2011.01.15


2011年115日号

再生可能エネルギー活用へ特定電気事業制度を活用
 再生可能エネルギーの大量導入を目的に、固定価格買取制度の導入が検討されているが、それに伴う電力事業制度の環境整備について、1月13日に開いた電気事業分科会の第3回制度環境小委員会で、それまでの検討結果を踏まえて中間報告をまとめた。
 報告書は、電気事業者間の競争環境の整備と系統運用ルール、分散型供給システムのあり方などについて、固定価格買取制度によって大量に導入されることになる再生可能エネルギー電力を効率的に利用するために地産地消型の需給システムを整備することなどが盛り込まれている。報告書の内容に沿って電気事業分科会に諮られ、関連法案が通常国会に提出される。
 再可エネの地域での利用を円滑に進めるために、小規模な地域送配電ネットワークの普及を促すため、特定地域に電力供給を行う「特定電気事業制度」を活用する方向で制度改正を行う。具体的には、事業用の電源は供給地域内で全て賄うこととしているのを、外部からも柔軟に調達できる仕組みや供給地域の変更や拡大を簡単に行えるようにして、大量の再可エネ電源を導入しても安定的な事業が行えるようにする。


2009年度の温室効果ガス排出量は90年比4.1%減
 環境省は、2009年度の温室効果ガス排出量(速報値)をとりまとめた。国内の総排出量は12億900万トンとなり、京都議定書の基準年である90年比比で4.1%減となった。08年度の総排出量と比べると、産業部門をはじめ各部門で減少したことなどで5.7%の減少となった。
 京都議定書による90年比マイナス6%の削減義務の達成度では、義務達成の手段として森林吸収分が3.8%認められていることから、2%程度の超過達成の状態。さらにCDMクレジットの購入分1.6%を加えると3.5%程度の超過達成となる。
 08年度との比較では、工場等の産業部門が景気後退による生産量の減少に伴い7.9%減と大幅に減少したこと、運輸部門でも貨物輸送の減少などで2.5%減と国内経済の低迷による影響が強く出たこと、また、電力の排出源単位の改善で業務部門や家庭部門で大幅な削減効果があり業務部門では6.6%減、家庭部門でも5.5%減と全部門で減少したとしているが、全業種全部門で取り組まれている省エネ省CO2活動による削減活動の影響については、環境省の分析の中では触れられていない。


23年度政府予算案決まる エネ特会は6.0%増
 12月24日に閣議決定された2011年度の政府予算案の内、経済産業省が所管するエネルギー対策特別会計は、10年度当初予算比6.0%増(418億円)の7356億円となった。
 増額となったのは、11年10月から現行の石油・石炭税に上乗せして課税される「地球温暖化対策のための税」(環境税)を繰り込んだため。
 産業・民生部門の省エネ設備導入支援に、同29.3%増の578億円を充てるなど「低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造を実現」するため、増額分をエネルギー起源のCO2排出抑制対策に重点配分した。
 また、スマートコミュニティーの国内実証には新規で149億円、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの導入補助には、同2倍となる291億円、ガスコージェネの導入補助では新規に20億円が計上されている。
 11年度エネ特会計予算案で、一番の目玉となるのが「エネルギー使用合理化事業者支援補助金」。省エネ効果などの高い省エネ設備や機器にリプレースする大企業などに対して、導入費用の3分の1を補助し、補助分のCO2排出削減クレジットを政府が購入する。経産省では産業界に対する増税対策だとしており、446億円をあてる。
 中小企業に対しては、昨秋の補正予算で試行した、削減クレジットを大企業が活用する制度を創設する。新規に44億円を計上しており、補助率は設備導入費用の数%程度となる見込み。
 また太陽電池やリチウムイオン電池など、CO2削減効果の高い製品が量産されるまでの間、環境関連企業の最初の生産ライン(1号ライン)への設備投資を補助する事業に、新規に71億円を盛り込んだ(概算要求では約300億円を要求)。
 一方、クリーンエネルギー自動車導入補助では、291億円を計上。電気自動車は1台あたり75万円の補助で2万9千台分、プラグインハイブリッド車は同4千台分を確保し、創出されたクレジットを国内の大企業などが活用する。 
 このほか、住宅用太陽光発電導入補助は「特会仕分け」で2割程度削減とされたことで349億円となったものの、この分野でもクレジットを国が購入することで環境と経済の両立を図る。
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 環境省の11年度予算案は、10年度当初予算比6.7%減の2047億円。この内、エネルギー対策特別会計は同2.1%減の379億円(剰余金を含む)となった。
 成長分野などに重点配分する「元気な日本復活特別枠」で要求していた政策事項が、政策コンテストの結果を踏まえ、いずれも減額となった。
 ただ、京都メカニズムクレジット取得費が61.9%減の72億円と大きく減る中、国内におけるCO2削減対策は55.9%増の306億円と大幅に増えている。
 温暖化対策関連の主な政策事項では、家庭・事業者向けエコリース促進事業に20億円、チャレンジ25地域づくりに30億円、低炭素化に向けた事業者連携型モデル事業に18億円が、いずれも新規に計上された。また新たな国際排出削減クレジットメカニズムの構築には29億円を盛り込んだ。
 一方、再生可能エネルギーの普及に向けては、バイオ燃料導入加速化事業に23億円、温泉エネルギー活用加速化事業に4億円、新規に洋上風力発電実証事業に5億円などが計上されている。


