2011.05.15


2011年515日号

1次補正で自家発導入に補助金、売電用燃料費も
 震災復興に向けた第1次補正予算に自家発電設備の導入支援として100億円が盛り込まれた。夏の電力不足対策の一環として自家発を電力供給力として活用する。
 福島第1原子力発電所の事故の収束の見通しが立たない中で、今夏の電力需要ピーク時の電源確保の懸念が示されている。政府は一律15%の節電目標と大口需要家に対する使用制限の発動を決めているが、震災発生直後のような計画停電の再実施を避けるため、自家発電設備の利用拡大を促すことにした。
 補正予算に「夏場に向けた、電力の供給力を強化するため、自家発電設備の新増設・増出力、及び、休眠している自家発電設備の立ち上げを行う事業者へ設備導入や燃料費を補助する」として100億円の予算を盛り込み、自家発の増強によって余剰電力の電力系統への売電も促進する。
 補正予算での自家発支援は、8月までに運転を開始する東京電力と東北電力間内の新増設設備と、自家発から系統への売電に対する燃料費補助が内容。新増設設備は電力系統に500kW以上の電力を供給できることが条件で、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼル発電のほか副生ガス・工業プロセスを利用する発電設備やコージェネシステムが対象となる。中小企業が導入する場合は、導入費用の2分の1、大企業の場合は3分の1が補助される。電力系統に売電供給する場合にはそれに必要な燃料費について同様の比率で補助する。
 国内の自家発は、従来は電力系統への供給が原則的に認められなかったため、ほとんどの自家発は余剰電力が発生しない規模で設置されている。今回、非常時の緊急電源として自家発の役割が見直されることによって、再生可能エネルギーや中小自家発などの分散型電源が、今後の電力政策の見直しの中で有力な供給力として位置づけられることが期待される。


2009年度の温室効果ガスは基準年費4.1%減
 環境省は、京都議定書第1約束期間の2年目に当たる2009年度の温室効果ガスの排出量を確定し公表した。
 総排出量は、12億900万トンで、基準年比で4.1%の減少となった。08年度からは5.6%の減少となり、リーマンショック以降の経済低迷や産業部門をはじめとするCO2省エネ・省CO2の取り組みの進展が現れた結果となっている。
 森林などの吸収源の吸収分は、森林が4630万トン、都市緑化等が70万トンと計算され、これは、基準年総排出量の約3.7%に相当する。
 部門別にみると、産業部門が7.3%減(90年度比19.5%減)、運輸部門が2.4%減(5.8%増)、業務部門が7.8%減(31.2%増)、家庭部門5.5%減(26.9%増)、エネルギー転換部門(発電所など)1.1%増(17.8%増)となっており、エネルギーの効率利用が進んでいる産業部門以外の、特に業務や家庭部門でのCO2排出抑制が今後の課題として改めて浮かび上がってきている。


NEDO、洋上風力推進で技術開発支援
 NEDOは、洋上風力発電の技術開発を促進する一環として、洋上風力発電の大規模化に向けた技術開発を行う。海外メーカが未だ実用化していない5000kWクラス以上の洋上風車を実現するために、長翼ブレードや革新的なドライブトレインの開発や遠隔監視技術等の開発などについて、技術開発を行う事業者に対して開発費の助成制度を設けて支援することにした。
 国内の風力発電の導入は、再生可能エネルギーへの期待が高まる中で導入拡大への気運が高まってきているが、陸上では自然公園内の立地が困難なことや電力系統制約、また騒音問題の顕在化など立地環境が厳しく、思うような導入が図られていない。このため、洋上展開を図れるかどうかが、国内風力の拡大の大きな鍵を握っているといわれている。


