2011.06.15


2011年615日号

官邸主導でエネルギー政策を見直し 分散型エネシステムでスマート化
 政府は、6月7日に開いた新成長戦略実現会議で、今後のエネルギー政策の見直しの議論を始めた。
 戦略会議の下に分科会として、「環境エネルギー会議」を設置して、年央をメドに中間整理として基本的な方針を示す。その後も検討作業を継続し、年末には中期戦略として集中型から分散型を目指す、新たなエネルギーシステムやベストミックスのあり方を示し、来年には、新たな電気事業のあり方に基づく分散型システムの確立や定着を目指す「革新的エネルギー・環境戦略」を具体的に示すという3段階に分けて検討を進める。
 実現会議では、大震災によって明らかになった我が国のエネルギー・環境戦略の課題として、@生活の快適さを失わない省エネルギーの実現A技術やコストの壁を打ち破る再生可能エネルギーの実用化B化石燃料の徹底的な効率化と安定供給体制C原子力の安全性の徹底検証D電力不足と高コスト構造の克服・分散型電源との両立・発送電分離を含む電力事業形態のあり方E強靱なエネルギー・環境産業を創る担い手の育成や国際競争力の確保の6項目を重要論点として、「日本再生の基本戦略として成長、経済を支え、イノベーションをリードするエネルギー・環境戦略」の構築を目指す。


大阪ガス、日本風力開発から風力発電所の開発・発電事業を買収
 大阪ガスは、100%子会社であるガスアンドパワーが、日本風力開発が和歌山県由良町に建設中の由良風力発電所(総出力1万kW 2000kW×5基)を買収することで日本風力開発と合意したと発表した。
 由良風力発電所は今年9月の運転開始を目指して現在試験運転を開始している段階で、現地運営会社の発行済み株式総数の全数を、6月15日付でガスアンドパワーが譲り受ける。
 大阪ガスグループでは、長期経営ビジョンに基づき、「国内エネルギーサービス事業」、「海外エネルギーバリューチェーン事業」とともに、「環境・非エネルギー事業」の拡大を進めており、ガスコージェネと太陽光を併用するW発電の提案や、太陽光発電を利用する電力供給サービスなどを展開しているほか、これまでに高知県と和歌山県の国内2カ所で合計3万6千kWの風力発電所の運営に乗り出すなど、再生可能エネルギーを取り込んだエネルギーサービス事業の展開を積極的に図ってきている。
 一方、日本風力開発は、国の補助金制度が廃止され、全量買取制度の導入もめどが立たないなど、一段と厳しさが増しているといわれる国内風力発電の事業環境に対応して、事業基盤の安定化や財務体質の改善を図る必要から、事業の集約整理を進めており、建設中の由良風力発電所をガスアンドパワーへ譲渡することを決めた。


集合住宅で時間帯別料金メニュー NTTファシリティーズが節電支援
 NTTファシリティーズは、首都圏を中心に9つのマンション向けに提供しているエネルギーサービス(電力販売)の一部需要家を対象にして、昼間の電力ピーク時の料金を高くして、夜間の料金を割り引く時間帯別の料金サービスや、デマンドレスポンス(需要応答サービス)などを導入する。利用者が節電を行う動機付けを支援するサービスとして試行的に導入するもので、今後適用範囲を広げていく。
 NTTファシリティーズは、同社が出資しているPPSのエネットから卸電力供給を受ける形で、首都圏の9つのマンションの合計3000世帯向けに電力供給サービスを行っている。
 現在の電気料金は約17円から23円の範囲で使用量が多いと料金も高くなる仕組みだが、新サービスでは、夏期の昼間の電力を最高42円程度に設定して夜間と朝・夕は約17円程度にして、昼間のピーク時間帯の電力使用量を抑制する。
 また、卸電力供給者のエネットの供給力に応じて消費(購入)する電力を抑制・分散する場合、翌月以降の電気料金に反映できるポイント制も導入し、電力不可の平準化やピーク電力の抑制につなげる。
 東北電力と東京電力の供給エリア内では、同じ電力ネットワークを使って電力供給せざるを得ないPPSの需要家に対しても一律15%の節電や電力の使用制限が求められる。NTTファシリティーズでは、供給しているマンションの電力需要についてもピーク時に15%の節電が必要となることから、ピーク時の電気料金を高くし、節電に協力した需要家に対してポイントを付加するサービスを行うことで、需要家の省エネ行動を支援する動機付けとする。


その他の主な記事
・東ガスのSEN、視察会
・ガス協会が総会
・関西電力も節電要請
・横浜市が排出量を公表
・北海道ガイア2011を公表
・エネファーム補助で東北の説明会を発表
・次世代バイオマスエネルギー利用技術を募集
・7、8月の太陽光施行研修
・太陽経済かながわ会議を開催
・環境省が風力アセスのモデル事業を募集
・NEDO、電力需給緊急対策テーマ採択   etc.

