2011年225日号

ヤンマーエネルギー、25kW16台のバイオガスコージェネが稼働開始
 ヤンマーエネルギーシステムが佐賀市の下水道浄化センターに納入した16台のバイオガスコージェネが運転を開始した。
 導入された設備は、25kW×16台のマイクロガスコージェネでで合計400kWの発電能力を持つ。発電電力は全量を所内電力として自家消費し、使用電力量のほぼ半分を賄うことができる。濃度55%以上のメタンガスで運転する。発電効率はクラス最高の32%と、100kWクラスのシステムと同等以上の発電効率を誇る。廃熱利用と合わせた総合効率も84%以上と高い。
 導入した16台のマイクロガスコージェネはコンピュータによる自動制御、遠隔監視の下で起動停止など全て自動運転されている。発電量は契約電力の約半分程度であるため、ベース電源として年間を等して1日24時間ほぼフル運転される。回収された廃熱は汚泥の加温用として利用され、従来加温用に設置されていたボイラーが不要になった。
 年間の発電電力量は317万7300kWhが見込まれており、電力コストを3400万円削減することができる。
 佐賀市が下水汚泥処理行程の低炭素化と処理工程で発生するメタンガスのエネルギー資源化を目的にガスコージェネレーションシステムの導入を決め、昨年6月から建設工事を進めていたもので、このほど工事が完了し、2月21日には、市長や市議会議長、メーカー・工事関係者などが出席して発電開始式が模様された。
 全国の大規模な下水処理場では汚泥ガスによる発電利用を行っているところは多いが、佐賀市のような中小規模の事業所での導入例はまだまだ少ないのが現状。ヤンマーでは、佐賀市の事例をモデルとして、未利用資源の活用や省CO2の観点から積極的に導入を働きかけていきたい考えだ。


東京ガス、バイオガスの導管受け入れを開始
 1月26日、東京ガスでは、市川環境エンジニアリングの子会社であるバイオエナジーから、食品残さ由来のバイオガスを都市ガス導管へ受け入れることを開始した。また、これに併せて2月15日、報道機関に設備が公開された。
 バイオエナジーでは、東京都大田区城南島において、生ゴミなど食品残さをメタン発酵させ、バイオガスをコージェネレーションの燃料として利用してきた。また余剰分は、東京電力に売電を行ってきた。
 ただ最近、想定した以上のバイオガスが発生するようになり、新たな用途を模索していた。これに対し、東ガスでは再生可能エネルギーへの取り組みの一環として受け入れることを検討し、今回の結果となった。
 なお今回の事業は、経済産業省の「バイオガス都市ガス導管注入実証事業」において採択されたものである。
 バイオガスの成分はメタン60%、CO2他40%となっており、都市ガスとして純粋なメタンに精製し、付臭、熱量調整を行ったうえで導管に注入する。
 今回の事業では、1日あたり2400立方mの都市ガス供給を見込んでいる。また発電や熱利用を含め、年間のCO2削減効果は6300トンになるという。
 発生するガスが増えたことについて、バイオエナジーの岸本悦也社長は、そもそも割りバシや紙など、堆肥・飼料としてリサイクルできない食品残さを処理の対象としてきたが、近年は賞味期限切れなどで廃棄される食品が増加し、廃棄物のカロリーが増加したことが原因だという。


電力自由化、低い競争状況 グリーン電力の取引もゼロ
 経済産業省は、2月16日に総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の制度環境小委員会の第4回の会合を開き、現在実施中の第4次電気事業制度改革の効果検証についての検討を行った。第4次制度改革では、小売り自由化範囲の拡大は行われず、卸電力取引所の活性化など競争環境の整備や環境対策としての京都メカニズムクレジットや原子力や再生可能電力などのCO2フリー電気と試行取引などが実施されている。
 この日の会合では、小売り自由化の状況、託送分野での効果検証、安定供給の確保状況、電力分野の環境適合の4項目について事務局からの報告を受けた。
 小売り自由化については、一般電気事業者間ので実質的には競争が行われておらず、PPSの参入状況も自由化部門では2.8%、電力の総需要に対しては1.9%に止まっており、実質的な競争状態にはなっていないことが明らかにされた。原子力や太陽光など低炭素電源の囲い込みなど、公平な競争環境にあるとはいえない状況が続く中で、参入したPPS側の不満も高まってきており、今後の自由化市場の環境整備にも大きな課題が突きつけられているといえそうだ。
 また、環境適合の検証では、08年11月から開始された発電時にCO2を排出しない電気をCO2フリー電力として卸電力取引の試行を始めているが、昨年12月までの約2年間の取引実績はゼロ件で、機能していないことが報告された。


太陽光買い取り料金、住宅用は42円、ダブル発電は34円に
 2011年度の太陽光発電の余剰電力買い取り料金について、小委員会が会合を開き、積み残しとなっていた非住宅用の買い取り価格を提案通り24円から40円に引き上げることを決めた。住宅用は48円から42円に引き下げられる。太陽光発電とコージェネシステムや燃料電池システムなどを併設するダブル発電の場合は、住宅用が34円、非住宅用が32円となる。ダブル発電は住宅用が5円の引き下げ、非住宅用が12円の引き上げということになった。

