2010年125

再可エネ買い取りで太陽光など出力抑制は行わず
 経済産業省は、12年度からの導入が目指されている再生可能エネルギーの固定価格買取制度で、系統安定化対策として検討を進めていた太陽光発電などの出力抑制を当面見送る方針を固めた。
 12月1日に開催された、WGの会合で、電力会社などが電力系統の安定化策として求めていた分散型電源側の電力不需要期の出力抑制を原則的には行わないとする方向で議論の取りまとめを進めることにした。
 再生可能エネルギーの出力抑制については、固定価格買取制度の導入によって、小規模でネットワーク側での制御が困難な分散型電源が大量に電力系統に接続される場合、5月の大型連休や年末年始の長期休暇など電力の不需要期に大量の余剰電力の発生が予想され、電力系統が不安定化や停電の懸念があるなどとして、分散型電源側の出力抑制を行う方向で検討が進められていた。しかしながら、特に問題となる家庭用の小規模な太陽光発電の導入量は現在200万kWを超えた程度であり、系統強化対策が必要だと考えられている1千万kW程度まで導入量が拡大するのはまだ当分時間があること、大規模な風力発電などは、現在でも系統連系に制約がある中で運用されていることもあり、原則的には出力抑制を求めず、例外的に一定規模以上の大容量の電源に限って系統運用者側の要請によって出力抑制を行うという現状とほぼ同様の考え方で検討結果を整理することになった。規模の目安としては500kW以上とすることが示されている。
 同日の会合では、再生可能エネルギー電力の系統アクセスの優先規定についても議論され、再生可能エネルギー電源に優位性を持たせ、電力系統の利用を優先的に取り扱うことを規定化、電力系統の運用機関として電力系統利用協議会が、電力会社との協議や紛争処理の円滑化を行う方向で整理されることになった。


電力排出係数に国内クレジットなども反映
 環境省と経済産業省は、温対法に基づき、電力ユーザーがCO2排出量の算定を行う場合に利用する電力の排出係数について、CDMクレジットなどを購入して排出量を低減調整した係数(調整後排出係数)の利用が認められることになっているが、それに、国内クレジット制度やカーボンオフセット用クレジット(J−VER)制度に基づくクレジットも反映できる方向で通達を改正することにした。
 11月29日に開かれた「温対法に基づく事業者別排出係数の算出方法等に係る検討会」の会合で、調整後の排出係数の算定方法の改善手法について検討、1月下旬にも通達の改正を行うことにした。
 同日の会合では、また、太陽光発電の余剰電力買取制度によるCO2削減効果の反映についても議論され、太陽光以外の全量買取制度の導入を前提として電力事業者間の配分方法や実排出係数へ反映させるのか、他のクレジットと同様に調整後の排出係数に反映させるのかなどの論点について、今後検討を進めていくことにした。


明電舎、黒煙を大幅に低減した非常用ディーゼル発電装置を販売
 明電舎は、発電機の始動時に排出される黒煙を大幅に低減した新型非常用ディーゼル発電装置を製品化し販売を開始した。
 排出ガスに含まれるNOXや黒煙、またCO2など環境規制が強まる中で、排出ガス規制の対象外となっている非常用ディーゼル発電装置の始動時に発生する「黒煙」の低減に対する要求は、近隣住民への配慮や企業イメージの面から、近年ますます強くなってきているといわれている。明電舎では、2006年にはボルボ社製エンジンを採用した黒煙低減型の450〜625kVAの出力レベルの非常用のディーゼル発電装置を開発、製品化し、そうした要請に応えてきた。その後も、低黒煙に対応した発電装置の大容量化の要望が強いことから、さらに開発を進め、今回、MTU社製エンジンを採用した750kVAと1千kVA機の開発を行い、新たに「ZX−E」シリーズとして製品化、販売を開始することとした。
 新開発した機種では、燃料噴射システムと電子制御による最適制御を行うことでエンジン内に噴射する燃料を高圧化して燃焼効率を上げ黒煙の発生を抑えた。また、エンジン小型化やパッケージ内の最適配置設計により、従来機種(1000kVA)より容積比で5%、質量比で14%小型化し、設置の省スペース化や設置工事の簡素化が実現できた。
 機能面では、発電機自動始動盤はマイコン制御対応し、始動時間は即時指導で停電検出から負荷投入まで10秒以内で完了できる。また、自動保守運転機能があり、定期保守運転が可能となっている。販売価格も現行機種より10%〜20%の低価格化を実現している。年間の販売目標は100台。


電気事業制度を環境対応型へ 検討小委が始動
 経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入などで今後の電力事業を取り巻く環境が大きく変わることを想定して、新たな競争環境の整備や供給する電力の低炭素化などにへの対応策を探ることを目的に、電気事業分科会に制度環境小委員会(委員長・山内弘隆一橋大学大学院教授)を設けて検討作業を開始した。
 小委員会の具体的な検討課題は、再生可能エネルギー固定価格買取制度の導入に伴う料金制度の対応や競争環境の整備、再生可能エネルギーの系統利用ルールの明確化やマイクログリッドの円滑な導入・分散型供給システムのあり方など。
 再生可能エネルギーの効率的な活用については、地産地消型の分散型のネットワーク利用が鍵を握ると言われており、小委員会でどのような整理がなされるのか今後の検討に注目が集まる。


