2011年625

分散型中心の電力供給網目指す 産構審部会が提言
 経済産業省は、6月22日に開いた産業構造審議会・産業競争力部会(部会長・伊藤元重東京大学大学院教授)の第2回ので、再生可能エネルギーやコージェネレーションシステムなどの多様な分散型電源を活用した新たなエネルギー供給体制の構築を目指すことなどを中間とりまとめを行った。
 東日本大震災によって、電力の需給逼迫とコスト上昇など、エネルギー問題がネックとなって一段の「産業の空洞化」が進む恐れが顕在化したとして、今後のエネルギー改革の目指す基本的な方向として、従来の大規模集中型電源を広域的な電力ネットワークで安定的に供給するというスタイルの大規模災害に対する脆弱性を認め、地域分散型の小規模ネットワークをスマートグリッド技術を活用して連携利用するという新たなエネルギー供給システムの構築を目指すことを提言した。
 具体的には、原子力の安定化に加え、需要サイドでの節電や省エネを前提に、再生可能エネルギーや分散型電源の拡大に必要なネットワークのスマートグリッド化や自家発・コージェネを活用する多様な分散型供給力の活用を掲げた。分散型の活用によって、供給力のリスク分散を図り、事故や災害に強い供給力を確保する。電源が分散・多様化することによって需要家が電力会社や購入する電源を直接選択できるような仕組みを導入し、事業者間競争を促す。
 また、広域ネットワークの拡充や整備について、連系容量の拡大や広域ガスパイプラインの整備などの大規模なインフラ整備については、国が積極的に関与できる仕組みも整える。


三菱重工、コンテナ型大容量蓄電池システムを開発
 三菱重工業は、リチウムイオン電池を搭載した国内初のコンテナ型大容量蓄電システムを開発した。最大出力1千kW、蓄電容量は408kWh。リチウムイオン電池をコンテナ内に収納することで、トレーラーで設置場所に簡単に移動でき、仮設電源として使用することもできる。また、複数のコンテナを併用することで簡単に大容量化でき、トレーラーなどで使用場所に移動でき、非常用など幅広い用途にも対応できる。
 実証機を長崎造船所内に設置し、商品化に向けた実証試験を7月初旬から開始する。
 2千個以上のリチウムイオン電池を40フィートコンテナ(長さ約12m)に収納し、別にパワーコンディショナーを搭載した20フィートコンテナとの2つのコンテナを組み合わせた蓄電電源システムとして使用する。コンテナを増設すれば、コンテナ単位で、最大で数万kWまで拡張して使用できる。
 長崎造船所での実証試験は、工場内の電力負荷平準化を目的に、風力発電や太陽光発電など変動の激しい再生可能エネルギー電力を蓄電し、工場内の電力使用量に応じて出力することで系統電力の平準化を図る「短周期調整」や、数時間レベルの電力変動を平準化する「中・長周期調整」などを検証する。また、送配電線の敷設が困難な地域での風力発電や太陽光発電による電力を蓄えて、系統連系によらない電源として安定供給するマイクログリッド対応なども想定した実証運転なども行う。
 特に風力発電や太陽光発電などの出力が瞬間的に大きく変動する再生可能エネルギー電源が大規模化する中で、系統連系制約から立地できないことが問題とされており、大規模で低コストの蓄電システムの開発は、再生可能エネルギーの出力安定化を可能にし、また、蓄電することで、必要なときに電力を取り出せる電力安定化用や非常用電源、また、屋外イベントや工事現場の電源、電気自動車の移動型充電源など、幅広い用途での利用が期待できる。


2010年度の風力発電導入量は244万kW
 日本風力発電協会は、2010年度末の国内の風力発電の導入量が244万kWだったと発表した。系統連系制約など、立地環境の厳しさから国内の風力発電導入量は伸び悩み傾向が続いており、2010年度の単年度導入量も25.6万kWにとどまるなど、目標だった2010年度の国内導入量300万kWは達成できなかった。
 国内の風力発電の導入量は、国がエネルギー需給見通しの中で2010年度300万kWを導入目標として掲げ、電力会社に新エネルギー起源の電力の一定量の販売を義務づけるRPS法の施行など導入支援策を講じてきたものの、出力の不安定さを理由とする系統連系制約などが障害となって、風力発電の導入量は抑制されてきた。さらに、新エネルギー支援が目的であったはずのRPS法が利用目標量が低く抑えられ続けたことや、目標量が電源種別ごとに示されず、コストの安い電源を優先するとされたことなどで、買い取り価格が低く抑えられ続け、RPS法が逆に新エネの導入を抑制する方向に働いてしまったことも伸び悩んだ理由と考えられている。
 さらに最近では、2012年度からの全量買取制度を導入する方針と引き替えに、導入補助制度が打ち切られたことも大きなマイナスとなっているといわれている。今後の見通しでも、補助金交付が決定済みでまだ運転開始に至っていない継続事業は25万kW程度にすぎず、全量買取制度の導入が計画通りに12年度から導入されない場合は、さらに導入量の減少傾向が続くことが懸念されている。


