2011.03.15


2011年315日号

電気事業法・ガス事業法改正案と全量買い取り法案を閣議決定
 再生可能エネルギーの導入拡大を目的に、電気事業法・ガス事業法の改正案と再生可能エネルギー電力の全量買い取り法案(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案)が11日、閣議決定された。今通常国会での成立が目指される。
 全量買い取り法案は太陽光発電などの再生可能エネルギーを2020年に1次エネルギーの10%程度まで拡大するという目標達成に向けて、2012年度からの導入が目指されるもので、国が定める価格で一定期間電力事業者に発電した電力を自家消費分も含めて全量を買い取ることを義務づける。住宅用の太陽光発電については全量でなく現在実施されている余剰電力買い取り制度が延長される。
 全量買い取りの対象となるのは太陽光、風力、推力、地熱、バイオマス発電で、水力は3万kW未満、バイオマスについては、紙パルプの原料など既存の利用産業に影響がないものとの条件が付けられる。
 電気事業法とガス事業法の改正法案は、再生可能エネルギーの全量買い取り制度の導入によるコスト回収を円滑に行うための手続きの簡素化と大量に導入される再生可能エネルギーのネットワーク流通を円滑に行うことが改正の主な内容。ネットワーク上の流通を円滑に進めるために、再生可能エネルギー電源を優先的に送電することや送電ルールの策定や運用を中立機関である電力系統利用協議会に行わせる。
 また、小規模電源が多い再生可能エネルギーを地産地消型の低炭素エネルギーとして利用を促すための仕組みとして、特定地域内で小規模の電気事業者となる特定電気事業者制度を活用することとして、現状では認められていない供給地域外からの電力調達を認めると共に、託送制度を整備する。特定電気事業者は、現状ではコンビナート内などごく限られた範囲で小数の事業実績しかないが、地域単位や企業グループなどで地域の再生可能エネルギーを最大限活用して、外部の安定電源などと組み合わせて低炭素な小規模ネットワーク網の整備が進むことが期待される。


特定電気事業拡大へ要件を緩和 エリア外から電力調達認める
 経済産業省は、3月11日に電気事業分科会の第5回制度環境小委員会を開き、再生可能エネルギー電源の系統への優先接続などを決めたWGの報告や、再生可能エネルギーの地域での利用拡大の新たな事業形態となることが期待される「特定電気事業」制度の見直しなどについて議論した。
 特定電気事業の見直しについては、これまで供給区域内で必要とする全ての電源確保を事業要件としていたものを、域内電源は50%程度でよいこととし、供給区域外から必要な電力を調達することを認める。その際、出力の不安定な再生可能エネルギー電力については、蓄電池などの出力調整が可能なものについてはカウントできるようにする。
 一般電気事業者の系統を利用して託送によって調達する場合の託送料金について、複数の電力事業者をまたぐ場合にそれぞれ託送料金が加算されるといういわゆるパンケーキの是非についても議論されたが、現在PPSについては複数課金が適用されていない事も踏まえて、適用しない方向で引き続き議論されることになった。また、再生可能エネルギーの全量買い取りをPPSが行う場合、特に託送制度の見直しは行わず、現状の特高・高圧系統を対象とする託送ルールを適用することと整理された。


住友電工が新型蓄電池 リチウムイオン電池より安価で小型 安全性も高い
 住友電工は、リチウムイオン蓄電池より低コストで小型化が見込めるナトリウムイオンを使った新型蓄電池を開発した。大阪製作所で構内試験を開始しており、2015年までの実用化を目指す。
 開発した新型蓄電池は、電解液にナトリウム化合物の溶融塩だけを使用した二次電池で、1L当たり290Whの高エネルギー密度がある。電解液に使うナトリウム化合物溶融塩は、不揮発性の不燃材料であるため、リチウムイオン電池のように熱暴走の危険もなく、特に防火・防爆装置の必要がない完全不燃性の安全性に優れたコンパクトな蓄電池装置として製品化できる。同じ容量の蓄電池装置の場合では、リチウムイオン電池に比べて体積が約1/2に、ナトリウム硫黄電池に比べて約1/4にできる。
 ナトリウムイオンを利用する場合、これまでは、100度C未満の融点をもつ溶融塩(イオン液体)は開発されていなかった。住友電工は、京都大学と共同で、57度Cの低融点で溶融塩化できるナトリウム化合物の開発し、高エネルギー密度で高出力の蓄電池の開発に成功した。
 ナトリウムの資源量は豊富で、かつ安価であるため、1kWh当たり2万円程度で製品化できるメドが立っているという。現在、住友電工の大阪製作所で、一戸建ての住宅用を想定して、4人家族1日分に相当する9kWhの電池×4台、合計36kWhを所内電力系統に繋げ、構内試験を実施しており、今後は、中規模電力網や、トラックやバスなどの車載用途での実用化に向けて、2015年の製品化を目標に開発を続けていくことにしている。


