2010.12.15


2010年1215日号

再可エネ拡大で地域電力ネットを創出
 低炭素電力ネットワークの実現に向けて検討を開始している経済産業省は、電気事業分科会の第2回制度環境小委員会を開き、再生可能エネルギーの系統への導入の円滑化について、次世代送配電システム制度検討会の検討結果などを基に、再生可能エネルギーの系統への優先受け入れをルール化することや、地産地消型のネットワークを拡大する方向で制度改革を進めていく方向で今後の制度改革を検討していくことにした。
 同日の会合では、再生可能エネルギーを効率よく大量に利用するための手段として、地産地消型のネットワークの拡充を目指す方向で電気事業制度を見直すことが提案された。具体的には、特定地域の一定範囲に電力を供給する現行の特定電気事業制度を活用する形で、地域の再生可能エネルギーを活用したネットワーク形成が行えるような特定電気事業制度に改める。制度の見直しにあたっては、全量買取制度の買い取りや、一般の系統電力と連系して安定した地域の電力供給事業が継続できる方向で、事業の許可要件などを緩和の方向で見直す。
 また、現在の特定供給制度についても電力の供給範囲を広げる方向で見直しが行われる。自家発自家消費型の延長として認められている特定供給制度は、工場と本社など極めて限定的な範囲でしか認められていないが、特定地域の全需要家に対しても組合方式などによって電力供給が行えるようにする。
 バイオマスや都市ガスなどを燃料とするコージェネレーションシステムを調整用の中核電源として利用する地産地消型の効率的な電力需給を可能にする新しい電力事業として実現が注目される。


ガスコージェネ拡大へ課題を抽出
 経済産業省は、天然ガスの燃料転換・高度利用に関するワーキンググループ」の第2回の会合を開き、天然ガスコージェネレーションの活用状況についてユーザーやシステムメーカー、都市ガス事業者からのヒアリングを行った。
 ヒアリングを行ったのは、デンソー、川崎重工業、日本ガス協会の3者。ヒアリングでは、ガスコージェネレーションの導入による省エネルギー効果は大きいものの、CO2削減効果については、比較の対象となる系統電力のCO2排出係数については全電源平均の係数が温対法の算出ルールとされていて、コージェネが代替する本来の削減効果が正当に評価されていないことなど、複数の課題が抽出される格好となった。


次世代型データーセンターにGT発電を採用
 川崎重工業は、ITホールディングスのグループ会社で、国内大手システムインテグレーターであるTISの次世代型データセンター「GDC御殿山」(東京都品川区)向けに、第1期実装分として、4500KVAの非常用ガスタービン発電設備を2台納入した。
 GDC御殿山は、2011年4月の開業予定で、延べ床面積は2万平方m。多様化する顧客ニーズに対応可能な高付加価値型のアウトソーシングサービスや、クラウドサービスを展開する次世代型データセンターで、安全性・セキュリティーなど、業界トップクラスの最新鋭ファシリティーを備えるとともに、環境・社会貢献を基本コンセプトの一つに掲げ、太陽光発電、外気冷房、地中熱利用といった自然エネルギーのほか、LED照明や人感センサーによる点消灯制御、高効率受変電設備などの先進省エネ技術を導入している。
 川崎重工の非常用GT発電設備であるPUシリーズは74年に発売して以来、国内外で6500台を超える納入実績のうち、データセンターや電算センターには350台が納入されている。今回、「燃費効率、同期運転の信頼性、設置の省スペース化、保守も含めたコストメリット」など、PUシリーズの優れた性能や、充実したアフターサービス、さらに高い起動信頼性などが評価され受注につながった。


東京ガス、羽田水素ステーションが竣工
 東京ガスは、羽田空港近傍の大田区京浜島に建設していた羽田水素ステーションが竣工し、12月16日から羽田空港と新宿駅西口(東京都新宿区)間、羽田空港と東京シティエアターミナル(東京都中央区)間に定期営業運行する燃料電池バスに水素供給を開始すると発表した。
羽田水素ステーションは、日本初の天然ガススタンド併設型の水素ステーションで、既設の天然ガススタンドに水素供給設備を併設した。自動車用燃料として天然ガスと水素の供給ができる。
 供給する水素は都市ガスを改質して水素を製造。その際に発生するCO2を分離・回収し、自動車用燃料となる水素の低炭素化を実現する。分離・回収したCO2は液化し、輸送や貯蔵が容易にできるようにする。水素ステーションで供給する水素を製造しながら、CO2の分離・回収の実証を行うのは日本で初めて。
 羽田水素ステーションは、経済産業省の「水素利用社会システム構築実証事業」のひとつとして、「水素ハイウェイプロジェクト」事業を実施する水素供給・利用技術研究組合からの委託事業として建設・運用される。
 水素ハイウェイプロジェクトは東京都心と成田、羽田の両空港間を燃料電池ハイブリッドバスを高速道路を使って結ぶというもので、大手都市ガス4社や石油元売り、関連メーカーなど13社が「水素供給・未利用技術研究組合」を設立してプロジェクトの実施主体となっている。プロジェクトは水素供給拠点として東京杉並と羽田、成田の3カ所に水素ステーションをそれぞれ建設するほか、運行する車体は、トヨタ自動車と日野自動車が共同開発した燃料電池ハイブリッドバスを使用する。
 建設される水素ステーションの内杉並はJX日鉱日石が燃料水素をトレーラーでステーションまで持ち込むオフサイト型で建設し、羽田は東京ガスがオンサイトで都市ガスを改質するオンサイト型のステーションとして建設した。