その他の主な記事
・スマートメーター検討会が報告書
・メタンハイドレートと同じ構造の千葉石を発見
・九州環境NPOビジネスセミナー開く
・新潟県がマイクロ水力の可能性を評価
・太陽光2010年出荷量は75%増
・大阪府が温暖化対策報告結果を発表
・ソーラーフロンティアの宮崎第3工場が完成
・パナソニック英国エネ会社に太陽光パネルを供給
・三菱重工、韓国にコンプレッサー技術を供与
・三菱電機がスマコミで新組織
・三菱電機が成果発表会
・色素増感型太陽電池の耐久性を大幅に向上
・東北大、次世代キャパシタの高性能化に成功
・日揮、天然ガスプラントでCCS効果を確認
・富士電機がパワコン用モジュール
・NEDO、水素貯蔵技術も募集
・NEDO11年度省エネ革新を3月に募集
・山武のBEMSなど3月のJPIセミナー
・スマグリや電力・ガス事業などでセミナー
・さいたま市が次世代自動車でフォーラム
・経産省CCS関連補助、委託事業を募集
・東大で低炭素エネシンポ゚  etc.


<AES連続インタビュー>
・太陽光発電の可能性
(東京工業大学特任教授 黒川浩助氏)
 太陽光発電にはさまざまな可能性がある。例えば、広大な砂漠に大漁の太陽電池を設置して一大発電基地を建設する。不毛の地と思われていた場所がエネルギー供給基地となる。しかも、砂漠の大漁の砂には太陽電池の材料となるシリコンが豊富にあり、発電した電気でシリコン製造も可能になる。もちろん、従来型の住宅や事業所などに設置するオンサイト型の太陽光発電も、スマートグリッド技術や電気自動車を蓄電池として活用することで、安定的な電力供給を行える発電所に変えられる。太陽光発電が持つ可能性や、今後の研究開発の方向性について、太陽光発電研究の第一人者である黒川浩助特任教授に話を伺った。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 F
 =米国が招いた中東混乱と中国への影響=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・カーボン・マネジメント入門(45)
 =東京都排出量取引の会計処理=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)




コラム
・発電論評<原油価格の高騰と再生可能エネルギー>
・ちょっと一休<ディズニーランド成功の秘訣>
・青空<政治家の人品骨柄>
・一筆啓上<インフラ・システム輸出のリスク>


原油価格の高騰と再生可能エネルギー【発電論評】

 中東情勢が不穏化する中で、原油価格が上昇を続けている。150ドル近くまで上がった前回高騰時と、その後の乱高下は世界経済に大混乱をもたらしたことは、まだ記憶に新しい。
 日本経済にとっても大きな影響は避けられない情勢で、あらためて、エネルギーセキュリティーが問われる事態となっている。しかしながら、日本のエネルギー政策は既に、脱化石、再生可能エネルギーの拡大に向けて大きく舵を切っており、石油価格の高騰はその意味に限っては強い追い風として受け止めることもできそうだ。
 現在、国会審議中の来年度予算案では、最早余り話題にもならなくなっている感があるが環境税の導入が盛り込まれているが、昨今の原油価格の上昇ぶりは環境税の抑制効果を上回って余りある効果を生みだしているといえる状態であり、導入が見送りとなった排出量取引制度に続いて環境税が果たして必要なのかどうかが改めて問われる事態が出てきても不思議ではない情勢だ。
 ともあれ、こうした世界のエネルギー情勢を目の当たりにすると、改めて日本が今進めようとしている脱化石、原子力・再生可能エネルギーの拡大という政策の方向付けの正しさが実感できるともいえる。原子力を除いて水力や再生可能エネルギーは輸入に頼らなくてよい国産のエネルギー資源であることも、セキュリティの向上、安定供給の確保の観点からも推進すべき方向であることが理解できる。
 さて、問題は、再生可能エネルギーの拡大を具体的にどのように進めていくべきかということになるわけだが、現在の政府の選択は固定価格買取制度だけでも拡大できるとするもので、導入補助などの従来の支援制度は新制度と引き替えの形で大幅に縮小された。
 導入される固定価格買取制度も、コスト競争力のある電源が市場競争によって導入されることが期待できる仕組みだとして、太陽光発電を除いては20円程度の全種一律の買い取り価格が採用されることになっているが、果たしてどれだけの導入量が期待できるのかというと、はなはだ不透明だといえる。
 新築住宅への標準仕様化なども進んでいる太陽光発電を除いては、バイオマスや中小水力など他の再生可能エネルギーは、まだまだ自立市場の形成はままならず、市場競争に委ねる環境にあるとはとてもいえない状態である。
 エネルギーの脱化石化を目標を持って進めるためには、種別ごとにもう少し丁寧な拡大対策が講ぜられる必要があるのではないか。さらに、導入する再生可能エネルギーを有効利用する観点から、コージェネシステムなどの高効率利用技術もあわせて活用していく方策も考える必要があることも付言したい。