2010年1125日号

RPS法廃止を提案、全量買取制度に移行
 RPS法の廃止の方向が固まった。経済産業省は、11月16日に再生可能エネルギーの固定価格買取制度導入後にRPS制度を廃止を、買取制度小委員会とRPS法小委員会の合同会合を開催し提案した。対象電源が買い取り対象になることでRPS制度の義務対象電源のほとんどが買取制度に移行すると予想されるため、RPS法の規制が空文化すると予想されるため。
 2003年から導入されたRPS法は国内で販売される電力の一定量を再生可能エネルギーとすることを電力会社に義務づけ、現在は1%余りが再生可能エネルギー電力になっている。しかしながら、RPS法導入時には世界一だった太陽光発電の導入量も伸び悩み、固定価格買取制度を導入したドイツやスペインなど欧州各国に導入量で大幅に遅れをとるなど、RPS法の低い目標量に批判が集まる中で政策の見直しが求められていた。
 同日の委員会では、RPS制度導入前の既設電源の取り扱いについては、買い取り対象から外すこと、RPS制度導入後に新設された電源については事業者の投資回収に配慮する必要があるとして買い取り対象電源に加えること、バンキング電力量の取り扱いについては、バンキングが無くなると、制度の移行期間となる11年度はバンキング電力が大量に市場で放出されることなり、市場の混乱が予想されるとして何らかの配慮が必要だなどとする意見が述べられた。


経産省がボトムアップ方式の基本的考え方を取りまとめ 排出量取引で
 経済産業省は、同省が排出量取引制度の排出枠の設定で提案している「ボトムアップ方式」の基本的な考え方について、11月17日に開いた産構審の政策手法ワーキンググループに提案した。
 環境省が進めている制度案では、一定量以上のCO2排出する大規模事業者に対して個々に排出枠を定め、排出枠を超えるものについては別途排出枠を購入するなどして排出枠の遵守を求める「トップダウン型」の規制になるのに対して、京都議定書目標達成のために産業界が取り組んでいる自主行動計画をベースに実行可能な自主目標を積み上げて排出枠を決めるという考え方。
 同日、提案された基本的な考え方では、ボトムアップ方式では目標通りに削減できる担保が内という批判に対しては、経済合理性、技術的根拠などの目標の妥当性を客観的に評価・検証できる仕組みを導入すること。自主目標を定めない、いわゆるアウトサーダーについても目標や削減計画の作成を義務づけることなどを提案している。また、対象とするのは、一定量以上の大口排出者や電力事業者や大手ガス事業者などに限定すること。目標達成できない場合利用できるクレジットは課題の多いCDMクレジットではなく、既に実施されている国内クレジットや両国政府の承認だけで実施できる二国間クレジットが利用できるようにすることなども盛り込まれている。また、目標の遵守は単年度ではなく複数年度の平均とすることや目標設定の主体は企業単体の他業界団体にも認めること、削減目標としては原単位目標も認めることなども提案された。


CO2を常温・常圧でハイドレート化 JFEエンジが低コストの回収法を開発
 JFEエンジニアリングは、ほぼ常温・常圧でCO2をジェル状の固体であるハイドレート化して分離回収できる技術開発に成功したと発表した。
 CO2を微細な気泡にして水と混合し、微量の蓄熱材(水和物スラリ)を加えるとCO2がハイドレート化する温度や圧力条件が大幅に緩和されることがわかった。同社が行ったベンチ試験では、0.11MPa、18度Cというほぼ常温・常圧の環境下でCO2がハイドレート化し、簡単に分離回収が行えることが確認できている。
 使用する蓄熱剤は同社がNEDOと共同開発した蓄熱媒体で、7度度程度でハイドレート化する新しい物質。「ネオホワイト」の商品名で販売している。
 ハイドレートは一定の温度や圧力条件下で気体が水に閉じ込められシャーベット状の固体になったもので、近年日本近海の海底に大量のメタンガスがメタンハイドレート化して存在していることで話題になっている。
 JFEエンジニアリングの発表によると、実プラント規模で運用するとCO21トンあたり2500円程度のコストでCO2の分離・回収が行えるという。今後、火力発電所や製鉄所などの大規模プラントでの実証試験を行い実用化が目指される。


日本経団連が「CO2削減自主行動計画」のフォローアップ結果を公表
 日本経団連は、京都議定書の目標達成計画の取り組みとして進めている「環境自主行動計画」のフォローアップ結果を公表した。産業・エネルギー転換部門で参加している34業種の排出量の実績は、90年度比で16.8%減、09年度比では6.8%の減少となっている。
 政府の目標達成計画では、産業・エネルギー転換部門の削減分は90年度比プラスマイナスゼロであり、目標を大幅上回って達成できている。


〈特集〉第17回都市環境エネルギーシンポジウム
 都市環境エネルギー協会(尾島俊雄理事長)が主催する「都市環境エネルギーシンポジウム」が10月25日に開かれた。「低炭素型都市づくりの取り組み スマートシティーを目指して」をテーマに催された今年のシンポジウムでは、エネルギーのスマート化をキーワードとしてエネルギーの低炭素。高効率利用を実現するスマートコミュニティーやスマートシティーのあるべき姿などについて講演や、パネルディスカッションなどが行われた。シンポジウムの模様を特集した。

