2010.11.15


2010年1115日号

省エネ製品製造者に、排出枠を追加交付 環境省が排出量取引検討で
 環境省は、国内排出量取引制度の詳細設計の検討で、排出枠の設定にあたっては、省エネ製品などを製造する企業に対して、製造した製品が使用されることで削減できる省CO2効果も一定量を認める方向で、その場合の考え方を11月9日に開催された検討を行っている小委員会で示した。
 製品の使用段階での削減効果については、従来製品に比べて製造時の排出量が増加することになる場合は、その差分を追加の排出枠として無償で交付するという考え方。
 製品の使用時での排出削減効果排出量取引制度での排出枠に反映させることについては、省エネ・省CO2製品の製造普及にインセンティブを与えることとなるとする肯定的な見方と使用段階での削減効果の算定は使用条件や使用環境などによって異なるため定量的な評価が難しいとする考え方や使用時の削減効果は製品を購入して削減に取り組むユーザー側でカウントされるため、削減効果が2重にカウントされてしまうなどの否定的な考え方もあり、導入は困難視されていた。
 実際の制度設計にあたっては、最終製品でなく部品や中間製品段階でどの程度の配慮ができるのかなど残された課題もまだ多い。


25%削減は3施策だけでは達成できず 環境省が見通し
 CO2削減25%の中期目標は、環境税と排出量取引、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の3施策だけでは達成が難しいという見通しを環境省が明らかにした。
 2050年までの中長期のCO2削減目標達成のあり方について検討している環境省の中長期ロードマップ小委員会は、11月10日に第16回の会合を開き、中長期ロードマップの経済影響分析を行ったなかで、目標達成には現在検討されている3施策だけでは不十分で、それを補うためには高額な環境税の導入など新たな規制措置が必要になるという分析結果を公表した。
 再生可能エネルギーの導入については、エネルギー供給WGの分析として、国内の削減量を15%とするケースでは、太陽光発電の買い取り価格を12年には44円、20年には24円程度にすること、20%削減のケースでは48円から26円に、25%削減のケースでは53円から27円にする。中小水力は25円(15%)、20円(20%)、25円(25%)。陸上風力は12年に22円、20年には18円。洋上風力は30円。地熱発電は20円の一律の固定価格で、バイオマス発電も同様に22円で買い取れば、15%削減ケースでは、原油換算で5200万kL、20%削減ケースで5700万kL、25%削減ケースで6300万kLの削減が期待できる。この場合、再生可能エネルギーの1次エネルギーに占める割合は、15%削減ケースでは10%。20%削減ケースでは約11%、25%削減ケースでは約12%になると試算している。
 小委員会が想定している固定価格買取制度は経産省が検討しているものとは全く異なるものであり、今後論議を呼びそうだ。


09年度のエネ需給は2年連続で減少 CO2排出量は90年代前半レベルに
 資源エネルギー庁は、2009年度のエネルギー需給実績(速報)をとりまとめ公表した。最終エネルギー消費は08年度に引き続いて、景気悪化の影響等により対前年度比2.3%減とさらに減少、また、エネルギー起源の二酸化炭素排出量も5.6%減と、ともに2年連続して減少となった。
 部門別に見ると、産業部門が2.2%減。民生部門でも、業務部門の低下が目立ち2.4%減。また運輸部門の消費量も輸送量の減少により2.3%減と各部門で平均的に減少するという結果となった。
 CO2削減の基準年である90年度比では、産業部門が12.2%減と大幅に需要量が減少しているのに対して、民生部門では32.1%増、運輸部門では5.4%増と、民生部門での需要水準がまだ高い。
 CO2排出量の換算値を見ると、09年度のエネルギー起源の排出量は前年度比で5.6%減、90年度比では1.5%増となり、基準年をわずかに上回っているものの、ほぼ90年代前半の排出水準にまで低減。部門別では、産業用は前年度比で7.9%減と大幅に排出量が削減され、90年度比では19.9%減と基準年の排出量を大幅に下回っている。


川崎重工、MW級超電導モーター開発に目途
 川崎重工は、大型船の推進機や産業用の大型駆動装置用などの超電導モーターの試作機による実証実験を同社技術研究所(兵庫県明石市)で実施し、国内最高出力となる450kWを達成、メガワット級の超電導モーターの開発に目途を付けたと発表した。
 開発した超電導モーターは、超電導コイルを回転部へ配置し、その中を超低温ガスで冷却する方式を用いた。鉄芯がなく強力な磁場を発生できるため従来のモーターと比べて半分程度の大きさに小型化でき、大幅な省エネ化と省スペース化も可能になる。
 試作機は1MWの出力を想定したもので、1極あたり6個あるコイルのうちの2個を使って試験した結果、450kWの国内最高出力と98%の高効率の達成が確認し、試作機のコイルをすべて使用すれば、1MWの出力が得られることが確認できた。
 船舶分野では、省CO2対策として電気推進船の導入が世界的に始まっており、大幅な省エネが期待できる超電導モーター技術には大きな期待が集まっている。
 川崎重工では、さらなる高効率化・小型化を目指して3千kW機の開発にも着手しており、将来的には、中・大型の商船や、産業用の発電機、モーターとして商品化を図ることにしている。