<インタビュー>
・自然エネルギーのポテンシャルと技術の可能性
(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 新エネルギー部統括主幹 徳岡麻比古氏)
 3月11日に発生した東日本大震災、というよりも震災に起因する福島第一原発の事故により、少なくとも短期的には原発の新増設が難しくなった。そのため、CO2を排出しないエネルギーとして、これまで以上に再生可能エネルギーの開発が注目されているのだが、その技術開発の現状はどうなっているのだろうか。NEDOに聞いた。


燃料電池新聞の主な記事
・世界の水素ステーション
・パイクリサーチの燃料電池市場予測
・エネファーム2010年度の販売実績
・海外ニュース
 -バラード、米国トヨタ自動車から1MW級燃料電池を受注
 -米SFCエナジー、南カリフォルニア大学などが保有するDMFC特許のライセンスを取得
 -米フューエルセルエナジーなど、SECAプロジェクトで60kW級SOFCシステムを開発
 -欧州委員会、HyLIFT−DEMOで燃料電池フォークリフトの実証試験を開始
 -豪セラミック・フューエルセル、英国最大のスマートグリッドプロジェクトに参加
 -英AFCエナジーと独N(2) テリジェンス、共同で燃料電池の排ガス利用の防火システムを開発
 -デンマークコペンハーゲン市と現代・起亜自動車、FCVと水素インフラ普及を共同で進める
 -仏ミシュランと独ソルヴィコア、共同でレンジエクステンダー方式のエネルギーパックを開発
 -米GM、PHV「シボレー・ボルト」の増産を発表
 -独アウディの燃料電池車「Q5 HFC」、第11回ミシュラン・チャレンジ・ビバンダムに参加
 -ホンダ、独の燃料電池車実証走行試験プロジェクトに参加
・燃料電池フラッシュニュース
 -サイベックコーポレーション、チタンセパレータを開発
 -富士電機、産業用燃料電池で自家発電需要に対応
 -環境省、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルは約5億kW発表
 -田中貴金属工業、燃料電池用触媒でバラード社の最優良サプライヤー賞を受賞
 -トヨタ、米で燃料電池車向けの水素ステーションを開設
 -日本触媒、SOFC事業を2015年度までに50億円規模に拡大
 -高砂熱学工業、3kW級「水素利用型蓄電装置」をJAXAに納入
 -北陸ガス、新潟県産出の天然ガスに対応した東芝製「エネファーム」の販売を開始
 -スズキの燃料電池スクーター、北九州水素タウン事業で走行実験を開始
 -ヤマト運輸、EV集配車100台を導入
 -パナソニック、2013年に誕生する藤沢市の「スマートタウン構想」を発表
 -ホンダ、超低燃費と世界最小サイズを実現した「エコウィル」を開発
・燃料電池インフォメーション
 ■横浜国立大学 グリーン水素研究センター設立講演会
6月22日 横浜国立大学常盤台キャンパス 教育文化ホール(横浜市保土ヶ谷)○概要:・グリーン水素社会に向けて(横浜国立大学 太田健一郎氏) ・水素エネルギー社会実現に向けたJX日鉱日石エネルギーの取り組み(JX日鉱日石エネルギー 中央技術研究所 廣瀬正典氏) ・クリーン水素からグリーン水素への展開について(東京ガス 技術戦略部 安田勇氏) ・CO2分離回収技術の現状(JFEエンジニアリング エネルギー技術研究部 井田博之氏) ・有機ケミカルハイドライド法水素貯蔵輸送システムの開発(千代田化工建設 研究開発センター 岡田佳巳氏   etc.

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(53)
 =日本人と電気の関係=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長
・世界を読む(34)<脱原発でも求められる25%削減>



コラム
・発電論評<電力自由化は需要家に何をもたらすのか>
・青空<建設マネジメントの専門家が憤慨しています>
・ちょっと一言<やはり夏には計画停電?>


電力自由化は需要家に何をもたらすのか【発電論評】

 福島第一原子力発電所の事故をきっかけに「自然エネルギーブーム」が巻き起こっている。それまで、水や空気と同じように当たり前と思っていた電気が、スイッチを入れても使えないという事態が起きてしまったからだ。
 本当に起きてしまったのは計画停電という名の大規模停電。職場や家庭での節電要請。工場や事業場での電気の使用制限だった。
 こうしたことを起こさないために、電気事業法があったのではないか。地域独占の電力会社を作り、事業保証をする代わりに供給義務を課している。電力会社は、需要家が必要とする電力については供給を断れないという仕組みのはずだった。
 しかしながら、現在起きていることは、供給力不足を理由にした「供給義務不履行」であり、節電しないと停電しますというのでは、みもふたもない。
 原発事故をきっかけに、節電や省エネが当然視されている。無駄を省くという節電や省エネであればいいのだが、熱中症が危惧されるという事態になると、ちょっとそれはどうなのかと思ってしまう。木を見て森をみない、角を矯めて牛を殺すということになってしまうのではないか。
 自然エネルギーブームである。原発を止めても太陽光や風力があるという議論にはついて行けそうもないが、エネルギー問題を身近な話題として議論するという最近の風潮はちょっといい。
 太陽光発電や家庭用燃料電池などによって日常生活の周辺で手軽に発電できる手段がすでにある。こうしたときに起きた電力不足だから、自分で電気を創るということが現実的に可能だ。太陽光発電を利用すれば、やがては、原発などいらなくなる時代が本当にやってくるのかもしれないと思わせる。家庭や職場や酒場で、気軽に身近な話題として議論しあえる今日の姿は健全なのかもしれない。
 これまでの電力政策は国やエネルギー事業者などの専門家によって創られてきて、需要家は、それがどこでどうやって創られ運ばれるのかなどについては極めて無頓着にすぎてきた。いわばお任せだったのだが、このままでは、電気を売ってもらえないという事態が現実になって、需要家はそれに対して意見を言えない仕組みだったということに気づいた。でも、太陽光や風力によって電気を作り出せば、電力会社から電気を買わなくてもいいのではないかと気がついた。
 それならば、原子力ではない、太陽光や風力の電気を購入して使いたい。自分で電気を作れなくても、そうしたグリーン電力を販売してくれる電力会社があれば、そこから購入したい。そのためには、発送電を分離して電力ネットワークが解放されることが必要になる。需要家が電気を選べる時代。それが電力自由化の本当の目的のような気がする。