2011年525

政府が政策推進指針 分散型エネルギーなど成長の芽に
 政府は、昨年閣議決定した新成長戦略を見直して、東日本の復興を支え、震災前から直面していた課題に対応するため、改めて日本の再生に向けた取り組みの再スタートとする「政策推進指針」を5月17日に閣議決定した。
 福島第1原子力発電所の事故の発生によって、原子力発電に対する不安が高まっていることに伴い、2030年に向けて原子力発電を拡大し地球温暖化対策の中心に据えるというエネルギー基本計画を抜本的に見直し、新たな成長へ向けた国家戦略の再設計・再強化の取り組みに新エネビジネスや分散型エネルギーシステムを据えることを検討課題として示している。
 これについて菅総理大臣は、5月18日の記者会見で、エネルギー基本計画の見直しの議論の中では、再生可能エネルギーを基幹電源として位置づけ直し、大幅な拡大を目指していくために、発送電分離も含めた電力事業制度のあり方の見直しも議論の対象とすべきだとの認識を示した。
 再生指針では、「巨大リスクに備えた経済社会構造の確立」や「信認の維持(財政・社会保障と日本ブランド)」、「財源・電力などの資源制約下での重点配分、新たな成長への重点投資」など7項目を再始動に向けた基本原則と位置づけ、エネルギー政策としては環境・エネルギー大国を目指して「電力制約の克服」「安全対策の強化」「エネルギーシステムの歪み・脆弱性の是正」「安全、安定供給・効率・環境の要請」に応える革新的なエネルギー環境戦略を検討するとされている。
 年内に新たな「新成長戦略」の具体像を提示する。


太陽光発電2010年度出荷量は71%増 輸入品が拡大
 太陽光発電協会は、2010年度の太陽電池セル・モジュールの出荷統計をまとめ発表した。
 国内向けと輸出を合わせた総出荷量は前年度比52.2%増の253万8814kWで、前年度の伸び率48.9%をさらに上回った。余剰電力買い取り制度の導入による国内市場の急拡大が続いているのを数字的に裏付けられた。
 国内向けの出荷量は、106万2914kWで、70.6%増と、初めて100万kWを超えた。国内出荷量の内輸入品の出荷量は16万7702kWで、138.2%増。前年度の約2.4倍の出荷量で、国内生産分の伸び率62.0%増を大幅に上回った。輸入品の国内向け市場のシェアは15.8%と2ケタに乗った。特に第4四半期(1月−3月)の輸入品のシェアは21.0%と20%を超えている。
 国内向け出荷を用途別にみると、住宅用が86万2223kWで、58.6%増と高い伸びを示した。住宅用のシェアは81.4%で、太陽光発電の国内市場は住宅用が80%以上を占めている。しかしながら、産業・事業用などの住宅用以外の出荷量は、177.0%増の19万6923kWで、住宅用を上回る勢いで伸びており、住宅用を中心に形成されてきた国内太陽光発電市場に変化がみられる。背景には、産業界での省CO2の取り組みの一段の活発化や、住宅用に比べると買い取り価格は低いものの産業用や業務用施設も対象にした余剰電力買取制度が始まったことも大きな要因と思われる。


環境省、風力環境アセス案をとりまとめ
 環境省は、風力発電を環境影響評価の基本的考え方につて検討会の報告書案をとりまとめた。パブリックコメントの手続き後、6月の検討会で正式な報告書がとりまとめられる。
 案では、アセスの対象規模は1万kWか2万kW。騒音や景観、動植物生態系への影響、関連の建設土木工事の範囲、シャドウフリッカーなどを対象とし、それより小規模なものについては自治体の条例や風力発電事業者などの自主アセスで対応するということが基本的な考え方。風車の本体工事など発電所に直接関連する施設に止まらず、取り付け道路や土捨て場等もアセス対象に加える。
 また、個々の施設の評価についてはアセス項目などを必要に応じて重点的に実施するなど柔軟な対応を求め、再生可能エネルギー電源として期待されている風力発電を、環境負荷の少ない形で導入することを盛り込んだ。。
 立地制約が少なく、今後の拡大の余地が大きいとみられている洋上風力については、導入事例がまだ少ないことや、必要なデータが未整備であることなどから、当面の間は特別の基準は定めず、今後の課題として整理した。


日本飛行機、南極向けの風力発電装置を受注
 川崎重工グループの日本飛行機は、南極昭和基地向けに20kWの風力発電設備を受注した。日本飛行機が航空機製造技術を生かして独自に開発した小型の縦軸型風車で、今年11月に南極観測船「しらせ」で昭和基地に運ばれ設置される。
 昭和基地でも「再生可能エネルギー活用と環境保全対策」が進行中で、ディーゼル発電と風力発電を連携運転して安定した電力を昭和基地に供給し、使用する電力の低炭素化を図る。
 昭和基地で風力発電を利用するため、国立極地研究所が風速条件が昭和基地と似ている秋田県の仁賀保高原で2009年4月から約2年間・累計1万時間以上の運用試験を行ってきた。
 日本飛行機では、5kW、10kW、20kWの3タイプをシリーズ化しており、20kWの風車は、高さ13m、幅6.5m、ローター径6.3m、ブレード長6.3m、ブレード枚数3枚の形状で、4.5mの風速で起動、定格風速は15m。今回の南極向けの風車には寒冷地向けの特別仕様が加えられた。