ユニチカ、CO2を原料とするバイオマス由来の樹脂を開発
 ユニチカ中央研究所は、産業技術総合研究所コンパクト化学システム研究センターと共同で、CO2と、ひまし油や廃糖蜜などのバイオマス由来のジアミンからポリ尿素を製造する技術を開発した。
 CO2を樹脂として直接固定化できる技術であり、CO2を資源利用する世界初の究極の環境配慮型樹脂製造技術として注目される。
 バイオマス由来ポリ尿素は、高い耐熱性があり、エンジニアリングプラスチックとして自動車用部品や電気・電子材料用部品、繊維、フィルムなど幅広い用途が期待できる。エネルギー起源のCO2を、環境負荷の少ないバイオマス由来に置き換えることができる。 従来の製造技術では高圧な環境が必要で、生産性やコスト面等から量産化は困難とされていたが、高温高圧流体の反応で数多くの実績を有する産業技術総合研究所コンパクト化学システム研究センターの協力を得て、100気圧以下の圧力でポリ尿素を製造することに成功した。2014年までに製造技術を確立し、早期の実用化を目指すとしている。


その他の主な記事
・ガスインフラ整備で報告書
・政府が規制仕分け、充電器整備へ電力2重契約を可能に
・石油連盟が自主行動計画をフォロー
・中環審が第4次環境基本計画策定へ
・SOFC実証成果報告会開く
・経産省が7年ぶりに原発や火力などの発電コストを試算
・東工大AESが設立1周年で記念シンポ
・JVETS周知へシンポを開催
・三菱重工らスペインのスマートコミュニティー実証事業に参画
・ライティングフェアを開催
・Jパワー宮崎の木質ペレット工場が竣工
・スズキが欧州で燃料電池車の形式認定を取得
・ブリジストンがポーランドで太陽電池用フィルムを生産
・沖縄電力の可倒式風力が運開
・三菱重工が省エネ・環境配慮型独身寮を建設
・三洋電機が雲南市の全小中学校に太陽光を納入
・日立が一歩進んだ省エネサービスを展開
・JVETS第7期の参加事業者を募集
・NEDO次世代太陽光IEA共同開発を募集
・エネ庁が23年度分のエネ関係補助を募集開始
・沖縄でバイオエタノールシンポ
・国内クレジット補助先を募集
・省エネ革新技術公募説明会
・農水省がソフトセルロースの燃料化委託先を募集   etc.

<連続インタビュー>
・環境・エネルギー政策の行方を聞く
(公明党・参議院議員 加藤修一氏)
 加藤修一参議院議員は長年にわたって、環境政策や自然エネルギー普及政策などに力を注いでいる。民主党政権が混迷を深め、環境・エネルギー政策が後退する中、ねじれ国会の参議院において、地球温暖化対策基本法の成立など環境・エネルギー政策のキャスティング・ボートを握っている公明党の環境・エネルギー政策の方向性を聞いた。

燃料電池新聞の主な記事
・FCEXPOの話題
・ベタープレイスとルノー
・JHFC水素・燃料電池実証プロ報告
・海外ニュース
 -現代起亜自動車、北欧4カ国と水素燃料電池車普及で覚書
 -英セレスパワー、家庭用SOFC燃料電池のフィールド実証を2011年第1四半期から開始
 -米UTCパワー、通信会社コックス・コミュニケーションズに燃料電池コージェネを納入
 -独航空宇宙センター、燃料電池で駆動する飛行機の電動前輪を開発
 -スウェーデンのマイエフシー、マイクロ燃料電池充電器の販売開始
 -オバマ政府、2012年の予算案でクリーンディーゼル車と水素・燃料電池を削減
 -米エネルギー省の自動車技術予算、電気自動車と電力貯蔵関連に集中
 -米フューエルセルエナジー、ロンドンの再開発地区に300kW級燃料電池を設置
 -カナダのバラード、ノルウェーのハイノール・オスロ・バスグループにバス用燃料電池モジュール供給
 -米NRELと米オージャ、DMFCフォークリフトの実証試験を開始
 -カナダバラード、米K2 ピュア・ソリューションズの漂白剤工場に副生水素を燃料とする燃料電池を設置
 -韓国現代自動車、独水素・燃料電池自動車の実用化試験に参加
・燃料電池フラッシュニュース
 -NTTなど3社、業務用の次世代燃料電池システム開発
 -北海道ガス、寒冷地仕様「エネファーム」とアイシン精機のガスエンジンコージェネの販売を開始
 -JX日鉱日石エネルギー、2011年10月からSOFC形「エネファーム」の販売を計画
 -ダイニチ工業、JX日鉱日石エネルギーからSOFC形「エネファーム」生産を受託
 -ハイドリック・パワーシステムズ、小型の水素発電装置を開発
 -東京ガスとパナソニック、新「エネファーム」の販売開始
 -大阪ガスと積水ハウス、3年間の「スマートエネルギーハウス」の居住実験を開始
 -富士電機システムズ、「北九州水素タウンプロジェクト」で純水素型燃料電池の実証実験を開始
・燃料電池インフォメーション
 ■FC FESTA 2011「ビジネスミーティングin関西」
3月24日(木)、25日(金)10時〜18時 大阪国際会議場(グランキューブ大阪、大阪市北区) 
燃料電池の最新の技術開発動向・市場動向に関するセミナーと家庭用燃料電池のニーズを探る発表会
【第1日】@燃料電池に関する政府の取り組み(資源エネルギー庁 飯田健太氏)Aトヨタ自動車における燃料電池自動車開発の現状と今後の展望(トヨタ自動車 大仲英巳氏)B水素エネルギーシステムの普及に向けた課題と取り組み(JX日鉱日石エネルギー 斎藤健一郎氏)C大阪ガスにおける家庭用燃料電池の普及拡大に向けた取り組み(大阪ガス 池内信司氏) Dパナソニックにおける家庭用燃料電池「エネファーム」の最新開発状況(パナソニック 清水俊克氏)Eパネルディスカッション「燃料電池・水素エネルギーのローカル・グローバル普及戦略」
【第2日】@ニーズ発表会(1)家庭用燃料電池システムメーカーおよび補機メーカーによる「補機・部品」のニーズ発表/家庭用燃料電池システムメーカーによる周辺機器〔弁、ポンプ、ブロワー、熱交換器〕の内容説明(ENEOSセルテック、東芝燃料電池システム、パナソニック)Aニーズ発表会(2)補機の概要説明と必要としている技術などの発表(IBS、テクノ高槻、ティラド)B経済産業省近畿経済産業局による2011年度技術開発支援施策の紹介   etc.

