2011年25

11年度太陽光買い取り価格決定は持ち越し
 経済産業省は、1月25日に買取制度小委員会を開き、太陽光発電からの余剰電力買い取りに伴う11年度の買い取り価格について審議したが、住宅用については当初の目標通り48円から42円に引き下げることでほぼ合意できたが、非住宅用については、補助制度の廃止によるコストについても買い取り料金で回収できるスキームを提案したことから委員の間で慎重意見が相次ぎ、2月中旬に予定される次回会合で再度検討することになった。
 買い取り価格については、5年程度で買い取り価格を半減することを目標に、システム価格の低減分を買い取り価格に反映させるため毎年度見直しを行うことにしている。同日の委員会では、10年度は住宅用は48円で買い取っていたものを、当初の見込み通りに42円とすること。それ以外の非住宅用についてはは、24円だったものを40円に値上げすることが提案されたが、補助金を電気料金に置き換えることになり筋違いではないかとの電力事業者委員の発言などが相次ぎ、結論を次回会合に持ち越した。12年度から導入が予定されている全量買取制度との整合性を図る必要があるとする意見もあった。


産業用モーターにもトップランナー基準
 経済産業省は、省エネ法のトップランナー基準の対象に産業用のモーター(三相誘導モーター)も加え、小委員会を設置して具体的基準策定を開始することにした。
 1月24日に開いた省エネ基準部会で機械器具の判断基準の策定・見直しについて審議し、コンピューターの磁気ディスク装置と三相誘導モーターをトップランナー基準を設けて省エネ規制を行うことにした。
 産業用の三相誘導モーターは日本国内だけでも毎年1千万台程度の出荷実績があり、累積の普及台数は1億台程度に達していると考えられること、また、モーターの電力消費は産業用の電力消費量全体の約75%を占めていると推計されることなどから省エネ効果が高いものの、規制措置が設けられていないことから高効率化が進んでいないとしてトップランナー基準を設けて高効率のモーターの普及を図ることにした。
 経産省の試算では、仮に全てのモーターが高効率モーターに転換した場合、年間約155億kWhの電力消費量の削減と約500万トンのCO2排出量の削減が見込めるという。


天然ガスコージェネ拡大へ3月に報告書
 経済産業省は、天然ガスの燃料転換・高度利用に関するワーキンググループを開き、報告書の取りまとめに向けての検討を行った。
 同日の会合では、アサヒビールが取り組んでいる天然ガスやコージェネレーション利用などの低炭素化に向けた取り組みについての報告や日本エネルギー経済研究所に委託して実施した欧米各国の天然ガス・コジェネ利用に関する動向調査の報告、天然ガス利用に関するアンケート調査結果の報告を受け、3月中に取りまとめる、WGの報告書のとりまとめの方向について議論した。
 欧米各国の動向調査では、欧州ではEU指令に基づいてガスコージェネの導入整備が図られている様子が報告された。「コージェネの普及は一次エネルギーの削減、送電ロスの排除、温室効果ガスの排出削減といった観点から優先課題であり、同時にエネルギー安全保障の強化にも貢献」するとして、10%以上の省エネルギー効果があるコージェネシステムを「高効率コージェネ」と定義して導入拡大に向けた政策を展開中で、複数の国で電力の買取制度の対象にコージェネ電力を加えるなどして普及拡大を図っていることなどが報告された。
 また、国内の事業上を対象にしたアンケート調査では、産業用ではコージェネ導入は省エネ、コスト削減とCO2削減の比率が高いが、業務用ではCO2削減の目的は40%に止まっており、導入理由では産業用と業務用では差があることや、コージェネ導入のネックとなっているのはイニシャルコストが高額なことが70%以上と飛び抜けて高く、普及拡大には、イニシャルコストの低減策や維持管理の容易かの必要性などがあげられている。また、燃料である天然ガス価格の変動幅が電気料金などに比べて大きいこともエネルギーコストの安定化につながらない点などの課題として浮かび上がっている。3月中に最終報告書のとりまとめが行われる。


