2011.07.15


2011年715日号

環境省、2013年以降の温暖化対策検討へ
 環境省は、7月11日に中央環境審議会地球環境部会を開き、2013年以降の地球温暖化対策についての検討作業を始めた。
 2013年以降の温暖化対策については、ポスト京都の枠組み作りが終わらない中で、国内での具体的な対策が何も決まっていないという異常事態が続いている。2012年までは、京都議定書の目標達成計画が進行中だが、それ以降についての具体的な対策や目標については、何も決まっていない。25%削減という中期目標を盛り込んだ温暖化対策基本法案が成立の見通しが全く立っていないため、環境省としても具体的な取り組みが進められなくなっている。
 こうしたなかで東日本大震災が発生し、それに伴う原子力発電事故によって、中期目標の前提となっているエネルギー基本計画が、白紙からの見直しも避けられない見通しとなっていることも踏まえて、原子力依存度を大幅に下げることを盛り込んだ、新たな温暖化対策が不可欠だとの判断を行ったもので、来年中頃までを目途に地球環境部会でポスト京都の国内の温暖化対策について提言をまとめてもらう。
 検討に当たっては、小委員会を設置して、@環境への負荷を下げつつ成長を実現すべきことA民間投資と雇用を喚起する対策をとるべきことB化石燃料価格の上昇に伴う国府の流出を抑制すべきことC分散型エネルギーによる災害に強い社会を形成すべきこと、などの視点から環境と経済の両立を実現する新たな温暖化対策を具体化した提言としてとりまとめる。


環境省、風力のアセスモデルを採択 鹿島灘沖に100万kWの大規模洋上風力
 環境省は、改正環境影響評価法に準じたアセス手続きを実際に行うモデル事業を募集していたが、応募のあった5件のなかから4件の採択を決めた。
 採択されたのは、日本風力開発が北海道黒松内町などの尾根線上に建設する総出力5万kW(2千kW×25基)のウィンドファームと、日本気象協会が秋田県の由利本荘市の高原平坦地に建設を計画している総出力4万5000kW(短期出力2000〜3000kW)のウィンドファーム。また、ウィンドパワーエナジーが茨城県の鹿島灘の沖合500〜2000mに建設を計画する総出力50万〜100万kWの大規模洋上ウィンドファームと、東京久栄が徳島県上勝町などの産地の稜線約5〜6kmに建設する総出力2万6000〜4万kW(単機出力1300〜2000kW)のウィンドファームの4事業。6月6日から17日までの募集期間中に5件の応募があり、そのうち4件をモデル事業として採択した。


IHI、神戸大学ベンチャーと藻類バイオ燃料開発で合弁会社
 IHIは、神戸大学発のベンチャー企業で藻類バイオ燃料開発を手がけているG&GT社とネオ・モルガン研究所との3社で、藻類バイオ燃料事業の技術開発を共同で行う合同会社を設立することにした。IHIは事業推進のため、当初2年間で4億円の投資を行う。
 品種改良を重ねた藻類の中でも燃料生産能力が最も高い藻を使って、効率のよいバイオ燃料の生産を目指す。
 神戸大学発ベンチャーのG&GTが、国内で発見された特殊な藻をベースにして、G&GTの顧問である榎本平教授の指導のもとで、独自の品種改良を重ねて、現時点では藻類の中で燃料生産能力が最も高い藻である「榎本藻(えのもとも)」を開発し、さらに、榎本藻の性能を最大限に発揮できる培養法の開発にも成功している。
 合同会社では、この榎本藻を大量培養して重油並みの高品質のバイオ燃料の製造を目指して、培養スケールアップ、藻体からの油分分離・回収、藻のさらなる能力向上等の技術開発を進めて行く。


東京ガス、後付け型の太陽熱利用システムを発売
 東京ガスは、既設の家庭用ガス給湯器に、後付けで太陽熱利用給湯システムを設置できる太陽熱利用温水システム「ソラモ(SOLAMO)」を開発、販売を開始した。太陽熱で集熱、貯湯する温水システムの補助熱源として既設のガス温水給湯器を組み合わせて利用できるため、給湯器だけの場合に比べて、ガス使用量が年間約30%程度削減できる。また、太陽熱利用システムも約半額で設置できる。
 従来のソラモは、お湯をためる貯湯部に補助熱源機として、潜熱回収型高効率給湯器を内蔵した給湯器一体型として製品化されていたが、今回の後付け型は、既設の戸建住宅に設置してあるガス給湯器を補助熱源機としてそのまま集熱部と貯湯部に接続して使用できる。
 従来タイプのガス給湯器だけの場合に比べて、標準家庭のガス消費量が約30%削減でき、ガス料金が約2万円低減できる。