シリーズ連載
・カーボンマネジメント入門 (46)
 =東京都条例対象事業者の会計処理その2=
 大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長
・世界を読む(31)<ポスト京都と日米中が直面する課題>



コラム
・発電論評<巨大地震被害をエネルギーセキュリティの教訓に>
・ちょっと一休<豪華だった岩井住友不動産販売会長の叙勲祝い>
・青空<愛想尽かしはダメよ>
・ちょっと一言<安全神話崩壊で原発輸出に影響も>


巨大地震被害をエネルギーセキュリティの教訓に【発電論評】

 3月11日午後2時46分、突然発生した東日本巨大地震と巨大津波は、未曾有の大惨事となった。発生後ほぼ4日経った今日でも未だに被災の全容さえもわからない状況が続いている。
 さらに、地震と津波により被害を受けた福島第一原子力発電所が深刻な事態を引き起こしている。原子炉は停止したものの、その後の後手に回る管理の不手際が混乱に拍車を掛けている。このまま無事に収まることを祈るしかないが、2つの巨大な原子力電源を失ったことで電力の供給不足に陥った東京電力が計画停電に踏み切った。首都圏は目を覆いたくなるような混乱振りを示している。
 原子力発電所は、これまでも地震などの自然災害に止まらず事故や故障で度々発電不能に陥っている。一つ一つの発電規模が巨大であるだけに、それが一旦停止してしまったときの弊害は甚大なものがある。そうしたことは、これまでに数多く経験したにもかかわらず、原発が停止するというシミュレーションの下で、安定供給に向けた点検や対策が取られてこなかったツケが、図らずも露呈してしまったといっても過言ではあるまい。
 9電力体制になって初めての計画停電だというが、電力エネルギーに頼り切った現代社会への影響は計り知れないものがある。生産活動の停止に追い込まれる工場を始め、一般家庭に至るまで、とりわけ公共機関や交通機関など社会機能が麻痺してしまうという現実を突きつけられた思いがする。
 では、こうした事態は避けられなかったのかというと決してそうではあるまい。原発停止を前提としたバックアップ電源の確保ができていなかったことが何よりもまず反省されなければならない。停電しないことを前提に組み上げられている現代日本社会そのものが安全対策を怠ってきたと責められても仕方がないのではないか。
 例えば交通信号もネットワーク電力に頼っており、バックアップ電源を持っていなかったり、公共交通機関である鉄道も電源を系統電力に頼り切っていたというセキュリティ対策が講ぜられていなかったということが露呈した。さらに、バックアップ電源はあっても燃料を使い切った場合の燃料の補給についても考えられてはいないという現状も明らかになっている。
 巨大地震のつめあとがまだまだな生々しい今は、被災者の救援がまず第一に考えられるべきであるが、その後の普及、復興の過程で、巨大電源に頼りきってきた現在の効率一辺倒の電源政策を反省し、スマートグリッド技術を活用した大規模電源から中小電源までをバランスよくネットワークする、信頼性の高いエネルギー供給網の整備が求められているといえるのではないか。