2010.10.15


2010年1015日号

環境省が風力発電施設の騒音問題で実態調査結果を発表
 環境省は、国内に導入されている風力発電施設の騒音・低周波音の実態調査を行い、389カ所の風力発電施設のうち、騒音・低周波音に関する苦情が寄せられたりしたことがあるものが64カ所あったという調査結果を公表した。環境省では、一定規模以上の風力発電を環境アセスの対象とする方向で手続きが進められており、引き続き風力発電施設について騒音・低周波音の実態解明を行っていく。
 64カ所のうち、調査時点でも苦情等が継続中だったものが25カ所あった。また、施設の稼働開始年度ごとの苦情の発生状況をみると、06年度以降と比較的新しく建設された施設での発生割合が高くなっており、定格出力が大きくなるほど、また、1施設当たりの風力発電設備の設置基数が多くなるほど、発生割合が高くなっているという傾向があった。
 環境省では、今年度から3年間の予定で風力発電による低周波騒音の人体への影響について調査研究を行うことにしており、その中で実際の風車による騒音の実測調査を進めるなどして風力発電による騒音被害の実態解明に取り組んでいく。
 調査の対象とされたのは今年4月1日現在で、稼働中だった自家用・売電事業用風力発電施設で、総出力が20kW以上のもの。事業者や施設が設置されている都道府県にアンケート調査を実施、186事業者、40都道府県から回答があった。


川崎重工、熱水式バイオエタノール製造技術を開発
 川崎重工業は、稲ワラからバイオエタノールの製造することに成功した。農林水産省の「ソフトセルロース利活用技術確立事業」の一環として、秋田県農業公社とともに取り組んだ。従来の糖化工程に用いられている硫酸や酵素を使用せず、「熱水式バイオエタノール製造技術」を用いて、発酵が難しいとされるセルロース系の稲ワラから、効率よくエタノールを製造することに成功した。稲ワラ以外のソフトセルロースについても適用可能で糖化処理できる。
 熱水で糖化処理を行うため、硫酸の回収設備や耐酸性容器等が不要で、酵素も使用しないため、設備費や材料費など製造コストが低減できる。
 製造したバイオエタノールを使用して走行実証試験を行い、自動車の安定走行できることや、自動車燃料としての基準を満たしていることも確認した。
 今後は、1Lあたり40円以下の製造コストが実現できる商用システムの確立を目指して、2012年度まで実証試験を継続する。


大阪ガスなど、「こうべバイオガス」の都市ガス導管注入を開始
 神戸市と神鋼環境ソリューション、大阪ガスの3者は、神戸市東灘処理場内に建設していたバイオガスを都市ガスとして活用するための設備が完成し、精製したバイオガス「こうべバイオガス」を都市ガス導管へ注入を始めることにした。
 処理場で発生したバイオガスを都市ガス仕様にさらに精製し、直接都市ガス導管に供給するもので、都市ガスの低炭素化や再生可能エネルギーの活用などの観点から日本初の試みとして注目されている。
 神戸市と神鋼環境ソリューションが東灘処理場で発生した下水汚泥由来のバイオガスを精製し、天然ガス自動車の燃料として利用する「こうべバイオガス」事業として取り組んでいたものを、都市ガス導管へのバイオガスの受け入れを始めた大阪ガスが、導管への受け入れを決め、3者で共同研究を行っていた。
 「こうべバイオガス」はメタン成分が97%以上を占める高品質なガスで、これをさらに精製し、含まれる酸素や2酸化炭素などの微量成分を除去や熱量の調整などを行って大阪ガスが供給する導管内の都市ガスと同等の品質に整えることで都市ガス導管へ受け入れることができることを確認した。
 都市ガス製造所以外で精製したガスを都市ガスとして受け入れるのはこれが初めての試みで、これまで自家消費するしかなかった下水処理場などで発生するバイオガスを広く流通させる仕組みとして注目されている。