その他の主な記事
・風力アセスは1万kW以上で報告書
・9都県市が太陽光拡大を国に要請
・札幌市がCO2排出量を発表
・環境配慮契約法自治体は未対応
・NEDO、中国でスマコミ実証事業
・電設工業会、2011製品コンクール表彰
・東京スカイツリー内部を公開
・スマートグリッド展2011開く
・気候変動条約、補助機関会合報告
・日立が自社工場に分散型エネマネジメント
・三菱重工業がCCS実証プラントを稼働
・三菱電機がビル丸ごと節電支援サービス
・三洋電機が徳島の実証モデルにリチウム電池を提供
・住友電工がスマートグリッドの実証システムを開発
・大阪ガスと京都大が地産地消型エネシステムを共同実証
・東芝がHPとスマコミで提携
・東北電力が8万kWのNAS電池
・明電舎が風力用コンバーターを開発
・北陸電力も節電を呼びかけ
・BASFが大型ディーゼル触媒を国内で増産
・NECがブラジルでスマートグリッド
・NTT東日本も見える化サービス
・アイビーエムがビルマネソフト
・安川電機が大型風車用発電機を販売
・三菱樹脂が千葉大と太陽光利用型植物工場を実証
・丸紅がインドネシアで地熱発電
・再生可能エネ熱計測技術実証の委託先を募集
・J−VER事業者支援募集と全国説明会
・洋上風力発電実証の委託先募集
・温泉エネルギー普及加速化事業公募
・小規模地方公共団体省エネ事業公募
・グリーンエネパートナーシップ総会
・リン資源リサイクル推進協議会シンポ開催
・震災後のスーマートコミュニティなどでSSKセミナー
・日産のスマートシティーなどテーマにJPIセミナー  etc.


<インタビュー>
・太陽熱温水器とソーラーシステムの普及と技術の可能性
(ソーラーシステム振興協会 総務部長・業務広報部長 多賀 睦氏)
 自然エネルギーの利用は電気だけではない。太陽熱利用は給湯用熱源として広く利用されてきた。しかし近年、太陽光発電に押され、導入が停滞する状況が続いている。だが、エネルギー利用効率は太陽光発電よりも高効率であり、狭い屋根でも十分に性能が発揮できるので、改めて普及拡大が期待される。NPO団体と共に展開する「つながりぬくもりプロジェクト」では、被災地への太陽熱温水器の提供もスタートした。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 J
 =エネルギーの世界におけるリスク評価=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・カーボン・マネジメント入門(54)
 =電気事業者と原子力発電=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)




コラム
・発電論評<再生可能エネルギーは国産エネルギー>
・青空<骨太な報道とは>
・一筆啓上<技術開発を問い直せ>


再生可能エネルギーは国産エネルギー【発電論評】

 延長国会の焦点の一つに再生可能エネルギーの全量買取法案が取り上げられている。法案に関心が集まるのは悪いことではないと思うが、政権退陣の駆け引き材料として取り上げられるのは、筋違いだと嘆くしかない。
 そもそも、再生可能エネルギーの利用を拡大していくことに反対する人はいないのではないか。
 再生可能エネルギーは、CO2を排出しない環境エネルギーだというだけではなく、運転時には燃料費も掛からない、極めて経済的な発電手段であるということにもっと耳目が集まってもよいと思うのだが、反対に「再生可能エネルギーはコスト高」という「風評」が今や常識化されつつあることは頭が痛い。
 再生可能エネルギーがコスト高だとされるいわれは、設備の導入費用が火力発電などに比べて割高になるということだが、ランニングコストだけを比較すると燃料費が不要の再生可能エネルギーの優位性が際立ってくる。話題の買取制度では、太陽光発電は余剰電力買取制度が延長され、10年程度で導入コストが回収できるとされている。つまり10年立てば、買い取ってもらわなくても無料の電気が使用できることになるということだ。
 化石燃料や原子力燃料の多くが輸入に頼らざるを得ない現状を考えると、再生可能エネルギーの利用は、国産のエネルギー資源開発だということもできる。スマートグリッド化した地産地消型のエネルギーシステムを、運用技術も含めたエネルギーシステムとして輸出できれば、エネルギー資源に恵まれないといわれてきた日本が、「資源輸出」をできるようになるとも考えられる。
 エネルギーの問題は、安定供給をいかに確保するかということにつきる。必要なときに必要なだけのエネルギーを確保した上で、コストや環境性のよいものが選択され、淘汰されるということが自然であり、化石燃料を再生可能エネルギーに段階的に置き換えていくことで、エネルギーの国産化率を高めていくことにつなげられるべきだ。
 議論されている全量買取法案は、それが成立すれば、飛躍的に再生可能エネルギーが拡大できるのかというと、そうではあるまい。買取期間や価格の水準が低すぎるという指摘もある。買取制度と引き替えに多くの新エネに対する導入補助制度が縮小・廃止されてしまったことなどを考えると、買取制度だけではたして再生可能エネルギー拡大に弾みをつけることができるのかどうか疑問だ。
 それにしても、全量買取制度が想定通り2012年度から導入されないと、補助金も買い取りもない支援の無策状態がさらに続くことになってしまう。芯の通ったエネルギー政策が待たれている。