その他の主な記事
・環境省が排出量取引でとりまとめを開始
・中長期ロードマップで素案
・電気事業分科会制度環境小委を設置
・日本経団連がCOP16に向けて提言
・2010コージェネシンポ開催
・8月末のRPS認定設備
・グリーンデバイス2010
・温室効果ガス創出支援、10件採択
・環境保全レビュー、公表イベント(OECD)
・15年のエネルギーデバイス市場を予測
・九州電力のメガソーラーが竣工
・三菱重工業がリチウム電池の量産化工場を建設
・産総研が省エネ型ブタノール回収技術
・双日と川重がロシア極東地区のコージェネ事業で契約
・低コストで高効率な熱電材料を開発
・東京スカイツリー地区の熱供給事業の概要決まる。
・東北電力が二つの石炭火力でバイオマスを混焼
・日本総研が中国で省エネ推進に協力
・1月に省エネ人材研修
・1月に大阪でカーボンカンファレンス
・GTシンポ10開催
・J−VER第5次決まる
・NEDOがBEMS事業の報告会
・NEDOの省エネフォーラム
・OECDが環境レビュー
・12月のJPIセミナー
・12月のSSKセミナー
・エネ研が国際エネシンポ
・温室効果ガス創出支援、10件採択
・電機工業界が燃料電池講演会  etc.


<AES連続インタビュー>
・石油会社が目指す「マルチエネルギーステーション」
(東京工業大学特任教授/JX日鉱日石エネルギー研究開発本部研究開発企画部 副部長 斎藤健一郎氏)
 石油会社にとって、低炭素社会はそのままでは石油が売れない社会を意味する。しかし、水素や再生可能エネルギーであればCO2は排出しない。元売りからサービスステーションまで、しっかりしたサプライチェーンもある。この資産と技術開発で、石油会社はどのようなエネルギーやサービスを提供するのかが課題だ。斎藤氏が語る「マルチエネルギーステーション」は、その答の一つとなりそうだ。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流 C
 =中国のエネルギー供給制限=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一氏)
・カーボン・マネジメント入門(43)
 =韓国の排出量取引所の姿=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・新刊紹介:『ガスワン三代 時代に流されない地続き経営の極意』
 (川本武彦著 ダイヤモンド・ビジネス企画/ダイヤモンド社)




コラム
・発電論評<再生可能エネルギー拡大と電力系統の課題>
・ちょっと一休<同級生の嶌君の講演>
・青空<大学院は出たけれど>
・霞ヶ関から<京都議定書の延長論>


再生可能エネルギー拡大と電力系統の課題【発電論評】

 再生可能エネルギーの利用拡大の課題として電力系統の強化が必要だとされる。太陽光発電などの小規模分散型電源が大量に低圧の系統に逆潮連系されると、電力会社の系統制御に支障が出てしまい、最悪の場合、停電の恐れがあるという。その対策としてはネットワーク側に蓄電池を置くなどして強化を図ることや逆潮側の出力制御などが考えられている。
 いずれの場合もネットワークを維持するコストをどちら側が負担するのかと言うことにつながる議論なのだが、議論の中心は、再生可能エネルギーをどのようにして拡大させるのかというよりもどちらがコスト負担の押し付け合いという議論にすり替わってしまっている感がある。
 再生可能エネルギーの拡大は電力コストを押し上げるだけだというもので、結局は、系統側への逆潮電力は少なければ少ないほどよいという考え方が読み取れてしまう。電力会社側にとってみれば、自社の電源計画にはない分散型電源が、無制限に増えてしまうことには反対だということだと思われるが、対策がないわけではない。系統電力と小規模分散型の電力の供給ルートを切り離すことができればよいのである。
 逆潮電力を最小にするには、自家消費電力を多くすればよいというのは簡単な理屈である。自家消費できない余剰電力は、周辺で利用すれば系統側の負担も最小のものにできる。そのためには、ごく限られた地域ネットワークとして地産地消型の電力需給が行えるようにすることだ。既存の電力会社がそれにかかわりたくないのであれば、新たな地域型のPPSが参入できるような制度改革を行えばよい。いわゆるグリーンPPSというものだが、現在はまだ自由化されていない家庭用などの低圧部門も含めて、電力販売ができるようになればそれが実現できるのではないか。
 需要家が設置する太陽光発電の余剰電力だけでなく、事業者が屋根や敷地を借りて太陽光発電を設置して、発電した電力をグリーン電力として販売する。そういう事業が可能になれば、再生可能エネルギーで発電された電力をCO2のない環境価値を付加したグリーン電力として販売できるようになる。需要家側にとっても、購入する電力の電源選択が可能になり、再生可能エネルギー起源の電力を購入したいという需要家の要望に応える道が開けることになる。
 需要が増えれば電源の必要性が高まり、さらに電源設置が拡大するという好循環が期待できる。その実現には、家庭用などの低圧を含めた小売り自由化の拡大などの制度改革が必要になる。全面自由化が無理なら、グリーン電力に限定して、自由化を認めるという試みからまず始めてみるという方法もあるのではないか。