20010年115

全量買い取りコスト回収方法などまとめ 専門機関を設立して分配
 経済産業省は、再生可能エネルギーの全量買取制度の買い取り費用の算定方法や回収方法などの技術的課題などについて検討を行っている次世代送配電システム制度検討会第2ワーキンググループの第4回の会合を開き、報告書案の取りまとめを行った。
 全量買取制度を導入した場合の電力の買い取り義務者の定義や、固定価格以外での買い取り方法、買い取りコストの算定や回収方法などについて考え方をまとめた。買い取り義務は電力会社のほか、限定地区に供給エリアを持つ「特定電気事業者」も加えることや、PPSについても買い取り義務は負わないものの「買い取ることができる」と整理された。また、電力会社の自社電源については、地域の発電会社などを設立して運用する場合は買い取り対象とすることができる。買い取り価格は固定価格より高額な価格で買い取ることもできるが、超過分については事業者の負担になる。
 コストの回収方法については、買い取り価格から運転が不要となる全電源平均の発電コストを差し引いた額を電気料金に上乗せして回収する。回収時期は、現行の翌年度精算方式ではなく、見込み発電量によって事前に上乗せ料金を決め、過不足については翌年度以降に調整するという方法がとられる。事後精算では電力会社に金利負担が生ずることなどを変更理由としてあげている。回収したコストの分配は、精算機関を別途設立して買い取り実績に応じて各電力事業者に分配する。


風力発電の環境アセス基準の検討始まる
 環境省は、風力発電による騒音問題の発生などを背景に、一定規模以上の風力発電施設についても環境アセスの対象とする方針を固め、規制対象とする風力発電施設の規模や評価基準の内容、法規制と条例規制の棲み分けなどについて具体的な検討を行うため検討会を設置して議論を開始した。
 検討会は「風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会」(座長・浅野直人福岡大学法学部教授)で、10月29日に開いた初会合で、規制対象とする風力発電の規模要件や環境影響評価の項目と調査・予測、評価手法の基本的な考え方などを検討課題とすることを決めた。来年夏頃をメドに検討結果を報告書にまとめる。
 風力発電については、国内の導入量が200万kWを超え、最近では大規模ウィンドファーム型の施設建設が進んでいることなどから、景観問題やバードストライク問題に加え、低周波音などによる騒音問題が顕在化してきている。


ガスコージェネ50%拡大に向け検討開始 経産省のWG
 天然ガスの高度利用に関する検討を行うために設けられた2つのWGのうちの燃料転換・高度利用に関するWGが第1回の会合を開いた。
 WGは、低炭素社会のガス事業のあり方についての検討会の下に設けられたもので、天然ガスの燃料利用シェアを20年までに50%以上増とすることや天然ガスコージェネを現状の50%増以上とするなどの、エネルギー基本計画の目標達成のために必要な対策や支援策などについて検討を行う。
 コージェネの拡大については、天然ガスコージェネの持つ省エネ性や省CO2性が適正に評価されることや、コスト低減対策が主な検討課題となる。コージェネの環境評価については、全電源平均の排出係数との比較されることが多く、公平な省CO2性の評価には比較対象を火力発電とするべきだとの議論もあり、原点に立ち返った根本的な検討に踏み込むことも同日の会合では話し合われた。
 WGでは、天然ガス利用ニーズや利用実態などを把握するため大規模工場や業務用需要家など約5千件を対象にアンケート調査を行うことや天然ガスのパイプライン利用の先進地域として欧州地区での現地調査なども行い、年度内を目標に報告書を取りまとめる。


ユーグレナと住友共同電力が火力発電所が排出するCO2でミドリムシの培養実験
 ミドリムシ(ユーグレナ)の栽培でCO2を固定化する技術開発などを行っているユーグレナと住友共同電力は、住友共同電力の壬生川火力発電所の排出ガスを用いて微細藻であるミドリムシを培養する実証実験及び共同研究を開始する。火力発電所の排ガス中のCO2を光合成して栄養化する。
  地球温暖化の原因の一つと言われているCO2固定化方法として、植物や藻類などが行う光合成によりCO2を有機物に変えバイオマス燃料として活用する技術開発が行われており、中でも高等植物などに比べて高いCO2吸収能力を持つ微細藻類などに注目が集まっている。火力発電所から排出されるCO2吸収技術として実用化が期待される。


