2011年35

JX日鉱日石エネルギー、エネファームにSOFCを追加
 JX日鉱日石エネルギーは、家庭用燃料電池「エネファーム」に、世界で初めてとなるSOFC型を追加して、今年10月から販売を開始すると発表した。また、現在販売しているPEFC型については、4月1日から希望小売価格を約20%値下げする。
 COFCは、電解質にセラミックを使用するため触媒に白金などの貴金属を使用しないため製造コストの低減が図れることや、セル内の反応温度が高く、PEFCなど他の燃料電池に比べて高い発電効率が実現できることなど、次世代型の燃料電池として期待が高まっていたが、製品化が大幅に前倒しされたことになる。
 JX日鉱日石が販売するSOFC型エネファームは発電出力700Wで、発電効率45%と世界最高の発電効率を誇る家庭用燃料電池として製品化された。現行のPEFCと比べて発電効率が約10%向上したことで、CO2削減効果も系統電力とガス給湯器を使う従来型のシステムに比べて約40%の削減が可能となる。
 現行のPEFC型に比べて、部品点数も少なく構造が簡略化できるため、発電ユニットが体積比で約46%小型化するとともに、貯湯温度も高温になるため、貯湯槽の体積が約36%小型化でき、世界最小・世界最高の発電効率を有する家庭用燃料電池コージェネレーションシステムとして発売される。
 新型機の製造は、家庭用石油ファンヒーターで国内トップである50%超の生産シェアを持つ、ダイニチ工業(新潟市)に委託する。


伊藤忠商事、バイオディーゼル燃料製で米国ベンチャー企業に出資
 伊藤忠商事は、米国でバイオディーゼル燃料の製造技術を持つベンチャー企業に出資し、触媒を用いて効率的かつ安価なバイオディーゼルの製造技術をアジア地域で展開することを検討する。
 従来のバイオディーゼル燃料の製造は、油脂に含まれる脂肪酸を除去しなければ原料として使うことができず、食品工場や製油工場の残渣など、脂肪酸含有量の多い低品質の油脂の使用が困難で、食用並みに原料油脂を精製してからバイオディーゼル燃料を製造する必要があった。
 新たな製造技術は、油脂と脂肪酸を同時にバイオディーゼル燃料に変換できる画期的な多機能固体触媒を使うことで、脂肪酸の多い低品質の廃油や非食用油なども利用できる。また、触媒が製品や副産物に残存せず、液体触媒を除去する工程が不要となり廃水の発生がなくなると同時に、副産物のグリセリンも高純度で回収できるため、工業用原料として利用可能となる。
 伊藤忠商事は、日本のバイオディーゼル燃料のトップメーカーであるダイキアクシス社と共同で松山事業所内にパイロットプラントを建設、実証試験を開始した。製造工程も簡素化できるため、低コストのバイオディーゼル燃料の製造技術として注目される。
 伊藤忠商事は、実証試験の結果を基に、アジア地域でバイオディーゼル燃料製造の事業展開を図っていく方針。
 実証事業は、NEDOのイノベーション実用化助成事業として採択されている。


ガスコージェネと給湯器をセットで販売 北海道ガスがマイホーム発電2機種を発売
 北海道ガスは、エネファームとガスエンジンコージェネの新製品を家庭用のエネルギーシステムとして発売する。
 北海道ガスが発売するエネファームは、都市ガス業界では初めてとなる寒冷地仕様タイプで、パナソニックが今春から発売する発電効率40%の新型エネファーム。北海道ガスではこれを寒冷地仕様として8月から販売を開始する。販売価格は300万円程度を予定しており、2年間で150台を販売する計画。
 一方、ガスエンジンコージェネは「コレモ」の商品名で5月から販売を開始する。
 省エネ型の給湯暖房機である「エコジョーズ」との組み合わせ商品として販売し、暖房使用時に自動的にガスエンジンが始動して発電を開始し、発生する排熱を利用して温水を作りパネルヒーターや床暖房などでセントラルヒーティングを行う。暖房用の熱量が不足する場合にはエコジョーズでバックアップする。年間を等して暖房として必要な熱の60〜70%程度、電力の約40%を賄うことができる。
 「コレモ」は、アイシン精機製の発電出力1.5kW。従来型のガスエンジンコージェネは貯湯槽を併設していたが、エコジョーズと組み合わせることで貯湯槽を無くし、設置スペースを削減した。
 発電効率は26%で、必要なときに必要なだけ発電することができるため効率的な運転ができ、系統電力と給湯器を使う従来型のエネルギーシステムと比べて年間の光熱費が約4.5万円削減でき、CO2排出量も約1トン削減できると北海道ガスでは試算している。「コレモ」の販売計画も2年間で150台を予定している。


