2011.02.15


2011年215日号

発電効率40%の新型エネファーム、4月に発売
 東京ガス、東邦ガス、西部ガスの都市ガス大手は、パナソニック製の家庭用燃料電池「エネファーム」の発電効率を向上させ、世界最高の発電効率40%を達成した新製品を4月1日から発売する。
 新製品は、定格発電効率37%以上と世界最高の発電効率を誇っている現行品よりも、さらに発電効率を向上させたもので、固体高分子型燃料電池としては始めて発電効率40%を達成した。50%の廃熱回収率と合わせた総合効率は90%にも達する高効率の燃料電池システムとして発売される。
 新製品は、「燃料電池ユニット」のシステム構成の大幅な簡素化を図り、基幹部品を小型化することで、東京ガスの例では現行よりも約70万円の低価格化も図られている。
 火力発電所からの電気と、都市ガス給湯暖房機からの給湯・暖房を行なう方式と比べ、定格発電時にCO2排出量を約48%削減、一次エネルギー消費量を約35%削減でき、年間の光熱費を約5〜6万円節約、年間のCO2排出量を約1.5トン削減できる。
 エネファームは昨年11月末までに、パナソニックが全国で累計約5千台を出荷、このうち東京ガスが累計約4千台の販売を行なっている。11年度は、パナソニックが10年度見通しの2倍となる年間6千台以上の生産体制を構築し、東京ガスも同様に2倍となる販売台数5000台を目指すとしている。


画期的な太陽電池製造法を開発 液体シリコンを塗布
 北陸先端科学技術大学院大学マテリアルサイエンス研究科の下田達也教授らの研究グループは、液体シリコンを塗布することで太陽電池を作成することに成功した。
 独自に開発した液体シリコンを基板に塗布し、優れた半導体特性を有するアモルファス(非晶質)・シリコン薄膜の作製に世界で初めて成功、さらに、その薄膜シリコンから製造した薄膜太陽電池で発電することにも成功した。
 下田教授らは、科学技術振興機構の課題解決型基礎研究の補助事業として、液体シリコン材料の基礎物性の解明とその制御技術の研究に取り組み、その研究成果として、液体シリコンから優れた半導体特性を有するシリコン薄膜を作製し、さらに、液体状のシリコンを塗布した基板を回転させ均一に塗布するとともに400℃程度に加熱することで、薄膜太陽電池を製造することに成功した。
 これまで「液体からのアモルファス・シリコン太陽電池製造」は画期的な低コストが期待できるとして考えられてはいたが、実際に液体シリコンから太陽電池を製造することは実現できていなかった。今後、国内の太陽電池メーカーを加えて実用化に向けて研究を加速させる。


RPS制度廃止目前に09年度は未達状態に
 再生可能エネルギーの全量買い取り制度の導入に合わせて廃止されることが決まっているRPS法の11年度以降の次期目標量について、経済産業省はRPS法小委員会を2月9日に開催して、11年度は4年前に決めた現行の目標量から変更せず、12年度以降については目標量をゼロとして制度廃止に備えることにした。
 同日の委員会では、09年度の義務達成状況についても報告されたが、09年については利用量が目標量に達しない「未達」状態であったことが報告された。09年度の利用量は実際にはバンキングの取り崩しが始まっているため、法的には各電力会社は義務量の達成が認められている。バンキングについては、全量買い取り制度に移行されないことが決まっているため、10年度、11年度についてもバンキングの取り崩しが行われる見通しとなっているため、目標量の単年度未達状態が続くものと予想される。
 新目標として定められ直された11年度の導入量は、太陽光発電の余剰買い取り分が義務量から除外される仕組みが既に導入されており、10年度に比べた実際の義務量は増加しないことになっている。さらに、過去のバンキングの取り崩しを各電力会社が進めることになると、11年度の調達量は10年度を大幅に下回る懸念も指摘されている。
 RPS法では4年ごとに以降8年間の目標量を定めることにしているが、12年度からの全量買い取り制度の導入を前提にRPS法を廃止する方針が決まっている。今国会に提出される予定になっている買い取り新法の成立が前提となっているため、RPS法の目標量が正式に廃止されるまでは目標量を定める必要があるとして、買い取り制度導入前の11年度については現行の目標を維持して、12年度以降についてはゼロとすることで、買い取り制度の導入に備えることにした。
 新法が成立がずれ込み、買い取り制度が規定方針通りに12年度から導入できない場合には改めて利用目標量を定め直すことにする。


