱セミナーイン大阪
・省エネ革新技術開発1次決定と2次募集
・ソリューションビジネスなどでJPIセミナー
・蓄電池開発などでSSKセミナー  etc.


<インタビュー>
・節電社会とスマート化
(スマートプロジェクト 代表 加藤敏春氏)
 東日本大震災以降、節電の価値は大きく変化した。電力の供給力が限られるようになったためだ。原子力発電の運転がままならない状況が続いていくとすれば、スマートグリッドや分散型エネルギーへの期待は高まってくる。こうした中、スマートな節電社会を唱え、技術よりも社会の仕組みを先行させようと活動しているのがスマートプロジェクトであり、その代表である加藤敏春氏だ。加藤氏は政府の事業で有名になった「エコポイント」の提唱者でもある。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 J
 =原子力発電以外の発電コストは本当に高いのか=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・カーボン・マネジメント入門(55)
 =COP17 ダーバン会議を迎えるために=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)




コラム
・発電論評<電力供給力としての自家発電>
・青空<原田芳雄さんを悼む>
・ちょっと一休み<まさかの舌がん>
・一筆啓上<小事より大事>


電力供給力としての自家発電【発電論評】

 電力の需要は、夏期と冬期にピークを迎えるが、震災を契機とした電力の供給力不足対策は、もっぱら節電要請と、大規模需要家に対する使用制限によっている。現政府は、電力の安定供給に積極的ではないように見えてしまう。
 電力の安定供給は、電力政策の根幹である。そのために、地域独占による電力会社を作り、独占供給と引き替えに安定供給の義務を課してきた。そうした仕組みを顧みることなく、電源確保には消極的に見える現政府のありようには大きな懸念を感じざるを得ない。
 そうした中で、自家発電設備への注目が高まっている。国が電力の安定供給義務を果たさないというのなら、需要家は、自ら発電して電力不足に備えるしかない。しかしながら、自家発の導入には様々な課題が多く残っているのも事実。
 例えば、系統連系問題である。需要家が自ら自家発電設備を設置する場合、必要な電力すべてをまかなう発電設備を設置することは極めてまれである。その理由としては、系統電力を常に利用できるようにしておくことで、自家発電設備が故障や点検で停止しても、必要な電力を確保できるという安全対策の観点。また、自家発の導入は電力コストの高い季節や時間帯に稼働させ、電力コストの削減を図るとためという考え方もある。しかしながら、余剰電力を発生させ、系統側に「逆潮」することはまずない。余剰電力の買い取り価格が燃料費にも満たないため、売電する意味がないこと。電力会社以外の事業者に売電する場合には系統利用料の託送料金も負担しなくてはならないこと、また、逆潮させるには保護装置などの新たな高額な設備投資も必要になるなど、売電する経済的メリットが全くないという現状があるからである。
 さらに、燃料費も高騰していることもあり、防災用など法令に基づく非常用電源以外の用途では、自家発電設備の導入は全く進んでいないという状況がある。
 また、自家発電設備は原則的に、極端に小規模な設備を除いて、規模の大小に関わらず発電所の設置として取り扱われ、使用する燃料は「危険物」として、消防・防災の側面からの規制も受けることになることなど、極めて複雑で煩雑な行政手続きが求められることになり、需要家にとって、自家発電設備の導入は極めて敷居が高いものとなっている。
 政府が、電力の安定供給を確保できず、自家発の活用に期待するというのであれば、自家発電を利用しやすくするという観点からの規制緩和や導入支援、自家発を使った新たな事業モデルを創設する事業者を育成支援するなど、電源政策の中での新たな自家発の位置づけについて真剣に検討することが求められるといえる。