10年度次世代エネパーク8件決まる
 資源エネルギー庁は2月28日、「次世代エネルギーパーク」の10年度の新規計画として北海道稚内市、大阪府など8自治体の計画を認定した。
 認定されたのは▼北海道稚内市=大規模太陽光発電、雪氷冷熱貯蔵などと電気自動車を連携させる▼千葉県=地域のエネルギー関連産業・設備を集積させ、エネルギー見学・体験施設をネットワーク化▼新潟県=メガソーラーや火力発電所などを一体的にPR▼神奈川県川崎市=大規模太陽光発電などの再生可能エネルギー施設を連携させ、市内全域をエネパーク化
 ▼山梨県北杜市=新エネルギーの導入や環境教育・学習、体験ツアーんどを行う▼大阪府=船井各地のエネルギー施設をエネパークとして見立てる▼山口県周南市=自然の生態系と次世代エネルギー装置を組みあわせたテーマパーク型動物園を作る▼愛媛県松山市=ソーラー関連企業の工場見学を取り入れた「松山サンシャインプロジェクト」を推進―の8件。
 次世代エネパークは、太陽光など新エネルギーを始めとした次世代エネルギー設備や体験施設を建設・整備し、こうした次世代エネルギーを国民が実際に見て触れることで、地球環境と調和した将来のエネルギーのあり方について国民の理解を得ることを目的に、07年度から同庁が推進してきており、これまでに25の計画が認定されている。


新日鐵化学、透明導電膜不要の「色素増感太陽電池」を開発
 新日鐵化学は、透明電動膜を不要にした色素増感型太陽電池を開発したと発表した。抵抗を下げるための集電配線が不要となるため、複数の発電色素の組み合わせが可能となり、例えば、カラフルな絵画様の設計も可能で、複雑でデザイン製に優れた太陽電池が設置できるなど、単なる発電装置からデザイン性を持つ壁材など様々な用途への広がりが期待できるようになる。
 これまで耐熱温度の問題から、技術的に困難とされてきた樹脂基板による色素増感太陽電池の開発に成功したもので、薄型、軽量でフレキシブルといった色素増感太陽電池の特長を最大限に活かすことができるようになる。


その他の主な記事
・新エネウィークに燃料電池や太陽電池展
・スマートネットワーク構築へ報告書
・太陽光発電施工研修を開始
・SOFC型エネファームを世界で始めて販売
・水素貯蔵フォーラムで貯蔵技術の現状など報告
・国連気候変動枠組み事務局長が日本で講演
・三井不動産が省CO2マンションを公開
・LPG国際セミナー開く
・パナソニック電工が新型太陽電池を発売
・全日空商事が米国太陽電池部材を輸入販売
・伊藤忠商事が電力事業を強化
・兼松がフレキシブル太陽電池を輸入販売
・豊田織機と東洋電機が産業用分野で提携
・伊藤忠商事が画期的なバイオディーゼル燃料製造技術を実証
・三菱樹脂が太陽光発電一体型の壁材を販売
・三菱重工が米国から5万kWの風車を受注
・新日鐵化学がフレキシブル太陽電池を開発
・横浜市が中小企業向け環境エネ支援セミナー
・高度利用本部(旧コージェネセンター)が事務所を移転
・環境省が低炭素社会で国際シンポ
・JORAがグリーンフォラム
・ISEPとおひさまファンドが4月にセミナー
・低炭素社会構築の道筋を学ぶシンポ
・家庭用太陽熱システム2次決まる
・バイオマスタウン2市町を新たに策定
・ISEPとおひさまファンドが4月にセミナー  etc.