ネクストエナジー、オンサイトG電力サービスで大阪ガス・エナジーバンクジャパンと業務提携
 ネクストエナジー・アンド・リソースは、施設の屋根を借りて太陽光パネルを設置・発電し電力供給を行うオンサイト型のグリーン電力供給サービス事業で、大阪ガス、エナジーバンクジャパンと業務提携した。サービス利用者はパネルを所有せず、発電された電気だけを購入するサービスで、ネクストエナジーが公共施設、事務所・店舗向けに事業展開しているサービス事業のプラットフォームと、大阪ガスが展開しているエネルギーサービス事業モデルの金融プラットフォームを、国内初のCO2削減ファンドを運用するエナジーバンクジャパンを介して連携させる。

その他の主な記事
・ガスパイプライン拡大でWGの議論始まる
・温暖化対策基本法案、無修正で閣議決定
・次世代ネットワーク研、系統強化コスト負担で議論
・政府が緊急経済対策を発表
・GSユアサが新型リチウム電池
・NHKがオール電化テレビ中継車を製造
・トヨタが住宅用エネルギーマネジメントサービスに参入
・富士電機が高効率新型モーターを開発
・IEEEでセミナー
・NEIF第16回会議案内
・エコキュート出荷台数が初めて前年割れ
・シーテックジャパン開催
・スマート・ファクトリー
・三菱マテリアルが家電からのレアメタル回収を受託
・第15回国内クレジットの認証・承認
・排ガス対策原動機と建機、低騒音建機
・EグリーンとSエナジーが共催セミナー
・JORAがテクノフォーラム
・NEDO、バイオマスガス化・メタン発酵技術の拡大で公募
・PEFC実用化は日産とホンダ、山梨大と共同で
・愛知県のFCVセミナー
・高効率エネ導入(建築)2次決定
・再生可能エネ地域連携セミナーを開催
・電設工業展2011出展者募集    etc.


<インタビュー>
・分散型・新エネルギー市況アンケート調査
(NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長 泊みゆき氏)
 再生可能エネルギーのなかでもバイオマスは種類も用途も多様だ。中でも木質系バイオマスは林地残材や建築廃材など多くの資源が存在すると言われるがそのエネルギー利用は遅々として進まない。森林系のバイオマスエネルギーが抱える課題について、バイオマス産業社会ネットワーク理事長の泊みゆき氏に話を聞いた。



燃料電池新聞の主な記事
・世界の燃料電池市場B<モバイル/ポータブル燃料電池の現状>
・ドイツの家庭用燃料電池フィールド実証試験
・海外ニュース
 -MOFによる水素貯蔵利用へ 米NW大学
 -FCV走行試験を開始 GM
 -燃料電池フォークリフトを設定 米クラウン
 -米のスーパーにPAFC導入 UTCパワー
 -5kW級燃料電池を今月出荷 米HFC
 -燃料電池バックアップ電源の実証 英DE社らが
 -水素貯蔵スマートグリッドを構築 加ベラクーラで
 -APUの潜在需要は1億6千万kWと推定 ドイツロイド船級協会
 -水素ステーションをオープン 米オハイオ州起業家ら
 -亜鉛空気電池を自動車向けに実用化 米ジンクエア
 -燃料電池ハイブリッドトラックを開発 英SEV
 -水素ステーション整備計画を発表 英セネックス
 -ブルーム社の株式上昇を予想 米ネクストアップ
 -燃料電池ハイブリッド自転車を開発 米PEBとシグナ社
 -仏ルノーに電気自動車向け電池供給 韓国LG化学
・燃料電池フラッシュニュース
 -SOFCの酸素イオン分布可視化に成功 産総研
 -燃料電池研究センターを設置 電気通信大学
 -家庭用SOFCの10年度型機を共同開発 トヨタ、大阪ガスら
 -国内初の「導電性炭素紙」を開発 岐阜県産業センター
 -DMFCの営業活動を開始 フジクラ
 -EVバッテリーを住宅用蓄電池として活用 住友林業と日産
 -燃料電池バス試験運行を開始 豊田市
 -ジルコニアシートの増産を計画 日本触媒
 -低温動作するSOFCを開発 物質・材料研究機構
 -炭素繊維織物構造のガス拡散層基材を開発 東邦テナックス      etc.