ホンダ、独でも家庭用コージェネシステムを発売
 ホンダは、ドイツの暖房・給湯機器専門メーカーであるバイラント社と共同開発した家庭用小型コージェネレーションシステム「エコパワー1・0」を、2011年中ごろにドイツ国内で販売を開始する。バイラント社が販売を担当し、主に戸建て住宅向けとして普及を目指す。
 ホンダが日本国内で販売している家庭用小型コージェネレーションユニットを、バイラント社の暖房・給湯ユニットと組み合わせてコージェネシステム化した。新開発の天然ガスエンジンと正弦波インバーターを組み合わせ、家庭用に適した小型・軽量・高効率を実現している。1kWの電力と2.5kWの熱が供給でき、最大約50%のCO2削減効果が期待できるとしている。
 ドイツでは、2009年1月に施行された新CHP法を背景に、コージェネレーションシステムの普及促進が図られており、システム購入者は電気税の免除や、エネルギー会社による電力買い取り支援などの補助を受けることができる。


その他の主な記事
・温暖化対策自治体会議を開催
・環境省が温暖化対策予算をまとめ
・ENEX2011スマートコミュニティなどを提案
・風力の環境アセス、評価項目などを検討
・清水建設など、優秀省エネ機器表彰
・Jパワーがウィンドファーム2地点を運開
・オリックス不動産が戸別太陽光付きマンションを販売
・パナ電工が見える化ユニットを発売へ
・京セラが東北電力に太陽電池3MWを供給
・建設工事仮囲い壁面に太陽電池
・鹿島が建設した北陸電力の風力発電所が運開
・住友商事がイタリアで太陽光発電事業に参画
・中国電力もバイオマス混焼試験を実施
・日立が風力用発電機の生産能力を拡大新工場が竣工
・NEDOが地域インフラ実証の委託先を募集
・NEDOが長崎でエネルギーセミナー
・NEFのSOFC報告会
・エコ・アクション・ポイントシンポ
・エネ研がエネルギーセミナー
・環境省が熱回収廃棄物処理で説明会
・低炭素エネ技術で国立環境研究所がシンポ
・産総研が水素貯蔵フォーラム
・温室効果ガス排出削減クレジット創出支援、3件採択
・郵便事業など3件がカーボン・オフセットラベル取得   etc.

<AES連続インタビュー>
・公益事業として日本の低炭素化を目指す
(東京工業大学特任教授/東京電力販売営業本部 理事 陶 昇氏)
 電気は使いやすく便利なエネルギーだ。近年電力会社が展開しているオール電化キャンペーンの主要な製品であるヒートポンプ。電力の使用効率を著しく高めることで、電力使用によるCO2削減に大いに貢献する。電気の更なる効率的利用に向けて、大学と連携してスマートグリッドなどの実証研究推進とヒートポンプやIH、電気自動車など需要サイドでの電化を推進する商品、技術開発を進めている陶昇氏に話を伺った。