防災用自家発電設備、2010年度は設置容量が減少
 日本内燃力発電設備協会は、2010年度の防災用自家発電設備の国内導入状況をまとめた。
 防災用自家発電設備は、スプリンクラーや消火栓などの消防用の非常用電源として、新築のビルや工場などに設置されるもので、2010年度の実績は、前年度を設備容量では13.5%下回る77万3298.6kWとなった。容量では下回ったものの台数(設置件数)では11.4%増の5713台が設置された。
 一般負荷にも給電できる常用防災兼用機は、ディーゼル発電設備合計2台・1700kWの設置実績しか報告されなかった。防災運転時にもガス燃料の使用が認められるガス専焼設備の実績はなかった。


その他の主な記事
・まちづくりと一体となった熱利用に関する研究会が報告書
・オリックスが韓国製ディーゼル発電をリース
・省エネセンターが節電対策シミュレーターを公開
・トップレベル事業所を東京都が追加認定
・原発稼働率が40%割れ
・省エネセンターが節電対策シミュレーター
・東京電力が今夏の電力需給見通し
・省エネ法報告書作りのマニュアル本
・住友大阪セメントがリチウム電池負極材で国際特許
・シャープがイタリアで太陽光発電で合弁
・JFEエンジニアなど八幡平で地熱開発に合意
・三菱地所が省エネオフィスを実証
・矢野経済が大震災後の節電停電対策を調査
・パナソニックが文庫本型ソーラーライト
・岩谷がヒートポンプ空調をガス式に変更
・岩谷のGHP室外機とLPG特定供給設備
・伊藤忠が米国でバイオマス発電に参画
・カネカが大阪大学と基盤技術開発を共同研究
・日立がCCS付き石炭ガス化複合発電に目途 NEDOプロジェクト
・愛知県が農業分野で国内クレジット
・産総研がスマグリでラボ
・大阪府が水素インフラ整備で支援プロ
・NEDO洋上風力FSも委託先を募集
・海洋エネルギー開発テーマを募集
・温泉発電など2次募集
・エコリースも2次募集
・洋上ウィンドファームFS委託先を募集
・地球温暖化対策技術普及等推進26件決まる
・第59回バイオマスサロン
・JHIF第17回会議案内   etc.

<インタビュー>
・ポスト震災のエネルギー
(日本総合研究所 創発戦略センター所長 井熊 均 氏)
 東京電力福島第一原子力発電所の事故は、大規模集中型の電源に依存したエネルギーシステムの限界を示した。エネルギーの安定供給を果たすためには、大規模集中型の電源に依存する現在のスタイルからどのようなスタイルへと転換を図るべきなのか。その中で、分散型エネルギーはどのような役割を担うのか。分散型エネルギーシステムを含むプロジェクトを数多く推進してきた井熊均氏に、これからのエネルギー政策について話をうかがった。