大阪ガスと積水ハウス、「スマートエネルギーハウス」実現へ居住実験を開始
 大阪ガスは積水ハウスと共同で、「スマートエネルギーハウス」で3年間の居住実験を開始する。家庭用コージェネレーションシステムと太陽電池を組み合わせた「W発電」に、さらに蓄電池を組み合わせ、低炭素な電気と熱を、最適な条件で効率よく「創る・貯める・使う」ことにより、快適で環境にやさしい暮らしを実現できることを実際の居住条件下で実証する。
 大阪ガスと積水ハウスは、家庭用部門でのCO2排出量の低減を図るため「W発電」の普及に取り組んでおり、2009年度には、共同で経済産業省委託事業である「スマートハウス実証プロジェクト」に参加し、燃料電池・太陽電池・蓄電池の3電池システムの最適制御などを実証し、居住者の省エネ行動を促進する省エネシステムの実現性を確認した。今回は、実際の居住環境下で、省エネ効果や居住者の快適性・利便性の向上の検証を目的として、居住実験を共同で実施するもので、住宅だけでなく居住者が利用する電気自動車までを含めたCO2排出量を差し引きゼロにできるシステムの実現を目指す。
 実験住宅は、固体酸化物形の燃料電池(SOFC)と太陽電池、リチウムイオン蓄電池を設置して、3年間の実際の居住者が日常生活する居住実験として行う。さらに電気自動車充電設備やLED照明などの省CO2・省エネ設備の使用や、自動制御の電動シャッターやカーテン・通風ファンなどの自動制御設備も導入して、居住者の利便性・快適性の向上を図りながら低炭素でエネルギー効率の高い「スマートエネルギーハウス」生活を検証する。


国産大型風車のウィンドファームが運開
 日立製作所と富士重工業は、中部電力のウィンドファーム「御前崎風力発電所」の2期工事が完了し、1月28日から日立と富士重工業が共同開発した2000kWの大型風力発電システム8基が本格稼働を始めたと発表した。昨年から既に稼働している1期工事分3基とあわせ合計11基・総発電出力2万2000kWのウィンドファームとして運転されている。
 御前崎風力発電所は、静岡県御前崎市の太平洋に面した海岸線に浜岡原子力発電所の東側および西側の約10kmに渡って2000kW×11基が配置された風力発電所で、風車は日本の風況にあわせて設計された直径80mのローターをタワーの風下に配置したダウンウィンド方式の風車。台風などによる突風に対して主要構造部分への負担が軽減され、より安全で強固なシステムとして設計されており、特に海岸線での設置で強みを発揮できるほか、山岳地域においても、斜面を駆け上ってくる吹上げ風を効率よく受けることができる等の特徴を持っている。2000kW級の風力発電システムでダウンウィンド方式を商用化したのは世界で初めてのもので、日立が営業・販売のほか、発電機・パワーコンディショナーなどの製造、据付工事などを担当し、富士重工業が風車本体のナセル・ブレードおよびタワーなどの製造を担当している。


その他の主な記事
・太陽光サーチャージは申請通りに認可
・スマートメーター導入へ報告書案を検討
・都市熱部会で料金制度など見直し
・RPS電力取引価格を調査
・グリーン熱証書バイオマス、雪氷にも拡大
・自治体の温暖化対策の実施状況を調査
・新成長戦略実現へ閣議決定
・太陽熱利用テイクオフ大会を開催
・GSユアサらがローソンで率有無電池のリユースを検証
・国産大型風車の御前崎ウィンドファームが稼働
・富士電機、水素燃料でリン酸型燃料電池を運転
・川崎バイオマス発電所が運開
・東芝がブルガリアの電力のスマート化に協力
・富士電機とGEのメーター会社が発足
・COP10とCOP16全国説明会
・NEDOゼロエミ石炭でセミナー
・バイオディーゼル普及でフォーラム
・環境配慮契約法で説明会を開催
・水産バイオマス資源化で公募
・中長期ロードマップ地域フォーラムを全国7カ所で開催
・東工大AES1周年記念シンポ  etc.