その他の主な記事
・環境省、排出量取引制度小委で個別論点の検討
・経産省が買取制度説明でシンポジウム
・ガスの記念日で式典開催
・スマグリテーマにNEIF第16回会議を開催
・横浜Sシティ、APECに併せデモ展示
・電中研が低炭素技術で成果発表会
・JXが集合住宅用太陽光を全国販売
・サニックスが中国で太陽光発電設備を製造
・ソーラーフロンティアがサウジにメガソーラー
・関西電力らがニッケル水素電池で大型蓄電装置
・産総研がリチウム電池の新負極材
・昭シェル、サウジに10MWの太陽光を納入
・太陽光とLEDで独立電源型屋外看板
・太陽光発電専門校、関西でも開校
・東芝がまたメガソーラーを受注
・日本ラッドが省エネ型データーセンター
・豊田通商が米国でコージェネ事業に参画
・10年2次省エネ革新技術開発決まる
・J−VERで新たに3プロジェクト追加
・NEDO、2次電池ロードマップ見直しで委託先募集
・NEDO、海洋エネルギーポテンシャルの把握調査委託先
・カーボン・オフセットリーダー研修
・規格協会がスマグリでワークショップ
・大阪新エネフォーラム、イメキャラに鉄腕アトム  etc.

<インタビュー>
・風力発電の開発に向けた課題と政策
(日本風力発電協会 代表理事 永田哲朗氏)
 風力発電は世界で最も導入量が多い再生可能エネルギーであり、コストの面でも系統電力との競争力を獲得しつつある。しかし日本では、海外諸国と比べると開発のテンポは遅い。開発を遅らせる要因は何なのか。固定価格買い取り制度への要望などを含め、日本風力発電協会代表理事の永田哲朗氏に話を伺った。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革-- L 「臨床環境学」の確立に向けて=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授
・「新成長戦略」と分散型エネルギー そのD
 =分散型エネルギーの海外での適用事例と我が国における適用可能性=
 筒井 勇・株式会社矢野経済研究所 自動車&インダストリーテクノロジー事業部 研究員・法学博士
・書評
 「スマートグリッドの構成技術と標準化」
 横山明彦著 日本規格協会



コラム
・発電論評<コージェネ促進で見える低炭素社会>
・プリズム<エネルギー特別会計の真相>
・ちょっと一休<すごい先輩たち>
・青空<2年ぶりに福岡に出張した>


コージェネ促進で見える低炭素社会【発電論評】

 低炭素社会の構築に向けて、天然ガスの高度利用に向けた取り組みが本格化してきた。化石燃料の中でも天然ガスは、その低炭素性やエネルギー源の多様化の観点から化石エネルギーの主流の座を石油から奪うことになりそうで、その中核技術となるコージェネレーションに改めて期待が集まっている。
 コージェネレーションは、いうまでもないが発電用に使った廃熱も熱エネルギーとして再利用することでエネルギー効率を著しく高めることができるという技術。省エネ技術として従来から普及しているが、ここにきて大幅に省エネルギーや省CO2が実現できる環境エネルギー技術として再び脚光を浴びてきた。
 省CO2の観点から見れば、コージェネには更なるメリットが期待できる。それは再生可能エネルギーとの親和性がとても高いということである。
 再生可能エネルギーとして導入量が多い風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーは出力が不安定であり、必要なときに必要な電力を供給することができないという「使いにくい」「あてにできない」ことが欠点だが、その出力の不安定さはコージェネシステムと組み合わせることで解消できる。自然エネルギー側の出力変動にあわせてコージェネの運転パターンを変えることで、必要な電力が必要なときに必要なだけ供給できるという理想的な電源として生まれ変わらせることができる。
 その時に、コージェネ側の燃料をできるだけバイオマス燃料を混ぜるなど低炭素化する工夫をすれば、さらなる省CO2が目指せる。また、余剰電力やバイオマスを利用した水素を燃料にすれば、コージェネと再生可能エネルギーでCO2ゼロ電源とすることもできる。
 ガス燃料を使用するメリットは、バイオガスも使えるということも大きな利点の一つである。生物起源のバイオガスは豊富な原料が存在している。家畜排泄物や下水汚泥などから生成するメタンガスや木材などの植物系のバイオガスも比較的簡単な装置で製造することができる。これらの技術は個々には古くから利用されているものであり、それを低炭素型燃料として利用する仕組みや場所が提供できれば国産エネルギーの拡大にもつなげられることになる。
 そうした視点に立てば、太陽光発電と燃料電池やガスエンジンコージェネと組み合わせたダブル発電は、コージェネは再生可能エネルギー拡大のサポート技術となるというモデル技術だということもできる。
 コージェネレーションを普及させるという観点から、低炭素型の未来のエネルギー供給形態を想像してみると、また違った姿が見えてくるといえそうだ。