2011年75日号

地熱発電拡大へ、環境省が2つの検討会
 環境省は、再生可能エネルギーとして注目度が高まっている地熱発電の導入拡大を目指す観点から検討を始めた。自然公園内にある地熱資源の利用許可のガイドライン化や温泉法などに基づく許認可手続きの早期化や柔軟化について検討する。
 地熱発電については、安定的に利用できる自然エネルギーでありながら国内での発電利用量が18カ所約54万kWにとどまるなど、利用が進んでいない現状にある。
 利用が進まない原因としては、開発コストの問題に加えて、地熱資源のほとんどが自然公園内にあり、資源開発や発電所の建設に制約があることや、地熱資源は多くの場合、温泉などで利用されており、新たに発電用のエネルギー資源として開発が進めにくいことなどの問題点が指摘されている。
 環境省では、CO2削減の中期目標である2020年に90年比25%削減するという目標達成に向けたロードマップの中で、地熱発電の利用量も171万kWにまで引き上げるという目標を掲げており、環境保護と両立できる地熱資源開発について規制のあり方について検討することにした。検討対象とするのは、地熱資源を新たに掘削利用する形のもので、既存の温泉を活用する、いわゆる温泉発電については今回の検討テーマからは外す方針。
 昨年6月の規制・制度改革の閣議決定や、9月の新成長戦略実現に向けた閣議決定などで、地熱発電の利用拡大方針が示され、温泉法による掘削許可の判断基準や温泉資源の保護に関する行政手続きの明確化などが求められていることに対応して、自然公園内の地熱資源の掘削許可の判断基準について、ガイドラインを策定するための具体的な検討作業を開始したもの。
 検討は、2つの検討会を立ち上げて、自然環境への影響と温泉・地下水への影響を検討し、海外や国内での現地調査結果なども踏まえて年度内を目途にガイドライン化する。


超高効率のビル用GHPの販売体制を強化 ガス3社とメーカー5社
 東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの都市ガス大手3社と、アイシン精機、ダイキン工業は、3万平方以下の中小規模ビル向けのビル用マルチエアコンで、最高の省エネ性を達成した超高効率ガスエンジンヒートポンプ「GHPエグゼア」を7月から販売する。
 「GHPエグゼア」はガス3社と、アイシン、三洋電機、ヤンマーエネルギーシステムが共同で開発したもので、ガス3社と三洋電機、ヤンマーの2社は4月から販売している。今回、アイシンとダイキンが7月から、さらに10月からは三菱重工業が製造・販売に加わることになっており、ガス3社とメーカー5社の販売体制が整うことになる。
 「GHPエグゼア」は、熱交換性能の向上や、エンジンの小型化などによって、最大で5.7相当の通年エネルギー消費効率(APF)を達成しており、電気式も含めたビル用のマルチエアコンとしては最高効率を実現している。
 電力供給力不測から夏期や冬期のピーク電力の削減が求められる中で、電気式のビル用ヒートポンプからの更新も含めて、事務所ビル、商業施設、学校、病院、工場など向けに、新規導入や既存GHPからの取り替えを提案し、2013年度には2010年度の約2倍となる年間3万台の販売を目指していく。
 シリーズのラインアップは、冷房能力45〜85kW(16〜30馬力)の4機種で、従来品と比べて45kWタイプで、は省エネ率で年間最大約19%、CO2排出量は最大約20%低減できる。


トヨタのスマートコミュニティー実証で試験運用を開始
 愛知県豊田市のスマートコミュニティ実証プロジェクトで、エネルギーマネジメントシステムの実験用モデル住宅が完成し、システムの試験運用が開始された。プロジェクトは、経済産業省が4つのモデル地域を選定して実施している「次世代エネルギー・社会システム実証事業」の一つで、2010〜14年度の5年間実施されることになっている。
 豊田市のプロジェクトは、生活者を主体として、生活圏・コミュニティ単位でのエネルギー利用の最適化を目指すもので、2年目にあたる今年は、家庭・地域のエネルギーマネジメント分野の実証段階に入っている。6月3日に実証住宅の販売を開始、9月から開始される第1期・14棟での実証試験に先だって、このほど完成した実験用モデル住宅でシステムの試験運用が開始された。
 実証試験は、HEMSによって、太陽光発電や燃料電池などの創エネ機器や家庭用蓄電池・エコキュートなどの畜エネ機器、電気自動車や、スマート家電などをつなぎ、家庭単位での電力需給、機器制御の最適化と見える化を行う。蓄電池は、家庭の電力消費の低コスト化・低炭素化を促すとともに、災害時等の非常用電源としても活用する。


ヤンマー、イタリアに次世代エネ技術の研究開発拠点
 ヤンマーは、欧州での研究開発拠点をイタリアに設立する。再生可能エネルギーの拡大や内燃機関に代替する電動化の進展など、世界のエネルギー事情が激しく変化していることを踏まえて、次世代エネルギーの有効活用技術をグローバルに開発する研究拠点とする。
 欧州の研究開発拠点では、主に再生可能エネルギーやスマートグリッドなどの研究や、内燃機関に代わる電動システムなど、次世代のエネルギー分野の研究開発を外部の研究機関と連携して取り組んでいく。
 ヤンマーは、2008年にマレーシアに研究開発センターを開設し、バイオ燃料に関する試験研究拠点としている。今回の欧州での研究開発拠点の開設により、日本・東南アジア・欧州の世界3極体制でグローバルな体制で研究開発を促進していく。