<インタビュー>
・環境エネルギー政策を聞く / 民意を反映した環境エネルギー政策とは
(民主党 参議院議員 轟木利治氏)
 COP16も終わり、ポスト京都の枠組みづくりは後のないところに来ている。轟木利治参議院議員は、そもそも、京都メカニズムのCDMには問題があったとして、「プロジェクトは中国などに偏り、アフリカなどの低開発国ではほとんど進まない。また、原子力によるプロジェクトも認められずという具合で、世界でCO2を削減することに実効性を失っている京都議定書の延長そのものには反対」だという。日本がグローバルなCO2排出削減に貢献するということは、ものづくり国家としての強みを活かすことにほかならない。京都議定書延長ではない、米中を巻き込んだ枠組み、コペンハーゲン合意をどのように実現していくのか、考え方を伺った。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革--O インスティテューショナル・イノベーション=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・スマートグリッドビジネス その@
 =本格始動するスマートグリッド・ビジネス=
 コラボレート研究所 エコロジー事業部 主任研究員 前田 タ(工学博士)
 *連載記事に関する詳細動向は、スマートエネルギー産業振興会、発行:株式会社 スマート・エコロジー企画、による『2010〜2011年 急進するスマートグリッドの開発動向とビジネスチャンス』を活用ください。



コラム
・発電論評<省CO2の取り組みをプラス評価に>
・プリズム<家庭用コージェネがおもしろい>
・ちょっと一休<中央大の高橋監督の話を聞く>
・青空<葬儀の風景>


省CO2の取り組みをプラス評価に【発電論評】

 温暖化対策基本法の成立の見通しが立っていない。法案では、環境税、再生可能エネルギーの固定価格買取制度、国内排出量取引制度を中期目標を達成するための主要な追加政策として位置づけているが、昨年末の関係閣僚会議で、取引制度については当面回避するとことが決められた。
 「我が国の産業に対する負担やこれに伴う雇用への影響」「海外における排出量取引制度の動向とその効果」「産業界の自主的な取り組みなどの運用評価」「主要国が参加する公平かつ実効性のある国際的な枠組みの正否等」を見極める必要があるというのがあげられているその理由。
 取引制度が見送られたからというわけではないが、国内経済が低迷が続く中で、省CO2の取り組みはここへ来て大きく後退し始めているように見える。
 排出量取引制度だけでなく、固定価格買取制度についても、買い取り費用を電気料金に上乗せして全ての電力需要家にコスト負担を強いるものであるという批判的な意見も多くあり、環境税を加えた追加3施策とも、需要家にコスト負担を強いる仕組みとなっていることに改めて気づく。
 環境税は、それ自体が増税であるが、他の2つについては、負担の押しつけにならない仕組みにすれば、抵抗感をもっと少なくすることができるのではないか。
 見送りとなった取引制度は排出量の上限を事業者ごとに割り当てるキャップ&トレード方式のもので、強制的に排出枠を押しつけられ費用負担だけが残る制度だということだが、近隣に、発展途上国という理由で制約もなく世界一のCO2を排出し続ける国が存在する今、懸念を払拭できる要素は少ない。
 排出量取引制度は欧州が先導するキャップ&トレード型でなければならないわけではない。国内で既に実施されている、産業界の自主行動計画に基づくCDMクレジットの購入や、環境省や経産省が主導する国内クレジット制度、J−VER制度などは、企業者が自主的に目標を定めて排出削減に取り組むものである。自らが目標を定める取り組みなので、負担感が少なく取り組め、すでに相応の成果が出てきている。
 固定価格買取制度にしても、費用負担については何も全需要家に一律の強いるのではなく、グリーン電力証書のように、自ら費用負担をして再生可能電源の普及に貢献できる制度の活用もそれなりに周知されて来ていることを思えば。コスト負担について規制感や押しつけ感の薄い方法が他に考えられるてもよいのではないか。
 規制や押しつけは、結果的には「罰」を受ける感覚に近い。そうではなく成果を上げたものが「賞される」方向で、制度設計が再考される余地があるのではないかと思われる。