温暖化新目標に1人当たり排出量
 12月28日に開かれた地球温暖化問題に関する関係閣僚会議で、菅直人首相は、新たなCO2排出削減の国際的な目標について、1人当たりの排出量を各国の削減目標として位置づけることを国際社会に呼びかけていくことを今後の日本の方針にしたいという考えを明らかにした。
 首相は、京都議定書のような国別の削減目標を決めるやり方では、公平性を担保する基準が蒸す香椎として1人当たりの排出量を基準として各国の削減目標を決めるという新たな考え方を日本の方針としたいという考え方を示した。
 この中で、首相は、「08年の1人当たりの排出量の世界平均は約4.4トンで、日本はほぼ2倍の約9トン。米国は18.4トン、中国は4.9トンで、中国も既に世界平均を上回っている」として、公平性の観点からも1人当たりの排出量を基準とすることは、国際的枠組みを作る上でも説得力があるという考えを述べた。
 日本は、ポスト京都の次期枠組みは米国や中国などのっしゅようは移出国が全て参加する形の枠組みが必要だという前提を掲げており、次期枠組みを作る上で1人当たりの排出量を基準として、2050年に世界の排出量を半減するという合意済みの長期目標の達成には世界平均で少なくとも2.2トンを下回ることを目標に次期枠組みを考えるという考え方を示したことになる。


国内初の洋上浮体式風力は五島沖で実証
 環境省は、国内初となる洋上浮体式風力発電の実証試験を、2013年を目途に長崎県五島列島の椛島で開始すると発表した。2千kW規模の浮体式の実証機を沖合約1km・水深約100mの洋上に浮かべ、3年間程度の実証運転を行うことにしている。
 洋上風力の実証事業については、京都大学が受託者となり今年度から既に研究開発を開始しており、候補海域の選定、環境影響評価手法の検討、基本設計等を進めている。
 洋上風力については沿岸部の海底に基礎を打つ着床式については経済産業省が実証試験を開始するなどこれまでに国内3カ所に設置され発電運転が行われている。
 洋上風力は、陸上に比べ強い風速や風速の変動が少ないなど効率的な風力発電の運転が期待できることや我が国の排他的経済水域が世界第6位であるなど広い海域で風力発電のポテンシャルがあることなどからその実用化に大きな期待が集まっている。


その他の主な記事
・排出量取引、13年度導入を凍結
・電気事業者の排出係数を発表
・11月の電力需要は伸び悩み
・温暖化で自治体会議2月1日に
・環境省が名古屋でオフセット研修会
・長崎・五島で洋上風力を実証
・JX日鉱日石らがLPガス事業統合で新会社
・伊藤忠がスペインで太陽光事業に参画
・丸紅がカナダの風力発電事業に参画
・京セラが多雪地域向け太陽光を発売
・三菱重工が寒冷地でも高効率を実現できるHPを開発
・大日本印刷がリチウム電池の新工場を北九州に
・東北電力がメキシコで瓦斯火力発電事業
・富士電機システムズを吸収合併
・排ガス対策建機、低騒音建機
・2月の太陽光発電工事無料講習会
・ENEX2月8日からビッグサイトで
・EV・PHVが走るまちシンポジウム
・NEDOが業務説明会
・NEDOが出雲で新エネセミナー
・NEDO太陽熱高度利用委託先を募集
・J−VER創出支援、LEDで省エネ事業を追加
・省エネ講習受講者を募集
・新エネウィークを開催
・帝人など5件がカーボン・オフセットラベルを取得   etc.