その他の主な記事
・再可エネ熱利用でコージェネなどヒアリング
・買い取り価格と期間について検討
・スマートグリッド開発動向調査レポートを刊行
・太陽光発電の第2四半期出荷量まとめ
・NECがクラウド型急速充電器を開発
・NTTファシリティーズが通信機能付きの急速充電器
・可搬型フレキシブル太陽光発電を開発
・三井物産がスペインで太陽熱発電事業に参画
・富士電機らが持ち運びできるソーラー発電シートを開発
・川崎重工がロシアサミット向けにGTコージェネを追加受注
・東京ガスらが業務用太陽熱利用システムを商品化
・東京ガスらが未利用温水を蒸気に変換して熱利用
・東芝が東京・府中にスマグリ開発拠点
・NEDOがクリーンコール調査委託
・NEDOが高度利用の非化石活用などで研究委託
・有機資源協会がコンポスト管理者研修
・スマートエナジーが環境無料セミナー
・スマグリの蓄電池標準化調査委託先を募集
・環境省が11年度の新エネ技術開発の実施予定を公表
・環境省が自治体向け新エネ補助で4次募集
・高効率エネシステム導入支援成果報告会
・太陽光発電施工12月の無料講習会
・日本とアイスランドの地熱開発でフォーラム
・北九州で低炭素シンポ    etc.


<インタビュー>
・環境エネルギー政策の行方を聞く
(自由民主党参議院議員・参議院環境委員長 北川イッセイ氏)
 参議院環境委員長の北川イッセイ氏から最初に出た言葉は「民主党さんも、みんなが25%削減に賛成なわけじゃないんでしょう」ということだった。地球温暖化対策基本法案は閣議で了承されたものの、まだまだ国民的な議論の余地があるということだ。一人歩きする25%削減は、日本の国益を損なうことになってしまうのか。日本は温暖化対策をどのように国益に結び付けていけばいいのか、話を伺った。



燃料電池新聞の主な記事
・エネファームの2010年度上期の販売実績
・レンジエクステンダーとしての燃料電池
・海外ニュース
 -英セレスパワー、家庭用SOHC燃料電池コージェネの試運転を実施
 -米アドビシステムズ、ブルームエナジーのSOFC発電装置を導入
 -米コカコーラ、ブルームエナジーのSOFC発電装置を導入
 -上海万博会場の燃料電池自動車、順調に運転を継続中
 -英AFCエナジーとB9コール、石炭ガス化発電所に300MWのAFC設置で正式契約
 -独ダイムラー、カリフォルニア州でFCVのリース販売を開始
 -伊フィアット、リチウムイオン電池搭載の新型FCV「パンダ」公開
 -米シグナ、200W燃料電池をレンジエクステンダーとして利用する電動自転車を開発
 -米ブルームエナジー社、100kW級SOFC燃料電池の1日1台の生産を計画
 -ノルウェーNPS、ディーゼル燃料改質によるSAFC(固体酸形燃料電池)の試験運転を開始
 -米BMW、米南カロライナ州の組立工場に燃料電池フォークリフト85台導入
 -現代自動車、2012〜2014年にかけて2000台のFCVリース販売を計画
 -中国上海汽車、2015年に1000台規模のFCVの生産開始
 -米エレクトリック・カー・カンパニー社、ニー・パワー社の燃料電池を組み込んだEVを開発
 -米DOAとNERL、MCFCとPAFCの技術とコストの分析レポートを公開
 -中国の電気自動車の生産能力、2020年に100万台
 -米JDパワー、2020年のHEV、EVの販売台数は約520万台と発表
 -米プラグパワー、アイダテックに定置型燃料電池の資産を売却
 -米ベタープレイス、2011年からサンフランシスコでバッテリー交換式のEVタクシー試験を実施
 -Fuel Cells 2000、米大手企業の燃料電池導入状況を調査レポートとして公表
・燃料電池フラッシュニュース
 -東京ガス山梨、国産天然ガス対応の家庭用燃料電池のモニター試験を開始
 -豊田市、バス路線で燃料電池バス試験運行を開始
 -大阪ガスと田淵電機、燃料電池・太陽光発電兼用のパワーコンディショナーを共同開発
 -三井不動産レジデンシャル、家庭用燃料電池を標準装備した分譲住宅8戸の販売開始
 -日本触媒、ブルームエナジー向けジルコニアシートの生産量が増大
 -京葉ガス、既築住宅向けに家庭用燃料電池「エネファーム」販売開始
 -深井環境総合研究所、ニューヨークで水素製造技術の発表記者会見を開催
 -ホンダ、燃料電池電気自動車「FCXクラリティ」を福岡県庁に納車
 -日立製作所と米ジョンソンコントロールズ、先端蓄電分野での提携に向けて検討を開始
 -山梨大、日産自動車、本田技術研究所と燃料電池の共同開発をスタート
 -北九州市に副生水素を使った水素アパートがオープン
 -トヨタ自動車、プリウスPHVの実証実験を2010年内に中国で開始
 -日産自動車、追浜工場でEV「日産リーフ」の生産を開始      etc.