その他の主な記事
・燃料電池シンポジウム開く
・エコファースト企業に節電計画を要請
・まちづくりと一体になった熱エネルギー利用研究会を設置
・三菱電機がスマートハウスを公開
・東北電力もガスタービンを緊急配備
・東京電力が中小発電機を大量に配備
・日本有線と川崎重工、船舶用ハイブリッドシステムを実証へ
・東芝がスマートメーターのトップ企業を買収
・カナダのシェールガス事業に東京ガスなどが出資
・振動・熱発電市場を調査
・GT定期講演会、松本で
・仙台で省エネセミナー
・太陽熱利用などでJPIセミナー
・スマートエナジーなどテーマでSSKセミナー
・新エネ財団が中小水力研修会
・ハワイのスマグリ実証、実施体制決まる
・11年度住宅・建築物省CO2先導事業開始
・革新的CO2回収型IGCGで公募
・温室効果ガス算定説明会  etc.


<インタビュー>
・太陽光発電の普及と技術の可能性
(太陽光発電協会 技術部長兼広報部長 亀田正明氏)
 原子力発電の事故によって、再生可能エネルギーに対する期待が高まってきている。とりわけ、太陽光発電は身近なエネルギーとなっており、政府の導入目標も2020年には現状の20倍、30年には40倍に拡大するという極めて高い目標が掲げられている。再生可能エネルギーのエースとして期待される太陽光発電だが、課題はないのだろうか。あるいは目標の実現性はどうなのか。太陽光発電協会に見通しを伺った。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 I
 =日本人にとって電気とは何か=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・カーボン・マネジメント入門(52)
 =再生可能エネの金融スキーム整備=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・書評
 「スマートグリッド」
 (横山明彦 著 日本電気協会新聞部)




コラム
・発電論評<エネ政策の見直しはベストミックスで>
・ちょっと一休<元日銀総裁の米寿祝い>
・青空<身体がなまっている・・・>
・一筆啓上<プロジェクト・マネジメント>


エネ政策の見直しはベストミックスで【発電論評】

 福島第1の原発事故を受けて、管政権が脱原発の方向性を打ち出している。5月に入って震災を受けなかった中部電力浜岡原発の全機停止を要請、中部電力はこの要請を受け入れた。
 その後も、昨年閣議決定したばかりの、エネルギー基本計画を白紙で見直すと表明。省エネと再生可能エネルギーを基幹電源の一つとして拡大させることを政策の基本として、そのためには発送電分離を含めた電力事業のあり方そのものについても議論の対象とする方向が示された。
 日本のエネルギー政策は、1970年代のオイルショックによって「脱石油」に大きく舵を切り、火力発電から原子力発電へと電源開発の方向を大きく転換した。今回の見直しが「脱原発宣言」なのだとすると、2回目のエネルギー政策の大転換ということになる。
 福島第1の事故以来、原発か再生可能エネルギーかという二者択一的な議論が巻き起こっている。果たして再生可能エネルギーは脱原発の受け皿になり得るのかという議論である。しかしながら、それは、決して建設的な議論とはいえないのではないか。どちらか一方の優れている方だけを残して、劣後のものを捨て去ってしまうというのでは、原子力発電だけを集中的に伸ばそうとしてきたこれまでの電力政策の過ちを繰り返すことになりはしないかという懸念がある。多様な電源を持つということも、供給力の安定確保の観点からは必要である。電源の多様性は維持されなければならない。
 今回の事故は、まさに想定外だったのだとすれば、より厳しい安全基準や立地基準を設けて、より安全性の高い原子力発電所を建設しなければならない。それが発電コストの著しい上昇につながってしまっても、そもそも原子力発電は安価で安全で安定した電源であると説明してきた、これまでのロジックそのものにごまかしがあったわけであり、安価な電源でなくなったから原子力発電をやめるという考え方には賛同しがたい。
 再生可能エネルギーの利用については、出力の不安定化の解消など技術開発の余地がまだ多く残されているが、原子力発電事故がなくても、国産のエネルギー資源であることや、燃料が不要な安全性の高い電源であることなど、優れた特長を生かしながらより使いやすい電源として技術開発とともに導入拡大が目指されてきた。原子力発電だけでなく、大規模火力や小規模分散型など、それぞれの電源には一長一短の特徴がある。大切なことはそれらの特長をうまく生かす形でベストミックスできるかどうかということである。二者択一の議論に埋没するのではなく、ベストミックスを目指す建設的な議論を期待したい。