・燃料電池インフォメーション
 ■化学工学会セミナー「電池3兄弟(蓄電池、太陽電池、燃料電池)が切り開く未来の低炭素化社会」
 10月20日 (水) 大阪科学技術センター(大阪市西区) ○概要=@電池技術が切り開く低炭素化社会(東京工業大学大学院 伊原学氏)A環境エネルギー分野に貢献するリチウムイオン電池の開発(パナソニック 西村賢氏)B太陽電池の現状と課題・展望(カネカ 野村卓司氏)C次世代色素増感型太陽電池の開発(大阪府立大学大学院 中澄博行氏)D家庭用固体酸化物型燃料電池(SOFC)コージェネの開発状況(アイシン精機 吉柳考二氏)ESOFCとガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)の組み合わせによる最高効率発電システムの開発(三菱重工業 小林由則氏)F燃料電池自動車と水素インフラの開発進度と実証試験の展開(日本自動車研究所 川崎聡志氏)G次世代家庭用エネルギーシステム「スマートエネルギーハウス」(大阪ガス 山下真氏)
 ■水素エネルギー協会「第133回定例研究会」
 11月5日(金) 東京大学医学部鉄門記念講堂(東京都文京区) ○概要=「将来自動車の動向」として、早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科大聖泰弘教授ほか、数件の講演       etc.

シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(40)
 =東京都・埼玉県の排出量取引制度=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)
・世界を読む(26)
 <京都議定書延長論が進められた天津作業部会>
・キーパーソン
 <資源エネルギー庁長官 細野哲弘さん>


コラム
・発電論評<急速に進むバイオマスのエネルギー技術開発>
・ちょっと一休<メルシャン元社長に会う>
・青空<建設業界の人材リストラが止まらない>
・ちょっと一言<韓国経済に見るクリーン技術開発戦略>


急速に進むバイオマスのエネルギー技術開発【発電論評】

 バイオ燃料開発のニュースが相次いでいる。大阪ガスが神戸市の下水処理場で発生する汚泥バイオガスを精製したものを都市ガス導管に受け入れ、都市ガスとして流通させることを始めた。
 これまで、汚泥ガスなどは施設内での発電用に使うなど、限られた利用法しかなかった。導管流通できるようになれば、エネルギー資源として活用できる道が限りなく広がることになる。さらに、バイオガスを混合した都市ガスは、さらなる低炭素燃料として利用できることにもつながり、次世代燃料としての都市ガスの価値も高まるということになる。
 こうした取り組みは始まったばかりであるが、各地に広がれば、これまで未利用のまま捨てられていたバイオガスの資源利用の可能性が高まることになる。
 秋田からは、川崎重工業が稲ワラから低コストのバイオエタノールの製造にめどを付けたというニュースも飛び込んできた。
 秋田県と共同で稲ワラからバイオエタノールを製造する実証事業に取り組んでおり、稲ワラの糖化工程で、従来からの硫酸や酵素などを使用せず、熱水だけで糖化処理を行えるようにしたという。硫酸の回収設備や耐酸性の容器などの設備が必要なくなることや、コストの高い酵素を使用しないため、製造コストも低減できる。熱水の条件を変えることで、稲わら以外のソフトセルロース系のバイオマスについても糖化処理が行えるという優れた技術である。
 バイオマスのエネルギー利用は、米国などで行われている穀物由来のバイオエタノールが主流であるが、これには食料としての穀物価格の高騰につながるなどとして批判が多く、日本では食料と競合する穀物などを使わず、食用にならない稲ワラなどのセルロース系植物を使っての開発が目指されている。
 秋田でのバイオエタノール製造実証事業は2012年まで継続され、今後は低コストで安定したバイオエタノールの製造が目指される。実証試験の目標はガソリンとの十分な価格競争力を持つ1L当たり40円だというから、その成果が大いに期待される。
 バイオガスにしてもバイオエタノールにしても、これらに共通しているのは、未利用のバイオマス残渣として廃棄物処理されていたものが資源化できるということで、まさに一石二鳥の成果が期待できることになる。また、エネルギー無資源国と言われる日本にあって国産資源開発にもつながるという意味もあり、さらに、自動車や発電用燃料などとして化石燃料に単純に置き換えることができるということも最大の利点だといえる。
 こうした多くの利点を持つバイオ燃料が、今まさに研究開発から実用化の段階へと移り変わりつつあるということが実感できるニュースだった。