燃料電池新聞の主な記事
・水素ステーションの整備状況
・3月にFCEXPO
・米ブルーム社の電力サービス
・海外ニュース
 -米アルテジーの燃料電池、グローブ賞受賞式のセレモニー会場で使われる照明の電源に採用
 -燃料電池を利用した無人飛行機
 -独SFC エナジー、ポータブル燃料電池「EFOY」の累計販売台数が2万台をこえる
 -米アイオワ州立大学、金属水素化錯体から水素を取り出す方法を開発
 -豪セラミック・フューエルセルズ、豪ヒルズ社と家庭用燃料電池CHP販売で提携
 -英国初の燃料電池フェリー、ブリストルで2011年夏に実証運航
 -英セラエナジー、ビーズやファイバーに水素化物を包含した水素貯蔵材料を開発
 -台湾APFCT社、燃料電池スクーター3台による長距離ロードテストを実施
 -米プラグパワー、「ジェンドライブ」2010年出荷台数は650台
 -米アップル、燃料電池のセパレータに金属ガラスを使用する特許を取得
 -英ヨークシャー救急サービス、救急車にバッテリー充電用DMFC燃料電池を配備
 -欧州水素協会、燃料電池フォークリフトの実証試験を実施
 -フィンランドVTT国立技術研究センター、10kW級SOFCを開発
 -米マルチクイップ、燃料電池応用の可搬形照明装置を開発
 -独メルセデス・ベンツ、北米自動車ショーで燃料電池自動車による世界一周旅行を発表
 -米コカコーラ、プラグパワーの燃料電池を搭載したリフトトラックを37台導入
・燃料電池フラッシュニュース
 -山梨県、2011年度に燃料電池特区を申請
 -東レ、エネルギーや環境技術の開発拠点、「E&Eセンター」を設立
 -大和リース、太陽電池、燃料電池、リチウムイオン電池から電力を供給するコンテナ型仮設住宅を開発
 -トヨタ自動車など、リチウムイオン電池の量産を開始
 -オムロン、家庭用燃料電池向けMEMSフロー・センサを開発
 -水素エネ開発研究所(鹿児島)、300〜500kW級水素発電機を開発
 -積水ハウス、2010年度「エネファーム」設置住宅 2732棟を販売
 -東京ガス、2011年度に「エネファーム」の新型機を投入し、コストダウンを図る
 -トヨタ、成田空港での「FCVハイヤー実証」に「FCHV-adv」を提供
 -中部経済産業局、「中部FCV水素供給インフラ整備推進会議」を発足
 -産総研、低温作動マイクロSOFCでメタン燃料による直接改質発電に成功
 -「日光水素エネルギー社会促進協議会」、小規模水力発電所をオープン
・燃料電池インフォメーション
 ■水素エネルギー協会「第134回定例研究会」
  2011年2月24日(木) 東京大学医学部鉄門記念講堂(東京都文京区)○概要 熱化学法による水と空気からのアンモニア製造(東京農工大学 亀山秀雄氏)/アンモニアからの室温水素発生(広島大学 市川貴之氏)/常圧アンモニア電解合成法の創出と開発(同志社大学 伊藤靖彦氏)/アンモニア利用燃料電池の可能性(京都大学 江口浩一氏)/アンモニア合成と関連する技術(京都大学 魚谷信夫氏)
 ■水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC)「平成22年度JHFC国際セミナー」
  2011年2月28日(月)〜3月1日(火) 東京国際フォーラム(東京都千代田区)○概要=水素・燃料電池実証プロジェクト成果報告・15年の普及開始に向けた取り組み状況と課題、今後の提案について【第1日】日本政府における水素・燃料電池の動向(資源エネルギー庁 飯田健太氏)/米エネルギー省における水素・燃料電池の動向(米エネルギー省 RWファーマー氏)/欧州におけるエネルギー政策について(欧州委員会 B.コルベナー氏)/JHFC第2期(06〜10年度)計画概要の紹介(東京工業大学 岡崎健氏)/水素インフラWG(佐賀大学 門出政則氏)/燃料電池自動車WG(東京大学 堀洋一氏、トヨタ自動車 大仲英巳氏)/車両・インフラ共通領域WG(東京都市大学 高木靖雄氏、東京ガス 田島正喜氏)/理解促進活動WG(昭和シェル石油 吉田克巳氏)/国際WG(日本自動車研究所 三枝省五氏)/地方実証試験WG(エンジニアリング振興協会 戸室仁一氏)/2015年の普及開始に向けた技術課題と次期実証への提言(東京工業大学 岡崎健氏)/総合効率と温室効果ガス排出の分析(JHFCプロジェクト委員長 石谷久氏)【第2日】日本における次期水素・燃料電池実証試験概要(NEDO)/ドイツ国内の実証試験と今後の計画(NOW〔独水素燃料電池機構〕 K・ボンフォッフ氏)/米国内の実証試験と今後の計画(NREL〔国立再生可能エネルギー研究所〕 K・ウィプケ氏)/ドイツの運輸・インフラにおける環境政策について(独運輸省 シュタインレ氏)/ドイツNRW(ノルトライン・ヴァストファーレン)州の取り組み紹介(NRW州 ジオレック氏)/米カリフォルニア州の実証試験結果と今後の展望(CaFCP〔カリフォルニア燃料電池パートナーシッ プ〕 C・ダンウッディ氏)/福岡県の燃料電池・水素事業の紹介と今後の計画(福岡県知事 麻生渡氏)/パネルディスカッション/会場質疑応答   etc.