その他の主な記事
・排出量取引制度、検討会報告書は大枠提示だけ
・NEDOがポーランドから排出枠を購入
・削減事業56件を承認、国内クレジット認証
・日本経団連がサンライズレポート
・JFEが電気推進船を就航
・伊藤忠商事がベトナムでバイオエタノール
・三菱自動車がタイ政府とEV普及で合意
・三菱重工が米国にGT工場
・千代田化工建設がCO2分離・回収設備
・大ガス、エネファームが3千台を突破
・東北電力の風力募集に約10倍の応募
・日立がクラウド型のビルマネシステム
・日立が中国にGTコージェネを納入
・富士経済がエネルギー需給調査
・EV・PHVタウンで10自治体を選定
・スマートハウスなどでSSKセミナー
・バイオマスタウン、3市を新たに追加
・環境省が太陽熱システムで2時募集
・住宅・建築物CO2先導事業14件
・太陽光FTのデータ評価の委託先調査募集
・太陽光無料施講習会1月に5地区で
・大成建設など7件がカーボン・オフセットラベルを取得
・農水省が地域のバイオマス再可エネ活用で緊急補助
・EV・PHVタウンで10自治体を選定
・燃料電池オウロジェクトなどでJPIセミナー
・NEDOがスマートコミュニティーで公開講座2月に    etc.


<AES連続インタビュー>
・ICTを活用してスマートコミュニティーを実現
(東京工業大学特任教授/NTTファシリティーズ研究開発本部R&Dストラテジー部門長 大津智氏)
 スマートエネルギーネットワークの実現にあたって、ICT技術は不可欠なものである。国内情報通信サービスで存在感を示すNTTグループは、電力の安定供給を目的に電源設備の信頼性の向上など古くからエネルギー関連事業に取り組んできた。再生可能エネルギーの技術開発や、都市ガス会社とのエネットの設立など自前のエネルギー源の確保にも積極的である。そうした流れにあって現在と今後の課題といえる、エネルギーのスマート化の担い手として、その研究開発の先頭を走っている。東京工業大学のAESプロジェクトにNTTファシリティーズから加わっている大津智氏に、話を聞いた。



燃料電池新聞の主な記事
・オール電化住宅
・インテリジェントエナジーの燃料電池事業
・トヨタ自動車
・海外ニュース
 -米トロ社、ATK社と共同で燃料電池車両を開発
 -プラグパワー、フェデックスの物流センターに35台の燃料電池フォークリフトを導入
 -米ベタープレイス、2011年からサンフランシスコでバッテリー交換式のEVタクシー試験を実施
 -上海汽車とGM、新エネルギー車生産で提携
 -ホライゾン社、新しい水素貯蔵技術を開発
 -英ITMパワー、高出力炭化水素系電解質膜を開発
 -米MIT、DMFCの多層電解質膜を開発
 -ニューヨークの新世界貿易センタービルで燃料電池の設置作業開始
 -キャパシティ・オブ・テキサス社、ゼロエミッション・ターミナルトラックを開発
 -欧州連合、2011年からCHICプロジェクトによる5大都市での燃料電池バスの運行開始
 -IEA、「石油ピーク」は2006年にピークを迎えた可能性が高いと発表
 -米オリジンオイル、藻類からの水素製造で画期的な技術を開発
 -パシフィック・ノースウエスト国立研究所など、低温で水素の放出・吸蔵ができる水素貯蔵材料を試験中
 -IRD社、独SFCエナジーにDMFC燃料電池で使うセパレータを供給
 -セラミック・フューエルセルズ、家庭用SOFC燃料電池200台を独EWEに納入
・燃料電池フラッシュニュース
 -東京大学と三菱化学、人工光合成で水素を製造する光触媒化合物を開発
 -朝日熱処理、拡散浸炭処理とショットピーニングを組合せたセパレータの表面処理技術を開発
 -日本企業とロシアの研究所、サハリンで水素製造に関する事業化調査を実施
 -信越ポリマー、燃料電池セパレーターの製造をマレーシアに移管
 -福岡県、「水素タウン」150世帯の省エネルギー果等を公表
 -経済産業省、平成23年度の「エネファーム」補助金、90.7億円を概算要求
 -田中貴金属工業、2004 年度〜2010 年度上半期の燃料電池用触媒出荷量(指数)を発表
 -アクアフェアリーのマイクロ燃料電池、2011年3月に販売開始      etc.

