2011年42555日合併号(次号の発行日は5月15日付です)

環境省が再生可能エネルギーのポテンシャル調査
 環境省は、再生可能エネルギーの導入ポテンシャル調査を行い、その結果を公表した。
 試算した4つの再生可能エネルギーの導入可能量の合計は、固定価格買取制度の導入だけの場合、2640万kW〜2億1980万kWと試算。これは、夜間に発電できないなど設備利用率の低い太陽光や風力などの特性を考慮して、設備利用率80%の発電設備に換算すると923万kWから6千万kW程度の発電設備に匹敵することになる。
 また、買取制度と導入補助金、技術開発などの促進要素を加えた最大導入可能ケースでは、2億3100万kWから2億6200万kWを導入可能量として試算した。利用率80%の発電設備に換算すると、6600万kW〜7千万kW程度の相当することになる。
 調査の対象としたのは、非住宅用の太陽光発電と風力発電、中小水力発電と地熱発電。風力発電は洋上風力も合わせて導入可能量を試算した。また、地熱発電では、最近話題の温泉発電についても推計した。全量固定価格買取制度の導入を前提に、その後の技術開発によるコストの縮減や導入補助の適用など、シナリオ別に事業性の観点から導入可能量について推計した。太陽光発電については、住宅用については事業性から導入量を推計するのは不適当だとして調査の対象外とした。
 エネルギー種別ごとの導入可能量は買取ケースで太陽光が20万kW〜7200万kW。風力が2400万から1億4千万kW。中小水力が110万から300万kW。地熱が110万kW〜480万kW。補助金や技術開発などを加えた最大ケースでは、太陽光が6900万kW〜1億kW。風力が1億5千万kW。中小水力が740万kW。地熱が460万kWと、太陽光と風力発電の導入ポテンシャルが極めて大きい。風力発電の場合は実際には系統制約が障害となり風況のよい場所でも立地できないケースが多いが、今回の試算ではそうした系統制約条件は考慮されていない。


JFEエンジニアリング、電力確保に向け発電プラント事業部を新設
 JFEエンジニアリングは、電力の深刻な供給力不足に対応するため、自家発電設備など独自の電源確保のニーズが高まっていることに対応して、発電プラント事業部を設置した。国内にこれまで納入済みの非常用ディーゼル発電設備を常用化して、ピークカット用電源として活用できるようにする。また、自家発やコージェネを新たに導入して緊急的に電源確保を求めているユーザーに対して、導入相談や導入後の運転管理やメンテナンスまで、総合サービスを提供する。
 JFEエンジニアリングは、国内に800台のディーゼル発電設備を非常用電源として納入しており、これを常用で使用出来るように改造し、節電が必要な電力ピーク時に自家発電を行うことで電力会社からの受電量を削減する。この常用化改造は、電力確保策として即効性のある有効な手段となるため、納入先に対して積極的に技術サポート業務を展開していく。


三菱重工業、低コストのセルロース系エタノール製造にメド
 三菱重工業は、稲わらなどから国産バイオ燃料を低コストで製造できる技術を確立したと発表した。農林水産省の実証事業として実施したもので、兵庫県下の農工・産学官連携による「兵庫県ソフトセルロース利活用プロジェクト」での成果。白鶴酒造と関西化学機械製作の3社の関連技術を持ち寄り、稲わらや麦わらなどのセルロース系原料から熱水と酵素だけを使って効率よく糖化し、エタノールを製造することができた。自動車燃料としての規格を満たすことも確認した。
 実証結果をもとに、兵庫県内に実用機規模のエタノールプラントを設置した場合の試算も行い、原料の収集・運搬からエタノールの製造まで、すべてのランニングコストを試算した結果、目標としていた1L90円未満で製造できるメドをつけた。
 稲わらなどからバイオ燃料を製造する今回の技術は、食料と競合しないバイオ燃料製造を可能にする技術であり、国家プロジェクトとしても開発が急がれている。また、メタンなど温室効果ガスの排出源となる未利用資源を有効利用する技術としても価値が高い。さらに、再生可能な国産エネルギーとして工業開発できることなど、産業波及効果の大きい技術としても各方面から注目されている。
 三菱重工業では、商業用化技術として早期に確立し、実用機の受注を目指していく。


ソニー、オリビン型リン酸鉄リチウムイオン電池モジュールの販売開始
 ソニーは、1.2kWのリチウムイオン電池モジュールの量産を開始し、4月下旬から本格的な販売を行う。複数台を接続して使用することで高電圧、大容量の電源設備として使用できる。
 開発したリチウムイオン電池は、オリビン型リン酸鉄リチウムイオン蓄電池を採用したことにより、繰り返しの利用にも蓄電容量の低下が少なく10年以上の使用が可能な長寿命を実現するとともに、熱暴走の危険もない高い安全性と急速充電性、さらには高い拡張性という特長を持つ蓄電モジュールとなった。
 複数のモジュールを直列や並列で接続することで、高電圧や高容量化にも対応できるため、ユーザーの要望に合わせて電圧や大容量化に対応できる。また、1時間で90%以上の急速充電が行えるなどの特徴がある。データサーバー用や携帯電話の無線基地局用のバックアップ電源、また住宅用蓄電システムや、集合住宅の電源システム、電気自動車用の充電ステーションなど幅広い用途で、初年度3万台の販売を目指している。