その他の主な記事
・東京都が大規模事業所のCO2排出量を中間主計
・風力環境アセス景観でヒアリング
・COP16への期待パネル メキシコ大使館で
・大阪市が大阪環境ビジョン
・田中貴金属が燃料電池出荷量を発表
・東京ライツ・アフリカ2010開催
・シャープ、新型単結晶太陽電池セルを開発
・伊藤忠商事が米国でスマグリ実証に参画
・九州電力がインドで再生可能エネルギー発電事業に参画
・三洋電機がコンビニで蓄エネや創エネ
・三洋電機がリチウム電池の新工場
・産総研が新たな有機太陽電池の開発に目途
・住友商事がフランスで太陽光発電に参画
・16日にGTシンポ
・環境省がカーボンオフセットEXPO
・産総研が3月に第6回新エネシンポ
・次世代バイオマス利用開発決まる
・大阪市が地球温暖化フェア
・地球温暖化防止月間の行事を発表  etc.

<インタビュー>
・環境エネルギー政策の行方を聞く
(たちあがれ日本 参議院議員 藤井孝男氏)
 地球温暖化問題を解決していくことは、誰もが一致する政治的課題である。現政権の外交には資源外交の視点が欠けていると指摘する、立ちあがれ日本・参議院議員の藤井孝男氏に、地球温暖化問題を解決のためには、どのような戦略のもとで日本を成長させていくことが必要なのか、お話を伺った。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革--M 「走る家電」の環境インパクト=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・「新成長戦略」と分散型エネルギー そのE
 =通信技術と次世代車両への期待=
 筒井 勇・株式会社矢野経済研究所 自動車&インダストリーテクノロジー事業部 研究員・法学博士
・書評
 「電力・ガス業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本」(第2版)
 本橋恵一著 秀和システム



コラム
・発電論評<低炭素型電源が実現できること>
・プリズム<北陸で天然ガスの2大インフラ>
・ちょっと一休<不動産学会の表彰>
・青空<祝い事あり>


低炭素型電源が実現できるもの【発電論評】

 日本のCO2排出の現状を見るとき、産業部門のCO2削減対策はかなり進んでいると言えるが、業務用や家庭用など民生・業務部門の対策が遅れている。家庭や業務用のエネルギー需要の多くは電力が占めていることを考えると、電力のCO2排出量を削減できるかどうかが対策の鍵を握っていると言える。
 対策は2つ。電力消費量そのものを削減するか、電源を低炭素型電源に切り替えるのかどちらかということである。
 電力消費量を削減する、つまり省エネは、需要設備を省エネタイプのものに切り替えるか、少々の不自由さを我慢するのかということになるが、省エネが進むと、エネルギー需要が減る。その結果エネルギー産業は供給量が減り、産業の疲弊化につながる。全てが省エネ効果というわけでもあるまいが昨今のエネルギー業界は需要不足が現実的に深刻化してきている。
 消費する電力を低炭素型に換えるというのはどうか。低炭素型電源というのは、現実的には原子力と水力と再生可能エネルギーと言うことになる。これに高効率のコージェネや燃料電池を加えてもいいが、低炭素型の電源に切り替えるとCO2削減を目的とした需要側での対策はほとんど不必要になる。需要を減らしてもCO2削減効果が薄いからである。 さらに、低炭素型電源は電力コストも低減できる可能性がある。電力会社によれば原子力発電コストは全電源の中で最も低コストだとされているし、再生可能エネルギーもイニシャルコストはまだ割高でも、水や太陽光、風はそもそも無料なので、イニシャルコストが回収できれば、それ以降は低コスト電源として利用できる。
 低炭素電源のもう一つのメリットは、国産エネルギーが利用できるという点だ。太陽光も風力も「国産」であることを考えれば、エネルギー自給率の向上につなげられる。
 また、出力が不安定だとされる風力や太陽光利用が増える結果、副次的な効果として蓄電技術が飛躍的に発達し始めていることもメリットとしてあげていいだろう。今まで貯められなかった電力が貯蔵できるようになると、発電と需要を切り離すことができるため、高効率利用がさらに進められることになる。また、貯蔵した電力は、国内需要を賄うだけでなく、蓄電船などで輸出するようになるかもしれない。
 このように考えてくると、低炭素型電源の拡大を追求することで、エネルギー輸入型社会からエネルギー自給型、あるいはエネルギー輸出型社会への転換も夢ではなくなる。今はまだ、実現性がとても薄いかもしれないが、低炭素型電源社会の実現の先にそんな未来型社会の創出を描いてみるのもいいのではないか。