<インタビュー>
・ヒートポンプにもリスク
(ヒートポンプ問題連絡会/環境エネルギー政策研究所主任研究員 船津寛和氏)
 エコポイント制度で、買い替えが進んだ商品の一つがヒートポンプ技術を採用した高効率のエアコン。だがヒートポンプの冷媒に使われているフロンは、CO2の数千倍から1万倍以上の温室効果ガス。問題は、これらの冷媒が使用中あるいは使用後に、大気中に漏れたり、十分に回収されることなく廃棄されていることだ。フロンに替わって使用されている代替フロンにも同様の問題がある。環境NGOや消費者団体で構成するヒートポンプ問題連絡会は、こうした問題に警鐘を鳴らしている。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革--P 廃棄物系バイオガス利用のパッケージ導入=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・スマートグリッドビジネス そのA
 =スマートグリッドに絡む巨額投資と計画=
 コラボレート研究所 エコロジー事業部 主任研究員 伊達 陸宏
 *連載記事に関する詳細動向は、スマートエネルギー産業振興会、発行:株式会社 スマート・エコロジー企画、による『2010〜2011年 急進するスマートグリッドの開発動向とビジネスチャンス』を活用ください。



コラム
・発電論評<バイオガス活用へコージェネの可能性>
・プリズム<活気あふれる都市ガス業界>
・ちょっと一休<笠間検事総長の人柄に感銘>
・青空<いずこも存亡の危機>


バイオガス活用へコージェネの可能性【発電論評】

 佐賀市の下水浄化センターで稼働するヤンマーエネルギーシステムのバイオガスコージェネを取材する機会を得た。
 2月に発電を開始したこのシステムは、25kW×16台のマイクロガスエンジンコージェネを並列運転して400kWの発電出力がある。排熱を回収して下水汚泥の発酵槽の加温用熱源として利用してメタンガスを発生させる。発生したメタンガスを燃料として16台のマイクロガスコージェネが1年365日、1日24時間、ほぼフル運転し、発電し続ける。
 下水汚泥から発生したメタンガスの燃料費はゼロ。というより、これまでは、汚泥から有機物を取り除くためにボイラーで加温し、発生したメタンガスは燃焼させCO2にして大気中に放出していたものを、16台のマイクロガスコージェネはこの捨てていたガスを燃料化し、かつ加温用の燃料も不要にしたという二重の意味で、CO2ゼロのグリーン電力以上の環境負荷の低減効果が発揮されていることになる。さらに、所内で使用する年間の電力量のほぼ半分が賄えるところから、系統電力からの買電量がほぼ半分に減らせる。大部分を輸入燃料に頼る系統電力の発電量を減らせることを考慮すると、環境的にもコスト的にも大きな効果を生み出すことができることになる。
 400kWの発電出力は、発生させるメタンガスの量とバランスするように設計されており、発生するメタンガスだけで運転する。そのために、25kW×16台のマイクロガスコージェネは、自動制御運転される。ガスの発生量に応じて運転台数がきめ細かく制御され、最適な発電量が保たれる仕組みで、ほぼ完璧な循環型で自立型のエネルギーシステムとなっている。また、400kWの発電量を16台に分担させるという意味は、故障などでで発電できなくなるという管理上のリスクも大幅に低減できることにもつながっている。
 発生したメタンガスは硫化などの不純物を含んでいるため、除去装置を使って純度の高いガスに精製されエンジンに供給される。特に、エンジンを傷める不純物であるとして汚泥ガスの燃料化の障害とされていたシロキ酸を活性炭触媒を使って簡単に除去するシステムを採用するなど、汚泥ガスのエネルギー利用を画期的に容易にしている点、さらに、小容量の発電システムを複数台束ねることによって、必要なだけの大電力の供給を賄うというオンサイト型コージェネ活用の一つの方向性を示したということでも注目される。
 規模が小さいためにこれまで十分に活用できていなかった資源は、まだまだ相当量ある。こうした未利用資源の活用に結びつくシステム提案の余地は大いに残されているのだということも実感できた。