・燃料電池インフォメーション
 ■広島私立大学「10年度第2回水素エネルギー利用開発研究会」
 11月25日(木) 広島大学東広島キャンパス(広島県東広島市) ○概要 ▼特別見学会:広島大学小島研究室・水素貯蔵物質研究室(水素貯蔵材料の最先端技術を見学)▼セミナー:「日本の宇宙開発最前線を語る」三菱重工業 前村孝志氏/「マイクロ水力発電のススメ」東京発電 稲垣守人氏/「ホンダにおける燃料電池電気自動車への取り組みと小型水素ステーションの開発」本田技術研究所 守谷隆史氏
 ■電気化学会「第4回山梨燃料電池実用化推進セミナー」
 11月30日(火) 山梨大学燃料電池ナノ材料研究センター(山梨県甲府市) ○概要 「スマートグリッドの動向と定置用燃料電池の位置づけ」富士電機ホールディングス 樺澤明裕氏/「燃料電池を利用したクリーンエネルギー社会の実現と課題」山梨大学 内田誠氏
 ■日本電機工業会「第61回新エネルギー講演会『一般住宅に普及してきた燃料電池』」
 12月1日(水) 電機工業会館(東京都千代田区) ○概要 「燃料電池に関する政府の取り組み」資源エネルギー庁 縄田俊之氏/「世界に先駆けた〈エネファーム〉の製品化と産学官連携」東芝燃料電池システム 永田裕二氏/「エネルギーを使う住宅からエネルギーを供給する住宅へ」積水ハウス 石田建一氏/「燃料電池の普及に向けた要望」ENEOSセルテック 田島收氏
 ■電気化学会「燃料電池研究会第110回セミナー」
 12月1日(水) 電気化学会会議室(東京都千代田区) ○概要 海外の学会における燃料電池関連の発表紹介(米国エネルギー省の水素プログラム、フューエルセルセミナー2010など)      etc.

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(42)
 =温暖化対策基本法関連ニュースの読み方=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・世界を読む(27)
 <米中間選挙後の環境エネ政策の行方>


コラム
・発電論評<固定価格買い取りで廃止される補助制度>
・ちょっと一休<カンボジアのフォーラム>
・青空<専門紙の価値>
・ちょっと一言<成長するASEANから学ぶ>


固定価格買い取りで廃止される補助制度【発電論評】

 太陽光発電や風力発電などの新エネルギーシステムは、イニシャルコストが高額であり、火力発電など既設のエネルギーシステムと比べてコスト競争力が低いため普及が思うように進まないといわれる。そのため、イニシャルコストの負担を少しでもなくすために国や自治体などでは補助制度を設けて導入支援を行っている。
 経済の長期にわたる停滞の中で、エネルギー需要も頭打ち。そうした中でコスト競争力に劣る新エネルギーシステムは、ますます拡大への弾みがつきにくい状況となっている。コストの安い既設電源を押しのけて、環境負荷の少ない新エネルギーの普及拡大を目指すにはまだまだ補助支援の必要がある。
 ところが、こうした新エネルギーシステムに対する国の導入補助制度が2011年度からはほとんど廃止されてしまうという。
 国のエネルギー関連補助制度のほとんどを所管している経済産業省は「2011年度は事業者に対する新たな再生可能エネルギー発電設備の導入補助への予算措置を無くす」ことにしている。その理由は、12年度から再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度の導入を行うため、補助制度を存続させることは支援措置が過剰になるというのだ。事業仕分けで補助制度の廃止が結論づけられたこともある。
 しかしながら、前述のように、初期費用の高いことが最大のネックとなって普及に弾みがつきにくい新エネルギーシステムにとって、導入費用の負担が少なくなる補助制度は最も効果的な支援措置だということは変わらない。補助制度より固定価格買取制度の方が再生可能エネルギーの拡大にはより効果が高いという判断も、なぜそうした結論になるのかわかりにくい。
 現在検討されている固定価格買取制度は、15年〜20年間発電した電気を固定価格で買い取ることで導入費用が回収できるようにするという考え方で制度化されようとしている。買い取りに必要なコストは国が負担するのではなく電気料金に上乗せして回収され、発電量に応じて配分される。導入時に強制的に貯蓄してもらって、一定額を毎年引き出してもらうという制度だとも言える。
 例えばそれを逆にして、期間中に買い上げられる発電量相当総額を導入時に前倒しして支払うという制度にすれば、全額補助制度が創設できる。そうすれば、「無料」で太陽光発電や風力発電が導入できることになり、より大きな効果が期待できるのではないか。買い取りに要するコスト負担の総額が変わらないのであれば、それも一考に値しよう。
 買取制度をつくるから既存の補助制度は最早不要だという短絡的な結論は、再考の余地があるのではないか。