・燃料電池インフォメーション
 ■電気化学会「電気化学セミナー 最先端電池技術―2011」
1月25日(火)〜26日(水)10時〜17時50分 タワーホール船堀(東京都江戸川区) ○プログラム▽オリビン型正極材料の開発/住友大阪セメント 斉藤光正氏▽含フッ素有機電解液の現状と展望/東京工芸大学 佐々木幸夫氏)▽負極高容量化の現状と展望/産業技術総合研究所 境哲男氏▽NEDOにおける蓄電技術開発プロジェクトの概要/NEDO 林成和氏▽リチウム2次電池の市場動向/IT総研 竹下秀夫氏▽電動化自動車用電池の市場動向/野村総合研究所 風間智英氏▽リチウムイオン電池用材料の研究開発/サムスン横浜研究所 小林直哉氏▽パナソニックのリチウムイオン電池の開発/パナソニック 湯浅浩次氏▽ホンダの電動化技術と車載用バッテリーに求められる性能について/本田技術研究所 岩田和之氏▽スマートモビリティと革新電池/トヨタ自動車 射場英紀氏▽電池と資源/新神戸電機 堀場達雄氏▽色素増感太陽電池の現状と展望/東京理科大学 荒川裕則氏▽リチウムイオンキャパシタの現状と展望/アドバンストキャパシタテクノロジーズ 長谷川章雄氏 ▽ダイワハウスにおけるスマートグリッド、スマートハウスへの取り組み/大和ハウス工業 吉田博之氏▽スマートグリッドにおける蓄電池の役割/東京大学 横山明彦氏▽燃料電池自動車の早期実用化と本格普及を目指して/山梨大学 渡辺政廣氏▽JX日鉱日石エネルギーにおける燃料電池の開発状況/JX日鉱日石エネルギー 南條敦氏▽三菱重工業における固体酸化物型燃料電池―ガスタービンコンバインドサイクル発電開発状況/三菱重工業 安藤喜昌氏▽バイオ燃料電池の現状と可能性/東京大学 橋本和仁氏▽固体高分子型燃料電池用電極触媒の現状と展望/同志社大学 稲葉稔氏      etc.

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(44)
 =環境税はCO2排出を抑制できるのか=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・世界を読む(28)
 <次期枠組みはCOP17に>


コラム
・発電論評<再可エネ導入拡大とコージェネの役割>
・ちょっと一休<華やかだった秩父の夜祭り>
・青空<年の瀬も押し詰まったが>
・ちょっと一言<PV施工士制度とバリューチェーン>


再生可能エネルギーとコージェネレーション【発電論評】

 エネルギー基本計画を背景に、新たなコージェネレーションの役割が見えてきた。6月に策定されたエネルギー基本計画では、エネルギーの低炭素化と安定供給を目的として、化石燃料の天然ガス化や再生可能エネルギーの大量導入の必要性が掲げている。
 再生可能エネルギーの拡大はいうまでもなく電源の低炭素化が目的であるが、それだけでは足りない場合には必要なエネルギーは化石燃料に頼るしかない。それには、CO2排出量の多い石炭、石油から天然ガスに代替することで、低炭素化を可能にするという戦略だ。エネルギー供給の主役が化石燃料から原子力や再生可能エネルギーに移り、化石燃料は補完エネルギーとしての役割になる。つまりエネルギーの主客転倒が起ころうとしているのだといえる。
 再生可能エネルギーは、電源のCO2フリー化を可能にはするが、気象条件などに左右されやすく、安定した電源とはなりにくい。また、大規模化が難しいという性質もある。つまり再生可能エネルギーを上手く利用するには、小規模な電源を集めて地産地消型のエネルギー源として活用していくという視点が不可欠になる。再生可能エネルギーは電力ネットワークに乗せて遠隔地で消費するという現在の電力需給のスタイルには最も不的確な電源であると言える。再生可能エネルギーの出力変動は原子力や大型火力などの大規模電源では対応できないため、出力抑制や連系抑制など、現在の電力ネットワークへの受け入れは既に、様々な課題があることが明らかになってきている。
 こうしたことを考えてくると、再生可能エネルギーを上手く活用するには地産地消型のローカルネットワークを組み、その調整電源として蓄電池やガスコージェネを中心に置くマイクログリッド型のネットワークがとすることが最も有効なのではないかと考えられてきている。
 ガスコージェネの駆動源はガスエンジンやガスタービン、そして開発中の燃料電池も入れることができる。どれも発電と熱供給を合わせた総合熱効率は80〜90%が期待できるもので、まさにエネルギーを無駄なく効率よく使い尽くせるシステムである。また、利用できる規模も1kW未満の小規模なものから数万kWまで必要に応じて対応できる製品が既に揃っている。
 今後の、エネルギー供給の低炭素化を突き詰めていくと、再生可能エネルギーを大量に、かつ効率的に利用するには地域エネルギーネットワークと、それを支えるガスコージェネという姿が浮かび上がってくるわけなのだが、そのためには、ガスコージェネを、そうした役割を担えるエネルギーシステムとしてブラッシュアップしておくことが必要になる。