燃料電池新聞の主な記事
・住友精密、SOFCを事業化
・パナソニック、独にセンター開設
・欧米のFCV最新動向
・京大が低温域の酸素イオン拡散制御に成功
・海外ニュース
 -FCV量産開始を14年に前倒し、独ベンツ
 -SOFCの商業化で両社提携、バルチラとヴァーサ
 -7万kWのMCFCを受注、米FCE社
 -スマグリプロジェクトに燃料電池を提供、豪CFC社
 -燃料電池バス、走行距離100万kmを達成、加BCトランジット
 -300W級DMFCを開発、米NASAら
 -クライスラー工場跡地に新工場を建設、米ブルーム社
 -水素・燃料電池に約10億円を投資、英国政府
 -DOEの助成で38台のPEFCを設置、米クリアエッジ
 -反応器を内蔵した燃料カートリッジを開発、米アルミパワー
 -70MP対応の水素供給ステーションがオープン、デンマーク初
 -燃料電池技術と代替燃料源を共同開発、仏エアバスとパーカー
・燃料電池フラッシュニュース
 -自立型蓄電住宅の実証実験を開始、アキュラホーム
 -11年度で2万5千台のEVを生産、三菱自動車
 -低価格EVに東芝製リチウム電池を採用、三菱自動車
 -国内初のコンテナ型大容量蓄電システムを開発、三菱重工
 -金属セパレーターの低コスト製造法を開発、ナカザ
 -国産天然ガス対応エネファームの実証開始、東京ガス山梨
 -モバイル燃料電池で制御技術を開発、アクアフェアリー
・燃料電池インフォメーション
 ■水素エネルギー協会特別講演会「水素を用いたエネルギーネットワーク」
7月20日 タワーホール船堀5階小ホール(東京都江戸川区)○概要:「電気・熱・水素エネルギーネットワーク」(産業技術総合研究所 安芸裕久氏) 「次世代エネルギーシステムにおける水素・燃料電池の役割」(筑波大学  石田政義氏) 「再生可能エネルギーの負荷平準化を目指した水素電力貯蔵システムの開発」(東芝 亀田常治氏) 「固体高分子形水電解・燃料電池一体型セルの開発状況」(高砂熱学工業 加藤敦史氏)
 ■電気化学会燃料電池研究会「第112回燃料電池研究会セミナー」
7月28日 電気化学会会議室(東京都千代田区)○概要=定置用燃料電池システムの本格普及に向けた取り組みについて、それぞれの講師が講演 ・パナソニックにおける固体高分子型燃料電池(PEFC)システムの開発状況(パナソニック 麻生智倫氏)・自立対応燃料電池システムの現状報告および将来展望(ENEOSセルテック 門脇正天氏)・高濃度CO耐性アノード触媒の開発(山梨大学 内田裕之氏)・CO選択メタン化触媒を利用した改質器の開発(東京大学 菊地隆司氏)   etc.

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(55)
 =ソーラー発電事業=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長
・世界を読む(35)<投資が促進される再生可能エネルギー>



コラム
・発電論評<脱原発で立ち止まるな>
・青空<東日本大震災の復旧と復興>
・ちょっと一言<新たな公共事業を目指す家電メーカー>


脱原発で立ち止まるな【発電論評】

 菅直人首相が記者会見で、原発依存度の低減を改めて表明したが、評判が悪い。その後の結果が見えてこないからだ。当面は火力、将来的には自然エネルギーを拡大すると言っても、具体的な目標もなく、安定供給の姿は皆目見えてこない。
 唯一、これまでに具体的な数値として語られているのは1千万戸の住宅の屋根に太陽光発電を乗せるというものだが、仮に3kWの太陽光発電システムだとすると合計で3千万kW。日本国内に導入される太陽光発電の平均的な稼働率は10%強程度だから、年間の発電電力量は300億kWh程度。原子力に置き換えるとせいぜい3、4基分の発電能力しか期待できないことになる。
 だから原子力がよいというのは短絡と言うべきで、そもそも2者択一の選択肢ではないということだ。
 脱原発というのなら、代替手段を示すべきだ。そもそも、にわかに高まっている自家発電の余剰電力の活用論にしても、実態をかけ離れた議論だと言わざるを得ない。
 一定の規模を持つ工場などには、常用あるいは非常用の自家発電設備があるのは常識で、設備容量では5千万kW以上あると言われている。しかし、日本の自家発は余剰電力は生み出せないのが実態だ。なぜならそれは、余剰電力の買取制度が整備されてこなかったからである。日本の電力政策の基本法である電気事業法では、地域独占の電力会社に基本的には自社電源による安定供給を義務づけてきた。このため、自家発からの余剰電力の買い取りは基本的には考慮されておらず、買い取る場合でも、燃料費の原価、しかも自家発側の燃料費ではなく、自社の石炭火力などの燃料費の「焚き減らし相当分」として電力会社側が示す数円程度の価格でしか買い取らないということが続けられてきた。
 売電しても燃料費にもならず、また、電力会社からの購入電力を残しておかないと、自家発が故障した場合などに系統電力からのバックアップが受けられないということもあって、余剰電力が発生しない範囲で設備容量を決めるのが当たり前の姿となっている。電力不足だから、余剰電力を供給してもらいたいと言われても、そもそもその能力がないというのが実情である。
 原発を止めて、脱原発を目指すのなら、代替電源をどうするのか、出力の不安定な再生可能エネルギーの補完電源をどう確保するのかなど、課題が山積している。そもそも、再生可能エネルギーにしても、風力と太陽光だけではない。稲ワラや、海藻などの藻類から工業的に製造でき石油などの化石燃料を代替できる、低コストのバイオマス燃料の開発も加速化させる必要がある。
 CO2対策もある。脱原発の是非論で立ち止まっている場合ではないのではないか。