その他の主な記事
・環境省が自立・分散型システムを活用した復興デザインを提案
・東京電力が電源を積み増し、ガスタービンディーゼルガスエンジンなど
・東北電力も電源を積み増し
・災害復旧電源は環境アセスの対象外
・三井ホームが太陽熱システムを発売
・ホンダが燃料電池車に電源車機能を付加
・新日鉄が節電と電力供給策
・東京ガスが山形の風力発電に事業参加
・GSユアサがリチウムイオン電池で無停電電源装置
・IHIが揺れを押さえる浮体式洋上風力を概念設計
・伊藤忠、住友商事らが米国の大規模風力事業に参画
・京セラがファンケル工場に太陽光を納入
・セブンイレブンが電力節減計画を発表
・シャープとLIXILが業務提携
・再生可能エネフェアが12月に延期
・埼玉県が太陽光導入で説明会を開催
・環境省チャレンジ25地域作りも募集
・環境省が温暖化対策技術で2次募集
・地方公共団体対策技術省エネ事業公募
・エコリース事業者の公募開始
・11年度CO2削減都市再開発モデル事業公募
・電力需給対策の実証で公募
・埼玉県が温暖化で補助制度
・NEDOがイノベーション事業  etc.


<インタビュー>
・ポスト大震災のエネルギー政策
(ヴェリア・ラボラトリーズ 代表取締役 筒見憲三氏)
 3月11日に発生した東日本大震災は、福島第一原発の深刻な原子力事故を引き起こした。日本のエネルギー政策は抜本的な見直しが必要となっている今、今後のエネルギー供給はどうあるべきか。原子力の安全基準を高め、あるいは天然ガスなど化石燃料の供給を増やし、再生可能エネルギーを拡大するなどの単純な答だけでは、エネルギーセキュリティーやCO2対策などが複雑に絡まるエネルギー問題の本質的な解決策とはならないのではないか。では、どうすればいいのか、今回は、エネルギー消費の分析などのサービスを展開するヴェリア・ラボラトリーズの筒見氏に話を伺った。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 H
 =分散型エネルギーとしてのLPガス=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・カーボン・マネジメント入門(51)
 =蓄電池コストの投資対効果=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)




コラム
・発電論評<緊急電源もオンサイト型が望ましい>
・ちょっと一休<腰塚昌子さんの誕生祝い>
・青空<物静かな雰囲気だが心はたぎるように熱い>
・一筆啓上<無策の帰結>


緊急電源もオンサイト型が望ましい【発電論評】

 今夏の電力供給力不足が避けられない中で、東京電力は東京湾岸の火力発電所内にガスタービンやガスエンジン、ディーゼルなどの中小容量の電源の緊急設置を進めている。緊急避難的な電源回復対策だとはいえ、ガスタービンやガスエンジンを配備するのなら、一カ所にまとめて設置するのではなく、分散配置にするという方法はとれなかったのだろうか。
 原子力事故により大規模電源が失われたものを、本来なら大規模火力で補いたいところだが、背に腹は代えられず、中小容量のエンジン発電設備を大量にそろえて大規模火力に疑似させるというのだとすれば、折角のエンジン発電の特徴が生かされないといことが残念なのである。一カ所に集中設置するのではなく、分散設置をすればもっと高効率に使えるからである。
 例えば大口需要家の工場の敷地を借りてオンサイト型の発電をし、工場内に電力供給した上で、余剰電力を系統に流せば、発電場所が変わったというだけで、グリッド全体では同じ電源回復効果が生まれる。オンサイト設置をすれば、送電ロスもなく、発電した電気の効率利用にもなる。廃熱も利用して熱供給すればさらに省エネ効果が生まれる。100台のガスエンジンであれば、ガスコージェネとして数台ずつ数十カ所に分けて設置すれば、高効率で燃料消費の少ない発電ができる。
 今回の措置はあくまでも緊急対応ということで設置の迅速さを最優先させたということであれば、今後、本格的な電源回復を図っていく中では、特に火力であれば、高効率のオンサイト型のコージェネ利用設備を優先的に導入していくということを考えてもらいたい。 中小規模のオンサイト型の電源を多数設置するというメリットは、ほかにもある。
 大規模電源が一度に喪失すると電力供給面でどのような影響があるのかは、はからずも今回の原子力事故で痛感させられることになったが、オンサイト型の電源であれば、一部が故障や事故で停止しても、全体に与える影響は少ないという意味で、供給安全性がより高いといえる。また、多数の発電設備を起動したり停止させたり広域的に運転制御することで、きめ細かな負荷変動にも対応でき、その意味でも効率的那運用が行える。
 こうしたコージェネレーションをオンサイト型グリッドの中核電源として調整力を持たせ、既存の大規模電源と組み合わせて運用し、地域に太陽光や風力などの再生可能エネルギーを導入していけば、総合的に高効率で安全性の高い電力供給網が形成できる。
 緊急時だからこそ、安全性や環境性にも配慮した電源復興の視点が望まれているといえるのではないか。