新年特集第2集
<年頭所感>
・経済産業大臣・資源エネルギー庁長官・石油連盟会長
<特集>
・新春特集「暖かい家庭をつくる、ガスビジネスルネッサンス」
 毎日を快適に過ごしながら、家庭から出るCO2も確実に減らす。それを可能にする、リンナイのハイブリッド給湯器「ECO・ONE」。ガスと空気の熱エネルギーを最適に使用するため省エネ性が高く、また暖房機能も搭載しているので、各家庭では床暖房や浴室暖房を導入することもできる。これから迎える高齢化社会。本当に必要なのは快適かつエコロジー生活を支える、こうしたガス器具かもしれない。リンナイの内藤弘康社長と、自然エネルギー・環境分野の研究者で、世界マメナジー基金の高瀬香絵理事長に「暖かい家庭をつくるガスビジネスルネッサンス」について語りあってもらった。
<インタビュー>
・民意を反映した環境エネルギー政策とは
(民主党 参議院議員 ツルネン・マルテイ氏)
 「地球温暖化対策基本法案」の審議が、先の臨時国会では行われないままに継続審議とされた。さらに環境税の導入は11年度からになりそうだが、国内排出量取引制度の導入は凍結、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入も目論見通りの見通しは立っていないのが現状。民主党の選挙マニフェストに盛り込まれてきた環境・エネルギー政策の内容が後退し続けている点について、何人かの与党議員から話をうかがうことにした。今回はツルネン・マルテイ民主党参議院議員。

燃料電池新聞の主な記事
・2011年の燃料電池市場
・水素ハイウェイプロジェクトが始動
・FCVの市場調査(マッキンゼー報告)
・海外ニュース
 -蘭IHC メルウェイド社、浚渫船に燃料電池を搭載し、機器電源としてテスト
 -英フューエルセルシステムズ社、マリン向けに独SFC エナジー社の可搬形燃料電池
 -「EFOY」シリーズを品揃えに追加
 -米シグナケミストリー社、2011年半ばにノートPCのバッテリー充電用に水素燃料カートリッジを供給
 -米ジェネシスフューエルテック社と米エンカナ社、低温環境下で作動する燃料電池のフィールド試験を実施
 -カナダのバラード、MEAの年間生産数量が100万枚に到達
 -カナダのバラード、シンガポールのRTE社に1MW級発電装置を納入
 -米エネルギー省、燃料電池開発に総額74百万ドルを助成
 -現代自動車、第3世代のFCV「ツーソンiX」を開発
 -英セレスパワーの家庭用燃料電池、欧州安全規格であるCEマークを取得
 -米CALSTART、米交通局(FTA)から約1千万ドルの燃料電池バスプロジェクト資金を獲得
 -独ヘリオセントリスの産業用燃料電池のフィールド試験に対して、独政府が76万ユーロを助成
 -米消防士基金保険会社、ブルームエナジー社のSOFC発電装置を導入
 -米ニューヴァント社、ガス拡散層とガス拡散電極の販売を開始
 -伊エレクトロパワーシステムズ、インドで自己充電式燃料電池バックアップ電源を展開
 -GMとTGCが進めている「ハワイ水素イニシアティブ」に10の企業や政府機関、大学が参加
 -デンマークのトプソーフューエルセルズとダンサームパワー、共同で家庭用SOFCコージネを開発
・燃料電池フラッシュニュース
 -大阪ガスの「エネファーム」累計販売台数が3,000台に到達
 -ホンダ、埼玉県と熊本県でEV、PHV、電動バイクの実証実験を開始
 -横浜の工藤建設、日産リーフ標準装備の「EVハウス」を2011年1月に販売開始
 -JX日鉱日石エネルギーと三井丸紅液化ガス、LPガス事業を2011年3月で統合
 -北陸グリーンエネルギー研究会、アルミ屑から取り出した水素燃料を利用する融雪システムを開発
 -日本高速道路保有・債務返済機構、神戸永田トンネルのFCV通行を不可に指定
 -田中貴金属工業、燃料電池用触媒出荷量(指数)推移を発表
・燃料電池インフォメーション
 ■産総研 水素材料先端科学研究センター他「水素先端世界フォーラム2011」
 2011年2月2日(水)〜3日(木) グランドハイアット福岡)、九州大学 伊都キャンパス ○概要 ◆「水素先端世界フォーラム」は、水素社会の実現に向けた日米欧の水素関係機関や研究者による水素戦略、研究動向、最新成果などをテーマとした講演会。▽セッション1「2015年 燃料電池自動車の市場化に向けて」・燃料電池自動車開発と水素インフラの現状/日産自動車の飯山明裕氏・GMリンデ氏▽セッション2「水素エネルギー社会の実現に向けた各国の戦略」・各国の研究開発動向を/サンディア国立研究所、豪第一次産業省、ノルウェー水素審議会、フィンランド大使館参事官、 イリノイ大学、水素エネルギー製品研究試験センター(渡邊正五氏)、水素材料先端科学研究センター(松岡三郎氏)◆2日目 九州大学伊都キャンパス「水素材料強度特性、水素高分子材料、水素シミュレーション、水素トライボロジーなど」の研究シンポジウム)
 ■岩谷産業 「第5回イワタニ水素エネルギーフォーラム」
 2011 年1 月25 日(火) ホテル阪急インターナショナル「瑞鳥」 ○概要 「水素エネルギー社会実現に向けた各地域の取り組み」▽水素エネルギーが切り拓く未来(内閣参事官 安藤晴彦氏)▽福岡水素戦略:ハイ・ライフプロジェクト」(福岡県知事 麻生渡氏)▽水素エネルギー社会の実現に向けた大阪地区の取組みについて」(おおさかFCV推進会議 北野義幸氏)▽高圧水素充填インフラと充填基準の国際標準化への挑戦(佐賀大学 門出政則氏)▽トヨタの燃料電池自動車の開発と挑戦(トヨタ自動車 FC 開発部長 河合大洋氏)   etc.

シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革-- N 里山薪ストーブ=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・世界を読む(29)<「あるべき論」では戦略を見失う>
・書評
 「シェア(共有)からビジネスを生み出す新戦略」
 レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース著 NHK出版


コラム
・発電論評<排出量取引は見送りになったが>
・ちょっと一休<桑原君の詩集のお祝い>
・青空<一年の計を賀詞交換会で探る>
・ちょっと一言<年越し停電が問いかけるオール電化リスク>


排出量取引は見送りになったが【発電論評】

 環境省が導入を目指していた排出量取引制度が当面見送られることになった。国会で継続審議中の温暖化対策基本法案では、ポスト京都の次期温暖化対策をさらに一歩進めるための追加施策として環境税と再生可能エネルギーの固定価格買取制度、それとこの排出量取引制度を主要3施策として位置づけ、環境税は11年度から、固定価格買取制度は12年度から、排出量取引制度は13年度からの導入が目指されていたが、昨年末に政府は、環境税と固定価格買取制度は予定通りの導入を目指すものの、排出量取引については導入を見送りとするという方針を決めた。
 環境税も排出量取引も化石エネルギーの利用を抑制するためにCO2排出に対して経済的な負担を求めるという点で共通しているが、これに対しては、当然、集中的に負担を求められる産業界からの不満が多く、環境税の導入と引き替えに排出量取引は断念に追い込まれたという結果となった。
 しかしながら、今回反対されたのは、排出量取引制度そのものではなく、あくまで環境省が目指していたキャップ&トレード型の排出量取引制度であるとうことは理解しておく必要がある。環境省が目指したのは、国が定めた削減目標に沿って排出枠を各企業に有償か無償で割り当てるという、いわゆるEUモデルのキャップ&トレード型の排出量取引制度であって、その他の排出量取引制度全体が反対されたのではないということである。
 例えば、国内で先行実施されている排出量取引制度でも既に数種類のものがある。昨年から東京都では、各事業所の過去の排出実績を基準にする排出量取引制度を始めているし、自主参加型の排出量取引制度としては環境省の自主参加型制度や経産省などが中心となっている国内クレジット制度などもある。これらの制度の特徴は、排出枠を強制的に割り当てるのではなく、参加する各事業所の過去の排出量を基準にして排出基準量を定め、目標より超過して削減できたものを排出枠として認定し、他者への有償譲渡を認めるという形で排出量取引を行えるという形態が基本となっている。どちらも排出削減が求められるということでは結果は同じといえるかもしれないが、キャップ&トレード型のものは、排出枠が強制的に割り当てられ、自主参加型のものは削減努力に対して経済的メリットが与えられる利益誘導型のものであるという点で、同じ結果を求めるにしても全く似て非なるものであるということがわかる。
 制度導入の本質的な目的は、国内で排出削減を円滑な形で実質的に進めることであり、環境と経済の両立にふさわしい、削減事業に喜んで参加できるという新たな排出量取引制度の制度設計が求められているのではないか。