シリーズ連載
・カーボンマネジメント入門 (44)
 =空白期間を前提に温暖化対策を=
 大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長
・世界を読む(30)<秩序を失う基軸通貨とエネ資源>



コラム
・発電論評<風力発電と環境アセス>
・ちょっと一休<松岡教授の変わった最終講義>
・青空<建設市場の縮小が止まらない>
・ちょっと一言<上関原発をめぐるエネ庁の対応>


風力発電と環境アセス【発電論評】

 風力発電の環境アセス基準作りの検討が進められている。
 風力発電の環境影響調査は、これまではNEDOのガイドラインによる自主アセスが中心となり、一部自治体では、独自に定めた条例アセスが実施されている。
 風力発電は国内の導入量は200万kWを超えたところで、ここ最近の導入量は年間20〜30万kW程度で推移しているが、世界の風力発電の拡大ぶりを見ると取り残された感があるのは否めない。再生可能エネルギーの中でも、発電規模が大きい風力発電は、日本では、発電した電力の供給先はほとんどが電力会社向け、つまりRPS電力として供給されているのが現状。
 風力発電の導入量が国内に限っては思うように導入量が増えなかった原因の一つとして、RPS法によって再生可能エネルギーを販売電力量の1%程度に押さえ込み、実質的な導入量の上限を決めてきたということもあげられるのではないか。
 そうした中で、風力発電による騒音問題や景観問題などの「環境被害」問題が持ち上がってきていることは、その対策の内容によっては、風力発電の立地に大きな影響を与えることも考えられる。
 環境省が昨年行ったアンケート調査では、国内64カ所の風力発電施設で騒音問題が発生しており、景観問題が発生している施設も4件あったことが報告されている。こうした問題の顕在化が、環境アセス対象化への契機となったのだが、環境に優しい風力発電だからといって環境問題から目をそらすことは許されないのはいうまでもない。事業者側も、これまでと同様に、前向きに取り組むことを表明している。
 ただ、アセスを法制化し、問題点を指摘し風力発電を建設できないようにするということでは問題を解決したことにはならない。例えば騒音問題にしても、それが解決しなければ建設できないというのであれば風力発電の立地場所はどんどん少なくなっていくばかりである。問題を指摘して終わるのではなく、同時に騒音の少ない風力発電の技術開発を進めることが必要ではないかということである。
 日本型の風車という言葉がある。現在、実際に導入されている大型風車のほとんどが欧州型の風車であり、日本の気象条件にあった風力発電の開発が必要だということは以前から指摘されてきた。しかしながら、それに向けた国の研究開発が最近行われてきた形跡はない。
 風力や太陽光といった自然エネルギーの魅力は、それが環境負荷が少ないというだけでなく、再生可能な国産エネルギーであるという点にある。排除するのではなくよりよい形で導入するために必要な技術開発に取り組むという視点が忘れられてはならない。