三菱重工がリチウム電池を低地用電源として販売 非常用にも対応
 三菱重工業は、リチウムイオン蓄電池をマンションなどの太陽光発電の蓄電用や非常用電源として発売する。初号機は、三井不動産レジデンシャルが東京都国分寺市に建設している環境調和型のエコマンション向けに、40kWhの大容量の定置用蓄電池システムとして今年9月に納入される。
 屋上に設置された太陽光発電設備で発電される電力を蓄電する一方、停電時にはライフラインを維持する非常用電源としても使用される。
 三菱重工は、リチウム二次電池事業への本格参入に向け2010年11月に、長崎造船所内に量産化実証工場を建設し、早期の量産化に向け製造面の技術実証に取り組んでおり、同様のシステムとして出力3kW〜数千kWの蓄電システムを開発している。
 リチウムイオン蓄電池は、大容量で繰り返しの使用に強いという特長を生かして出力の不安定な太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの出力安定用の蓄電池設備として拡大が期待されるほか、非常用のバックアップ電源としての市場も、特に今回の震災をきっかけとした電力不足問題により注目されてきている。
 三菱重工では、需要先としては、マンションだけでなく、ビルや工場、ショッピングモール、ガソリンスタンドなどの幅広い用途を考えている。3月に発生した東日本大震災に伴い関東を中心に長期の電力不足が懸念されるなど、節電や災害対応に向け蓄電設備に対する需要が高まっていることを受けて、当初2012年の発売を予定していたものを、前倒しで製品化した。


その他の主な記事
・エネルギー基本計画で再可エネを基幹電源に
・エネ研が今夏の電力需給予測第2報
・2009年度のエネルギー需要実績
・サンコーシャ、電源の避雷対策で3機種を販売
・Jパワーが国内風力を倍増
・三井物産が社有林をオフセットクレジット化
・旭化成、リチウム電池キャパシタで合弁
・産総研、低コストのバイオブタノール製造技術を開発
・東北電力が使用実績を見える化サービス、節電促す
・沖縄電力が蓄電池併設風力を実証へ
・新日鉄が自家発電力を売電
・富士電機大容量無停電電源装置
・富士電機荏原から水力事業を獲得
・環境省が地中熱ヒートポンプの実証機関を募集
・再可エネ熱利用の計測法を募集
・NEDO新エネベンチャーを支援
・蓄電技術開発を募集
・海洋エネ技術開発を支援
・バイオマスガス化技術開発を募集
・バイオマスタウン構想318地区に   etc.

<特別企画・対談>
・LPガス・トップ企業のビジネス戦略
(川本武彦サイサン代表取締役社長・岡田晴彦ダイヤモンド・ビジネス企画取締役編集長)
 昨年、創業65年を迎えたサイサンは、地に足の着いた経営を展開してきたと同時に、時代の変化に対応した新しい事業にも積極的に挑戦し、LPガスのリーディングカンパニーという今日の立場を築いている。昨年、サイサンの社長である川本武彦氏は、著書「ガスワン三代」をダイヤモンド・ビジネス企画から出版した。発行元のダイヤモンド・ビジネス企画は、営業という分野で優れたビジネス書を刊行し続けている。編集長の岡田晴彦氏に登場いただき、LPガスのこれからのビジネス戦略について語り合ってもらった。


燃料電池新聞の主な記事
・海外FCメーカーの2010年度の業績
・NEDO、水素貯蔵フォーラムレポート
・海外ニュース
 -韓国ポスコパワー、MCFC燃料電池システム工場が完成
 -英インテリジェントエナジー、燃料電池タクシーが認可取得
 -米水素・燃料電池技術諮問委員会、「2010年版水素・燃料電池実用化・技術開発報告書」を発表
 -米スーパーマーケットチェーン、400kW燃料電池を導入
 -米Vision Motor、ロス港湾当局からターミナルトラックを燃料電池仕様へ改造する仕事を受注
 -韓国、世界最大の6万kW級MCFC燃料電池プラントの建設に着手
 -欧州連合、SOFCの早期実用化を目指してコンソーシアムを結成
 -米上院議員、エネルギー省の燃料電池予算削減に対してロビー活動を開始
 -米パイクリサーチ、2020年の燃料電池車の累計販売台数を120万台と予測
 -米プラグパワー、食品配送センター向け燃料電池システムを315台受注
 -米ロスアラモス国立研究所、白金触媒を代替するカーボン・鉄・コバルト触媒を開発
 -独バイラント、壁掛けタイプの家庭用SOFC燃料電池コージェネを発表
 -韓国ソウル市役所、燃料電池車33台を公務に利用
・燃料電池フラッシュニュース
 -富士経済、2025年の燃料電池車市場を2兆5100億円、家庭用燃料電池を1兆3335億円と予測
 -山梨大研究センターとタカハタプレシジョン、燃料電池部品の低コスト、小型化で連携
 -富士電機、寒冷地屋外におけるリン酸型燃料電池の実証実験が成功
 -バイオコーク技研、水素化マグネシウムの事業化を狙う
 -クレハエラストマー、燃料電池ガスケット向けにPENフィルムとシリコンの極薄積層シートを展開
 -日立金属、SOFC向けセパレータ材料を開発
 -独ダイムラー、日産・ルノーと燃料電池技術で提携協議中
 -ホンダ、埼玉県庁にソーラー水素ステーションの設置を計画
・燃料電池インフォメーション
 ■高分子学会 燃料電池材料研究会 燃料電池自動車
6月24日 首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス(東京都千代田区)○概要: 燃料電池自動車の最近の進展と将来展望について。@ホンダの燃料電池電気自動車の開発(本田技術研究所 岡本英夫氏)Aトヨタにおける燃料電池自動車の開発(トヨタ自動車 吉田利彦氏)B日産自動車におけるFCEV開発(日産自動車 篠原和彦氏)   etc.

シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革--R 原発停止でも可能なCO2の30%削減=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・世界を読む(33)<浜岡原発停止で現実味増す脱原発>



コラム
・発電論評<エネルギー政策見直しと再生可能エネルギー>
・ちょっと一休<朝日新聞経済部のゴルフ界>
・青空<薫風の下、被災地を思う>
・ちょっと一言<原発なくてもオール電化は残る>


エネルギー政策見直しと再生可能エネルギー【発電論評】

 福島第1の原発事故を受けて、エネルギー政策の抜本的な見直し作業が開始された。
 菅総理が示した見直しの基本的な方針は、原子力と火力のほかに、新たに再生可能エネルギーを基幹電源として位置づけ、省エネルギーを新たな政策の柱として付け加えることだという。
 震災から2ヶ月を経過した現在でも、なお出口の見えない深刻な状況が続いている福島第1の原発事故は、日本社会全体に深刻な原子力アレルギーを生み出している。こうした中で見直されるエネルギー基本計画は脱原発とはいかないまでも抑制的なものにならざるを得ないと思われる。
 原発停止による電力不足は、さらに浜岡原発の政治的な停止の決断によって全国に拡大することになった。
 原子力を抑制すればその代替電源は当面は火力発電が担い、再生可能電源を可能な限り拡大するというのが現実的なシナリオになるが、それを実現するためには、送電網のあり方や新たな発電事業者の育成など多くの課題が横たわっている。
 火力発電には、CO2と高額な燃料費の問題がある。CO2を抑制するにはCCSの利用がまだ現実的でない現状では、利用効率をあげるしかないが、それには、廃熱も利用できるコージェネ化を図ることが最も現実的だと思われる。そのためには、熱を相互融通できる仕組みが必要だ。
 火力のコージェネ化を促すための仕組みとしては燃料の利用効率を70〜80%以上に規制するなども一つの方法になるのではないか。さらに、低コストの国産エネルギーとしてバイオマス燃料を開発・普及させることも進めたい。
 再生可能エネルギーの現在の主流は、太陽光発電と風力発電ということになるが、課題はイニシャルコストが高額なことと出力が不安定なことにつきる。
 出力の安定化は、蓄電するのが最も現実的であり、リチウムイオン電池の急速な普及を考えると、技術的には十分対応できている。問題は導入コストがさらに高額になることだ。
 それには、リースの適用など金融面からの導入コストをフラット化する支援の仕組みが有効で、また、オンサイト型の発電サービスを行う事業者を積極的に育成するのも相当の効果が期待できると思われる。
 住宅や工場の屋根や敷地を借りて太陽光発電設備を設置し、発電した電力を供給するとともに余剰電力を外部に送電して販売できるようになれば、特に既築住宅での太陽光発電の急速な普及が期待できるのではないか。
 コストが高いとしてこれまで電力会社に敬遠されてきた再生可能エネルギー拡大に必要な課題の多くは、法制度や政策を整備し直すことで解決できる。手つかずだった一つ一つの課題にスポットを当て、検討が進められることを期待したい。