その他の主な記事
・スマートコミュニティ実証の進捗報告
・産総研がサマータイム調査
・大阪市がエネルギー政策室を設置
・かながわソーラープロが報告書
・NGOが気候変動ボン会議の報告会
・九都県市が再生可能エネ活用セミナー
・ソーラーフロンティア、米国に太陽電池を供給
・ミサワホームも見える化サービス
・三菱商事韓国にシェールガスの権益を一部譲渡
・日立化成が中国にリチウム電池材の新工場
・三洋電機がイタリアに大規模太陽光パネルを供給
・オリックス電力、マンション一括電力購入サービスを拡大
・京セラ福島工場に太陽電池194kW
・双日、モザンビークに木材チップ工場
・東芝米国でスマコミ事業に参画
・川重がシンガポール向けのGT納入
・三菱電機、環境経営への取り組みを公表
・新日鉄釜石の発電所が再開、売電も
・富士経済がエネルギーシステム機器市場を緊急調査
・田中貴金属燃料電池用触媒出荷額を発表
・横浜で節電の取り組み
・さいたま市が創って減らす機器の補助制度
・東京都が太陽光の補助募集
・東京都太陽熱拡大へ新技術を募集
・埼玉県が市民共同発電を補助
・大阪市がスマコミ実証計画の委託先を募集
・エネ使用合理化と省エネ革新技術の成果報告会
・優秀省エネ機器表彰  etc.

<インタビュー>
・ポスト震災の経営戦略
(エネルギーアドバンス(ENAC)代表取締役社長 三浦千太郎氏)
 3月11日に発生した東日本大震災は、太平洋岸にある原子力・火力発電所にも甚大な被害を与え、とりわけ、福島第一原子力の事故は、未だに収束のメドもつかず、原子力行政を見直す状況につながっている。こうした中、再評価されているのが、コージェネレーションや再生可能エネルギーなどの分散型エネルギー設備である。エネルギーサービスプロバイダー(ESP)最大手企業として、先進的な分散型エネルギーサービスなどを提供してきたエネルギーアドバンスは、今後の事業展開をどのように考えているのだろうか。震災を受けて激変するエネルギー供給産業の方向性などについて伺った。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革--S ドイツの脱原発ガバナンス=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・災害に強いエネルギーシステムを目指して(上)
 前田タ/スマートエコロジー企画主任研究員


コラム
・発電論評<スピード感のあるエネルギー議論を>
・プリズム<孫社長の構想も全量買取法案の行方次第>
・青空<ベンジャミン・フランクリンに学べ>


スピード感のあるエネルギー議論を【発電論評】

 夏の電力使用制限が始まった。使用制限令の発動は、あのオイルショック以来37年ぶりのことだという。
 当時、石油権益の確保のために政府は中東行脚を繰り返し、節電と脱石油政策で危機を乗り切ったという記憶がある。その後、石油価格は長期に安定、日本でも依存度は下がったとはいえ、石油は相変わらず中核エネルギーとしての位置を占め続けてきた。場合によっては、石油価格の安定が、高コストの新エネルギー開発に弾みをつけることができなかった最大要因と見る向きもある。
 しかしながら、第3次オイルショックとも言うべき昨今の石油価格の高騰状況を見ると、原発の代替電源として再び石油依存度を高めるという方向には戻れそうもない。もう一方の温暖化防止の観点からのエネルギー起源のCO2抑制の必要性がますます高まっているという現実も忘れることはできないということもある。
 さて、今回の電力の使用制限であるが、どのような出口が想定されるのか、あまりよく見えてこない。大規模集中電源によるネットワーク利用という、現在の電力供給スタイルは見直されるべきだという意見は最近よく聞くようになっているが、それでは、新たな電力供給の仕組みはどのようにあるべきかという具体的な姿が示されることはあまりない。
 結局は、原発も再稼働し、足りない分は天然ガス火力などを増設して、電力供給力を確保する。つまりは、これまで通りの電力会社による電力供給に復帰するのか、それとも失われた電源は旧に復させず、新たな電力供給体制への移行を目指すのか。そのもっとも肝心な出口に対する方向付けがなかなか見えてこないのである。
 震災後、比較的早い時期に原子力発電の依存度を高めながら、さらに再生可能エネルギーの拡大を目指すというエネルギー基本計画を抜本的に見直すという方針は示されたのではあるが、それ以降、具体的な方向付けの議論が深められている様子がない。どこまで行っても入り口論で終始してしまっているように見える。
 再生可能エネルギーの拡大方針にしても、RPS法の反省から始まる、買取制度への移行は、検討され始めてからはもう4、5年が過ぎてしまっている。太陽光発電の余剰電力の買取制度がスタートして2年目を迎えているが、買取制度を再生可能エネルギーの全体に広げる全量買取への移行の方針が示されてからでも、もう数年が経過してしまっている。
 2020年のCO2削減の中期目標である25%削減の議論もされないまま、事態を決して前に進めることはない議論だけが繰り返されているように見える。エネルギー政策の本質を見据えた議論が待たれている。